「地面師」ってなに!?地面師が狙う空き家とは?

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地面師の手口

「地面師」をご存知ですか?

特に戦後やバブル期などに横行していた詐欺集団です。

ここ数年、また地面師による被害が増えているということで警察当局が警戒を強めているのですが、その中でも空き家が狙われるケースが増えています。

今回は地面師について知っておいた方が良い基礎的な知識、狙われやすい人たち、空き家が狙われやすい理由などについて解説をいたします。

空き家を抱えている人はぜひ、押さえておきましょう。

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地面師とは?

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その土地の本当の所有者が気づかない間に、印鑑証明書や身分証明証、税関連の証明書などを偽造して勝手に土地を売買してしまい、その売却金をだまし取る、あるいはその土地を借金の抵当に入れてしまうといった非常に悪質な不動産詐欺師のことで、複数名のグループで動いていることがほとんどです。

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地面師は古くから存在していた!?

地面師は古くから存在していました。

例えば終戦直後、日本中の役場が戦災にあって十分な機能を果たせていなかった時代です。

地面師たちは勝手に土地の所有者になりすまして登記などの書類を偽造し、その土地を転売して莫大な儲けを得ていました。

また、土地の価格が上昇し続けていたバブル期にも同様の詐欺が横行していました。

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現代にも地面師がいる!

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ニュースなどで取り上げられる機会がほとんどないため、そもそも地面師の存在を知らない人たちが多いのが現実です。

しかし犯行の手口が古典的であるにも関わらず現代にも地面師は存在しており、特にここ数年は地面師による詐欺事件が増えていると言われています。

「土地を探す役」「書類を偽造する役」「土地の所有者役」「不動産業者との仲介役」など様々な役割分担がされており、事件ごとにメンバーを入れ替えるなど手口も非常に巧妙になって来ています。

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プロが騙される!

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地面師の被害に遭うのはプロである不動産業者が多いことに驚きます。

その流れとしては次のようなものです。

土地の所有者になりすまして不動産業者に売却を依頼する

不動産業者が地面師と気付かないまま不動産情報を市場に流通させる

土地を探していた一般人や企業などがその土地を購入する

不動産が売却した代金を得る(だまし取る)

一例ですが、基本的にはこのような流れになります。

当然、後になって騙されたことに気づくのですが、発覚した時にはもう地面師はいませんし、そもそも身分証明書などの書類は偽造されていますので探し出すことは困難です。

不動産業者は信頼を失うほか、土地の購入者に代金を返金するなどして多額の損失を被ることになります。

あるいは、個人で企業に売買を持ちかけるケースもあります。

有名な事件では大手ホテルチェーンのアパホテルの仲介業者が地面師に土地の購入を持ちかけられ、すっかり信じ込んでしまい12億円以上もの損害を出してしまった、というものがあります。

住民基本台帳カード、不動産権利書、印鑑証明書、固定資産評価証明書などすべての書類が巧妙に偽造されていました。また、この事件では弁護士もがグルとなっていたことも大きな話題となりました。

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3Dプリンターの登場でより巧妙に

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3Dプリンターとは、樹脂などを何層も積み重ねることでデジタルのデータを実体化できるようにするための装置で、簡単に言うと模型なども容易に作れてしまうため、実印を作ったり本物と見分けがつかないほど精巧な書類を作ることなども可能なのです。

この3Dプリンターで偽造した実印を使って改印を行い、新しい印鑑証明を作り直すといったこともできてしまい、そうなるとどの時点で偽造されたのかすら分からなくなってしまいます。

本来、ものづくり分野、医療分野、建築分野、教育分野など様々な分野で活用するために開発された3Dプリンターですが、地面師にとっても有用なものとなってしまいました。

日本では2020年に東京オリンピックを控えており、繁華街を中心に不動産の価格が高騰し続けています。

少しでも良い土地や物件を取得しようと躍起になっているところで、地面師に足元を掬われてしまうといったケースは今後も増え続けることが懸念されます。

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そして今…空き家が狙われている!

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さて、ここまでは不動産業者や企業などが巻き込まれるというお話でしたが、現代の地面師はそれだけではありません。

むしろ、一般人が狙われるケースも増えて来ているのです。

そのターゲットが「空き家」「高齢者が持つ不動産」です。

例として、2016年11月30日までに地面師4人が逮捕された事件の概要をご紹介します。

「死亡女性になりすまし無断で不動産売買 容疑の4人逮捕」 (2016/11/30 13:38)

死亡した女性になりすまし、無断で土地と建物を売却して不動産業者から代金4700万円をだまし取ったとして、警視庁捜査2課は30日までに、会社役員、喜田泰寿容疑者(58)=神奈川県横須賀市大滝町=ら男女4人を詐欺などの疑いで逮捕した。

同課は4人の認否を明らかにしていない。

逮捕容疑は2012年4月ごろ、死亡した女性になりすましてパスポートや不動産の売買契約書を偽造。

女性が所有していた東京都内の土地と建物を杉並区の不動産業の男性に売却し、代金4700万円を詐取した疑い。

同課によると、女性の死後に不動産登記が変更されているのに法務局職員が気づき、無断売却が発覚したという。

出典:日本経済新聞

記事の中には「空き家」という表記はありませんでしたが、「女性が所有していた土地と建物」であり、その女性はすでに死亡してしまっていることから相続などもされずに空き家になっていたことが予想されます。

さらに、今年に入ってニュースになった別の事件もご紹介します。

「病院舞台に不動産所有権を不正移転か 警視庁、地面師6人を逮捕」(2017/2/7 08:06)

女性が所有していた東京都内の土地や建物の名義を勝手に変えたなどとして、警視庁捜査2課が、電磁的公正証書原本不実記録・同供用などの容疑で、地面師グループのメンバー6人を逮捕していたことが6日、捜査関係者への取材で分かった。

土地の移転先は女性と接点がある病院関係者であることから、捜査2課は病院を舞台にした地面師事件の疑いもあるとみて、慎重に調べを進めている。

地面師グループは、他人の不動産を無断で転売し、利益を得る詐欺集団。

精巧な偽造公文書や私文書を駆使して所有者や仲介者に成り済ました上で、所有者が知らないうちに不動産の所有権を移転し、転売する。

捜査関係者によると、6人は東京都墨田区の高齢女性が所有していた土地と建物の所有権が、病院関係者に移ったとする偽造書類を法務局に示し、虚偽の不動産登記をした疑いが持たれている。

土地と建物は病院関係者への名義変更を経て、都内に拠点を置く不動産関連会社に転売されたという。

女性側が土地や建物の登記が知らないうちに移されていたことに気付き、警視庁に相談。不動産関連会社への売却は取り消された。

一連の過程でグループは数千万円の利益を上げたとみられる。

グループをめぐっては、大手ホテルグループも他人の不動産を売りつけられる被害に遭ったとの情報があり、捜査2課が解明を進める。

出典:産経ニュース

こちらは所有者の女性が亡くなっている訳ではありませんが、気付かない間にこのようなことに巻き込まれてしまっていました。

「管理能力が低下している」と指摘する方もいますが、むしろ自分の土地や建物が詐欺に利用されているなどと日常的に考える人の方が圧倒的に少ないでしょう。

事前に対策をすると言っても毎日、登記が書き換えられていないかを確認する程度しかありませんし、それは現実的とは言えません。

身分証明書や印鑑証明書などの書類を容易に偽造できないようにしたり、売買契約の際の本人確認等をもっと厳しく行うことで事前に防げる可能性はありますが、すぐに実現することは難しいでしょう。

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増え続ける「空き家」が今後狙われやすい!

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ここ数年、地面師が主なターゲットとしているのはいわゆる「放置空き家」です。

空き家の中でも管理が行き届いておらず、明らかに放置された状態の空き家です。

総務省の発表によりますと、平成25年10月の時点で日本には820万戸を超える空き家があり、そのうちのおよそ4割に当たる330万戸が放置空き家状態と言われています。

放置状態の建物や土地の所有者は高齢であることが多く、無断で名義変更や転売をしてしまってもほとんど気付かれないため、狙われやすいと言います。

日本では間違いなく今後も空き家が増え続けて行きますので、こうした犯罪もそれに伴って増えてくることが予想されます。

空き家を抱えている方や不動産を所有している方は「気付かない間にこうして所有権が移されていたり売買されている可能性がある」ということ、そして「地面師という詐欺集団がいる」ということ、「このような手口で犯行が行われている」ということを知っておく必要があります。

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地面師に狙われるのは他人事ではありません

昔から詐欺師というのは存在しています。

現代では、その手口が巧妙化しており最後まで騙されたことに気が付かないケースも多い様です。

近年では「オレオレ詐欺」なんて言う言葉が世間に浸透したように、日本全国で詐欺被害は広がっています。

被害に合わない為には「いつ何時、自分にも降りかかるかも知れない」という危機感を常に持っている事が重要、とよく聞きます。

確かに、常日頃から危機感を持つことは大切な事だとは思いますが、他人を全く信用しない、出来ない世の中というのも何だか寂しい感じがしますね。

人々が信頼し合える世の中を作っていく必要があるのではないでしょうか。

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ABOUTこの記事をかいた人

35年で過去5,000棟の解体工事を手がけた解体専門店・市川工業の責任者であり、解体協会の理事も務めています。 建物解体工事を中心に産業廃棄物のリサイクル業務を中心に、毎年、年間300件以上の解体工事でお客様とふれあう中で「より良いサービスを提供する解体企業になる」をモットーに、業界のイメージと解体工事の品質向上に力を注いでいます。 現在は新潟県解体工事業協会の理事を務め、解体業界全体の品位向上に力を注いでいます。 資格:一級土木施工管理技士、リサイクル施設技術管理者、解体工事施工技士