🏢 はじめに|「退去=全撤去」ではない?
オフィス・店舗・事務所などのテナントを退去する際、
「原状回復」「スケルトン工事」「解体」など様々な用語が登場しますが、
それぞれの違いが分からず混乱した経験はありませんか?
この記事では、
✅ 原状回復とスケルトン工事の違い
✅ 契約内容に基づく確認ポイント
✅ 解体工事との明確な線引き
✅ コストと工程に与える影響
をわかりやすく解説します!
✅ 原状回復とは?
🔧 入居時の状態に“戻す”ことが原則
「原状回復」とは、借主が退去時に入居時の状態に戻す義務のことを指します。
ただし、以下の点に注意が必要です。
📌 よくある原状回復内容
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造作・パーテーションの撤去
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クロス・床材の張り替え
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照明器具の交換・補修
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トイレ・空調などの清掃・軽補修
⚠️ すべてを元に戻すわけではない!
国交省のガイドラインでは「通常損耗・経年劣化分の回復は不要」とされており、
すべての箇所を新築同様に戻す義務はありません。
✅ スケルトン工事とは?
🧱 内装を“すべて剥がす”工事
「スケルトン」とは英語で「骨組み」の意味。
スケルトン工事は、内装を完全に撤去し、躯体のみの状態に戻す工事です。
📦 具体的な内容
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床材・壁・天井の完全撤去
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空調・照明・配線の撤去
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設備配管・トイレなどの撤去
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鉄骨・コンクリートが露出する状態へ
📌 スケルトン工事は「原状回復」より工事規模が大きい
→ 内装の全撤去=中規模解体工事と同等の作業になることも。
✅ 解体工事とは?
🏗️ 建物そのものを壊す工事
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建物の躯体(骨組み)を含めて取り壊す
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建築物の“除却”を目的とする
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建築確認・届出・廃材処分などが必要になる
→ 原状回復やスケルトンとは目的もスケールも異なる
🧭 契約書からチェックすべき4つのポイント
①「原状回復義務」の定義
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「原状回復」は“どの状態”を指すか明記されているか?
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口頭での説明だけで判断しない!
② スケルトン渡し or 内装付き渡しの明記
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入居時点で「スケルトン契約」だったか?
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造作譲渡・居抜き契約になっていないか?
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退去時も同様の状態で返す必要あり!
③ 工事範囲の分担:借主 or 貸主
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空調設備・給排水管などの撤去範囲の線引きは?
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共用部(トイレ・エントランス)との境界部分の責任は?
④ 指定業者の有無・工事条件
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オーナー指定の業者があるか?
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作業時間帯や騒音の制限など、施工条件も確認!
💰 原状回復 vs スケルトン工事|コスト比較
項目 | 原状回復 | スケルトン工事 |
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工事内容 | 最低限の内装修繕・撤去 | 全面撤去(内装フル解体) |
工期 | 3〜5日程度 | 7〜14日程度 |
費用相場 | 坪1.5万〜3万円 | 坪3万〜6万円 |
届出 | 基本不要 | 規模により建設リサイクル届出が必要 |
💡 例:30坪テナントの場合
原状回復:約45〜90万円
スケルトン工事:約90〜180万円
✅ 工事発注〜退去までの流れ(スムーズに進めるために)
📝 基本の流れ
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契約書の確認(原状・引渡条件)
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オーナー or 管理会社と協議
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内装業者・解体業者へ現地見積り依頼
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工事期間・時間の調整
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近隣テナント・ビル管理会社への連絡
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着工 → 完工 → 引渡し・立ち会い
✅ 注意点&トラブル事例
⚠️ トラブル①:「原状」の定義違いで費用トラブル
→ 借主「ここは元々あった内装です」
貸主「契約上スケルトン返しの義務があります」
→ 写真・引渡図面・契約書が重要!
⚠️ トラブル②:工期不足で退去期日が間に合わない
→ ビルの使用制限(夜間不可・土日休み)を見落としがち
→ 計画は1ヶ月以上の余裕を持って!
⚠️ トラブル③:残置物撤去忘れによる費用追加
→ 借主側で残した不用品・什器が後から発見され
「追加請求あり」「敷金返還なし」になるケースも…
📝 まとめ|“解体ではない”からこそ、注意が必要!
✅ 原状回復とスケルトン工事は、似て非なるもの
✅ 契約内容と入居時の状態を確認すれば、トラブルは防げる
✅ 工程・費用の見積もり・業者選定も“早めの動き”がカギ!
「スケルトンか?原状回復か?」は、
退去工事の費用とスムーズさを左右する重要なポイントです。
次の借主・オーナー・管理会社、そして自社の信頼のためにも、
段取り良く、正しく整理していきましょう!