親から家を相続したものの、誰も住んでいない状態が長く続いているので自治体に相談したい…。
しかし、自治体にいつ相談すればいいのか分からず、放置している人も少なくないようです。
そこで、空き家相談を検討している人に向けて、自治体に相談するタイミングや注意点、早めに相談するメリットなどを解説します。
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自治体に空き家相談できるのはなぜ?
空き家は個人の所有物なのに、いつから自治体で相談できるようになったのでしょうか。
震災が自治体の空き家対策を加速
自治体が空き家相談に積極的になったきっかけは、2011年に発生した東日本大震災。ふたたび大きな地震が起こったとき、家屋の密集地域で火災が起こったら、延焼により被害が拡大することが懸念されています。
古い家屋が密集しているところは、建築基準法を満たしていない再建不可物件が、そのまま空き家になっているケースが少なくありません。
空き家が解体できれば、災害時の延焼のリスクを減少させられるため、自治体は空き家対策に本格的に乗り出すようになったのです。
空き家の有効活用にも乗り出す
空き家対策特別措置法により、適切な対応をとらない空き家の所有者に対し、自治体は指導、勧告、命令と、介入の度合いを強められます。
危険と判断された空き家は、強制的に撤去して、解体費用を所有者に請求することが可能です。しかしながら現実には、空き家の解体にかかった費用を、所有者が支払うことは稀。
そこで自治体は、空き家の撤去だけではなく、次の居住者を探すサポート体制を整えるようになりました。
自治体の空き家相談窓口は複数
とはいえ、空き家をめぐる問題は多様であるため、自治体が設置している相談窓口もバラバラになる傾向があります。
空き家相談の窓口をチェック
相談窓口はあるものの、空き家対策全般、空家等対策特別措置法関連、空き家バンク、住み替え促進、各種補助金など、部署が分かれているケースも少なくありません。
また、補修やリフォームは建築事務所、空き家の賃貸や売買はこちらの協会、不動産の価値の調査はあちらの協会と、自治体と連携している団体が別々ということもあります。
そこで、まずは自治体が公開している窓口に電話をかけ、どの窓口あるいは団体のサポートを受けられるのか、把握することから始めましょう。
内容に応じて相談窓口を紹介
該当する窓口を見つけたら、直接出向くか電話をかけて相談する流れになります。一般的な問題であれば、無料で空き家の対処方法を提案してもらえます。
専門的なアドバイスが必要だと判断されたら、自治体と連携している団体につないでもらう流れになります。
このように、複数の相談窓口を渡り歩く、外部の団体につないでもらうなど、一定の時間を要することが前提。
空き家を早く手放したい、早く手を打たないと危険という状況であれば、早急に連絡を入れたほうが安心です。
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自治体の空き家相談状況をチェック
税金対策や優遇措置を把握するためにも、早めに自治体の窓口に相談することが得策です。
固定資産税の増額の可能性
家屋は、住んでいなくても所有している限り、固定資産税を支払う義務が発生します。誰かが住んでいれば、優遇措置の対象となるため、固定資産税の支払額は軽減。
しかしながら、1年以上誰も出入りしていないと、その家は空き家と認定されて自治体による「勧告」の対象となります。
その後、適切な対処がなされていないと判断されたら、固定資産税の優遇措置の対象外となり、最大で納税額が6倍に跳ね上がる可能性も。
そのため、その家に出入りすることが難しい場合は、できるだけ早めに自治体の窓口で相談したほうがいいのです。
自治体固有の減税措置があることも
自治体に早めに相談したほうがいいもうひとつの理由が、地域に固有の優遇措置やサポートの対象になる可能性があるから。
空き家問題がなかなか解消しない背景として、家屋を解体して更地にすると、固定資産税の支払額が増えてしまう現実があります。
そこで自治体によっては、一定の条件を満たしていれば、解体したあとも納税額を減免する措置がとられています。
そこで、空き家の維持か解体かで迷っている人は、自治体のサポート内容を把握することからスタートです。
補助金制度の相談も自治体ならでは
それ以外にも、賃貸や売買の取り引きを促すため、解体やリフォーム費用を独自に支援する自治体も少なくありません。
売却を希望するなら空き家バンク
とくに地方の自治体は、空き家の有効活用を通じて、地域を活性化したいと考えています。過疎化が進んでいる地域では、若者世代や子育て世代の移住を促進するために、空き家の斡旋、就業支援、子育て支援をセットにしていることも。
さらに最近は、空き家の売主と居住希望者をつなげる、空き家バンクの運営を本格化させる自治体が増えてきました。
そのため、空き家を売却したいと考えている人は、空き家バンクに登録するという選択肢も出てきます。
売却サポートの補助金があることも
空き家バンクは、自治体により運営されているため、利用者側にとって信頼性は高いものの、すぐに買い手が見つかるとは限りません。
そこで、家屋の壁や床、トイレ、浴室、キッチンなどの設備を修繕する費用を、自治体が一部補助してくれることがあります。
一定の基準を満たす必要があり、補助の限度額もありますので、まずは窓口に問い合わせてみること。
空き家を売りに出す準備費用や、物件そのものの価値を高める費用を、補助金で補えるかもしれません。
近所の空き家相談も自治体にできる?
近所の空き家については、いつ自治体に問い合わせればいいのか、状況をみながら判断することになると思います。
意外と多い近所の空き家トラブル
空き家は、人が出入りしていないため老朽化が早く、トラブルの火種になりやすいという現実があります。
- 隣の空き家の草木が伸び放題、自分の庭に侵入してきている。
- 通学路の空き家の屋根がはがれていて子どもたちが心配だ。
- 近所の空き家の窓が割れており、なかの状態が分からず怖い。
このような心配を抱えているものの、自分が所有する家ではないので、いつ相談すればいいのか分からないという人も多いのではないでしょうか。
近所の空き家相談は自治体のみ
自分の空き家相談なら、自治体のほか、ハウスメーカー、不動産会社、NPO法人など、さまざまな選択肢があります。
それに対して、近所の空き家の場合、相談先は基本的に自治体になります。ただ、再建不可の物件で対処に困っている、解体したいが費用が確保できないなど、事情を抱えている可能性もあります。
そのため、異臭がする、ハチの巣がある、不法投棄されている、家屋が破損しているなど、具体的な問題が出てきたタイミングで相談することになるでしょう。
まとめ
空き家の解消に積極的に取り組んでいる自治体は多いため、早めに相談することで思いがけずサポートを受けられることがあります。
誰も住んでいない家を放置していると、固定資産税の優遇措置の対象外となる、ご近所トラブルを発生させてしまう可能性も。
気になることがあったら、ウェブサイトなどで自治体の支援内容をチェックし、早めに窓口に問い合わせることをおすすめします。
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