空き家の売却もしくは購入を検討するときに気になる費用相場ですが、空き家の状態や立地によって大きく差が生じます。
空き家だと新築物件とは違い建物の資産価値は低いですし、建物自体の価値がゼロというケースも多いです。
とはいえ、土地自体には価値があるのでかなり古い空き家であっても資産価値が全くないということはありません。
空き家の土地の価格は新築物件と同様に、都心は高く地方や田舎は安い傾向にあります。
空き家を売却もしくは購入する場合には、空き家があるエリアの土地の価格相場をまず確認するとおおよその費用が判断できるでしょう。
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空き家の費用はどのように決まる?
空き家の費用は、建物と土地それぞれの価値を合計して決まります。では空き家の建物と土地の費用はどのように変動するのかをそれぞれ見ていきましょう。
建物の資産価値は築年数が20年を超えるとほぼゼロ
空き家は建物自体の築年数がかなり経過しているケースも多いため建物の資産価値はゼロと査定されることも珍しくありません。
木造住宅の場合、築10年で建物の価値は半分ほどになり、築20年を超えると建物自体の価値はなくなってしまうとされています。
これは木造住宅における税法上の耐用年数が22年と定められていることが関係しています。もちろん築年数が20年を過ぎたとしても人が住むことはできるので価値が全くないということはないものの、査定には反映されなくなってしまうというわけです。
ちなみに鉄筋コンクリート造のマンションは耐用年数が47年と木造住宅に比べて倍以上長いため、中古マンションのほうが中古の戸建て住宅よりも建物自体の価値が下がりにくい傾向にあります。
土地の資産価値は広さや立地によって異なる
空き家の土地の資産価値は広さや地域、利便性などさまざまな条件によって大きく変わります。一般的には都心部ほど高値で、地方や田舎は安価になることが多いです。
実際に2020年に国土交通省から発表された公示地価では、日本で最も高いのは東京都、最も安いのは秋田県となっています。
なお、東京都の坪単価平均が383万なのに対し、秋田県の坪単価平均は8万円と地域によってかなり差が大きいことが分かります。
ちなみに、空き家になってしまったことが要因で土地の価値が下がることはありませんので安心してください。
空き家の費用相場は都心や郊外、地方別にどれくらい差があるのか?
空き家の費用相場は前述したように地域や建物の状態などによって大きく変わるため、明確に断言することはできません。ここでは空き家の建物の価値はゼロとみなし、例として50坪の土地だけの価格相場を都心や郊外、地方に分けてまとめましたので費用の目安にしていただければと思います。。
都心の空き家の費用相場
最も土地が高いとされる都心ですが、都心と一言で言っても都道府県別では価格にかなり差があります。
たとえば東京の都心では坪単価600~900万円程度なので、50坪の土地の空き家で計算すると3億~4億5千万円になる計算です。
一方、三大都市圏である大阪府と愛知県の都心を比べると、大阪府は坪単価200~270万円ほどで50坪なら約1億円、愛知県では坪単価130~170万円ほどなので50坪なら約7,000万円になる計算です。
このように都心であっても都道府県別にすると総額で数千~数億円の差があることが分かります。
郊外の空き家の費用相場
郊外は都市圏の内部でありながら、中心都市(都心部)には含まれない地域のことで、簡単に言うと都市に隣接した地域です。
都心へのアクセスもしやすく利便性に優れているにも関わらず、都心に比べると土地の価格は安くなります。
たとえば東京の郊外の土地価格を確認すると、東京23区に隣接するエリアでも坪単価130~180万円ほどとなっています。
つまり、東京郊外にある50坪の土地の空き家の費用相場は6,000万円~9,000円になる計算です。
なお、東京都以外の都道府県の郊外であれば坪単価100万円未満になることが多いため、50坪の土地の空き家なら2,500~5,000万円ほどの費用相場になるでしょう。
地方や田舎の空き家の費用相場
地方や田舎には明確な定義はないものの、ここでは都心と郊外に含まれない地域として解説します。地方や田舎は都心から離れている分土地の価格は安く、特に人口が少なく田畑の多いエリアほど低価格な傾向にあります。
地方や田舎の坪単価は10~20万円ほどが多いですが、地域によっては坪単価10万円未満になることもあります。
そのため地方や田舎にある50坪の土地の空き家の費用相場は500~1,000万円、山間部など人気が少ない場所では250万円前後になると予想できます。
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空き家の価格を左右する条件や要因
都心と郊外、地方における空き家の費用相場の目安は前述しましたが、実はエリア以外にも土地の価格を左右する条件や要因があります。
そのため都心であっても比較的安くなる空き家や、郊外や地方であっても高い評価額がつく空き家になる可能性があるのです。土地の価格を左右する条件や要因を5つまとめたので参考にしてください。
駅からの距離
駅に近い場所にある空き家は高く査定される傾向にあります。
たとえば駅から徒歩圏内だったり、複数の路線が利用できるような主要駅が近かったりするほど土地の価格は割高になります。
駅が近い土地は資産価値が下がりにくいので非常に魅力的です。一方で駅から徒歩15分以上かかる場所だと土地の価格はやや安めになる傾向にあります。
周辺環境
教育施設や商業施設、病院などが空き家の周辺にあると利便性が高いことから土地の価格は高く査定されます。
実際、地方でも大型のショッピングモールができ、そのエリアへ居住したいという人気が高まったことで土地の価格が値上がりしたケースは多いです。
学校や幼稚園、保育園が近隣にある空き家ならお子さまのいる家庭からの需要も見込めます。
建物の築年数
空き家だけでなく中古住宅全般に言えることですが、建物の築年数が浅いほど高い査定額になります。
空き家の場合は長年人が住んでいないことで老朽化が進んでしまっているケースも多いですが、空き家になって間もない場合でなおかつ築年数が10年未満と浅い場合は建物の資産価値も高く査定されるでしょう。
また、築年数が浅いほど次の入居者にとってはリフォームやリノベーションにかかる費用を節約できるのですぐに買い手が見つかることも多いです。
なお、老朽化が進んでいるからリフォームやリノベーションをして査定に出せば高い評価額が見込めるのではと思うかもしれませんが、リフォームやリノベーションにかけた費用以上の上乗せが見込めない可能性が高いので、売却前にリフォームなどをする際は十分注意しましょう。
土地の広さや形状
土地の総額は坪単価で計算されるため土地の坪数が広いほど高くなります。
ただし土地がいくら広くても、変形地だったり道路から奥まった土地は安価な査定になることが多いです。
なぜなら変形地だと建物の間取りや構造を決めるのに苦労しますし、道路から奥まった土地は車の出し入れが不便だからです。
逆に言えば正方形で道路に面していて間口が広い土地は多少狭くても高値がつく可能性があるのです。ただ土地が広ければ良いというわけではなく使い勝手の良し悪しも加味して土地の評価額が決まります。
心理的瑕疵の有無
買い手側が不快な気分を感じる心理的瑕疵がある物件や土地だと査定は低くなります。
たとえば、空き家で過去に事件や事故などがあり人が亡くなった場合、いわゆる事故物件と呼ばれ購入を敬遠されるケースが多いです。
ちなみに空き家を解体したとしても、その土地自体にも事故物件としての告知義務が残るので注意が必要です。
また、近隣に反社会的勢力の活動拠点や火葬場、風俗店などの嫌悪施設がある場合も心理的瑕疵を与える要因となるので、土地の査定額は下がってしまうのです。
空き家を売却する際には事故物件であることや周辺に嫌悪施設があることを買主に説明しなければならないという義務が売主にはありますので気を付けてください。
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