空き家問題対策で中古住宅に補助金が適用!

中古住宅に補助金とは?

これからの日本の大きな課題の一つに「増え続ける空き家問題」があります。

平成28年度第2次補正予算によって成立した「住宅ストック循環支援事業」の三本柱の一つとして中古住宅購入に対する補助金制度が始まりましたが、具体的にどのような制度なのでしょうか?

また、空き家問題解決に向けての画期的な政策となり得るのでしょうか?

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深刻化する日本の「空き家問題」

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まずは深刻化する空き家問題からおさらいをしてみましょう。実際にどれくらいの空き家が存在していて、今後どのように変化してくと予想されるのでしょうか。

少し前のデータですが、2014年に総務省が発表した調査結果によりますと、2013年の時点で日本の空き家総数は820万戸で、これは住宅総数のおよそ13,5%、7~8戸に1戸が空き家という非常に高い空き家率となりました。

空き家が増えることで懸念されていることは、放火や倒壊による近隣住民への危険、不法投棄やゴミの腐敗、動物の死骸など周辺環境への悪影響、その他様々な犯罪の温床となってしまう危険性などです。

そのため一刻も早い対策が必要であると指摘されてきました。

また、株式会社野村総合研究所の発表によりますと、このまま空き家の再利用や解体などが進まなかった場合、平成45年の空き家率は倍以上の30.2%、戸数にしておよそ2,150万戸という、いわゆる「お隣が空き家」状態になってしまうとされています。

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空き家が増え続ける理由は「人口の減少」だけではない!?

とりわけ、空き家が増えているというと日本の人口が減っていることばかりがその原因と思われがちですが、それだけではありません。

確かに人口が減っていることも空き家が増える原因の一つになりますし、若者が進学や就職で都会に出てしまうことで親から実家を引き継がずん空き家となってしまう、ということも絡んでいますが、ほかにも複雑な事情があるようです。

日本は住宅の「使い捨て」?

日本は特に中古住宅に対してマイナスのイメージが強く、借り手や買い手がつきにくいのが特徴です。

ところが欧米諸国では新築よりも中古の方が取引が多く、取り壊されるまでにはアメリカで平均67年、イギリスではなんと平均81年も建物が使われているといいます。

ちなみに日本では平均27年ですのでいかに短いかが分かります。

大地震などの自然災害が多く、また木造住宅が多い日本においては比較の参考になりにくいかも知れませんが、こういった現実もあるということです。

住宅総数と世帯総数の関係

戦後20年くらいは住宅総数よりも世帯総数の方が多く、空き家率もほんの数%でした。

ところが高度経済成長期に入って住宅総数が激増し、世帯総数を上回るようになりました。

これは核家族化が進んだことや、一人暮らしをする若者・高齢者が増えたことが関係しています。

その後も女性の社会進出に伴って晩婚化が進んだり、離婚率の上昇などによって住宅総数が世帯総数を上回る状況が続いてきました。

ところが、その世帯総数は2019年をピークに減少に転じる見込みであると言われています。

それによって、さらに空き家が増えることが予想されます。

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空き家は取り壊してしまえば良い?

「不要な空き家は取り壊してしまえば良い」確かにいちばん正当な考えですが、まず解体をするためには費用が必要になること、解体して更地にすると固定資産税が最大で6倍に、都市計画税が最大で3倍になってしまうことなどから、空き家は「解体せずにそのまま残しておいた方が得」と考える人が多いためなかなか進みません。

固定資産税の軽減措置は、住宅不足だった時代に建設を促す目的で採用されたものですが、現代においては仇となってしまっているようです。

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新築を重視する発想も足かせに?

例えば新築であれば受けられる住宅ローン減税が、中古住宅にいたっては厳しい条件付きというケースもあります。

中古住宅に買い手がつかないのは、新築を重視したこうした仕組みが足かせになっている部分もあります。

新築を減らせば良い?

新築が減らない理由としては、単純に「新しい家に住みたい」「耐震構造の家に住みたい」という消費者心理もありますが、それ以外にも「建築の仕事が発生する」「新しい家具や電化製品を購入する」といったことでお金の流れを生み出し、景気対策になるという側面があることが挙げられます。

空き家が多いのはどこ?

総務省が行っている「住宅・土地統計調査(5年ごとに実施、前回は平成25年)」によると、別荘などの二次的住宅を除いた空き家率が最も高いのは山梨県の17.2%でした。愛媛県・高知県・徳島県・香川県の四国4県が16%台後半で続くという状態です。

中古住宅購入時の補助金制度とは?

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このように日本では年々空き家が増加していますが、専門家によりますと、解体が必要な空き家ももちろん多数存在しますが、実は最も多いのは「老朽化や陳腐化は進んでいるがリフォームをすればまだ住宅として利用できる空き家」だということです。

そこで政府が始めたのが「中古住宅購入時の補助金制度」というわけですが、具体的にどのような制度なのでしょうか?

空き家問題の救世主となるか?

国土交通省が掲げる「住宅ストック循環支援事業」の三本柱は「エコリフォームに対する補助金」「エコ住宅への建替えに対する補助金」「良質な既存住宅の購入に対する補助金」の3つです。

今回はこの中の「良質な既存住宅の購入に対する補助金」のお話です。

中古住宅の購入に対する補助制度の概要

《補助額》
・インスペクション費用5万円
・エコリフォームの工事内容に応じて定められた額(定額)
*インスペクションとは既存住宅の現況調査のことです。

《補助限度額》
・1戸につき最大50万円(インスペクション+エコリフォーム合計)
・耐震改修工事を行う場合は1戸につき最大65万円

《主な要件》
・40歳未満の者がマイホームとして中古住宅を購入すること
・インスペクションを実施すること
・既存住宅売買瑕疵保険に加入すること
*「既存住宅売買瑕疵保険」とは、購入した中古物件に欠陥が見つかった場合でも補習費用等の保険金が事業者(または買主)に支払われる保険です。

《スケジュール》
・売買契約期限 平成28年10月11日~平成29年6月30日まで
・引渡し期限  事業者登録を行った日から平成29年12月31日まで
・申請期間   平成29年5月1日~6月30日(次回以降は未発表)

Q:いつの時点で40歳未満?

平成28年度第2次補正予算案成立日(平成28年10月11日)の時点で40歳未満であることが条件です。

そのためこの日以前に40歳を超えている方に関しては対象外となってしまいます。

その場合は同事業の「エコリフォームに対する補助金」を利用することになります。

Q:エコリフォームは必須?

インスペクションは必須ですが、エコリフォームは必須要件ではありません。

ただしその場合受け取れる補助金は5万円のみとなります。

そのほか、本制度の詳細については国土交通省住宅局が公開している下記の資料をご確認ください。

住宅ストック循環支援事業の実施について

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今後どうなっていくのか?

このような制度を打ち出しましたが、果たして効果はあるのでしょうか?

弱い周知力、魅力の低い補助額、年齢制限などまだまだ「画期的な」政策であるとは言い難いというのが多くの方の意見のようです。

しかし、一方では…

「いざ購入する時にはありがたい制度」

「選択肢が広がるので活用したい」

「中古住宅でも購入するきっかけになる」

といった意見もあります。

本制度が空き家問題に対して今後どのような影響を与えるのか、推移を見守っていきたいところです。

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空き家対策はこれからが本番

今、空き家問題は日本における重要課題の一つとなっています。

当社も解体業ですが、お客様からの依頼の約70%以上が空き家の解体依頼です。

両親が亡くなって実家が空き家になって数年経過している、自分は遠方に住んでいるので実家の管理が出来ない・・・

など、理由は様々ですが空き家を抱える方は増加の一途にあります。

解体してさら地にしてしまう事が一番手っ取り早い方法ですが、その後の土地管理などの課題も出てきます。

売る、貸す、造成するなど次なる活用方法も検討しながら空き家と向き合っていく必要性が今後増えてくると思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

35年で過去5,000棟の解体工事を手がけた解体専門店・市川工業の責任者であり、解体協会の理事も務めています。 建物解体工事を中心に産業廃棄物のリサイクル業務を中心に、毎年、年間300件以上の解体工事でお客様とふれあう中で「より良いサービスを提供する解体企業になる」をモットーに、業界のイメージと解体工事の品質向上に力を注いでいます。 現在は新潟県解体工事業協会の理事を務め、解体業界全体の品位向上に力を注いでいます。 資格:一級土木施工管理技士、リサイクル施設技術管理者、解体工事施工技士