【空き家の管理が大変!】維持費や税金などの整理にかかる費用を解説

所有している空き家の管理に困っている人も多いのではないでしょうか?

あるいは、将来的に空き家を受け継ぐことになっており、維持費などを心配している人もいるかもしれません。

空き家は放置したままにすると老朽化が一気にすすみ、倒壊の恐れなどさまざまなリスクや危険が生じるだけでなく「空き家等対策特別措置法」によって、所有者に対する罰則も待っています。

この記事では、空き家の維持にかかる費用、税金、空き家を整理しようと思ったときにかかる費用などをまとめています。

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空き家の維持にかかる費用とは?

総務省統計局の「平成25年住宅・土地統計調査」によれば、日本全国にはおよそ820万戸の空き家が存在しています。

これは、住宅総数の実に13.5%という多さです。

日本は今後も少子高齢、人口減少が続くことが予測されています。

2033年には、空き家が2,170万戸に達するのではないかという推計も発表されるなど、日本における空き家問題は今や深刻を極める状況になってきています。

空き家が増えることで、放火や不法投棄といった犯罪の温床になるリスク、倒壊などで周辺住民に危害を与えてしまうリスクなど、さまざまなリスクが生まれます。

そのため、所有者には適正な維持管理が求められています。

空き家を適正に維持管理するためには、どんな費用や税金がかかるのか、見ていきましょう。

固定資産税

土地や家屋、償却資産などに課せられる地方税のことを言います。

毎年1月1日時点で、それら固定資産を所有している人に納税義務が生じます。

税率は1.4%で、固定資産課税台帳に登録されている課税標準額(固定資産税評価額)に対してかかってきます(土地・家の両方を所有している場合、それぞれにかかります)。

ごく簡単な例を挙げると、課税標準額が1千万円なら14万円ということです。

課税標準額は、自治体から送られてくる固定資産税課税明細書や、固定資産課税台帳の閲覧などで確認することができます。

保険関係

前述のように、空き家は放火や不法投棄などの犯罪行為を招くリスクや、劣化した壁や屋根などが地震、台風などで倒壊または飛散して周囲の住民に危害を与えてしまうリスクなどが生じます。

そのため、空き家とはいえ「火災保険」「地震保険」といった保険に加入しておくことが求められます。

  • 火災保険

保険会社によって保険料が変わります。

水災や落雷、破損、汚損などのオプションをつけることもできます。

一般的な木造住宅の火災保険料は、補償範囲が狭いプランで年7千円〜、あらゆる範囲をカバーしてくれるプランで年3万円程度が相場とされています。

  • 地震保険

地震保険は、国が保険会社と協働で運営しています。

そのため、保険料はどの保険会社で加入しても変わりません。

ただし、都道府県ごとに保険料が異なります。

これは、地震のリスクが高い地域、それほどでもない地域などがあるためです。

例として東京都は、保険金額1千万円あたり保険期間1年につき、耐火で2万2500円、非耐火で3万6300円となり、最も保険料が高い部類に入ります。

逆に、岩手県、群馬県、長野県など保険料が最も安い地域は耐火6800円、非耐火1万1400円となっています。

地震保険について詳しくは、財務省のホームページにて確認できます。

・財務省 地震保険制度の概要

空き家管理サービス

空き家から遠く離れた場所に住んでいる、入院中や海外に転勤になったなど、さまざまな理由で空き家の管理が難しい所有者も少なくありません。

そこで近年利用者が急増しているのが、空き家管理サービスです。

空き家を外部からチェックし、屋根や壁の老朽具合、雑草や庭木の状態、窓の破損の有無などを所有者に報告してくれたり、内部巡回も行ってくれたりするケースでは、除草や掃除、室内の掃除や換気、通水、郵便物の転送まで請け負ってくれる場合もあります。

費用は業者や外部巡回のみ、内外部巡回などによって異なりますが、1ヶ月5千円〜1万円程度が相場とされています。

ふるさと納税の返礼として、空き家の巡回を行ってくれる自治体もあるようです(ただし1〜2回程度です)。

その他にかかる費用

ここまで、固定資産税、保険、空き家管理サービスについて解説してきました。

空き家を適正に維持管理するためには、それ以外にも費用がかかります。

水道、電気、ガス、電話などの基本料金のほか、住宅や土地のローンが残っていればそれらの支払いもあります。

また、たとえば設備が老朽化した場合、水漏れ、ガス漏れ、漏電などの恐れが生じるため、修理しなければなりません。

屋根瓦や壁が老朽化すれば、強風で吹き飛んでしまう恐れもあるため、やはり修繕が必要になります。

庭木の枝が道路まで伸びてしまっている場合、車両や歩行者の視界を狭めたり、地震などで倒れてしまえば避難経路を塞いだり、緊急車両の通行を妨げたりする可能性もあります。

そうなる前に剪定などをお願いしなければなりません。

このように、空き家を適正に維持管理するには、さまざまな費用がかかります。

もちろん、時間に余裕がある人や、近所に住んでいて容易に様子を見に行けるという人は、自分で管理することでいくつかの費用を浮かせることができます。

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空き家を整理する際にかかる費用の目安は?

空き家を放置したことで老朽化し、自治体から「特定空き家」に指定されてしまうと、所有者に厳しい罰則が待っています。

特定空き家とは、「空き家等対策特別措置法」に基づいて市区町村が指定するもので

  • 保安上著しく危険となる恐れがある空き家
  • 衛生上著しく有害となる恐れがある空き家

と判断された空き家です。

行政から改善に向けた「助言・指導」が行われ、期日までに改善されなければ「勧告」となります。

勧告を受けた時点で、固定資産税の優遇措置対象から除外されるため、最大で固定資産税が6倍に、都市計画税が3倍になります。

「勧告」を受けてもなお改善が見られない場合、「命令」となります。

命令に従わなければ50万円の過料、そして最終段階の「強制対処」が行われます。

自治体が、強制的に空き家を解体することができるわけです。もちろん、それらにかかる費用はすべて所有者に請求がいきます。

このように、空き家は決して放置できない時代になってきています。

そのため、空き家を適正に維持管理することが難しくなった場合、何らかの形で整理することになります。

空き家を整理する方法としては「解体する」「売却または無償譲渡する」「賃貸物件にする」といった方法が挙げられます。

それぞれ、費用や流れ、必要な手続きなどを見ていきましょう。

空き家を解体する

建物の延べ床面積、重機がメインか手壊しがメインか、浄化槽やカーポートの撤去など付帯工事の有無など、さまざまな条件によって費用が変わってきますが、一般的な木造住宅であれば、坪あたり2万5000円〜4万円程度が相場となります。

単純計算で30坪(約100㎡)であれば75万円〜120万円程度が目安となります。

空き家を売却または無償譲渡する

「居住用としてまだまだ十分現役で活躍できる空き家」なら、売却したり無償譲渡したりするといった方法もあります。

売却するときにかかる費用、無償譲渡するときの費用はどういったものがあるのか、見てみましょう。

売却するときにかかる費用

  • 不動産業者への仲介手数料(基本的に売買契約成立時、成功報酬として支払います)
  • 仲介手数料は不動産業者によって金額が異なりますが、宅地建物取引業法によって上限が決められています。
  • 200万円以下の部分…上限は取引金額の5%
  • 200万円超400万円以下の部分…同4%
  • 400万円超の部分…同3%
  • 400万円を超える取引の場合の仲介手数料は「3%+6万円(税別)」となるのが一般的です。
  • 印紙税

空き家の売買契約における印紙税は、売買契約書などに記載されている契約金額によって次のように分かれています。
例)
100万円超500万円以下…2千円
500万円超1千万円以下…1万円
1千万円超5千万円以下…2万円

  • 登録免許税、司法書士への報酬

空き家に抵当権が設定されている場合、抵当権抹消登記が必要になります。

その際に発生する税金が登録免許税で、不動産1つにつき1千円となります。

司法書士への手数料を含めて2万円〜3万円程度が相場とされています。

  • 所得税、住民税、復興特別所得税

空き家を売却して譲渡所得があった場合、譲渡所得に対して所得税、住民税、復興特別所得税(2037年まで)がかかります。

空き家の所有期間が5年未満の場合

所得税30% 住民税9% 復興特別所得税0.63%

空き家の所有期間が5年以上の場合

所得税15% 住民税5% 復興特別所得税0.315%

上記が、譲渡所得に対してかかってきます。

  • その他

ローンが残っている場合は繰り上げ返済および、繰り上げ返済手数料などが必要になります。

また、売却する前にリフォーム等を行う場合はそれらの費用も必要になります。

無償譲渡したときにかかる費用

個人間の取引で、かつ無償譲渡であれば、不動産業者への仲介手数料は発生しません。

また、譲渡所得もありませんので、所得税や住民税、復興特別所得税といった税金の納税義務も生じません。

ただし、抵当権が設定されている場合は、前述の登録免許税および司法書士への報酬が発生します。

また、譲渡される側の要望によって設備の修理などに応じる場合は、それなりの費用が必要になってきます。

空き家を賃貸物件にするときにかかる費用

空き家の劣化が少なく、居住用として十分活用できる、あるいはリノベーションといった手を加えることで賃貸物件として活用できるケースもあります。

駅近など交通の便が良い場所や、人気の地域に建っている空き家なら賃貸物件として需要があるかもしれません。

どの程度、リノベーションするかにもよりますが、例えば全面改装、いわゆるフルリノベーションではデザイン費用として30万円〜100万円程度、工事費用として300万円〜500万円程度が相場と言われています。

内装をすべて解体し、部屋の間取りを全面的に変更する場合の費用の目安です。

全面ではなく、部分的に間取りを変えたりキッチンを入れ替えたりする程度のリノベーションであれば、もう少し安く済み、200万円〜300万円程度が目安となります。

ただし賃貸物件にしても入居者が集まらなければ、単なる大赤字で終わってしまう恐れがあります。賃貸物件にしようと考えている人は、その地域のニーズもしっかり調査しておくことが大切です。

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空き家対策補助金制度を活用しよう

各市区町村は、増え続ける空き家対策の一環としてさまざまな補助金制度を設けています。

また、マイホームを売却したときに利用できる「3,000万円の特別控除」もあります。

こうした制度を上手に活用することで費用を抑えたり、節税したりすることができます。

空き家解体補助金制度

全国にある市区町村といった自治体の多くで、空き家解体に関する補助金制度を設けています。

一例を簡単にご紹介します。

なお、下記でご紹介している補助金制度は、募集が終了したもの、内容が変更になったものもあるため、あくまで参考程度としていただき、詳しくは各自治体のホームページにてご確認ください。

神奈川県厚木市「老朽空き家解体工事補助金」

1年以上空き家になっている厚木市内の老朽空き家を解体する場合、要件を満たすことで50万円を上限に、解体工事費用の2分の1まで補助を受けることができます。

新潟県糸魚川市「危険空き家除却支援補助金」

1年以上空き家になっている糸魚川市の危険空き家を解体する場合、要件を満たすことで50万円を上限に、解体工事費用の2分の1まで補助を受けることができます。

山形県鶴岡市「鶴岡市危険空き家解体補助金」

鶴岡市内にある空き家で、不良住宅判定基準に基づく調査結果が130点以上、あるいは100点以上130点未満で危険であると判定された空き家の解体をする際、75万円を上限に解体工事費用の40%または解体工事費用から土地の評価額を差し引いた額のいずれか低い方を補助してくれます。

そのほかの空き家関連補助金制度

空き家の解体ではなく、利活用のための補助金制度を設けている自治体もあります。

埼玉県川口市「川口市空き家利活用補助金」

まちづくりの活動拠点、地域コミュニティ活性化などの目的で空き家を利活用する場合、対象工事費用のうち100万円を上限に3分の2まで補助してくれるというものです。

東京都大田区「空き家等改修補助金」

空き家を地域のために役立てたいと思う家主、地域貢献活動をしたいと考えている団体の双方が合意し、空き家の利活用が決定した場合、対象工事費用のうち200万円を上限に3分の2(福祉・子育て支援事業)または2分の1(その他の事業)まで補助してくれます。

石川県かほく市「空き家等改修支援補助金」

空き家バンクに登録していることなどが要件となりますが、空き家を居住用として改修する場合、30万円を上限に対象工事費用の2分の1までを補助してくれます。

「3,000万円の特別控除」とは何?

マイホームを売却したとき、所有期間の長短を問わず、譲渡所得から最大3,000万円が控除されます。

「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」と言います。

例えば空き家を売却したときの譲渡費用が3,500万円だった場合、満額3,000万円の特別控除を受けられれば、500万円に対する所得税、住民税、復興特別所得税で済むというわけです。

ただし、空き家を売却して特別控除を受ける場合

【住まなくなった日から3年が経過する日が属する年の12月31日までに売却すること】

という要件があるため注意が必要です。

また、生計を共にする親族、夫婦、売却した空き家で同居する親族や内縁関係にある人、特殊な関係にある法人などとの間での売買においては適用されません。

そのほか、適用のための詳しい要件や手続き方法などについて詳しくは、国税庁ホームページに掲載されていますので、ぜひ目を通してみてください。

国税庁No.3302 マイホームを売ったときの特例

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空き家の維持費用のまとめ

今回は空き家の管理にかかる維持費や税金、空き家の整理にかかる費用などをまとめてご紹介してきました。

空き家の管理は、想像以上に大変なものです。

しかし、放置しておくことはできない時代になってきています。

すでに空き家を抱えている人で適正な維持管理が難しいという人は、できるだけ早く管理を委託する、何らかの方法で整理するといったことを検討しましょう。

また、今は空き家を抱えていないが、将来的に実家を相続する予定がある、かつ、実家に住む予定はないという人も、空き家を抱えることになります。

今のうちから適正な維持管理についての知識を蓄えておくことや、整理する方法を考えておくことが大切です。

その際、空き家の住所を管轄する自治体が補助金制度を設けていることがあります。また売却した場合は3,000万円の特別控除を受けられる可能性もあります。

こうした制度を上手に活用できるよう、情報収集しておくことをおすすめします。

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