マイホームやセカンドハウスが欲しいけども資金が足りない、家の購入にお金をかけたくない…。
そのようなとき、空き家を無料で譲り受けることはできるのでしょうか。
結論から申し上げますと、空き家を無料でゲットすることは可能ですが、注意点もあります。
そこで、空き家を無料でゲットする方法や、その際の注意点について解説します。
【あわせて読みたい。こちらの記事もご覧ください】
無料の空き家をゲットできる理由
家というのは、そもそも安いものではありません。それにも関わらず、無料で譲り受けられるのはどうしてでしょうか。
空き家を持ち続けると税金がかかる
家屋や土地は、誰も住んでいなくても固定資産税が発生します。
固定資産税とは、住んでいる人の有無や用途にかかわらず、不動産価値に応じて支払いが求められるもの。
空き家をただ持っているだけで、年間10万以上の支出になることも珍しいことではありません。
固定資産税に加えて、空き家がある自治体によっては、都市計画税を納める必要も。
何も使う予定がないのに、固定資産税や都市計画税を支払い続けていたら、所有者にとってマイナスになるだけです。
空き家の放置でトラブルになることも
空き家を放置しておくと、家屋が壊れて通行人を怪我させる、シロアリ被害により家屋が劣化する、不審者に侵入される、犯罪利用されるなど、さまざまなトラブルの温床となります。
その結果、近隣住民からクレームが入る、自治体に通報されることも。
最終的に、不動産としての価値が下がってしまい、手放す機会がなくなってしまう可能性があります。
トラブルを回避するためには、定期的に清掃に訪れ、必要に応じて修繕するなどの対応が必要となります。
それならタダで手放してしまいたいと、無料譲渡を希望するケースも出てくるのです。
空き家を無料で譲り受けることとは?
一般的に不動産は一定の金額により売買されますが、無料とはどのような位置づけなのでしょうか。
無料譲渡とは法律的に「贈与」
所有者に一定の金額を「対価」として支払うことで、その不動産を譲り受けるのが一般的なパターンです。
それに対して、不動産を無料で譲り受けることは、その「対価」をゼロと見なすことです。
簡単に言うと、無料でゲットすることではありますが、法律上は「贈与」に該当。
そのため、空き家を無料で譲り受けることになったら、「贈与」のために必要な手続きをすすめる流れになります。
空き家を無料でもらうパターン
無料譲渡には、おおむね4つのパターンがあり、それぞれでかかる税金が異なります。
一般的に行われているのが、個人が個人から譲り受けるというもの。
この場合、手放す側は何も課税されませんが、譲り受ける側には贈与税が発生します。
また、個人が法人から譲り受けるときは、法人は無料で譲ったとしても、税務上は利益と見なされ、法人税の支払いが求められます。
いっぽう個人は、タダでもらっていても一時所得とみなされ、所得税が発生します。法人間の譲渡の場合は、どちらも利益が発生したとみなされ、法人税がかかります。
自治体による無料の空き家マッチング
空き家を手に入れる手段は、近年多様化していますが、まずは自治体が運営する空き家バンクにアクセスしてみましょう。
候補地が決まっている場合におすすめ
日本各地で空き家が増加している現状から、ほとんどの自治体で空き家物件の情報公開をすすめています。
その最たるサービスが空き家バンクと呼ばれるもので、空き家の売買、賃貸、譲渡などを、インターネット上で斡旋してくれます。
住みたいエリアの目星がついている場合、特定の自治体の空き家バンクで網羅できるため、効率的に探せるでしょう。
空き家バンクで無料ゲットする注意点
空き家バンクは、自治体運営という点では安心感がありますが、だからこその注意点もあります。
まずは、自治体の担当者は空き家の斡旋だけを担当しているわけではないこと。
隙間時間に空き家バンクを運営していることも多く、きめ細やかなサポートは期待できません。
また、不動産やその売買に関する知識があるとは限らないため、トラブルや不明点の対応は自力になることも多いでしょう。
あくまで自治体の担当者は、空き家の持ち主とつないでくれるだけと考えたほうがいいと思います。
【あわせて読みたい。こちらの記事もご覧ください】
知人を通じて空き家を無料で譲り受ける
親戚や知人のツテをたどって、無料の空き家探しをすることもできますが、仲介がないぶんハードルがあがります。
のちのトラブルを回避するようにしよう
空き家を売り出したり譲渡したりする手段は多様化していますが、所有者が高齢の場合、そのような手段があることを知らずにいることも多々あります。
また、空き家バンクに物件情報を登録する場合も、基本的に自力で入力することになるため、高齢であればあるほど困難になります。
そのような事情から、無料でいいから手放したいとなることあるでしょう。
ただし、個人間の譲渡は契約が曖昧になりがちなので、取り決めがひっくり返ることもないとは言えません。
このようなトラブルを避けるためにも、引渡し前や後の契約を明確にしておくことが大切です。
空き家を無料で譲りうける際の費用
所有者から空き家を直接譲り受ける場合、不動産会社に対する「仲介手数料」は発生しませんが、完全に無料で取得できるわけでもありません。
空き家を譲り受けたら、「所有権移転登記」という、空き家の所有者の移動を届け出なければならないからです。
仲介会社を介している場合、指定の司法書士が代行してくれることが多く、費用も仲介手数料に含まれます。
自力で空き家を取得する場合、自分で依頼した司法書士に、2万円から3万円ほどの報酬を支払うことを、念頭に置いておきましょう。
無料の空き家の「現状渡し」の注意点
それでは最後に、空き家を無料で取得するときは、どのような点に注意すればいいのか解説します。
空き家の「現状渡し」が多数
所有者の立場からすると、無料で手放す空き家のために、これ以上の費用をかけたくありません。
そのため、空き家に家具や不用品、ゴミなどが残っていても、処分しないという場合があります。
また、家屋や設備に修繕が必要な個所があっても、所有者が修理するということもないでしょう。このような「現状渡し」そのものは、契約上まったく問題ありません。
築年数が経っている空き家を無料で譲り受ける場合、清掃や修繕に関わる出費がある前提でいたほうがいいでしょう。
事前に不用品や修繕箇所の確認をしよう
「現状渡し」で空き家を譲り受けた場合、その家に残っているものをどのように使うのかは原則自由です。
しかしながら、引き渡し後に処分した、売り払ったあとに、元の所有者が「返して欲しい」と言ってきて、揉めてしまうことがあります。
実際に住み始めて、大掛かりなリフォームが必要な破損が見つかり、余計に費用がかかってしまうこともあるでしょう。
そのため「現状渡し」を行う際は、家屋のなかに残っているものや、修繕を要する箇所の取り扱いについて、しっかり確認しておいたほうがいいでしょう。
まとめ
空き家を無料でゲットすることは可能ですが、タダであるぶん不具合や問題が生じることもないとは言えません。
取得費用はほとんど無料であっても、修繕などで結果的に高額な費用がかかる可能性もあります。
そのため、空き家を譲り受けたあとにどれくらいの費用がかかりそうか、ある程度は把握しておくことが不可欠です。
【あわせて読みたい。こちらの記事もご覧ください】