空き家をどうにかしたい!と考えて、いろいろネットで探しているとき、空き家活用株式会社に行着いた人も多いでしょう。
最近、コロナ禍によるテレワークの推進も後押しして、地方の空き家のニーズが高まっています。
そのようななか、活躍の場を広げている空き家活用株式会社とはどんな会社なのか、そのサービス等も含めて解説します。
【あわせて読みたい。こちらの記事もご覧ください】
空き家活用株式会社とは?
まずは、空き家活用株式会社が設立される経緯やポリシーについて簡単に解説します。
軍艦島を見て会社の立ち上げを決意
空き家活用株式会社は、代表者である和田貴充さんが、経営者の仲間と長崎にある軍艦島(端島)に行ったことに端を発します。
軍艦島は、鉄筋コンクリートの住宅が日本で初めてつくられた集合住宅地で、テレビ番組等で取り上げられることも多い島です。
当時は最先端の街でしたが、鉱山が閉山したことをきっかけに住民は島から離れ、廃墟つまりは空き家エリアになります。
このような廃墟スペースをこれ以上増やさないように、空き家市場を構築するための基礎をつくり、企業や行政とネットワークを構築することを目標に、空き家活用株式会社を立ち上げています。
SDGs達成のための取り組み
空き家問題株式会社は、空き家の活用を事業の軸とする特性から、SDGsの目標のなかから取り組むべき課題を考えています。
SDGsとは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)を省略したもので、「エズ・ディー・ジーズ」と発音。
この理念を採択したのは国連で、貧困をなくす、地球を守る、安全な水を提供するなど、発展途上国のみならず、すべての人間が豊かに暮らせるようにすることを目標としています。
空き家問題株式会社は、国連のSDGsの理念に賛同。17の目標と169のターゲットから、自社の課題と重なるものをピックアップし、それを踏まえて事業サービスを展開しています。
空き家活用株式会社の物件データベース
空き家活用株式会社の軸となる取り組みが、日本各地に点在している空き家らしき物件を調査、それをデータベース化して提供するものです。
AKIDAS(アキダス)とは?
空き家活用株式会社により構築された空き家物件の有料情報提供サービスがAKIDAS。空き家と思われる物件を自主的に調査してデータベース化したものを、AKIDASを通じて不動産屋等に提供しています。
地方の空き家を有効に活用したいと思っているものの、現地調査や法務局に行く時間がない事業者に対して、それらを代行するサービスも展開。
調査員が独自の基準により空き家見込みとなる物件も把握、随時登録しているスピーディーさもAKIDASの特徴です。
自治体にAKIDASの情報を無償提供
空き家活用株式会社は、日本全国の空き家の調査をした結果を、地方自治体向けに無料で公開することを決定。
現在の地方自治体は、深刻化する空き家問題を解消するために、「空き家バンク」など独自のマッチングサービスや補助金による支援を実施しています。
そこに、空き家活用株式会社は、調査物件13万件のうち、状態のよいものをピックアップ、現在のところ無期限で開放しています。
【あわせて読みたい。こちらの記事もご覧ください】
空き家活用株式会社のマッチングサービス
空き家活用株式会社は、空き家をどうにかしたい人と空き家を探している事業者をつなぐマッチングサービスも開始しています。
コロナ禍で大躍進の空き家活用Lab
2019年11月に空き家活用株式会社により立ち上げられ、2020年2月より本格的に運用されているのが空き家活用Lab。
その目的は、空き家を持て余している人と、空き家を売りたい事業者をつなぐことです。
立ち上げされた当初にアクセス数は少なかったものの、コロナウィルスの蔓延防止のため緊急事態宣言が発令された4月に急増。
それ以降、アクセス数が順調に伸びていることからも、コロナ禍により空き家に対する関心が高まっていることが分かります。
生活スタイルの変化がLab躍進の理由
空き家活用Labの大躍進を後押ししたのが、コロナ禍によるテレワークの推進と、それに伴う地方移住の流れです。
都市部の便利な場所に住むのではなく、テレワークができるように地方に広めの居住スペースを確保しようという人が増えて、空き家に注目が集まりました。
また、地方移住ブームを受けて、そのままになっていた空き家を売ろうという人が増えたことも、空き家活用Labの躍進の理由と言えるでしょう。
空き家活用株式会社の連携協定①:宮崎県延岡市
今年より空き家活用株式会社は地方自治体との連携を深めており、その第一弾として宮城県延岡市と協定を結びました。
連携期間は2021年2月から2022年3月まで
空き家活用株式会社と宮崎県延岡市は、2021年2月26日から2022年3月31日までの間、空き家活用モデル事業に関する連携を結ぶことを決定。
連携期間中、両者は市内にある空き家を再生する、再利用するための事業を推進、その成果を発信することになりました。
空き家事業を活性化することで、同エリアへの移住や定住を推進することが、延岡市の最終的な目標です。
自治体の空き家対策の限界を解消
延岡市が、空き家活用株式会社と協定を結んだ背景にあるのが、全国平均を超える空き家数。
平成25年の住宅・土地統計調査結果では、宮崎県の総住宅数に占める空き家率は全国平均越え、さらに延岡市の空き家数は市区町村別で第3位ということが分かりました。
そこで、空き家のデータベースをさらに充実させ、空き家所有者とそれを利用したい事業者をつなぐことが必要不可欠と判断されました。
しかし、地方の空き家を不動産市場に流通させるためには、さらに仕掛けの工夫が必要であるとされ、空き家活用モデルの開発に取り組むことになったそうです。
空き家活用株式会社の連携協定②:埼玉県大里郡寄居町
もうひとつの空き家活用にかかわる地方自治体との連携が、埼玉県大里郡寄居町とのものです。
都内からの移住者促進が狙い
埼玉県にある寄居町は、空き家率の高さは18.3%で県内2位という状況です。
具体的には、10件に1件が空き家となっており、誰も住んでいない、取り壊し予定の家屋の数は埼玉県内でトップであることも判明しました。
とはいえ、池袋駅や東京駅に2時間以内で到着できるアクセスの良さから、地方移住先として注目が集まることが期待されています。
AKIDASにて市内の空き家のマッチング強化
空き家活用株式会社は、先ほど紹介した延岡市と同じように、寄居町の空き家をデータベース化することを計画。
不動産市場で情報が埋もれがちな地方の空き家を、AKIDASを通じて「見える化」する取り組みを進めています。
AKIDASは、もともと都市部の空き家情報を中心に構築されていましたが、地方自治体と協定を結ぶことにより、地方のデータベースが充実する流れが起きています。
まとめ
空き家活用株式会社は、民間事業者向けの空き家マッチングサービスに加えて、地方自治体と共同で事業を展開しています。
そのため、都市部はもちろん、「こんなところで売れるのかな…」と心配するようなエリアに空き家を所有している人も、賃貸や売却のチャンスがあるかもしれません。
コロナ禍の影響により、テレワークの推進や地方移住の流れがある今、空き家をどうにかしたい人は、再生の方向性について相談してみることも一案です。
【あわせて読みたい。こちらの記事もご覧ください】