家の建て替え時に必要な仮住まいで失敗しない方法

仮住まいの上手な探し方と借り方

家を建て替える時に欠かせないのが仮住まいです。一時的とは言え“生活の基盤”がそこに移るわけですから、利便性や生活スタイルなどをしっかり確保できる仮住まいに引っ越すということは大切です。

今回は仮住まいの探し方や費用、期間、必要な手続きなど、失敗しないための方法を解説します。

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仮住まいの探し方

古くなった家を建て替える、両親と一緒に住むことにしたから二世帯に改築する、高齢者が住みやすい家にリフォームする、などの理由で現在の家を建て替えるという人は実は意外と多いものです。

実際に建て替えるとなると、工事の規模などにもよりますが、少なくとも数ヶ月から半年程度は仮住まいでの生活を強いられることになります。

「親と暮らす予定はないから」
「まだ先の話だから」

なんて思っている人も、いつどんな理由で建て替えが必要になるか分かりません。

いざという時に困らないためにも、ぜひ今回解説する“失敗しない方法”を押さえておきましょう。

仮住まいの探し方について解説する前に、まずは一つ心得ておいていただきたいことがあります。

「短期契約は敬遠されがち」ということです。

オーナーからすれば、家賃は住宅ローンを返済するための重要な収入源でもありますので

  • 短期契約だから敷金礼金を下げて欲しい
  • 家賃を一括で支払うからある程度まけて欲しい

といった要望には困ってしまうという声も聞こえます。

それに、退去となると次の入居者を探さなければなりません。

すぐに見つかれば良いのですが、なかなか見つからないとなると住宅ローンの返済にも響いてきますので、それなら短期ではなく2年など長期で契約してくれる入居者を探したいと思うものです。

別に悪いことをしているわけではないのですが…こればかりは仕方ない部分でもありますね。

とはいえ、中には

  • 短期でも住んでくれるならありがたい
  • 6ヶ月など期間が決まっていれば次の入居者を探すタイミングが分かりやすい

と好意的なオーナーがいることも事実です。

運やタイミング、そのオーナーの人柄などさまざまな条件によりますが、全体的な傾向として「短期契約は敬遠されがち」と思っておくと、スムーズに決まらなかった時に余計なストレスを溜めることはないでしょう。

それでは、住まいのタイプ別に探し方を解説します。

①一軒家の場合

条件に当てはまる集合住宅がない、家族が多いなどの理由で一軒家の仮住まいを探す方もいるでしょう。

探し方としては大きく

  1. 不動産業者に相談する
  2. 不動産賃貸のポータルサイトで検索する

の2つがあります。

不動産業者に相談する

特に地元で長く営業している不動産業者などは近隣住民からの信頼も厚く、インターネット上や不動産業者間で共有している物件情報以外にも取り扱い物件を持っていることが少なくありません。

「建て替えに伴う仮住まいなので半年程度なのですが」と伝え、探してもらえるようであれば依頼してみると良いでしょう。

電話で問い合わせても良いと思いますが、即答で「ございません」と言われても「さまざまな事情があるから仕方ない」と思って次に進むようにしてくださいね。

不動産賃貸のポータルサイトで検索する

続いて、不動産賃貸のポータルサイトですが、インターネットを普段からよく使う人には最も探しやすい方法です。

さまざまな条件を絞り込んで検索することができますし、めぼしい物件が見つかったらその場でお問い合わせフォームから問い合わせることもできます。

その際に要望も入力できるテキストボックスなどもありますので、大変便利なサイトです。

しかしながら、短期契約などの条件で絞り込める機能が搭載されているサイトはほとんどなく、最終的には問い合わせの際に確認したり、不動産業者に直接出向いて確認したりすることになります。

仮住まいとしての一軒家タイプはほとんど出回っていないと言われていますが、運良く見つかる可能性はあります。

サイトで検索するよりも時間はかかってしまいますが、地元の不動産業者を回ることが最も良い方法と言えるでしょう。

②アパートやマンションの場合

意外と探しやすいのがアパートやマンションなどの賃貸物件かもしれません。

とはいえ、一般的な賃貸物件の場合、前述のように短期契約は敬遠される傾向があります。

空室が多く入居者が集まらない賃貸物件であれば、もしかするとオーナーが応じてくれる可能性もありますが、そもそもそのような賃貸物件を探すこと自体が大変です。

探し方としては、やはり一軒家と同様に地元の不動産業者に相談するか、不動産賃貸のポータルサイトを利用すると良いでしょう。

なお、一般的な賃貸物件でなくても良いということであれば、通常賃貸に出しているアパートやマンション以外に「ウィークリーマンション」や「マンスリーマンション」があるというのを知っておくと良いでしょう。

これらは短期賃貸マンションのことで、週ごとの契約であればウィークリー、月ごとの契約であればマンスリーとなります。

会社員が「数ヶ月だけ出張する」などという場合によく利用されるタイプの賃貸物件で、一般的な賃貸物件とホテルの中間的なタイプです。

「マンスリーマンション ○○(地域)」

で検索すれば簡単に見つかります。

自治体に問い合わす方法も

あるいは、自治体に問い合わせてみるのも手です。

空き家となっている一軒家を管理している自治体は多く、短期でも入居してくれるならと応じてもらえる可能性があります。

自治体管理ということで家賃なども一般的な賃貸住宅より抑えられる可能性があります。

ただ、市税を滞納していないこと、空き家がある市区町村に住んでいる(勤務している)ことなど、自治体が独自に設けている条件もありますので、まずは問い合わせてみてはいかがでしょうか。

③プレハブの場合

自宅の敷地に余裕がある場合、または近所などに空き地を所有している場合、プレハブ式の仮設住宅を建設してそこに住む、という選択肢もあります。

ただし、この場合の注意点として覚えておきたいのが

「建築基準法では原則として仮住まいのためにプレハブを建築して使用することを認めていない」

ということです。

もしプレハブを建築して仮住まいにしたいという場合は、建築基準法に基づいた手続き(申請)を行い、許可を得る必要があります。

申請を怠ると工事自体が中止になってしまう可能性もありますので覚えておかなければいけませんね。

そもそもプレハブは、夏は暑く冬は寒く、耐震性にも優れていませんので、建て替えに伴う仮住まいにはおすすめできませんが、こういった選択肢もあるということでご紹介しました。

そのほか、探し方の一つとしてハウスメーカーに相談してみるという方法もあります。

特に大手のハウスメーカーは住宅に関して非常に広いネットワークを持っているため、希望に沿う物件を紹介してくれる可能性があります。

近所にそのようなハウスメーカーがある場合は不動産業者を回るついでに相談してみても良いでしょう。

なお、都道府県営住宅や市町村営住宅などの公営住宅に問い合わせる方法もありますが、こちらは原則として住宅に困窮していて、かつ低所得者に該当する世帯向けとなっていますので難しいかもしれません。

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仮住まいの費用と条件

続いて、仮住まいを借りる場合に必要な費用や条件、借りる期間などについて解説します。

①仮住まいを借りるにはいくらかかる?

仮住まいを借りるには「入居時の初期費用」に加えて「月々の家賃」「水道光熱費用」「インターネット費用」などが必要になります。

どのタイプの仮住まいを借りるか、また大きさや立地条件などによっても費用が変わってきますが、家賃10万円の仮住まいに入居すると仮定すると、一般的には入居時に

  • 敷金として家賃の1~2ヶ月分(短期の場合は3ヶ月に設定されることも)
    10万円~30万円

 

  • 礼金として家賃の1~2ヶ月分
    10万円~20万円

 

  • 当月の日割り分および翌月分の家賃
    15日に入居したとすると15万円程度

 

  • 当月の日割り分および翌月分の管理費(共益費)
    1万円~3万円程度

 

  • 住宅保険料(火災保険など)
    1万5000円~3万円程度

 

  • 鍵交換費用
    1万5000円程度

 

  • クリーニング費用
    3万円~5万円程度

などが必要になってきます。

不動産業者に仲介を依頼した場合は別途、事務手数料や仲介料などが必要になりますので併せて覚えておきましょう。

では、ウィークリーマンションやマンスリーマンションを借りた場合はどうでしょうか。

こちらも立地や大きさ(広さ)、その他の条件によって費用が異なりますが、東京都品川区にあるマンスリーマンションを例として挙げると

  • 1ヶ月未満

賃料5,100円/日
光熱費850円/日
管理費900円/日
清掃費10,000円/回(入居時)
契約手数料7,500円/回(入居時)

  • 1ヶ月以上~3ヶ月未満

賃料132,000円/月
光熱費25,500円/月
管理費900円/日
清掃費15,000円/回(入居時)
契約手数料8,500円/回(入居時)

  • 3ヶ月以上~7ヶ月未満

賃料123,000円/月
光熱費25,500円/月
管理費900円/日
清掃費26,000円/回(入居時)
契約手数料14,000円/回(入居時)

  • 7ヶ月以上~12ヶ月未満

賃料111,000円/月
光熱費25,500円/月
管理費900円/日
清掃費42,000円/回(入居時)
契約手数料18,000円/回(入居時)

などとなっています。

ウィークリーマンションやマンスリーマンションは敷金礼金がない分、月々の利用料金が高い傾向にあります。

ですが、エアコンやテレビ、電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機、掃除機といった家電が揃っている点やインターネットが無料で利用できる点、ビジネスホテル並みの設備が揃っている点などメリットも多数あります。

一般的な賃貸物件を借りるにしても、ウィークリーやマンスリータイプを借りるにしても、まずは

  • 仮住まい期間中に支払い可能な予算を決めておく
  • 物件選びで妥協できる点とできない点をまとめておく

というポイントを押さえておきましょう。

②仮住まいを借りる際の必要な条件とは?

仮住まいを借りる際に何かしらの特別な条件が必要になる、ということは基本的になく、一般的な賃貸住宅を借りる時と同じと考えて良いでしょう。

しかしながら、短期ということでオーナーや不動産業者によっては「期間中の家賃の一括払い」を求められることもあるようです。

③ペットは可能?

ペット可能な仮住まいを探すのは非常に困難と言われています。かといって数ヶ月もの間誰かに預けるのもペットにとっては酷というもの。その場合はやはり「ペット可物件」ありきで仮住まいを探すことになります。

ペット可物件の場合、一般的な賃貸物件よりも敷金が1~2ヶ月程度追加になったりクリーニング費用が高額になったりすることもありますので、覚えておきましょう。

④仮住まいを借りる期間

仮住まいを借りる期間については工期が基準になってくると思いますが、天候や自然災害、その他のトラブルなど何らかの理由で工期内に工事が完了するとは限りません。

工期が6ヶ月、賃貸契約も6ヶ月で、6ヶ月目ギリギリに終わっても今度は新居への引っ越しの手配が間に合わないといった可能性も出てきます。

あるいは、もしかすると工事がスムーズに運んで予定より早めに完成するかもしれません。

こればかりは何とも言えないのですが、基本的に業者が提示した工期+1ヶ月は余分に借りると考えていた方が良いでしょう。

そのうえで、工事の進捗を常に確認しておきましょう。

退去時期に近づくと次の入居者を探し始めてしまっている可能性もありますので、万が一、延長しなければならない場合は早めにオーナーや不動産業者に交渉することが大切です。

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仮住まいに移った時の住所変更はどうすれば?

仮住まいを、本来の家の住所とは異なる市区町村に借りた場合、短期であっても住民票を異動しておいた方が、何かあった時に支障をきたさずに済むことが考えられますが、建て替えている家の近くなど、同じ市区町村だった場合はどうなのでしょうか?

一般的には、生活の本拠が変わっていないのであれば、仮住まいなどで短期間住所が変わる場合でも特に異動の手続き等は不要と言われています。

しかしながら、一年以上の長期になる場合については、異動の手続きが求められると言われています。

住民票を異動させると免許証や保険証、住基カード、銀行、クレジットカード、会社への申告などさまざまな住所変更の手続きが発生し、煩雑な手続きが必要になりますが、大切なことですので忘れずに行いましょう。

なお、住民票の異動については自治体によってルールが異なる可能性もありますので、まずは一度、お住いの管轄の自治体に問い合わせてみた方が確実と言えます。

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仮住まいの手続きは何がある?

そのほかに仮住まいに移った場合に必要になる手続きにはどのようなものがあるのでしょうか。

郵便物の転送届

本来の住所と同じ市区町村かつ半年程度の期間であれば、住民票は特に異動の必要はないと言いましたが、郵便物などは届かないと困ってしまいます。

まずは転送届を提出し、郵便物が仮住まいに届くようにしておきましょう。

ライフラインの停止と契約

まずは本拠である建て替え中の家の電気・ガス・水道・インターネットなどを停止させる手続きが必要になります。

ただ、ここで一つ覚えておきたいのが水道に関してです。

解体工事や建築工事に伴って水道を使用することが多々あります。粉塵の飛散防止や清掃などのためです。

ですので、水道に関しては業者に確認をしてから停止させるかさせないか判断するという方がスムーズに進むでしょう。

また、仮住まいで生活するために水道、電気、ガス、インターネットなどを契約し開通させる手続きも必要です。

固定電話を仮住まいで使用するには移設の手続きが必要になるのですが、仮住まいの住所が本来の住所とは異なる市区町村だった場合、あるいは同じ市区町村でも収容局が異なる場合は電話番号(市外局番)が変わりますので覚えておくと良いでしょう。

また、インターネットに関しては、たとえばフレッツ光などであれば移転手続きをすることで仮住まいでも継続して利用することができます。

仮住まいに移る前に、契約しているプロバイダーや通信業者などに確認をしておきましょう。

その他の手続き

そのほかに考えられる手続きとしては

  • 会社への住所変更の手続き(交通費が絡んでくる場合などは特に)
  • NHK受信契約の住所変更の手続き
  • 生協など宅配サービスを利用している場合の停止(休止)手続き
  • ケーブルテレビや衛星放送などを契約している場合の停止(休止)手続き
  • 転送不要の郵送物が送られてくるサービスを利用している場合の手続き

といったことも考えられます。

住所を使って利用しているサービスは一覧にまとめておくと良いかもしれません。

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仮住まい選びは慎重に

仮住まいの探し方から費用、期間、そして必要な手続きなど失敗しないための方法を解説してきました。

こうして考えてみると仮住まいに引っ越すだけでも大変な作業であり、また費用もバカにならないことが分かります。

「予算」や「妥協ポイント」を決めること、「早め早め」に動き出すこと、「手続きが必要になるものは一覧にしておくこと」が大切になってきます。

今後仮住まいに移る予定がある人はぜひ、参考にしてください。

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ABOUTこの記事をかいた人

35年で過去5,000棟の解体工事を手がけた解体専門店・市川工業の責任者であり、解体協会の理事も務めています。 建物解体工事を中心に産業廃棄物のリサイクル業務を中心に、毎年、年間300件以上の解体工事でお客様とふれあう中で「より良いサービスを提供する解体企業になる」をモットーに、業界のイメージと解体工事の品質向上に力を注いでいます。 現在は新潟県解体工事業協会の理事を務め、解体業界全体の品位向上に力を注いでいます。 資格:一級土木施工管理技士、リサイクル施設技術管理者、解体工事施工技士