解体工事の見積りで押さえておきたいポイントを解説

解体工事見積り書の読み方を解説します

建物の解体を考えた時に「何から準備すれば良いのか」「予算はいくらくらいなのか」など様々な疑問が浮かんでくることと思います。

今回はその中でも「見積り」について、最低限押さえておきたいポイントや、できるだけ安く済ませたい時のポイントなどを解説して行きます。

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解体工事の見積り構成を解説

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解体工事費用の見積りはどのような内容で構成されているのでしょうか?

見積りの内容は解体業者によって様々ですが、一般的には次のような内容で構成されています。

(1)足場・養生費用
(2)解体費用
(3)廃棄物運搬・処分費用
(4)付帯工事費用
(5)官公庁への届け出・手続き費用
(6)整地費用
(7)見積り除外項目
(8)諸費用

*順番や名目、項目数などは各解体業者によって異なります。ここでは、どういった費用が必要になるのかという点で分類しています。

それぞれ、もう少し詳しく見て行きましょう。

(1)足場・養生費用

解体工事には多かれ少なかれ騒音、振動、粉塵の発生が伴います。近隣とのトラブルを避けるためにも、養生は必須です。

足場を組み、防塵・防音シートなどで覆うための費用です。

(2)解体費用

家屋自体の解体費用です。単価×坪数で決まることがほとんどで、その単価は建物の構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造等)によって変わります。

一般に単価が安い順に「木造→鉄骨造→鉄筋コンクリート造」となります。

(3)廃棄物運搬・処分費用

解体工事中に発生した廃材を処分するための運搬費用と処分費用です。

解体業者が自社で行う場合もありますが、許可を得ていない場合は廃棄物処理専門業者へ委託することになりますので、その場合はマージンの分だけ費用が高めになると考えて良いでしょう。

(4)付帯工事費用

家屋の解体以外にかかる費用です。例えばアスベストが含まれている建材を処分するためのアスベスト除去費、土間コンクリート除去費、カーポート撤去費、庭石・庭木撤去費、ブロック塀撤去費、井戸解体費など様々です。

(5)官公庁への届け出・手続き費用

床面積80平米以上の建物を解体する場合、建設リサイクル法に基づいた事前の届け出が必要になります。

そのほか、トラックや重機を前の道路に駐車する場合は道路使用許可(広さによっては通行止め申請も)などが必要になります。

なお、建設リサイクル法に基づいた届け出は施主が自分で行うこともできますが、確実に行うためには業者に代行を依頼した方が良いでしょう。

(6)整地費用

家屋の解体が完了したら残っている細かいゴミなどを撤去したり、地中にゴミなどが埋まっていないか最終的に確認し、問題なければ地面をキレイに整えて完了となります。

重機を用いての整地となりますのでその費用が加わります。

(7)見積り除外項目

家屋を解体してみたら、地中からゴミや廃材、井戸や浄化槽などの設備などが見つかった、というケースも少なくありません。

ただ、それらは現地調査をした時点では確認することができませんので、見積り除外項目として別途記載していることがほとんどです。

あるかどうかも分からないものですので金額も記載されていないのですが「なんで空欄なの?」と思わず、仕方がないものと思っておきましょう。

もちろん、見つかった場合は施主に確認をして、撤去にかかる見積もりを出してから最終的に決めることになります。

(8)諸費用

作業員の人件費、重機やトラックの使用代、駐車場代、燃料費、警備員雇用費、建物調査費、アスベスト成分調査費、室内残置物撤去費、解体業者の利益などが諸費用となります。

大まかですが、解体工事費用には上記のようなものが含まれています。

細かく項目を分けてくれる業者から、ざっくりとした項目だけの業者など様々です。

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解体工事の項目別チェックポイント

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何に対する見積りなのかが明確であることが大切です。

先ほどの項目を例に、それぞれのチェックポイントをご紹介します。

(1)足場・養生費用のチェックポイント

  • 仮囲い
  • ゲート
  • 散水設備
  • 防音・防塵シート(防災シート、養生など)
  • セーフティネット
  • 足場部材

など細かく記載されているか、また工期の日数分記載されているかをチェックしましょう。

(2)解体費用のチェックポイント

解体費用は地域によって相場に違いがあったり、解体する家屋の構造(木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造)、現場の環境(広さ、隣家との距離、前の道路の広さなど)、そのほかの条件によって変わって来ますが、おおよその相場を押さえておきましょう。

・木造
2万円~3万5000円/坪

・鉄骨造
3万円~5万5000円/坪

・鉄筋コンクリート造
3万5000円~6万5000円/坪

上記を参考に、これよりも高すぎたり安すぎたりしないか、チェックしておきましょう。

(3)廃棄物運搬・処分費用のチェックポイント

実は家屋の解体費用と同程度の費用がかかると言われているのが廃棄物の運搬・処分費用です。

家庭残材などの一般廃棄物の処分費用は自治体によって規定されているコストがありますのでどの業者もそこまで大きな差はありません。

ですが、解体材などの産業廃棄物に関しては各業者(処分場)によって違いがあります。

同地域では、それほど大きな違いは無いかも知れませんが、処分方法や最終処分先によって違いがありますので理解しておきましょう。

運搬費用は基本的に各材質ごとに重量×単価、体積×単価などで算出されます。

解体してみないとどの程度の廃棄物が発生するか分かりませんので、多少の誤差は生じますが、大きく違うということはないでしょう。

解体費用はできるだけ安く上げたいところではありますが、この項目に関しては安すぎると不法投棄の可能性がありますので十分に注意が必要です。

(4)付帯工事費用のチェックポイント

  • 土間コンクリート撤去処分
  • アスファルト撤去処分
  • ブロック塀撤去処分
  • 外構フェンス撤去処分
  • 庭石撤去処分
  • 庭木伐採・抜根処分
  • カーポート撤去処分

など、依頼した工事がきちんと含まれているか、逆に依頼していないものが含まれていないか、さらにそれぞれの項目に関する費用が明確かどうかをチェックしておきましょう。

(5)官公庁への届け出・手続き費用のチェックポイント

  • 建設リサイクル法届け出費用(解体建物が80平米以上)
  • 道路使用許可の届け出費用

などが明確に記載されているかチェックしましょう。

いずれも相場としては1万円~2万円程度です。

(6)整地費用のチェックポイント

整地費用については工事総額の5%であったり、平米あたりであったりと業者によって基準が異なります。

もし見積りに整地費用が記載されていない場合は諸費用あるいは解体費用に含まれていることがあります。

業者から明確な説明がない場合は後から高額な整地費用を請求される可能性もありますので、どこに含まれているのか遠慮せずに確認をしましょう。

(7)見積り除外項目のチェックポイント

アスベストを含んだ建材が見つかった場合、地中埋設物が見つかった場合などは別途費用がかかる旨を記載しているかチェックしましょう。

(8)諸費用のチェックポイント

諸費用に含まれる項目は業者によって様々ですが、疑問に思う点があれば遠慮なく確認し、納得がいかないものに関しては相談をしてみましょう。

以上が項目別にチェックしておきたいポイントの例です。

【こちらの記事もご覧ください】

  1. 解体現場ではなぜ水を撒くのか?養生の重要性とともに解説
  2. 内装解体の費用相場と施工手順を解説します
  3. 鉄筋コンクリート構造物の解体費用を解説

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ここだけは、しっかり見て欲しいポイント

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項目も大切ですが、それ以外にもしっかり見て欲しいポイントがあります。

例えば「税抜きか?税込みか?」です。

実は意外と明記されていないケースもあります。

税抜きだった場合、100万円の工事で8万円もの費用が追加になってしまいますので、十分注意したいところです。

また

「見積り書の作成日やその見積りの有効期限が正しく記載されているかどうか」という点も大切です。

他の業者に相見積りを依頼している間に有効期限が切れてしまい、再度見積りを依頼したら前回よりも高くなってしまった、などということも考えられますので、忘れずにチェックしておきたいポイントです。

そのほかにも

「施工業者名・連絡先・住所・工事責任者名」

「施主名や現場の住所等」

「工事名(解体撤去工事など)や工事家屋名(○○様邸など)」

といったものもチェックしておきたいポイントです。

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解体業者へ確認して欲しい事

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工事を正式に依頼する前に、解体業者に確認して欲しいことがあります。

(1)近隣対応

解体工事には騒音・振動・粉塵などが伴うほか、工事車両の往来・駐車があったり、作業員が現場敷地外を行き来することも考えられます。

挨拶を兼ねた近隣住民に対する事前の説明などをしっかり行ってもらえるかどうか確認しておきましょう。

(2)見積り除外項目が見つかった場合の対応

地中埋設物などが見つかった場合、勝手に撤去せずに写真を撮るなどして施主に確認し、見積りを出してくれるかを確認しておきましょう。

この取り決めがないと、勝手に撤去されて後から高額な費用を請求されてしまう可能性がありますので覚えておきましょう。

(3)官公庁への届け出

建設リサイクル法に基づく届け出などを確実に代行してもらえるか確認しておきましょう。

(4)マニフェスト

解体工事において発生した廃棄物をどの業者が、いつ、どこに運搬して、いつ(どのように)処分したか、などの一連の流れが記載されているのがマニフェストと呼ばれるものです。

原本を確認させてもらうこともできますが、確実なのは写しをもらっておくことです。

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最低限押さえたいポイントここだ!

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ここまで、見積もりに関して色々なポイントをご紹介してきました。

全ての項目を漏れなくチェックするのは大変かも知れませんので、最低限これだけは押さえておきたいとうポイントをご紹介します。

  • 見積りに不明瞭な項目がないか

 

  • 総額に対する税込み、税抜きの確認

 

  • 廃棄物の運搬処分方法(できればマニフェストの写しをもらう)

 

  • 官公庁への届け出代行をしてもらえるか

 

  • 近隣対応をしてもらえるか

 

  • 解体に必要な許可を持っているか

 

  • 支払い方法と支払うタイミング

 

  • 隣家を壊したり人に怪我をさせてしまった場合の保険に加入しているか

各項目の費用などももちろん重要なポイントですが、それ以前に最低限これくらいは押さえておきたい、というポイントです。

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補助金もある!?解体費用をできるだけ安くしたいなら!

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解体は決して安くない上に、壊してしまうため手元に何も残らない工事です。

そのため「できるだけ安く済ませたい」と思うのは、当然のことです。

しかし、金額だけにこだわって安い業者を選んでしまうと、前述のように不法投棄などの可能性があります。

できるだけ安く済ませるためのポイントをいくつかご紹介します。

自社で施工してくれる業者

一括見積りサイトを通して選んだり工務店などに依頼した場合でも、最終的に施工するのは解体業者です。

仲介を通すことでマージンが発生しますので、初めから自社で施工してくれる解体業者を選ぶようにしましょう。

自社で廃材を処分してくれる業者

これが可能な業者を見つけるのは少し難しいかも知れませんが、廃棄物の運搬・処分に必要な許可や施設を兼ね備えている解体業者がいます。

やはりこの場合もマージンを削減できますので、解体費用はその分安くなります。

解体補助金を活用する

多くの自治体は解体費用の補助金・助成金制度を設けています。

活用しない手はありませんので、事前に管轄の自治体に確認してみましょう。

着工後では申請を受け付けてもらえないケースがほとんどですので、事前の確認が必須です。

そのほか、家財道具やリサイクル家電などに関しては自分で処分できるものは自治体の粗大ゴミに出す、買取業者に依頼する、フリマアプリなどで売却するなどで減らしておくことでも、わずかですが解体費用総額を抑えることができます。

なお、家財道具などは解体業者が買い取ってくれるケースもありますし、処分してくれるケースもあります。

いずれかの安い方法を選ぶようにしましょう。

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解体費用を単純に見ないで下さい

今回は解体工事の見積りについて解説してきました。

解体工事費用には様々な項目がありますので、決して

【家屋解体費用の相場×坪数】

だけでは収まらないということがお分かりいただけたことと思います。

最後に一つ注意したい点をお伝えするとしたら、例えば

【18,000円/坪~】

などの表記です。

一見すると安く見えますが、この場合の18,000円は単純に家屋の解体費用のみであるケースが多く、足場・養生費用、廃材運搬・処分費用などその他の費用が含まれていない可能性があります。

そのため見積りを依頼したら他の費用が相場よりも高額で結局高くついてしまった、ということも考えられます。

また、もしその他の費用が含まれているとすると逆に安すぎるため適正とは言えませんし、その場合、繰り返しになりますが不法投棄の問題が発生する可能性が高くなります。

不法投棄はそれを行った業者のみならず、工事を依頼した施主も罪に問われることがありますので覚えておきましょう。

解体業者を選ぶポイントとして「安さ」を重視するのであれば、「なぜ安いのか」が明確な業者を選ぶようにしましょう。

解体は一生に一度あるかないかの大切な工事ですので、ぜひ信頼できる業者を見つけてください。

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ABOUTこの記事をかいた人

35年で過去5,000棟の解体工事を手がけた解体専門店・市川工業の責任者であり、解体協会の理事も務めています。 建物解体工事を中心に産業廃棄物のリサイクル業務を中心に、毎年、年間300件以上の解体工事でお客様とふれあう中で「より良いサービスを提供する解体企業になる」をモットーに、業界のイメージと解体工事の品質向上に力を注いでいます。 現在は新潟県解体工事業協会の理事を務め、解体業界全体の品位向上に力を注いでいます。 資格:一級土木施工管理技士、リサイクル施設技術管理者、解体工事施工技士