糸魚川大規模火災…今後どうなるのか?

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糸魚川大火災

2016年12月22日。

クリスマスや年末年始を迎え、仕事納めや学期納めなどに向けてのラストスパートが始まり何かと慌ただしいこの時期に、新潟県糸魚川市では147棟が焼けるという大規模火災が発生しました。

発生からおよそ4ヶ月、今はどうなっているのでしょうか。また、今後どうなっていくのでしょうか。

今回は、記憶にも新しく近年では最大級の「糸魚川大火災」について検証したいと思います。

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火災の規模について

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2016年(平成28年)12月22日昼前に発生した火災は、折からの強風や乾燥した空気、木造家屋の密集地であることなども影響し、また応援に駆けつけた多数の消防車の放水によって消火用水が不足するなどしたため、翌日の夕方に鎮火するまでおよそ30時間もの間続きました。

糸魚川駅北側から日本海沿岸まで南北方向に大きく延焼し、363世帯・744人に避難勧告が出され、最終的には全焼120棟、半焼5棟、部分焼22棟の合計147棟、床面積にして30,412平方メートルが焼損しました。

これは単一出火の延焼としては過去20年で最大規模、家屋を巻き込んだ火災としては実に1976年に山形県で発生した酒田大火以来の大火となりました。

人的被害

お年寄りが多く、燃えやすい木造家屋が密集しているといった地域性においてこのような大火であったにも関わらず、幸いなことに死者は発生しませんでしたが、中等症1名と軽症16名の計17名の負傷者が発生しました。

その他の被害

創業350年を超える新潟県最古の酒蔵「加賀の井酒造」、過去の糸魚川での大火を免れ200年近く続いてきた割烹「鶴来家」、美空ひばりさんなど多くの著名人が宿泊したと言われている旅館「平安堂(休業)」などが焼損しました。

損害賠償はどうなる?

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火元は一件の中華料理屋で、出火原因は鍋の空焚きによるものと見られています。

大規模火災における損害賠償というとその損害額は巨額になる可能性がありますが、ここでのポイントは「重大な過失があったかどうか」というところです。

「鍋に火をつけたまま店を離れてしまった」ということですので、重大な過失の典型的な例になりますが、今回の火災による被害額は数十億円にのぼると言われています。

当然、個人で背負えるほどの金額ではありませんし、もし店主が加入している火災保険の特約の中に類焼損害を補償する内容が含まれていたとしても、支払限度額が定められていますので全額を賄うことはまずできません。

そのため、被害を受けた方々はご自身が加入している火災保険で補償を受けることになるものと思われます。

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糸魚川市の対応

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民間の所有地で発生した火災は焼損した建物の解体や撤去、瓦礫の撤去などは原則として所有者が負担するものですが、糸魚川市は早期復旧・復興を目指し、その費用の大半を負担するとともに被災した世帯に見舞金を給付することを決定しました。

また、被災者や関係者に向けた説明会を毎月開催しているほか、糸魚川まちづくり推進協議会では糸魚川市、新潟県、国土交通省、経済産業省の実務担当者による意見交換を行っています。

そのほか、糸魚川市駅北復興まちづくり計画検討委員会では、幅広い提言やアイデアを募るために「復興まちづくりカフェ」を開催しています。

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糸魚川市の現在は?

糸魚川市では現在でも解体作業や瓦礫の撤去作業が続いています。

その一方で、街の復興に向けて様々な動きも出ています。

ふるさと納税の急増

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火災が発生した12月22日から25日までの3日間でふるさと納税が急増し、その寄付額はおよそ5,500万円にのぼったと言われています。

2015年度のふるさと納税の総額がおよそ4100万円ですので、3日間でそれを超えたことになります。

納税には「復興がんばれ」などの応援メッセージも多数添えられていたと言います。

被災者再建支援制度の受付開始

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1月22日から、住宅が全焼(全壊)した世帯を対象とした被災者再建支援制度の申請の受付が開始されました。

この支援では、住宅の被害程度や再建方法に応じて最大で400万円の支援金が支給されます。

ボランティアによる撤去作業や掘り起こし

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瓦礫の撤去や、思い出の品の掘り起こしなど、現場ではボランティアの方々も多数活動されています。

糸魚川荒波あんこうフェア・あんこう祭り

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あんこうの絶好の漁場である糸魚川市では、1月21日~3月11日まで、地元で水揚げされたあんこう料理を味わう「糸魚川荒波あんこうフェア」が開催されました。

催し物の一つである「あんこう祭り」では大鍋あんこう汁や海鮮網焼きなど海の幸を活かした美味しい料理が並び、実に1000食近くを売り上げたと言います。

その売り上げの一部は義援金に充てられるということです。

専門部署を新設

2月1日、国土交通省から出向した職員が糸魚川市の副市長に就任し、復興事業に向けた専門部署「復興推進課」が新設されました。

これにより、今後さらに街の再建に向けての動きを加速させる方針を打ち出しました。

糸魚川けんか祭りを開催

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4月10日、毎年恒例の五穀豊穣を祈って神輿を押し合う「糸魚川けんか祭り」が行われました。

500年も続くと言われる伝統的なこのお祭りでは、威勢良く神輿を押し合う男衆の姿や、家族連れなど多くの見物客で賑わったと言います。

前を向いて頑張って行こうという、糸魚川市の方々の強さを感じます。

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被災された方々の反応は?

糸魚川市は、2月19日に大規模火災によって被災した方々に対しての住民説明会を開き、お店や住宅などの「再建の意向調査」を実施しました。その結果がこちらです。

再建したい:60%

再建しない:26%

未  定:14%

およそ4人に1人が「再建しない」という意向であることが分かります。

「再建しない」理由は?

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お店を営んでいた方々は、その設備が焼損してしまった場合、保険に加入していても全ては賄えず、また保険金を受け取る対象にならないケースなどもあり、そのほとんどは自己負担をしなければなりません。

焼損した建物を解体し、瓦礫等の撤去を行い、新たに店舗を建てたり設備を整えるとなると、ゆうに数千万円の費用が発生してしまうのです。

また、お年寄りの一人暮らしが多い地域でもあり、今回の火災によって地元を離れてしまった方も少なくありません。

年齢的にも費用的にも、再建するエネルギーや回収できる目処が立たないことから、再建を諦めざるを得ないというところが大きな理由のようです。

一方で再建を目指す方も

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住宅を兼ねた店舗は焼損してしまいましたが、「かつての賑わいを取り戻したい」という一心で、糸魚川市からの補助金に加えて自らの貯金も取り崩し、仮店舗としてお店の経営を始めた方もいます。

このように運良く再建できる方もいれば、年齢的な問題や経済的な問題で再建を諦めなければならない方もいます。

「再建しない26%」という数字は、決して「再建したくない」という意味ではなく「戻りたいが戻れない」という意味を多く含んでいるものと思われます。

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今後の課題

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焼損した建物の解体・撤去、損害額の補償、住んでいた方々の仕事や生活など、まだ何も解決しておらず、見通しも立っていません。

「再建に向けた具体的なプランを早く示してほしい」という意見もあるように、まずは糸魚川市ができるだけ早くプランを決定し、提示していくことが求められます。

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がんばれ糸魚川!

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今回の大規模火災は、折りからの強風や空気の乾燥、木造住宅の密集地だったことなどが重なり、次々に飛び火してこのような大規模な災害となってしまいました。

死者が出なかったことが本当に幸いなことではありますが、復旧・復興に向けて少しずつ動き始めたとは言え、道のりは長く非常に険しいものでもあります。

糸魚川市や新潟県がどのように動いていくのか、今後注目したいところです。

この度の大規模火災により被災された方々へ、心よりお見舞い申し上げます。

一日も早い復興と皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。

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ABOUTこの記事をかいた人

35年で過去5,000棟の解体工事を手がけた解体専門店・市川工業の責任者であり、解体協会の理事も務めています。 建物解体工事を中心に産業廃棄物のリサイクル業務を中心に、毎年、年間300件以上の解体工事でお客様とふれあう中で「より良いサービスを提供する解体企業になる」をモットーに、業界のイメージと解体工事の品質向上に力を注いでいます。 現在は新潟県解体工事業協会の理事を務め、解体業界全体の品位向上に力を注いでいます。 資格:一級土木施工管理技士、リサイクル施設技術管理者、解体工事施工技士