内装解体の費用相場と施工手順を解説します

店舗やマンションの内装解体はどの様な施工方法があるのでしょうか?

建物自体は残したまま、内装のみを解体する工事を内装解体と言います。

特に賃貸で入居しているテナントなどは契約書などにも内装解体についての記載があるので知っていると思いますが、いざ退去時などに解体することになったらいくらくらいかかるものなのでしょうか?

施工手順と併せて解説します。

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内装解体の費用相場

飲食店やショップなどをビルのオーナーに返却する際、あるいは築年数が経過したマンションをリフォームする際などに行われるのが内装解体です。

通常の解体工事と異なり、その建物の重要な構造体は残したまま解体することになりますので、高い技術力や計画性などが求められる工事でもあります。

内装解体は大きく「A工事」「B工事」「C工事」に分類されます。

内装解体A工事

建物の“オーナーが発注”する内装解体をA工事といい、その費用はオーナーが負担するのが原則です。

エレベーターやトイレ、エントランスなどの共有スペース、電気設備や配線、配管などの解体がA工事になります。

内装解体B工事

“飲食店やショップなどのテナント側が要望”してオーナーが発注する内装解体をB工事といい、その費用は要望したテナントが負担するのが原則です。

入居が決定したテナントがその事業を始めるために行うケースがほとんどで、防災設備や空調設備、分電盤など建物全体に影響を与える工事でもあります。

内装解体C工事

オーナーに許可を得て“テナントが発注”する内装解体をC工事といい、その費用はテナントが負担します。

スペース返却のための原状回復工事やスケルトン工事、あるいは単に内装を変えるための工事などが含まれます。

内装解体工事はその広さや解体範囲、アスベスト含有建材の有無、間仕切りや内装の装飾品、階数、近隣に駐車場があるかどうか、その他立地条件などによっても大きくことなりますので一概には言えませんが、ごく一般的な相場と言われている費用をご紹介します。

  1. マンション:15,000円~40,000円/坪

  2. アパート:15,000円~40,000円/坪

  3. オフィス:13,000円~38,000円/坪

  4. 飲食店:15,000円~40,000円/坪

  5. ショップ:13,000円~42,000円/坪

なお、アスベストの処理などが追加される場合はさらに費用がプラスになる可能性があります。

もう少し具体例を挙げてみるとこのようになります。

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内装解体の費用事例

  • 飲食店内装解体(床面積30坪):399,000円

  • マンション内装解体(床面積30坪):890,000円

  • 美容室内装解体(床面積18.6坪):500,000円

  • 飲食店内装解体(床面積13坪):540,000円

  • ショップ内装解体(床面積24坪):850,000円

  • 商業施設内装解体(床面積106坪):3,200,000円

  • 飲食店内装解体(床面積15坪):1,000,000円

  • 美容室内装解体(床面積10.89坪):1,200,000円

  • 薬局内装解体(床面積12坪):745,000円

  • 一般住宅内装解体(床面積14.8坪):445,000円

あるいは業者によって

  • カフェ:5,500円/平米~

  • 小さめの飲食店:6,500円/平米~

  • 大きめの飲食店:7,300円/平米~

  • または1坪あたり25,000円~

などと設定しているところもあります。

このように、内装解体費用は工事の内容や条件、業者などによって大きく異なることが分かります。

また「飲食店用の大型の冷蔵庫やキッチンの処分」があったり、「警備員」をつけなければならなかったり、「夜間工事」を行わなければならなかったり、「アスベストの撤去」が必要であったりなど、その他の条件によっても変わりますので必ずしも「坪数=内装解体費用」とはならないことが分かります。

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内装解体の施工手順

続いて、内装解体はどのような手順で行われるのかについて解説します。

内装解体工事前

内装解体において最も大切なのが「打ち合わせ」です。

特にテナント側が内装解体を要望しているケースでは、自己所有物件ではありませんのでオーナーの合意が必須です。

賃貸契約に基づいてまずはオーナーと打ち合わせを行い

  • 解体業者はテナントが選ぶかオーナーが選ぶか
  • 工事の範囲はどこまでか
  • 残すものと撤去するものは何か
  • その他の条件など

をしっかり確認しておくことが大切です。

さらに、そこで決定した事項をオーナーも交えながら3者(解体業者を含む)で再度確認の意味を込めて打ち合わせを行い、書面を交わすなどしておくと、後々のトラブルを防止するという意味でも有用です。

工事内容が決まり、現地調査も終わったら近隣のテナントや入居者に挨拶をしましょう。

内装解体は共有スペースに影響を与えますし、隣接するスペースに振動や騒音などがダイレクトに届きますので、一般的な解体工事よりも迷惑がかかる可能性があり、その分丁寧な挨拶や説明をして理解を得ることが大切になってきます。

解体業者が挨拶回りをしてくれることもありますが、できれば施主も一緒に回るとよりスムーズです。

その他、着工前にしておくべきこととしては

  • 残置物の移動および不用品の撤去
  • ライフラインの停止

があります。

ここで最初の打ち合わせ時に取り決めた「残すものと撤去するものは何か」が大切になってきます。

なおテナント側が独自に購入した物品等は

  • リサイクルショップに売却
  • 引越し先で使用するため一時保管
  • 解体業者に処分を依頼
  • 自治体の粗大ゴミ回収に依頼

などの方法をあらかじめ決めておくようにしましょう。

ライフラインの停止については、その建物自体が契約しているケースとテナントが個別に契約しているケースがありますので、まずはそれを確認し、必要に応じて契約先に停止の連絡を入れるようにします。

また、水道や電気などは解体作業時に使う可能性もありますので、停止するかしないかは事前に解体業者にも確認しておくことをお勧めします。

内装解体工事中

解体工事が始まってしまえば基本的には業者にすべて任せてしまえば良いのですが、流れだけでも把握しておくと進捗状況を確認する際にもスムーズに行えます。

1.養生

内装解体でも通常の解体工事と同様に養生をしっかり施します。

飲食店が隣接していたりすると粉塵が舞うことで多大な迷惑をかけてしまいますので、防塵・防音対策なども入念に行います。

エントランスやエレベーター、トイレに階段など共有スペースについても、作業員の行き来や廃棄物の搬出で使用することになりますので、傷をつけたりしないようしっかりと保護します。

2.内装の撤去

壁材、ガラス、ドア、電気類など内装をどんどん撤去していきます。

もちろん重機は入れませんので人力による手壊しになります。

ただ闇雲に壊すのではなく、建物の重要な構造体は残し、また最初の打ち合わせで取り決めた範囲だけを解体しますので、慎重さと豊富な経験、高い解体技術が求められる作業になります。

また、解体作業で発生した廃棄物についての分別も大切な作業になります。

たとえば天井に設置された蛍光灯を解体する場合、蛍光灯と安定器は分別方法が異なりますので、廃棄物に関する知識も求められます。

さらに、壁、天井、柱などにアスベスト含有建材が使われていた場合、封じ込めや囲い込みなどの作業が必要になることもあります。

3.床材の撤去

内装の撤去が終わったら続いて床材をはがします。強力な接着剤や糊などが使用されていますので、誤って下地を傷つけないように慎重にかつ綺麗にはがすことがポイントです(コンクリートなどを“はつる”こともあります)。

床材を撤去したあとはケレンをしたり、場合によっては下地の補修をしたりすることもあります。

内装解体工事完了後

内装解体工事の大まかな流れは上記のようになりますが、解体工事完了後にも大切な作業が残っています。

4.産業廃棄物の処理

解体工事では大量の様々な種類の廃棄物が発生します。

分類したり細かく砕いたりして搬出し、適切に処分することも大切な作業になります。

解体業者をテナントが自分で選ぶ際に「費用が安い業者」をポイントとしている方もいるかもしれませんが、相場よりも極端に安い業者は特に「不法投棄または不適切処分」のリスクがあるということを覚えておいた方が良いでしょう。

産業廃棄物の不法投棄や不適切処分はそれを行った業者はもちろんですが、施主にも罰則がおよぶ可能性が高くなります。

安い費用で請け負って不法投棄してしまういわゆる「悪徳」と呼ばれる業者は残念ながらまだ存在します。

不法投棄や不適切処分を防ぐためには、廃棄物排出業者・収集運搬業者・処分業者それぞれの業者の処理の流れを記した「マニフェスト」と呼ばれる産業廃棄物管理票を業者側に確認させてもらいましょう。

マニフェストは産業廃棄物の種類、数量、収集運搬業者名、処分業者名、いつどこでどの業者が処理をしたかなどが分かるもので、5年間は保存義務がある管理票ですので、のちに何かしらのトラブルになった際に非常に重要な証拠となります。

5.清掃

無事に内装解体工事も完了し、産業廃棄物の搬出も済んだら、細かいゴミ、ホコリ、チリなども綺麗にする清掃作業を行います。

「ホウキで軽く掃く程度」から「大きな掃除機で隅々まで清掃してくれる業者」までまちまちですので、見積り時などに清掃についてもどこまで行ってもらえるか確認しておくと安心です。

以上が内装解体の一連の流れになります。

なお、次の入居者が決まっている場合などは必要に応じてリフォーム工事を行うこともありますが、こちらは解体業者ではなくリフォーム業者に依頼することになります。

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さいごに

今回は内装解体の費用と施工手順について解説してきました。

解体費用は目安こそありますが、そのスペースをどう使っていたかによっても大きく異なり、また料金設定なども解体業者によって異なりますので、適正な料金かどうかを確認するためには2社以上から見積りを取って比較することをお勧めします。

そして何より、内装解体は「近隣への配慮」と「工事の内容」が大切になります。

オーナーや解体業者を含めて事前に入念な打ち合わせを行って「工事の範囲」や「残すものと撤去するもの」を明確にしておくと同時に、隣接するテナントやその他の入居者への挨拶や説明をしっかり行うようにしましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

35年で過去5,000棟の解体工事を手がけた解体専門店・市川工業の責任者であり、解体協会の理事も務めています。 建物解体工事を中心に産業廃棄物のリサイクル業務を中心に、毎年、年間300件以上の解体工事でお客様とふれあう中で「より良いサービスを提供する解体企業になる」をモットーに、業界のイメージと解体工事の品質向上に力を注いでいます。 現在は新潟県解体工事業協会の理事を務め、解体業界全体の品位向上に力を注いでいます。 資格:一級土木施工管理技士、リサイクル施設技術管理者、解体工事施工技士