一般廃棄物と産業廃棄物の違いって何?

 廃棄物は取り扱い注意!

廃棄物と言えば「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分けられます。

事業や店舗の経営に携わっている人であれば違いについては知っていることと思いますが、一般従業員や一般家庭においてはなかな一般廃棄物や産業廃棄物について学ぶ機会も少ないことと思います。

うっかりミスで混合してしまうと罰せられる可能性もありますので、両者の違いや処理方法などの基礎的な部分について知っておきましょう。

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一般廃棄物と産業廃棄物の違いは?

具体的に両者にはどのような違いがあるのでしょうか?

一般廃棄物と産業廃棄物の違いについては、「廃棄物の処理及び清掃の関する法律=(以下、廃棄物処理法)」で、次のように定義されています。 

一般廃棄物

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一般廃棄物とは「産業廃棄物以外の廃棄物」とされています。

つまり「何か」に特定したものではなく、「廃棄する時点の廃棄物処理法で産業廃棄物であるとされている物以外の全ての廃棄物」を指すということになります。

法律上の定めはありませんが、便宜上、一般家庭の日常生活において発生する廃棄物を「家庭系一般廃棄物」、事業所や店舗などから排出される産業廃棄物以外の廃棄物を「事業系一般廃棄物」と呼んでいます。 

産業廃棄物

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現行の廃棄物処理法では、「事業活動に伴って排出される廃棄物で、以下に分類されている物」ということになります。 

1)あらゆる事業活動に伴うもの

2)特定の事業活動に伴うもの

*自治体や学校、NPO、地域団体などの活動も「事業活動」に含まれます。  

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具体的にどのような物があるのか、見ていきましょう。 

あらゆる事業活動に伴う産業廃棄物の例

あらゆる事業活動に伴う産業廃棄物とは、特に業種を限定せず、その品目は全て産業廃棄物となるということを意味しています。 

*燃え殻

石炭がら、灰カス、焼却炉の残灰、炉清掃の排出物など 

*汚泥

排出処理後や各種製造業の生産過程で排出された泥状のもの、下水道汚泥、浄水場沈殿汚泥、ビルピット汚泥、カーバイトかす、ベントナイト汚泥、洗車場汚泥、建設汚泥など 

*廃油

潤滑油系廃油、絶縁油系廃油、鉱物性油系廃油、動植物性油系廃油、洗浄油系廃油、切削油系廃油、溶剤、タールピッチなど 

*廃酸

廃硫酸、廃塩酸、写真現像時の廃液、廃ソーダ液、金属せっけん廃液など 

*廃プラスチック類

廃発泡スチロール、廃合成繊維、合成樹脂くず、廃写真フィルム、廃合成ゴム(廃タイヤ含む)、廃ポリ容器など 

*ゴムくず

生ゴム、天然ゴムの切断・裁断くずなど 

*金属くず

古鉄、ブリキくず、トタンくず、鉛管くず、鉄鋼、非鉄金属の破片、研磨くず、切消くずなど 

*ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず

板ガラスくず、破損ガラス、陶器くず、廃空き瓶、製品の製造過程等で生じるアスファルト、コンクリートブロックくず、レンガくず、石膏ボード、セメントくず、モルタルくずなど 

*鉱さい

高炉等からの残渣(ざんさ=残りカス・不要物)、不良鉱石や石灰、鋳物廃砂、ボタ、粉炭かすなど 

*がれき類

工作物の新築、改築又は除去によって発生したコンクリート破片、アスファルト破片、レンガ破片など 

*ばいじん

電気集塵機捕集ダスト、バグフィルター捕集ダストなど 

特定の事業活動に伴う産業廃棄物の例

特定の事業活動に伴う産業廃棄物とは業種を限定してのものです。 

*紙くず

建設業(工作物の新築・改築・除去に伴って発生するものに限る)に関わるもの、パルプ、紙または紙加工品の製造業・新聞業・出版業・製本業・印刷物加工業から発生する紙くず 

*木くず

建設業(工作物の新築・改築・除去に伴って発生するものに限る)に関わるもの、木材・木製品製造業、パルプ製造業・輸入木材卸売業から発生する木材片、おがくず、バーク類等、物品賃貸業に関わるもの

 *繊維くず

建設業(工作物の新築・改築・除去に伴って発生するものに限る)に関わるもの、繊維工場(衣服等の繊維製品製造業を除く)から発生する繊維くず

 *動植物性残さ

食料品・医薬品・香料製造業において原料として使用した動植物にかかる固形状の不要物(あめかす・のりかす・醸造かす・発酵かす・魚及び獣のあらなど)

 *動物系固形不要物

畜場において処分・解体した獣畜、食鳥処理場において処理した食鳥にかかる固形状の不要物

 *動物のふん尿・死体

畜産農業から排出される動物の糞尿、牛・馬・豚・めん羊・にわとりなどの死体

 *以上の産業廃棄物を処理するために処分したもので、上記の産業廃棄物に該当しないもの  

分類例

「特定の事業活動に伴う産業廃棄物」について少し補足をすると「紙くず」は・・・

 「建設業(工作物の新築・改築・除去に伴って発生するものに限る)に関わるもの、パルプ、紙または紙加工品の製造業・新聞業・出版業・製本業・印刷物加工業から発生する紙くず」

とされていますので、それ以外の業種から排出される紙くずは「一般廃棄物」となります。

また、例えばファーストフード店から排出される廃棄物の中で

【使用済みの紙コップ・広告チラシの余り・残飯・破損した制服】などは「一般廃棄物」扱いとなり、【割れたコップ、使用済み油、グリストラップ汚泥、洗剤のポリ容器】などは「産業廃棄物」となります。

 このように細かく定められています。  

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同じ廃棄物であっても市町村によって解釈が違うこともある?

このように、廃棄物は「廃棄物処理法」において「一般廃棄物」「産業廃棄物」のいずれかに必ず分類されることになります。 

産業廃棄物は・・・ 

A:事業活動に伴って生じ、かつ

B:特定の種類に該当する廃棄物 

となり、上記のABを満たす場合は産業廃棄物、それ以外は一般廃棄物となります。

ところが、次にご紹介するように市町村によってABの解釈が違うケースもあります。 

Aの解釈が違うケース

事業所や店舗の従業員による「弁当ガラ」や「ペットボトル」などは市町村によって解釈が異なるケースが多く見られます。

また同じ市町村であっても処理施設の容量に余裕があるかないかといった時期的な問題でも変わることがあります。 

Bの解釈を誤っているケース

先ほどの例のように、紙くずは定められた業種においては「紙くず」となりますが、それ以外の業種においては「一般廃棄物」となります。

しかしながら量やサイズによって市町村の処理施設では受け入れられないケースがあり、その場合、「産業廃棄物」として処理することを勧められることがあります。

ただしこれは廃棄物処理法上「違法」となってしまいます。

このように市町村が解釈を誤っているケースもありますので、注意が必要です。 

もしこの状況になってしまった場合は、管轄の市町村以外で一般廃棄物の許可を受けている処理業者を探して依頼するようにしましょう。

廃棄物処理法では管轄外の処理業者に依頼することを禁止していませんが、市町村の条例で禁止されている可能性もありますので、一度は市町村に確認をしましょう。

 さらに、一つの事業者に対して一般廃棄物を管轄している市町村と、産業廃棄物を管轄している都道府県が異なった見解を示すこともあります。

この場合は迷ってしまいますが、一般廃棄物となると市町村に責任が発生しますので、市町村の判断を優先させる方が無難です。 

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処理の違いはあるの?

一般廃棄物と産業廃棄物とでは責任の所在や処理方法が異なります。 

一般廃棄物

一般廃棄物の収集・運搬・処分の責任は市町村にあり、ほとんどの場合市町村自らが、一般廃棄物用の処理施設にて処理を行っています。

しかしながら何らかの理由で市町村が行うことが困難な場合には、市町村長は一定の要件を満たした業者からの申請に対して「ごみ処理基本計画」に基づいて一般廃棄物処理業の許可を与えることができます。 

産業廃棄物

産業廃棄物の排出責任は排出事業者にありますので、各事業者は産業廃棄物の収集・運搬・処分の許可を持っている処理業者に委託しています。

リサイクルできるものはリサイクルに回し、できないものは「保管」「分別」が行われます。

保管所で再度分別を行った結果リサイクルできるようになった物はリサイクルへ、それ以外の物は「中間処理」をして細かく砕いたり無害化させ、「最終処分」を行います。 

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一般廃棄物と産業廃棄物を混合しての処分は違法?

一般廃棄物の収集・運搬は市町村長の許可が、産業廃棄物の収集・運搬は都道府県知事と一部政令市長の許可が必要となります。

このように、処分に必要な許可が異なりますので、混合しての処分は違法となります。 

例えば、解体工事現場でタンスなどの木製品を建物内に残したまま解体工事を行い、建物の廃材と一緒に処分をするケースは法律上は違法となる可能性があります。

この場合、事前に自分で粗大ゴミとして処分する、あるいは解体業者に一般廃棄物として処理してもらうことを約束するといったことが必要です。

なお、市町村によっては合理的な判断を行ったのち廃棄物を混合して処分することを認めることもありますので、判断に迷う場合は一度相談をしてみることをお勧めします。 

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間違えないで廃棄物の処理方法

少し難しいお話でしたが、一般廃棄物と産業廃棄物の違いについて解説をしてきました。

法律が変わったり、各市町村の条例が変わることもしばしばあります。

うっかりミスをしてしまわないように、基礎的な部分についてはある程度覚えておきましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

35年で過去5,000棟の解体工事を手がけた解体専門店・市川工業の責任者であり、解体協会の理事も務めています。 建物解体工事を中心に産業廃棄物のリサイクル業務を中心に、毎年、年間300件以上の解体工事でお客様とふれあう中で「より良いサービスを提供する解体企業になる」をモットーに、業界のイメージと解体工事の品質向上に力を注いでいます。 現在は新潟県解体工事業協会の理事を務め、解体業界全体の品位向上に力を注いでいます。 資格:一級土木施工管理技士、リサイクル施設技術管理者、解体工事施工技士