はじめに|「M&Aは一部の大企業の話」だと思ってない?
「ウチみたいな規模の会社に、M&Aなんて関係ないでしょ?」
「廃業するまで続けるつもりだから…」
そんなふうに考える経営者も少なくありません。
でも今、中小の解体業者でも“会社を売る” “引き継ぐ”という選択肢が現実的に増えているのです。
後継者不在・高齢化・人手不足という背景の中で、
“会社を誰かに託す”という選択肢が注目され始めています。
解体業界でも進む“会社売却”と“承継”の現実
✅ 後継者不足は、すでに“経営課題”
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子どもが家業を継がない
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若手社員はいるが経営は任せられない
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銀行や顧問から「事業承継は考えてますか?」と聞かれ始めた
このように、経営者の高齢化と共に“引き際”がリアルなテーマになってきています。
✅ 実際に起きている“売却”の流れ
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町の解体業者が大手ハウスメーカーグループに売却
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地元工務店が事業拡大のために解体会社を買収
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廃棄物運搬業者が解体部門を買い取り、ワンストップ体制を構築
中小企業でもM&Aが進んでおり、“会社をつなぐ選択”をする社長が増えているのです。
売却・事業継承のタイミングと判断軸
◯ 売却・M&Aを検討する主なタイミング
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年齢が65歳を超えた
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主要取引先・従業員に迷惑をかけたくない
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会社は好調だが、経営に疲れてきた
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他にやりたい事業や夢がある
このように、“廃業ではなく、継がせる”という選択が現実味を帯びてくる年齢・状況で検討されやすくなります。
◯ 判断のポイントは「会社を続けたいか」
最終的な判断は、
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誰かに継いでもらってでも会社を残したいのか?
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それとも、自分の代でやり切って終わりにしたいのか?
この**“気持ち”が全ての起点**になります。
解体業のM&Aで“買われる会社”の特徴とは?
買い手が評価するポイントは以下のような要素です👇
✅ ① 安定した売上と顧客基盤
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自治体やゼネコンとの取引実績
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年間受注件数が安定している
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下請けだけでなく直営案件も持っている
✅ ② 従業員・職人が定着している
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ベテラン職人が在籍している
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若手の育成実績がある
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社風や社内コミュニケーションが良い
✅ ③ 車両・重機・設備が整っている
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重機やトラックが自社所有
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現場管理体制・安全管理の整備
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工場・置き場などの固定資産
✅ ④ 書類・契約関係が整理されている
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顧客リスト・契約書・許可関係が整っている
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請負契約・産廃マニフェスト・請求書発行のルールが明確
✅ ⑤ 法令順守や地域での評判
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建設リサイクル法・石綿関連法の対応が正しい
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近隣トラブルが少なく、「感じのいい業者」として地域の評判が良い
M&Aの進め方と専門家との連携ポイント
✅ ① まずは「相談」から
M&Aは突然決まるものではありません。
まずは、以下のような専門家に相談を。
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中小企業診断士
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税理士・会計士
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M&A仲介会社(日本M&Aセンター、バトンズ、トランビなど)
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金融機関(地銀・信金)
✅ ② 会社の「棚卸し」を行う
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売上・利益推移の整理
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車両・不動産などの資産一覧
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許可証の有効期限や書類の整理
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顧客との継続性の確認
これらの情報を整えておくと、買い手との交渉もスムーズになります。
✅ ③ 秘密保持と信頼の確保
M&A交渉は**「秘密厳守」が大原則。**
社員や取引先に知られず進める方法(ノンネーム情報開示など)もあり、専門家のサポートが不可欠です。
【実例紹介】M&Aで社長交代→社員も継続したB社の話
新潟県の解体業者B社では、60代の社長が後継者不在に悩んでいました。
事業自体は安定しており、毎年150件以上の解体を受注。
そこで、M&A仲介会社に相談。
最終的に、同県内の土木会社に事業譲渡し、B社の社名・社員・事務所もそのまま継続されました。
📌 ポイントは:
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「譲渡後も職人の雇用を守る」条件で合意
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社長は1年間顧問として関与
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お客様には「安心してください」と丁寧に引継ぎ案内
社長いわく、
「会社を残し、仲間の雇用を守れたことが何より嬉しい」
とのこと。
まとめ|会社を“終わらせる”ではなく“つなげる”という選択
✅ M&Aは、大手だけの話じゃない
✅ 「会社を誰かに任せる」という選択もある
✅ 売却=手放す ではなく、“つなげる”という経営判断
もしあなたが今、
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今後の会社の行く末に悩んでいる
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信頼できる人に会社を託したい
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でも廃業は避けたいと思っている
なら、“M&A”という選択肢を少しだけ真剣に考えてみませんか?