セカンドハウスとして利用したい、カフェを経営したい、あるいはのんびり田舎暮らしをする風情ある古民家が欲しい…。
このような理由で、無償で空き家を手に入れたいと思ったら、どこで探せばいいのでしょうか。
そこで、空き家となった古民家を無償提供してくれるところはどこか、解説したいと思います。
【あわせて読みたい。こちらの記事もご覧ください】
【空き家の無償提供①】空き家バンク
古民家の空き家を無償で提供してもらうなら、まずは「空き家バンク」のサイトをのぞいてみるといいでしょう。
自治体が運営するマッチングサイト
空き家の売買を促進するために、主に地方の自治体が運営しているのが空き家バンク。
空き家を売りたい、あるいは貸したい人が、物件情報を特設サイトに掲載し、買い手候補から申し込みを受けるというのが基本的な流れです。
気になる空き家が見つかったら、問い合わせのあとに内見を入れ、気に入ったら売買契約を結びます。
契約の際は、空き家バンクと提携している不動産会社などが仲介してくれることもあります。
無償提供の空き家はタイミング次第
空き家バンクに掲載されている物件情報のほとんどは売却または賃貸のため、無償提供の空き家の情報がいつでも掲載されているわけではありません。
とはいえ、空き家バンクに掲載されている空き家は、何らかの「売りにくい」要素があることが大部分。
そのため、長らく買い手が見つからないと、段階的に値下げしていきます。その時に、売り手と交渉することで、無償提供あるいはそれに近い価格で、取得できる可能性もあります。
【空き家の無償提供②】自治体
一部の自治体では移住者を増やすために、空き家バンクとは別に空き家を無償提供しているケースがあります。
空き家を無償提供している背景
少子高齢化や過疎化が深刻な自治体では、空き家の無償提供の仲介をしていることがあります。
空き家の増加は全国的に社会問題になっていますが、とくに地方でその傾向が顕著です。
総務省は、5年ごとに「住宅・土地統計調査」を通じて、全国の空き家率を算出していますが、それによると、1963年に調査をスタートしてから右肩あがりで空き家率は上昇。
このような背景から、所有者が維持することが困難な空き家を、自治体を通じて無償提供されるケースが出てきているのです。
一定の条件のもと空き家を無償提供
ただし、無償提供を受ける場合、「年齢が40歳以下」「高校生以下の子どもがいる」など、買い主に対して一定の条件を課される傾向があります。
また、とくに築年巣がはっきりしない古民家となると、老朽化が激しいなどの理由から、すぐに住めないことも多々あります。
自治体よりリフォーム費用の補助を受ける場合、やはり年齢や子供の有無などの条件が課せられることがあります。
さらに、無償で提供されると言っても、贈与税、登記費用、その他の諸費用の支払いがあることも、念頭に置いておいたほうがいいでしょう。
【あわせて読みたい。こちらの記事もご覧ください】
【空き家の無償提供③】所有者
自治体や不動産屋の仲介を入れずに、自分が気に入った空き家があったら、直接交渉することも可能です。
所有者が空き家を無償で手放す理由
空き家を放置していると、「特定空き家」に指定され、固定資産税が最大で6倍になることがあります。
とくに古民家であると、築年数が35年を超えているため、老朽化により安全性が損なわれ、近隣に迷惑をかけるリスクが高まります。
だからと言って、古民家を壊して更地にすると、「住宅用地特例」などの優遇制度の対象外となり、固定資産税の支払額がアップしてしまいます。
そうであっても、「どうせ売りに出しても無理だろう」と、そのままにしていることが意外とあります。そのようなタイミングで、空き家の無償提供を直接交渉することで、応じてくれることがあります。
直接交渉はハードルが高い
古民家などの空き家の無償提供を直接求める場合、移住したいエリアに自ら足を運び、近隣の住民などから情報収集する必要があります。
そのため、そのエリアに所縁がないと、情報収集する手段がない、不審者と思われるなど、スムーズに空き家探しができないかもしれません。
また、無償提供が決まったら、贈与の手続きなどを所有者と一緒にすすめる必要があります。
とくに年季の入った古民家の所有者は、高齢であることが大部分のため、手続き面で苦労するかもしれません。
そのため、不動産の売買に慣れている、そのエリアに何らかのネットワークがある場合に可能な取得方法と言えるでしょう。
【空き家の無償提供④】民間の仲介サイト
空き家の売り主と直接つながれる不動産売買のマッチングサービスを活用することも一案です。
セルフセル方式の「家いちば」
「家いちば」は、通常の不動産市場では少し売りにくい要素がある物件を中心に取り扱っているマッチングサイトです。
このサイトの最大の特徴は、空き家を売りたい人が直接サイトに物件情報を投稿するセルフセル方式であること。
誰でも利用できるように、サイトのデザインはシンプルに設計されており、情報もコンパクトにまとまっています。
興味がある古民家などを見つけたら、買い手は問い合わせフォームを使って、直接売り主にコンタクトをとることができます。
掲載されている空き家は100万円前後が中心ですが、なかには無償提供のゼロ物件が含まれていますので、定期的にチェックしてみるといいでしょう。
費用がすべて無償というわけではない
「家いちば」で古民家を無償で取得できる可能性がありますが、すべての費用がゼロ円というわけではありません。
空き家の売買の交渉や契約は自ら行うため、その過程で発生する経費は自分でまかなう必要があります。
また、「家いちば」を通じて売買契約が成立した場合、媒介報酬分と基本料を支払う必要があります。
【空き家の無償提供⑤】想定されるリスク
古民家などの空き家を無償で提供してもらう場合、取得費用が大幅に削減できるものの、一定のリスクがあります。
無償提供の空き家には理由がある
空き家を所有している人は、できることなら有償で売りたいと思っています。それにも関わらず無償で提供するのは、その家に「売りにくい」要素があるからです。
たとえば、公共交通機関の便に難がある、幹線道路へのアクセスが難しい、大掛かりなリフォームが必要、近くにスーパーがまったくないなどが考えられます。
他にも、敷地が奥まった場所にあり、接道義務を満たしていないケースもあるでしょう。
また、数こそ多くはありませんが、自殺、殺人、火事などによる事故物件のため、無償で提供している場合もあります。
取得までに発生する費用
古民家などの空き家を無償で取得した場合も、税金を支払う必要があります。「売買」ではなく「譲渡」に区分されるため、空き家に対して贈与税が発生。
また、不動産の贈与に課せられる不動産取得税、不動産の所有者に課せられる固定資産税、不動産の所有権を移転するときに発生する登録免許税などが想定できます。
そのため、空き家を無償で取得する計画の人は、あらかじめ税金や諸経費をキープしておくと安心です。
まとめ
このように、空き家を無償で取得する方法は、自治体と民間を含めると意外と選択肢が充実していることが分かります。
とはいえ、無償提供の古民家となると選択肢は少なくなり、さらには自分の好みの物件となると、さらに限定されていきます。
そこで、複数のリサーチ方法を使い分けながら、できるだけ多くの物件情報にアクセスすることをおすすめします。
【あわせて読みたい。こちらの記事もご覧ください】