空き家の解体費用をご紹介します

空き家の解体費用はいくらかかるの?

日本では人口の減少に反比例するように年々増え続けている空き家が大きな社会問題となっています。

空き家等対策特別措置法などによって国や自治体の空き家対策が進む中、解体の必要に迫られる所有者も少なくありません。

今回は空き家の解体費用についてご紹介してまいります。

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空き家の解体費用の相場をご紹介

平成27年5月26日より完全施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称:空き家等対策特別措置法/空き家法)により

  • 著しく保安上の危険となるおそれがある空き家
  • 著しく衛生上有害となるおそれがある空き家

上記の空き家については自治体の判断によって「特定空き家」に指定され、改善に対する助言や指導、勧告、命令などが下されたのち、最終的には行政執行(強制撤去等)が可能になったほか、勧告された時点で固定資産税の特例対象から除外されたり、命令による猶予期間内に改善が完了しない場合は最大で50万円の過料に処されたりする可能性があります。

今は問題ない空き家でも放置しているとやがて老朽化や陳腐化が進み、特定空き家に指定される可能性は大きくなります。

また空き家は犯罪の温床になったり、不法投棄の現場に利用されたり、ゴミや動物の糞尿、死骸などの腐敗臭あるいは倒壊などによって近隣に迷惑をかけたりと様々なリスクを伴いますので、所有者には適正な維持管理のほか、解体、リフォーム、売却などの対処が求められています。

ここではその中で解体する場合の費用の相場について解説します。

空き家解体費用の相場

建物の種類(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)や広さなどによって変わってくるほか

  • 現場および周辺の環境(道路の幅・敷地面積・隣接する建物との距離等)
  • 解体方法(重機を用いた解体・手壊し中心の解体等)
  • 付帯工事の有無(浄化槽の撤去・カーポートの撤去等)
  • 廃棄物の種類と量

などによっても大きく変わってきます。

そのうえ、地域や解体業者によっても費用に差があるため全国的に統一された相場というものがありません。

そのためあくまで一つの目安となってしまいますが、一般的に言われている相場としては、坪あたり

  • 木造系の解体費用相場 1坪当たり:25,000円~40,000円程度

  • 鉄骨造の解体費用相場 1坪当たたり:30,000円~50,000円程度

  • 鉄筋コンクリート造の解体費用相場 1坪当たり:35,000円~60,000円程度

となり、ここにその他の工事費用や処分費用、諸経費などが加算されることになります。

解体する建物の延べ床面積(平方メートル)を3.3で割ることでおおよその坪数を算出することができ、上記の坪あたりの費用を掛ければ解体費用の目安を計算することができます。

正確な費用については現地調査を行ってからになりますので、解体を依頼しようとしている業者に見積りを依頼するようにしましょう。

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空き家の解体費用補助金制度とは?

自治体によっては、空き家を解体するにあたって工事費用を補助してくれる制度を設けているところがあります。

すべてはご紹介しきれませんが、現在運用されている補助金や助成金制度をいくつかご紹介します。

秋田県秋田市

秋田市老朽危険空き家等解体撤去補助金制度を創設し、補助対象となる工事費用のうち50万円を上限として2分の1まで補助してくれます。

東京都足立区

老朽家屋等解体工事助成制度を創設し、木造であれば50万円、非木造であれば100万円を上限として解体費用の2分の1まで助成してくれます。

神奈川県横須賀市

空き家解体費用補助金制度を創設し、老朽空き家の解体工事に要する費用のうち35万円を上限として2分の1まで補助してくれます。

新潟県燕市

空き家・空き地活用バンク事業(解体撤去費助成)を創設し、助成対象となる工事費用のうち50万円を上限として2分の1まで助成してくれます。

長野県佐久市

佐久市空き家再生等推進事業を立ち上げ、改修および除却工事を行う際に補助対象となる工事費用のうち240万円を上限として3分の2まで補助してくれます。

大阪府豊中市

豊中市木造住宅等除却費補助金制度を創設し、木造住宅(戸建・長屋)では55万円を上限として、木造店舗や事務所等では85万円を上限としてそれぞれ解体費用の12分の5までなど建物の種類により細かく補助限度額と補助率が決められています。

奈良県奈良市

奈良市特定空家等除却費用補助金制度を創設し、特定空き家と認めた空き家の解体費用について30万円を上限に2分の1まで補助してくれます。

広島県廿日市市

廿日市市がけ地近接等危険住宅移転事業補助金制度を創設し、がけの崩壊等によって住民の生命に危険をおよぼす可能性がある地域の危険住宅を解体または移転する際の工事費用のうち1戸あたり80万2,000円を上限に補助してくれます。

このように、自治体ごとに様々な補助金や助成金制度を設けています。

全体的に見て「特定空き家」「老朽家屋」などに指定されている空き家等の解体が対象になっている傾向が見られますが、自治体によっては一般の空き家の解体が対象になっているものもあります。

そのほか、市税を滞納していないことや、市内の解体業者に依頼することなど様々な要件や条件が定められています。

また、申請方法やタイミング、補助金が支払われる時期、募集期間や対象となる工事なども自治体ごとに異なりますので、詳しくは管轄の自治体に問い合わせるかホームページなどで確認しましょう。

空き家の取り壊しに法律はあるの?

空き家の取り壊しが関連している法律で代表的なものといえば前述の「空き家等対策特別措置法」があります。

特定空き家に指定されたのち自治体からの「助言・指導」に従わなければ「勧告」となり、さらに改善が見られない場合は「命令」、この時点で設けられた猶予期間内に改善を完了させなければ「強制執行」の措置がとられます。

なお強制執行によって必ずしも解体されるとは限りませんが、解体するにせよ改修するにせよ、その費用は全額所有者に請求されることとなります。

また、空き家を自分で解体するという場合、いくつかの法律が絡んできますので覚えておきたいところです。

たとえば建設リサイクル法では、解体する建物の面積の合計が80平方メートル以上で特定建築資材が用いられている建物の場合、着工の7日前までに届出を出す必要があります。

申請方法などは自治体ごとに異なりますので、こちらも管轄の自治体に問い合わせるかホームページ等で確認する必要があります。

そのほか、解体工事が完了したあとは建物滅失登記も忘れてはいけません。

不動産登録法で定められている手続きで、建物が存在しなくなったことを証明するための登記です。

解体工事が完了してから1ヶ月以内に法務局にて行うことになりますが、もし怠った場合は最大で10万円の過料に処される可能性があるうえに、土地が売却できない、金融機関からの借り入れができないといったリスクも伴いますので忘れずに行う必要があります。

また、アスベスト含有建材が含まれている場合もレベルによって工事計画届、特定粉じん排出等作業届、建築物解体等作業届などが必要になるほか、適切に処理しなければ自分自身はもちろん、近隣住民への健康被害も懸念されますので、専門家に依頼することも考えなければなりません。

さらに解体工事で発生した廃棄物についても一般廃棄物となるのか、産業廃棄物となるのか、またその処分方法は、といったところが非常に重要になってきます。

規定は自治体ごとに異なりますので、こちらもあらかじめ管轄の自治体に確認しておく必要があります。

解体は人生の中で何度も経験するものではありませんのでついつい情報が不足しがちですが、このように様々な法律が絡んでくるということは覚えておいて損はないでしょう。

【こちらの記事もご覧ください】

  1. 解体だけじゃない空き家の処分方法。解体以外の活用方法を解説
  2. 空き家問題!住宅が資産でなくなる日は近い
  3. 今後、空き家の件数と処理はどうなって行くのか?

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空き家を解体したら固定資産税はどうなる?

固定資産税とは土地や建物、償却資産などにかかる税金のことで、当然ながら空き家も対象となります。

土地の上に建物が建っている場合、固定資産税の特例対象となり、小規模住宅用地(1戸につき200平方メートル以下の部分)では「課税標準額×6分の1×1.4%」、一般住宅用地(1戸につき200平方メートルを超えた部分)では「課税標準額×3分の1×1.4%」が固定資産税率となります。

もし空き家を解体した場合はこの特例対象は排除されることになりますので

  • 200平方メートルまでの部分…最大で6倍
  • 200平方メートルを超える部分…最大で3倍

に跳ね上がります(正確には以前の税率に“戻る”ということです)

また、都市計画税についても最大で3倍になりますので、納める税金自体は高額になる可能性が出てきます。

また、先ほども少し触れましたが、たとえ解体しなくても「特定空き家」に指定され、自治体からの「助言・指導」に従わず「勧告」された時点で特例対象から除外されることになりますので、やはり固定資産税は最大で6倍に、都市計画税は最大で3倍になります。

この制度のおかげで「空き家は解体しないほうが得」と考え、解体せずに放置したままにしてしまっている所有者は決して少なくありません。

しかし、空き家は…

  • 放火や麻薬の取引現場
  • 性犯罪や未成年の飲酒、喫煙の現場
  • ゴミの不法投棄

といった犯罪の温床になってしまう可能性があるほか

  • 壁の倒壊や屋根の飛散
  • 庭木の隣家や公道への張り出し

といった周辺住民に対する危険性が伴ううえに

  • 動物の糞尿や死骸の腐敗臭
  • 放置されたゴミの腐敗臭やガスの発生
  • 害獣や害虫の大量発生

などによって周辺住民に多大な迷惑を及ぼしたり、周辺環境を著しく損なったりしてしまう可能性が大いに考えられます。

所有者は空き家を適正に維持管理する責任が求められますが、もし遠方に住んでいるなどの理由で難しい場合は解体するかリフォームして売却するかといった何かしらの対策を講じる必要があります。

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空き家の解体専門業者っているの?

空き家の解体も一般住宅の解体も基本的には変わりませんので、特に「空き家の解体のみを専門に行っている解体業者」というのはほとんど見かけたことがありません(日本全国を探せばどこかにあるかもしれませんが)。

そのためもし空き家を解体するとなった場合は通常の解体業者を選ぶことになると考えて良いでしょう。

なお、解体業者の選ぶ際は料金よりも実績を重視することをお勧めします。

安く解体できるに越したことはありませんが、あまりに安すぎる場合、発生した廃棄物を不法投棄されてしまったり、コンクリートガラなどを地中に埋められたりしてしまう可能性があります。

廃棄物の不法投棄はそれを行った業者に加えて依頼した人も罰則の対象となってしまうほか、地中にゴミを埋められた場合、土地を売却した際にそれが発覚すると撤去費用を支払う責任が発生するなどトラブルに巻き込まれてしまう可能性がありますので注意が必要です。

地域密着で実績が豊富な解体業者で、ホームページ等にきちんと施工事例などが掲載されていたり、問い合わせの際などに丁寧に対応してくれたりなど料金以外の部分でどのような業者かチェックしたうえで見積り依頼すると良いでしょう。

なお、一括見積もりサイトを通して依頼した場合や、工務店・ハウスメーカー等に仲介を依頼した場合、中間マージンが発生する可能性が高くなります。

仲介を依頼しても最終的に工事を行うのは解体業者ですので、最初から直接依頼することで不要な出費を防ぐことができます。

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空き家の解体ローンとは?

一般的な解体業者への支払い方法は…

  • 着工時に半金を支払い、工事完了後に残金を支払うパターン
  • 工事完了後に一括で支払うパターン

となり、分割払いなどに対応できる業者はほとんどありません。

もしどうしても分割でないと厳しいという場合、上手に活用したいのが金融機関が取り扱っている空き家の「解体ローン」です。

いくつか例をご紹介しますが、全国の様々な銀行や信用金庫、農協、信用組合などで取り扱っていますので、利用したい方は最寄りの金融機関に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

北海道銀行

空き家解体・有効活用ローンは、空き家に関するあらゆる使い道に対して利用できるローンで、最高500万円まで融資を受けることができます。

常陽銀行

常陽空き家解決プランの「解体コース」では最高1,000万円まで融資を受けることができます。

川口信用金庫

空き家解体ローンでは空き家を解体する際に最高500万円まで融資を受けることができます。

JA富山市

リフォームローンの「一般型C・空き家解体型」では居住していない住宅の解体において10万円以上、最高500万円まで融資を受けることができます。

きのくに信用金庫

ジャストマッチプラス50・リフォームローンでは、解体資金として10万円以上、最高1,000万円まで融資を受けることができます。

四国銀行

空き家解体応援ローンでは5万円以上、最高1,000万円まで融資を受けることができます。

熊本銀行

空き家解体ローンでは10万円以上、最高300万円まで融資を受けることができます。

このように全国様々な金融機関が解体に関するローンを提供しています。融資を受けるための諸条件や要件および対象となる工事などについては金融機関ごとに異なりますのでご注意ください。

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空き家の解体は補助金制度を上手に活用

今回は空き家の解体費用について解説してきました。

現在は問題ない空き家でも老朽化が進むことでやがて特定空き家に指定されてしまう可能性があります。

今後住む予定がなく売却等の予定や二次利用などの予定などもないといった場合は、早めの対処が求められます。

今回ご紹介した費用の相場や補助金、ローンなどを上手に活用してみてはいかがでしょうか。

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ABOUTこの記事をかいた人

35年で過去5,000棟の解体工事を手がけた解体専門店・市川工業の責任者であり、解体協会の理事も務めています。 建物解体工事を中心に産業廃棄物のリサイクル業務を中心に、毎年、年間300件以上の解体工事でお客様とふれあう中で「より良いサービスを提供する解体企業になる」をモットーに、業界のイメージと解体工事の品質向上に力を注いでいます。 現在は新潟県解体工事業協会の理事を務め、解体業界全体の品位向上に力を注いでいます。 資格:一級土木施工管理技士、リサイクル施設技術管理者、解体工事施工技士