現在、全国的に空き家の数は増加しており、治安、景観、災害など、さまざまな観点から社会問題となっています。
数ある不動産のなかでも、空き家は安い価格で売りに出される傾向があり、セカンドハウスや賃貸物件として購入する人も増加。
そこで、安い空き家はどうやって探せばいいのか、購入価格の相場はどれくらいなのか、解説したいと思います。
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都市部と地方で異なる空き家事情
空き家は各地で売りに出されていますが、都市部と地方では空き家をとりまく状況に違いがあります。
都市部にはバブル期の分譲マンション
都市部や郊外の空き家は、一戸建てよりも、バブル期に建設された分譲マンションの空き室が多く出回る傾向があります。
当時は億ションだった物件が、相場より安い価格で売られていることも少なくありません。
通常の中古マンションよりも低価格でお買い得と思われがちですが、設備費が高い、交通の便が悪い、部屋数が多すぎるなど、何らかの問題があることもあります。
一戸建ての空き家なら地方や別荘地
一般的に空き家を探している人は一戸建てを念頭に置いている人がほとんどでしょう。
一戸建てを探すなら、都市部よりも地方や別荘地に目を向けたほうが、希望の物件が見つかる可能性大。
田舎になるほど、交通の便が悪くなるほど、格安の空き家が見つかります。親から家を相続したものの、住まいから遠く管理が難しいため、一刻も早く手放すために価格を下げる傾向があるからです。
交通手段、公共機関、お買い物施設などの利便性にこだわりがない人にはおすすめです。
一戸建てを探すなら空き家バンク
一戸建ての空き家を探すとき、最初の選択肢となるのが空き家バンクです。
自治体運営の空き家マッチングサイト
空き家バンクとは、自治体が運営している空き家のマッチングサイトのこと。
もともと各自治体が、空き家の売り手と買い手をつなぐ取り組みをしていましたが、最近は全国の空き家を網羅的に検索できるようになっています。
無料で利用でき、自治体が主体である安心感はありますが、職員が他の業務と並行して運用しているため、サービスとして完璧なものではありません。
自治体が関与するのはマッチングのみであり、売買交渉・契約、登記簿の名義変更など、細々したことは自らする必要があるのも難点。
すべての空き家がデータ化されているとは限らないため、他の手段と併用することがポイントです。
破格の空き家が見つかることも
空き家バンクは、地方の過疎化や高齢化の解消のために立ち上げられた経緯があります。
そのため、買い手が見つからない空き家が、破格の値段で売り出されていることも多々あります。
老朽化が進んでいることも少なくないのですが、自治体が補修費用の一部を負担してくれる制度を利用できる可能性があります。
もちろん、一定の条件を満たす必要がありますが、リフォームを含めて格安で一戸建てを入手できるため、補助金制度を含めて調べてみるといいでしょう。
その他、大都市から地方に移住する人向けのUIJターン説明会にて、空き家に住むための助成情報が提供されることもありますよ。
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地域に足を運んで空き家情報収集
いちばん確実な方法と言われているのが、空き家の購入を検討している地域に直接赴いて情報を集めることです。
地元の不動産会社に問い合わせる
空き家についてインターネットで検索すると、無数の不動産会社の情報に出会えます。気に入った物件があれば問い合わせをして、興味を持ったら内見する流れになります。
とはいえ、ヒットしやすい不動産会社は大手であることが多く、その地域に精通しているとは限りません。
そこで、地元の密着型の小さな不動産会社に立ち寄ってみると、ネット上で出回っていない空き家情報を得られることがあります。
不動産会社が間に入ることで多くの手間を省けますが、仲介手数料など費用負担が増えることは念頭に置いておきましょう。
地元の人に空き家の有無を聞いてみる
地域に足を運んで情報収集するとき、地元の人に聞いてみることで、空き家バンクや不動産会社のサイトに掲載されていない空き家を見つけられることがあります。
その地域に知り合いがいるのなら、そのネットワークを積極的に活用すること。知り合いがいないのであれば、地域コミュニティーに顔を出すという方法もあります。
高齢化が進んでいる地域では、空き家の扱いに困っている人が多いため、思いがけず希望に近い物件が見つかるかもしれません。
ただし、有益な情報にたどり着くまでに時間を要する、個人で売買取引をするためスムーズに話が進まないないこともあります。
空き家は低価格になる傾向
どのような方法で空き家を探したとしても、一般的な中古物件と比較すると低価格で入手できる傾向があります。
100万円で購入できる物件も
最近は、100均ならぬ100万円均一で空き家を購入できるマッチングサイト「空き家ゲートウェイ」のオープンが話題となりました。
また、5年のあいだ賃貸で住んでみて、気に入ったら格安で購入できる物件もあります。
空き家のなかには100万円以下の格安物件も少なくなく、場合によっては数十万円で購入できるケースも。
100万円以下の空き家は、所有者は早く手放したいものの、買い手がなかなか見つからないため、交渉次第でさらに値下げできることがあります。
格安空き家は修繕費用を念頭に
無償に近い価格で売り出されている空き家は、費用を抑えたい人にとって魅力的ですが、必ずと言っていいほど修繕費用がかかります。水道、ガス、電気などの基本的なライフラインが十分に機能しないこともあるでしょう。
そのため、DIYを楽しみながら暮らすなど明確な目的がある場合を除いて、すぐに引っ越したい人には不向きかもしれません。
雨漏りや破損の危険がある場合、設備などの修繕費用に加え、家屋全体をリフォームする必要が生じます。
数十万円で空き家を購入できたとしても、リフォーム費用に200万円~300万円あるいはそれ以上かかることもありますので、購入前に業者に相談することをおすすめします。
都市部の空き家は500万以上が相場
都市部の空き家は、相場より安い値段で売りに出されるものの、500万円以上を見ておいたほうがいいでしょう。
好条件の空き家は投資先ともなる
都市部で空き家を購入する場合、魅力のひとつが投資としての可能性。老朽化が進んでいると、家屋そのものの価値はほぼゼロとなりますが、土地の価格が上昇する可能性は残されています。
本格的にリフォームを施して家屋の価値を上げれば、家賃収入を得る、将来売却して収益を得るなども可能。
投資的価値がある空き家は、1000万円~1500万円が相場となるため、必ずしも格安とはなりません。
格安空き家は問題があることも
都市部にあるものの、相場よりもかなり安い価格で売り出されている空き家は、購入する前に理由を調べたほうがいいでしょう。
家屋に重大な欠陥がある、再建不可物件である、事故物件であるなど、安い理由が隠されていることが大部分。
再建不可物件であると、建築基準法で定められた接道義務を満たしていないため、家屋が老朽化しても建て直すことができません。
安くて500万円を目安に空き家を探せば、基本的な条件は満たせると思います。
まとめ
空き家を安く購入すること自体は可能ですが、取得後に大掛かりなリフォームが必要になるなど、追加費用が発生することが一般的です。
そのため、せっかく安い空き家を見つけたのに、修繕・リフォーム費用を加えたら、周囲の中古物件の相場を越えてしまったなんてこともあります。
購入費用だけではなく、修繕・リフォーム費用を含めて、空き家にかける予算を決めることが大切です。
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