新築時の地盤改良工事って必要なの?

地盤改良工事の手順と法律について

家を建てる際に重要になってくるのが「地盤」の強度です。

当然、地盤が弱いところに建ててしまうと不同沈下や地盤沈下を起こし、建物が傾いてしまったりする原因となってしまいます。

そういったことを防ぐためにも、地盤に人工的な改良を加えて安定性を向上・確保するために行われるのが地盤改良工事です。

今回はこの地盤改良工事に関しての基礎的な部分を解説します。

【地盤に関する記事はこちらから】

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地盤の強度を知るには地盤調査が必要

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当たり前ですが、目視しただけではその地盤が強いかどうかを測ることは出来ませんので、まずは地盤調査というものが必要になって来ます。

はじめにその地盤調査について簡単に解説をいたします。

地盤調査には次の3種類の方法があります。

1.スウェーデン式サウンディング調査(SWS試験)

主に木造住宅を建築する際に用いられる調査方法です。

先端がキリ状になっている器具に徐々に負荷を掛けて行き「25cm下がるまでにハンドルを何回転させたか」によって地盤の強度を導き出します。

およそ深度10m程度までの測定が可能です。

費用もおよそ5万円~10万円程度と比較的安く、作業に必要なスペースも1m2程度、時間も1箇所につき30分程度と手軽に行うことができます。

通常の住宅の場合、建てる土地内の4か所を計測して、強固な地盤の深さを調査します。

2.ボーリング調査(標準貫入試験)

一般の木造住宅の建築にはあまり用いられませんが、大型の建築物には基本的にこのボーリング調査が用いられます。

調査方法は、先端にサンプラーが付いたロッドの上に、63.5kgの重りを76cmほど自然落下させることで徐々にサンプラーを地面にめり込ませていきます。

「30cmめり込ませるまでに要した打撃数」によって地盤の強度を導き出します。

また、強度の調査と同時にサンプラーによって土を採取して土の質を調べることも出来ます。

3.表面波探査法

地表から地中に向かって振動波を与えることで地盤の強度を調る方法です。

地盤が硬いほど振動波が早く伝わりますので、その反射してくる時間を元に地盤の強度を導き出します。

これらの地盤調査は、更地の状態で、建設予定の建物の四隅と中心の5箇所で行われるのが基本です。

もし建て替えをする場合には、一度解体をして更地にしてからということになります。

なお、地盤調査の結果、地盤改良工事が必要なのかどうか、およびその費用に関しては基本的には工事を請け負った施工店が判断します。

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地盤改良工事は法律で決められている?

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まだまだ記憶に新しいところでは、東日本大震災において千葉県の浦安市などの埋立地で「地盤の液状化」が大きな問題となりました。

また、最近では横浜のマンション傾き問題も記憶に新しいところです。

これまでは「専門家に任せておけば良い」という考え方がほとんどだった「地盤」の問題が、一気に私たちにとって他人事ではなくなった瞬間です。

それ以降、法改正などにより徐々に具体化・明確化されてきてはいますが、一般の人たちにはどのようになっているのか、分かりません。

地盤改良工事は法律で定められているのでしょうか?

現在、建築に関わる法律についてはいくつかありますが、特に住宅の地盤が関係してくるのは「建築基準法」「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」「住宅瑕疵担保履行法」の3つがあります。

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建築基準法

(1)建築基準法施行令第38条(基礎)

建築物の基礎は、建築物に作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝え、かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならない。

(2)建築基準法施行令第93号(地盤及び基礎ぐい)

地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力は、国土交通大臣が定める方法によつて、地盤調査を行い、その結果に基づいて定めなければならない。

ただし、次の表に掲げる地盤の許容応力度については、地盤の種類に応じて、それぞれ次の表の数値によることができる。

このように定められていますが、いずれも地盤(基礎)についての原則的な事項ですので、具体的に地盤改良工事などを定めているものではありません。

品質確保促進法

次に、品確法では「新築住宅の基本構造部分の瑕疵担保責任期間を10年間義務化すること」としています。

つまり、地盤(基礎)が原因となって住宅が傾いたりした場合、建築者や販売業者が修補の責任を負わなければならない、ということが明確化されたのです。

これにより、地盤調査は「義務化された」も同然となった訳です。

瑕疵担保履行法

品確法では10年間の瑕疵担保責任が義務付けられましたが、さらに本法律の中では「賠償の供託または保険加入による資力確保」が義務づけられました。

これにより各保険会社は、基礎や地盤を原因とする事故等を減らすために、ほぼ全てのケースにおいて地盤調査を義務づけたのです。

つまり、事実上「地盤調査が必須」となった訳です。

以上のことから、「地盤改良工事」自体は義務ではありませんが、「地盤調査」は義務であると言えます。

そして地盤改良工事が必要か否かの判断は基本的に施工店の判断による、ということになります。

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地盤改良工事にはどんな種類があるの?

地盤改良工事の種類にはいくつかありますが、まずはその中でも代表的な3種類の方法をご紹介します。

(1)表層改良工法 支持層

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(その建築物を支えることができる強度を持つ地盤や地層)までの深さが3m~4m程度の比較的浅い場合に用いられます。

地盤が弱い部分の土を掘り出し、セメントと混合させて地盤全体を固めてしまう工法です。

一般的な費用としては30万円~50万円程度と言われています。

メリット:比較的安価で行え、強度も維持出来る

デメリット:施工者のスキルによってはムラができ、不同沈下の原因にもなりうる

(2)柱状改良工法

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支持層までの深さが4m~7m程度の比較的深い場合に用いられます。

建築物の重荷がかかる場所を割り出し、その真下部分の土中にコンクリートの柱を埋め込んで支持層に支えてもらうという工法です。

一般的な費用としては50万円~100万円程度と言われています。

メリット:強度を長年にわたって維持できる

デメリット:現状復帰をする際の費用が高くなる

(3)鋼管杭改良工法

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支持層までが7m以上の深い場合に用いられます。

コンクリートの柱の代わりに、より太い鉄柱杭を埋め込み、支持層まで撃ちこむ工法です。

一般的な費用としては80万円~140万円程度と言われています。

メリット:三階建てなどの重量建物でも問題なく支えられる安心感がある

デメリット:支持層がない地盤では施工できない、騒音や振動が大きく費用もかかる

以上の3種類が、主に用いられる地盤改良工事の方法です。

他にも「MS工法」「ソイルコラム鋼管芯材工法」「DSP(乾式柱状改良工法)」「砕石パイル工法」「ジオクロス工法」「ピュアパイル工法」など、様々な地盤改良工事の方法があります。

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地盤改良工事が必要かどうか、費用が妥当かどうかが不安な場合は?

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地盤調査は必要であっても、地盤改良工事が必要かどうかの判断は施工店に委ねるしかありません。

費用に関しても施工店によって異なりますので、今回ご紹介した3種類の地盤改良工事については、ある程度の相場を知っておく必要があります。

その上で、もし疑問などがある場合は、現在ではセカンドオピニオンサービスを行ってくれる会社もありますので、ぜひ活用しましょう。

この場合のセカンドオピニオンサービスとは、施工店が出した地盤調査結果を元に、地盤改良工事が必要かどうかを調査してくれるサービスです。

限られた建築費用を最大限に活用するためにも、こういったサービスについても知っておきましょう。

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地盤の強度が重要

建築系の仕事では、地盤調査・地盤改良工事などは必須となってきます。

数十年前は、地盤改良どころか地盤調査すらしなくても、住宅が建てられていました。

大きな建造物では、コンクリートもしくは鋼管杭などで地盤補強されている建物も多くありますが、その信憑性は定かではありません。

実際、地中の中は誰も見る事が出来ませんからね。

しかし現在では、その調査技術も格段にあがりかなり精度の高い強度調査が出来る様になりました。

地震の多い我が国日本では、今後益々「地盤の強度」というキーワードが重要になってくると思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

35年で過去5,000棟の解体工事を手がけた解体専門店・市川工業の責任者であり、解体協会の理事も務めています。 建物解体工事を中心に産業廃棄物のリサイクル業務を中心に、毎年、年間300件以上の解体工事でお客様とふれあう中で「より良いサービスを提供する解体企業になる」をモットーに、業界のイメージと解体工事の品質向上に力を注いでいます。 現在は新潟県解体工事業協会の理事を務め、解体業界全体の品位向上に力を注いでいます。 資格:一級土木施工管理技士、リサイクル施設技術管理者、解体工事施工技士