空き家探しは一般の住宅探しとは異なる難しさがあります。
少なくとも1年間は居住していないことにより、さまざまな不具合や劣化が生じる可能性があるからです。また、空き家そのものを探すのが難しい場合もあります。
そこで今回は、空き家探しを成功させるための6つのチェックポイントをご紹介します。
【あわせて読みたい。こちらの記事もご覧ください】
空き家バンクを利用するポイント
空き家を探す手段として、自治体が運営している「空き家バンク」を利用する方法があります。
空き家バンクとは、空き家を保有している人が賃貸に出したい場合、あるいは売却したい場合に登録するものです。
空き家バンクは仲介をしていない
この空き家バンクを利用するにあたり、注意すべきことがあります。
それは、登録をしている空き家のオーナーとの賃貸あるいは売買契約をする際には、自治体は仲介をしないということです。つまり、そのままではオーナーと直接契約をすることになります。
しかし不動産の賃貸あるいは売買契約には、事前に合意すべきことが数多くありますし、特に空き家となればチェックポイントもたくさんあります。売買する双方が事前に合意しておかなければ、のちにトラブルとなるケースも発生します。
そこで、気に入った空き家があれば必ず、仲介をする不動産会社を探すようにしましょう。仲介手数料を支払う必要がありますが、あとでトラブルが発生しないようにするためには必要です。
都市部の空き家は不動産会社を利用する
空き家バンクはそもそも、空き家を有効利用して地域活性化を目指す自治体の取り組みです。
そのため、活性化の必要がない都市部では空き家バンクよりも不動産会社のほうが扱う空き家物件数が多いことがあります。
地方都市へ移住するのであれば、空き家バンクが役立ちます。しかし都市部で空き家を探すのであれば、不動産会社を利用するのが効率的かもしれません。
目的に適した空き家を探す
空き家は単なる住宅としてではなく、さまざまな用途で利用できます。
たとえばカフェなどの店舗として利用したり、オフィスとして利用したりと自由に活用できます。もちろん、移住のための住居としても使うこともあるでしょう。
このようなさまざまな用途に応じて、それに適した空き家を探すことが大事です。
たとえば住居として使用するにはあまりに古い空き家も、その風情を生かしてカフェとして利用することができるでしょう。あるいはオフィスとして使用するのであれば、多少は居住性に難があっても問題ないかもしれません。
住宅として見ると問題がある空き家も、用途によっては十分に活用できるケースがあるので、目的に応じた空き家を探すというのも大切なポイントになります。
再建築が可能か確認する
空き家探しには注意すべき点がいろいろとあります。特に、目に見えないけれどもチェックしておかなければならないことがあります。そのひとつに、「再建築」ができるかどうかがあります。
再建築不可物件とは
空き家を購入して、家屋は修繕するよりも建て直したほうがよいと判断することもあるでしょう。
そして家屋を解体していざあらたに建築しようとしたら不可能だった、そんな事態になる可能性があることをご存知でしょうか。
これは、「再建築不可物件」と呼ばれるものです。法律上、建物を建築することができない土地であることが、再建築できない理由です。
ではなぜ、再建築不可物件が現時点で建っているのでしょうか。
それは、昭和25年に建築基準法が制定される前に建築されているからです。つまり、そのまま家屋が建っていることや、リフォームを施すことは問題ないのですが、解体してしまうとあらたに建築することはできないということです。
具体的には接道義務(土地の間口が幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していること)を果たしていない場合に再建築不可となります。
再建築不可物件でも購入は可能
もちろん再建築不可の空き家であっても、購入することはできます。解体せずにリフォームすれば、そのまま使うことが可能だからです。
あるいは再建築するための条件である、接道義務を果たすことができれば、立て直しもできます。これはセットバック、つまり道路から離れて敷地の奥へ家屋を建てることで、再建築ができるというものです。
ある程度の敷地の広さがあれば、家屋の広さは確保できませんが再建築は可能となります。
【あわせて読みたい。こちらの記事もご覧ください】
耐震基準を満たしているか確認する
再建築が可能かどうかと同様に、空き家は耐震性もチェックすることが大事です。空き家は長く放置しておくと、土台までダメージを受けることがあるからです。
新耐震基準を満たしているか確認を
空き家の状態以前に、まずは建築された時期を確認しましょう。1981年5月31日、建築基準が改定されました。
この新耐震基準では、建築する家屋は震度6から7の地震でも倒壊や崩壊しない耐震性を持つことが求められます。しかしそれ以前に建築された家屋は、震度5程度の地震に耐えられればよいとされていました。
つまり、1981年5月31日より前に建てられた空き家は、震度6以上の地震で倒壊する可能性があるということです。
耐震性向上には補助金の利用も
自治体によっては、木造住宅の耐震診断を無料で行っているところがあります。
たとえば三重県いなべ市では、1981年5月31日以前に建てられた木造住宅(3階以下)は、無料で耐震診断を行なっています。そのうえで、耐震化の工事をする際には補助金が出る制度もあります。
あるいは神奈川県厚木市の場合、空き家を耐震改修して居住した場合には取得費を補助しています。このように自治体では空き家対策の一環として、耐震性を向上させることに対しての補助金を支払う制度があるので活用するのもよいでしょう。
ライフラインを確認する
空き家が快適に住める状態であるかどうかは、建物自体の状態だけではなくライフラインも確認することが必要です。
ライフラインとは水道・電気・ガスといった、いわゆる光熱費として発生する設備のことです。そして使用しないまま放置した空き家は、ライフラインに不具合が生じる可能性があります。
特に水道の場合、定期的に水を流さなければ水道管がサビついてしまいます。場合によっては破裂することもあるので注意が必要です。
水道管を交換するとなると工事費が結構かかります。空き家を探す際には必ず水道の蛇口を開けて、水の流れを確認するようにしましょう。赤水が出るようなら、水道管の内部はかなりサビているかもしれません。
補修が必要なところを確認する
空き家探しでもっとも注意が必要なのは、補修工事をどの程度すればよいのかを確認することです。空き家の購入はリフォーム費用を込みで考えなければなりません。
しかし一般の住宅とは異なり、空き家は単なる老朽化ではなく、場合によっては躯体にダメージが生じていることもあります。そうなると、梁や柱も補修する必要があるので費用がかなりかかります。
そのため、事前にどこまで補修しなければならないのかを知っておかなければなりません。具体的にチェックすべき項目として、以下のようなものがあります。
- 雨漏り状況
- 床の傾きや軋み
- 扉の建て付け
- 柱の劣化具合
- シロアリの有無
- 配管の劣化具合
住宅診断は「ホームインスペクション」によってチェックできます。ホームインスペクションは国土交通省に認定された専門家が行います。費用は5、6万円から10万円といったところです。
空き家の所有者は十分なメンテナンスができない場合が多いので、劣化具合も把握できないことがあります。そこで購入を検討する側が費用を負担して住宅診断を行うことになります。
それを踏まえて、候補となる空き家を決める必要があると言えるでしょう。気になる空き家すべてに対して住宅診断を行なっていては、費用がかさむからです。
まとめ
空き家探しには数多くのポイントがあることがわかります。
一般の住宅とは異なり、劣化が進んだ物件もあるからです。確かなことは、購入を検討する側が費用を負担する必要があるということです。
それを踏まえて、目的にかなう空き家物件を探すことが必要と言えるでしょう。
参考サイト
「木造住宅耐震補強等事業費補助制度について」
https://www.city.inabe.mie.jp/kurashi/jutaku/1007395.html
「要耐震改修空き家取得事業補助金」
https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/shiminbenri/kurasi/jyuutaku_akiya/akiya/hojokin/d038091.html
【あわせて読みたい。こちらの記事もご覧ください】