保有する空き家を売りたいと思う方は、あらかじめ知っておくべきことがいろいろとあります。
早期に買い手をつけるために、あるいは税金面で有利にするために、必ずチェックしておきたいこともあります。
そこで今回は、空き家を売る際に失敗しないように、気を付けておきたいことをご紹介します。
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空き家は早期に売却すべき理由
まずは空き家の売却はなぜ早めに行う必要があるのかを説明します。
空き家は時間が経つほど劣化し買い手がつきにくくなる
実家を相続したり転勤などで住宅を使用しなくなったりと、さまざまな理由で空き家を所有する人が増えています。しかし使わないまま保有し続けるのももったいないと、売却を考える方も多いでしょう。
しかし通常の住宅のような感覚で売却活動を行うと失敗する可能性があります。空き家は時間が経つほどに、買い手がつきにくくなるからです。
その理由は空き家の劣化の早さです。居住せずに放置された家屋は、意外と劣化が進みます。その理由はいろいろとありますが、たとえば換気をしないことで室内に湿気がこもる、あるいは適度にメンテナンスをしないため雨水が内部に入り込むといったことが挙げられます。
家屋にとって一番注意しなければならないのは湿気によるカビの発生です。これは内装だけではなく、躯体そのものを劣化させることにもつながるからです。
さらに空き家として放置されると、ゴミを投げ入れられたり野生動物などが住みついたりと、いろんな問題が発生します。これらも家屋を劣化させる原因になるので注意しなければなりません。
空き家は維持費がかかる
空き家の劣化を防ぐためには、とにもかくにもメンテナンスが大事です。そのための維持費がかかることが、空き家の早期売却が必要な理由と言えます。
庭があれば雑草も生えてきますし、景観を損ねることにもなるでしょう。あまりに放置してしまうと雑草の処理にもお金がかかります。もちろん空き家を所有し続けていれば、毎年固定資産税も発生します。
これらの維持費は決して安いものではないので、早めに売却するのがおすすめです。
特定空家等に指定され大幅な増税となる
空き家を放置すると景観にも影響が出ることを説明しましたが、そのような状態が続くと自治体から指導が入ります。その結果、特定空家等に指定される可能性もあるので注意しましょう。
特定空家等とは倒壊の危険性があったり、周辺住民に迷惑がかかったりと問題がある空き家のことです。そして特定空家等に指定されると、固定資産税の特例措置が解除され税金が増えてしまいます。
空き家になってから3年目の年末までに売却を
住宅を売却する場合、その売却金額によっては譲渡所得税が発生します。しかし、条件を満たすことで譲渡所得から3,000万円の控除をすることができます。
ただしこの譲渡所得控除は居住用財産に対して適用されます。つまり空き家としていると、この控除は適用されないということです。
居住しなくなってから、つまり空き家となってから3年が経過すると、譲渡所得控除の適用を受けることができなくなるので注意しましょう。
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空き家は家屋を解体すべきか否かを判断する
空き家はそのまま売却するのか、それとも解体するのかどちらかを選ぶことになります。買い手が付きやすい方を選んで早期に売却することが必要だからです。
家屋に査定がつくなら解体せずに売却を
空き家を売る場合、理想は家屋をそのまま残して買い手を探すことです。解体費用がかかりませんし、更地にするよりも売却金額が高くなります。
また更地にすると固定資産税が増えるので、万が一売れずに月日が経過すると維持コストが増えてしまいます。
解体せずに売却する目安としては、空き家の築年数が20年未満であることです。これは木造の耐用年数が22年であり、それを超えると家屋の価値はゼロとみなされるからです。
築年数が20年未満であれば、査定もつきやすくなります。また空き家となってからの期間にもよりますが、劣化や損傷がそれほどでなければ買い手の修繕負担もさほどかからないと考えられます。
劣化や損傷が激しいなら解体を
空き家の築年数が20年に満たなくても、室内の劣化や外壁などの損傷が激しいようなら解体したほうがよいでしょう。
これは空き家の買主にその修繕の負担がかかるためです。
わざわざ多額のお金をかけてまで、修繕する価値のある空き家であればよいのですが、一般の住宅にそのような価値があるのかどうかは疑問です。
特に、施主の意向を反映させた注文住宅は、万人にとって住みやすいものとなるわけではありません。そのため、修繕費用が多大にかかるほどの状態であれば、空き家の家屋は解体したほうがよいでしょう。
再建築が可能かどうかを確認すること
空き家の家屋を解体する前に、その空き家は「再建築ができるかどうか」を確認しておきましょう。
再建築不可の空き家を解体してしまうと、買主は新築できずに利用方法が限定されてしまいます。つまり買い手がつきにくくなるということです。
再建築不可物件とは1950年に建築基準法が制定される前に建てられたもの、あるいは都市計画区域等に指定される前に建てられたものです。これらの空き家は接道義務を果たしていない可能性が高く、一度解体してしまうとあらたに家屋を建てることができなくなってしまいます。
※接道義務とは土地が幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していること
まずは空き家が接道義務を果たしているかどうかを確認し、解体しても再建築ができるかを確認することが必要です。
相続する空き家は賃貸貸しをしないこと
相続した空き家を売却した際には、譲渡所得から3,000万円の特別控除をすることが可能です。ただしその条件は多く、そのひとつとして次のものがあります。
相続開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
つまり、賃貸物件として賃借人がついていると、相続した空き家には特別控除が適用されないということです。
もちろん築年数が古いため譲渡所得税が発生しなければ問題はありません。しかし築年数がそれほど古くない空き家を売却するのであれば、特別控除の適用を視野に入れて準備する必要があります。
相続した空き家の解体前に遺品を処分すること
相続した空き家を売る場合には、遺品の処分をしておくことをおすすめします。これは空き家を解体する際の費用を削減するためです。
解体せずに売却する場合には、買主がその負担をしなければなりせん。そうなると、売却金額もそれなりに減額する必要があります。
しかしここで、解体するのであれば廃材などと一緒に解体業者に遺品も処分してもらえばよいのではないかと考えられます。
実は解体に伴い発生する廃材などと家屋のなかにある遺品などは、一緒に処分することはできません。家屋の廃材は産業廃棄物としてまとめて処理しますが、遺品や家財道具などは産業廃棄物としては処理できないからです。
そのため、解体業者はそのふたつを分ける手間がかかるので、その費用を解体費用に上乗せすることになります。
そこで解体をする前に、遺品や家財道具などはあらかじめ粗大ゴミなどで処分しておくことをおすすめします。
まとめ
空き家を売る場合にはこのように、注意すべき点が多くあることがわかります。
いずれも事前にきちんと対処しておくことで、無駄な出費が生じることもなくなるでしょう。あるいは税金面でも有利に売却することが可能になります。
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