住宅リフォームにまつわる補助金制度にはどういったものがあるのでしょうか?
この記事では「新築(購入も含む)」「中古購入」「既存住宅のリフォーム・改修・増改築」「長期優良住宅」に利用できる補助金制度を、ポイントを絞ってまとめています。
併せて、後半では減税制度も紹介していますので、ぜひ参考にしてお役立てください。
※この記事の内容は執筆時点(2019年4月)のものです。
内容等が変更になっている場合がありますので、補助金・減税・優遇制度などを利用する際は、必ず最新情報をご確認ください。
リフォーム関連の補助金制度まとめ
新築や中古住宅を購入してリフォームする、今住んでいる家を増改築・改修するといった場合に利用できる補助金制度はいくつかあります。
補助額の上限も大きいものが多いため、知らずにいると「損をした」気分になってしまうかもしれません。
まずは、どういった補助金制度の種類があり、要件や補助額の条件などはどうなっているのか、見ていきましょう。
適用される工事区分 補助額の目安(上限)
断熱リノベ ・既存住宅のリフォーム等 1戸あたり
- 最大120万円
次世代住宅ポイント ・中古住宅の購入
- 既存住宅のリフォーム等 1戸あたり
- 最大60万ポイント
地域型住宅グリーン化事業 ・新築(購入も含む)
- 既存住宅のリフォーム等 1戸あたり
- 最大50万円
ZEH(ゼッチ)支援事業 ・新築(購入も含む)
- 既存住宅のリフォーム等 1戸あたり
- 70万円〜
家庭用燃料電池システム
導入支援事業 ・新築(購入も含む)
- 中古住宅の購入
- 既存住宅のリフォーム等 1台あたり
- 最大8万円(加算あり)
長期優良住宅化
リフォーム補助金 ・長期優良住宅
- 中古住宅の購入
- 既存住宅のリフォーム等 1戸あたり
- 100〜最大250万円
各自治体による補助金 ・新築(購入も含む)
- 中古住宅の購入
- 既存住宅のリフォーム等 自治体により異なる
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
断熱リノベ
断熱リノベとは「高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業」のことです。
既存住宅において「高性能建材」を用いた断熱改修を行う際に利用できます。
高性能建材とは、省エネ化に資する建材を指します。
なお、戸建住宅においては、断熱改修と併せて「家庭用蓄電池システム」「家庭用蓄熱設備」など高性能な家庭用設備の導入や改修に関する支援も行われます。
「SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)」では、次の期間で公募を行います(執筆時点の情報です。詳しい内容や最新情報については必ずご確認ください)。
戸建住宅および集合住宅(個別)
- 一次公募:5月13日〜6月28日
- 二次公募:7月上旬〜8月中旬
集合住宅(全体)
- 一次公募:5月13日〜6月14日
補助対象や要件などについて詳しくはSIIの「高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業」(pdf)にてご確認ください。
次世代住宅ポイント
消費増税対策の一環として制度が開始されたのが「次世代住宅ポイント」です。
住宅をリフォームする所有者などが、施工者に工事を発注して実施するリフォームが対象となります。
個人・法人問わず、またマンション等の管理組合が実施するリフォームも含まれます。
ポイント付与の対象となる工事は次の9つのいずれかです。
- 開口部の断熱改修
- 外壁、屋根・天井または床の断熱改修
- エコ住宅設備の設置
- バリアフリー改修
- 耐震改修
- 家事負担軽減に資する設備の設置
- リフォーム瑕疵保険への加入
- インスペクションの実施
- 若者・子育て世帯が既存住宅を購入して行う一定規模以上のリフォーム
※若者世帯とは、2018年12月21日(閣議決定日)時点で40歳未満の世帯。
※子育て世帯とは、2018年12月21日(閣議決定日)時点で18歳未満の子を有する世帯、または申請時点で18歳未満の子を有する世帯
リフォームの申請は工事前後・工事中の写真が必要になります。忘れるとポイントが発行されませんので、十分、気をつけましょう。
なお、リフォーム以外に新築でもポイントが付与されますが、ここではリフォームについてのみ、触れています。
次世代住宅ポイントについての最新情報は「次世代住宅ポイント事務局」にてご確認ください。
地域型住宅グリーン化事業
認定長期優良住宅、低炭素住宅など、省エネ性・耐久性などに優れた木造住宅を「新築する」「新築を購入する」「改修する」といった場合に受けることができるのが「地域型住宅グリーン化補助金」です。
リフォーム、つまり改修に該当する場合は50万円が上限となります。
あらかじめ国に採択された「事業者グループ」のメンバーである中小住宅生産者が木造住宅や木造建築物の建設や改修などを行う場合に適用される補助金制度です。
採択を受けたグループは「地域型住宅グリーン化事業評価事務局」のホームページ「採択の結果」から確認できます。
なお、グループの募集期間は平成31年5月31日まで、採択通知は令和元年7月10日を予定しているため、同サイトにアクセスいただいたタイミングによっては、まだ結果が公開されていない可能性があること、ご留意ください。
ZEH(ゼッチ)支援事業
ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギーハウス」のことで「ゼッチ」とも呼ばれています。
消費するエネルギーと生産するエネルギーの差し引きが「概ね0」になる住宅を指します。
太陽光発電などで自らエネルギーを作り出し、自らの活動でそれらを消費する住宅のことで、こうしたZEHを新築する、新築を購入する、改修するといった場合に利用できる補助金です。
ZEHの定義を満たしていることが要件となり、1戸あたり最大70万円および、蓄電システムの補助1キロワットにつき2万円を、補助対象となる経費の3分の1または20万円のいずれか低い額で追加補助してくれます。
前出の「SII(一般社団法人 環境共創イニシアチブ)」では次の期間で一般公募を行います。
一次公募:6月3日〜6月7日
二次公募:7月1日〜7月5日
三次公募:8月5日〜8月9日
事業内容について詳しくはSIIの「ZEH補助金について」(pdf)を、公募要領などについて詳しくは、同じくSIIの「ZEH支援事業 公募情報」にてご確認ください。
家庭用燃料電池システム導入支援事業
具体的には住宅に「エネファーム」を導入する側、またはリースなどで提供する側が利用できる補助金制度です(個人・法人問わず)。
エネファームとは、水素と酸素から電気や熱をつくり出すシステムのことで、発電の際に生じた熱を使ってお湯をつくり出し、給湯に利用することができるという、環境に優しい画期的な設備です。
燃料電池には「PE(固体高分子形燃料電池)」と「SO(固体酸化物形燃料電池)」があり、このうち「PE」に関しては、定額補助はありません。
「SO」に関しては、エネファームの導入費(機器+工事費)が基準価格(123万円)以下の場合に8万円、基準価格を上回り裾切価格(134万円)以下の場合に4万円が補助されます。
裾切価格を上回った場合は補助対象外となります。
併せて「建築区分:既築」「燃料種類:LPガス」「システム仕様:寒冷地仕様」「設置場所:マンションに設置」といった条件によってそれぞれ3万円が追加補助されます(重複加算が可能です)。
FCA(一般社団法人 燃料電池普及促進協会)では、2019年4月8日から2020年2月21日(設置工事完了は3月9日)まで募集を行っています。
補助対象者、応募要件、申請フローなどについて詳しくは「2019年度 家庭用燃料電池システム導入支援事業 補助金制度のご案内」にてご確認ください。
長期優良住宅化リフォーム補助金
耐久性・耐震性・省エネ性などが高く維持管理しやすい住宅へのリフォーム、三世代同居に対応する住宅へのリフォームを行う際に利用できる補助金です。
基本的な補助金は1戸あたり100万円が上限ですが「長期優良住宅の普及に関する法律(平成20年法律第87号)第6条の規定に基づいて認定を取得する場合は1戸当たり200万円、さらに省エネ性能を向上させる場合(建築物エネルギー消費性能基準よりもー次エネルギー消費量を20%以上削減する場合)は250万円まで補助してくれます。
通年申請と事前採択という2パターンがあり、前者は申請期間が5月10日〜12月20日、後者は公募期間が4月10日〜5月17日、申請期間が7月中旬〜12月20日となります。
工事完了後は1ヶ月以内に完了実績報告書を提出しなければなりませんので、覚えておきましょう。
交付要綱について詳しくは長期優良住宅化リフォーム推進事業実施支援室の「長期優良住宅化リフォーム推進事業補助金交付要綱」(pdf)にてご確認ください。
各自治体による補助金
各自治体では、独自にリフォームに関する補助金制度を設けています。
交付要綱、要件、申請および交付期間など、すべての条件は自治体ごとに異なりますので、まずはリフォーム予定の住宅がある住所を管轄する自治体のホームページ等で確認してみましょう。
新築・新築の購入・中古の購入などを考えている場合は、次のような情報サイトで全国の支援制度を探すことができます。
一般社団法人 日本建築防災協会「住宅・建築物の耐震化に関する支援制度」
一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(平成30年度版)」
ここまで、ポイントだけを絞って簡単にまとめてきました。このように、リフォームに関する補助金は充実しています。
「使わないと損!」になってしまいますので、利用できる方はぜひ利用しましょう。
申請期間などについては、必ず最新情報をご確認ください。
補助金以外にもある!リフォーム関連の減税制度
改修やリフォームに関する「補助金制度」をメインにご紹介してきましたが、実は補助金制度以外にもさまざまな支援制度があります。
ここでは所得税および固定資産税の減税について、簡単にご紹介します。
所得税減税措置
改修やリフォームに関連する所得税減税は大きく「耐震改修した場合」「バリアフリー改修した場合」「省エネ改修した場合」「同居対応改修した場合」に分けられます。
耐震改修した場合の所得税減税
自己資金で耐震改修工事を行うケースを「投資型」と言います。
一方、住宅ローンを利用して耐震改修工事を行うことを「住宅ローン型」と言います。
投資型では控除対象限度額250万円、控除率10%、最大25万円が控除されます。
「住宅ローン型」では、住宅ローン減税、あるいはバリアフリー改修した場合のローン控除、もしくは省エネ改修した場合のローン控除などが、それぞれケースに応じて受けられます。
バリアフリー改修した場合の所得税減税
同じく「投資型」「住宅ローン型」があります。
投資型でバリアフリー改修工事を行った場合、控除対象限度額200万円、控除率10%、最大20万円が控除されます。
5年以上のローンを組んで改修工事を行った場合、バリアフリー改修工事費用にかかる借入金の年末残高のうち2%(控除対象限度額250万円、最大25万円)が5年間控除されます。
省エネ改修した場合の所得税減税
投資型の省エネ改修工事では、控除対象限度額250万円、控除率10%、最大25万円が1年間控除されます。
なお、省エネ改修と併せて太陽光発電設備を設置した場合は、控除対象限度額350万円、控除率10%、最大35万円が控除されます。
5年以上のローンを組んで改修工事を行った場合、省エネ改修工事費用にかかる借入金の年末残高のうち2%(控除対象限度額250万円、最大25万円)が5年間控除されます。
同居対応改修した場合の所得税減税
投資型の同居対応改修工事では、控除対象限度額250万円、控除率10%、最大25万円が控除されます。
5年以上のローンを組んで改修工事を行った場合、同居対応改修工事費用にかかる借入金の年末残高のうち2%(控除対象限度額250万円、最大25万円)が5年間控除されます。
このように、リフォームの内容によってさまざまな所得税減税制度が設けられています。
なお、基本的にこれらの減税制度は併用することができます。
例えば、耐震・バリアフリー・省エネ(太陽光発電設備も設置)・同居対応すべての改修工事を行った場合、最大で105万円が1年間控除されるということになります。
固定資産税減税措置
次に、固定資産税の減税についても触れておきましょう。
「耐震改修」を行った場合は固定資産税額(固定資産税評価額×標準税率1.4%)の2分の1が「バリアフリー改修」および「省エネ改修」を行った場合は同3分の1が、それぞれ1年度分減額されます。
このほかにも
贈与税の非課税措置(軽減相当額最大140万円)
自分が居住するための住宅を取得・増改築するための資金として、贈与を受けた場合
登録免許税の税率軽減措置(税率2.0%から0.1%に軽減)
宅建業者により一定以上の性能を備えるリフォーム工事が行われた住宅を取得した場合
不動産取得税の特例措置(軽減相当額最大36万円)
宅建業者が中古住宅を取得し、一定以上の性能を備えるリフォーム工事を行ったのち、個人が居住する住宅として譲渡した場合
など、さまざまな税の優遇措置も用意されています。
知らなかったというものも、多いのではないでしょうか?
なお、ここでご紹介した住宅リフォームに関連する税制特例について詳しくは、下記のサイトなどで確認できます。
- 国土交通省「各税制の概要」(住宅のリフォームに利用可能な税制特例)
- 国税庁「マイホームの取得や増改築などしたとき」
- 一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会「リフォームの減税制度」
リフォーム関連の補助金・減税制度は自ら申請が基本!
さて、ここまで多くのリフォーム関連の補助金制度、減税制度などをご紹介してきました。
これらを受けるために忘れてはいけないのが「自分から申請するのが基本」ということです。
待っていても、誰かが教えてくれるものではありませんし、勝手に優遇措置を受けられるわけでもありません。
自分で調べて、申請期間内に必要書類などを準備し、所定の手続きを経て申請しなければなりません。
補助金制度や減税、その他の優遇措置を受けるには、自分から情報を取得し、自分から行動を起こすといった、積極的な姿勢が大変、重要になってくるということを覚えておきましょう。
リフォーム補助金まとめ
今回は、リフォームにスポットを当てて、利用できる補助金制度をご紹介するとともに、減税措置についても簡単に解説させていただきました。
こうして見てみると、非常に多くの補助金制度や減税措置、その他の優遇措置などが設けられていることがわかります。
知っているのと知らないのとでは天と地ほどの差がありますので、情報収集はしっかりと行うようにしましょう。
併せて、繰り返しになりますがここでご紹介した情報は執筆時点のものです。
その情報が、その時点での最新情報かどうかについても、きちんと確認しておくことが大切です。
また、こうした補助金や減税は、基本的に「自分から」申請することになります。不明な点などがあれば、早めに確認して期間に余裕を持って申請するようにしましょう。
この記事の情報をぜひお役立ていただき、リフォームの際に賢く利用してください。