解体工事のトラブルとは?
解体は一生のうちに何度も経験するものではありませんので、私たち一般人からすれば専門的な知識が乏しいのは当然のことです。
そのためいざ解体をしなければならなくなった時に「高額な費用を請求されないかな」「近隣への配慮をきちんとしてくれる業者かな」など、不安な点がどんどん出てきます。
またお互いの認識の相違や運が悪く杜撰な解体業者に当たってしまった場合にはトラブルが発生してしまうことも。
今回は解体業者との間で起こりやすいトラブルをまとめました。解体を依頼する前にぜひ知っておきましょう。
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解体業者とのトラブル20選
それでは早速、解体業者との間で起こりやすいトラブルについて見ていきましょう。
(1)近隣への挨拶がない
解体工事は騒音や粉塵などを伴います。
また大型車が出入りすることもありますので、住宅地であればなおさらのこと、解体工事を行う前に近隣への挨拶が大切になってきます。
具体的には
「いつからいつまで解体工事を行います」
「工事期間中は大型車が出入りします」
「○時から○時まで行います」
といった、どのような工事なのかを具体的に説明したり「ご迷惑をお掛けしますが何卒ご理解賜りますようよろしくお願い申し上げます」といったお詫びを予めしておくものです。
(2)騒音問題
事前にしっかりと近隣への挨拶を行っていればある程度の騒音は仕方ないと許容してもらえるでしょう。
しかし全く挨拶がなく突然大きな音を出して解体を始めてしまった場合、近隣との騒音問題=訴訟問題にもなりかねません。
また作業時間が決まっているのにそれよりも早く作業を開始した(例えば朝8時開始なのに7時半から作業を始めてしまった)などの場合も問題に発展することがあります。
(3)粉塵問題
解体工事をする際には少なからず粉塵が舞いますので、近隣に飛散しないようしっかりと足場を組んで防塵シートなどで囲うのですが、それらの設置が不十分なまま行ってしまうと近隣に迷惑をかけてしまうことになります。
特に、お隣さんと近い場合や、駐車場が近く常に車が止まっている様な現場条件では、必ず粉じんの養生をしてもらえるようしましょう。
(4)振動問題
騒音問題や粉塵問題と同様に予めしっかりと説明があればある程度は許容してもらえるところですが、何の説明もなかった、あるいは話に聞いていたよりも酷い振動だ、といった場合もトラブルになりかねません。
(5)作業員の態度が悪い
休憩中にタバコを吸ってポイ捨てをする、道路の真ん中に車を停めて昼寝をしている、作業開始時間より早く現場に来て大きな声を出して騒いでいる、近隣の人とすれ違う際などに挨拶をしないなど・・・
作業員の態度が悪い場合もトラブルの元になります。
作業員の身だしなみや挨拶が出来ているかなど、チェックしておきましょう。
(6)業者の対応が不誠実
何らかの決め事をする際に約束の期日までに回答や連絡がなかったり、工事期間中に近隣から苦情が来たにも関わらず何の対応もしない、ということもあります。
また日々の作業の終了時に通常は清掃を行うものですがそれも行われていなかったり資材や瓦礫などを敷地外にはみ出して保管していたりする場合もトラブルの元になりかねません。
(7)解体許可の認可を受けていない
解体工事を行うには建設業許可(建築工事業、土木工事業、とび・土工工事業、解体工事業のいずれか)あるいは解体工事業登録が必要となります。
免許や許可証あるいは登録番号などが確認出来ない業者の場合、都道府県に問い合わせてみましょう。
もしそこでも確認出来ない場合は未認可の業者ですので依頼はすぐに中止してください。
(8)解体に掛かる費用総額を明示しない
見積もりが曖昧で項目に関する説明も不十分など、地中障害物等の追加工事は別として着工前にしっかりと費用総額を明示しない業者はのちのちトラブルになる可能性が非常に大きいため注意が必要です。
(9)追加費用を請求される
たとえ着工前に費用総額を明示してきても、「面積が思っていた以上だった」「廃棄物の量が増えた」など何かしらの理由をつけて追加費用を請求するケースがあります。
追加費用が発生しそうな場合は勝手に行わず、事前に連絡をもらうように決めておきましょう。
(10)不法投棄
解体工事の際に出た産業廃棄物の処理を適正に行わず不法投棄してしまうと施主の責任にもなります。
マニフェスト(産業廃棄物管理票)といって解体工事で発生する産業廃棄物が最終処分されるまでの過程を管理する票があります。
これによって産業廃棄物排出事業者(このケースでは解体業者)から中間業者を経て最終処分業者へと流れていく道筋が確認出来ますので、不安な場合はマニフェストを確認させてもらいましょう。
(11)解体工事を放棄してしまう
工事代金を前もって回収し、あとは何らかの理由をつけて放置してしまうという悪徳業者が現実として存在します。
施主にわざと対立するような問題を投げかけたり、自社では対応できない事態が発生してしまった場合などに逃げてしまうケースもあります。
(12)未申請のまま工事を行う
解体工事を行うには、事前に行政への届け出や、必要に応じて道路使用許可などを得なければなりません。
これらの届け出等を行わずに着工してしまい、行政や警察署から指導や勧告を受けてしまうケースがあります。
そのまま放棄に繋がる可能性もありますので着工前に必要な申請等は済んでいるか、確認をしましょう。
(13)一方的な工期の延期
天候や災害など不可抗力によって工期が延びてしまうケースは仕方がありませんが、正当な理由もなくずるずると工期が延びてしまうと、その後に予定していた新築の建設に大きな影響が出てしまいます。
(14)下請けに丸投げしてしまう
地域を問わず全国的に解体工事を請け負っている会社があります。
これは受注をしたらその地域の下請け会社に丸投げする可能性が大です。
その場合、解体工事中に発生したトラブルの責任の所在が曖昧になってしまう、発注した業者にお願いしたことが正確に伝わっていなかった、マニフェストなどの書類が確認しにくいなどのトラブルを招く可能性があります。
(15)地中障害物の追加工事を勝手に行う
コンクリートブロック、浄化槽といった建物の地中に埋もれている物を地中障害物と言います。
見積もりをとる時点ではこれらの地中障害物は見えませんので「地中障害物は別途」といった表記がされているのが通常です。
実際には無かったのにあったことにして追加料金を請求する業者もいますので、地中障害物があった場合は写真に収めてもらう、あるいは追加工事を行う前に施主に確認し、施主も実際に現場を見るといった対策を取りましょう。
(16)アスベストを適切に処理しない
健康被害が社会問題になっているアスベストやアスベストを含有する建材の廃棄処分には特殊な処理が必要になります。
またその作業レベルに応じて所轄の労働基準監督署長または地方自治体あるいは都道府県知事への届け出が必要なケースもあります。
アスベストを含有している建材であると知っていながら適切な処理を行わない業者もいますので、事前にどのような処理を行っているのか確認すると同時にマニフェストをしっかり確認しましょう。
(17)損害賠償保険に加入していない
解体業者の不注意で隣近所の家を破損・汚損してしまった、あるいは敷地内に瓦礫や泥などが流れ込んでしまって車が傷ついたり家庭菜園が埋もれてしまった、など自身も含め近隣に被害が発生した場合は通常は解体業者が責任を負うのです。
しかし、損害賠償保険などに加入していない業者の場合、十分な賠償を行わなかったり施主にも責任がある、と被害額を請求するケースも考えられます。
(18)工事内容の不一致
工事の範囲が打合せと違い、残したかった樹木を撤去してしまった、撤去の予定がなかったブロック塀が撤去されてしまった(あるいはその逆)などといったケースも散見されます。
残して欲しいもの、撤去して欲しいものなどは契約書などに記載することで未然に防ぎましょう。
(19)建物取毀(こわ)し証明書を発行してもらえない
建物取毀し証明書は解体業者が記入し発行するものです。
これが無いと解体が完了したことにならず、建物滅失登記をすることが出来ません。
必ず発行してもらうようにしましょう。
(20)路上駐車によるトラブル
工事車両はもちろん、作業員の通勤車などを路上駐車すると近隣住民やその道路を通らなければならない人たちにとっては非常に邪魔でもあり危険でもあります。
敷地内に停められるスペースが無い場合は近隣のコインパーキングに駐車してもらうなど事前に取り決めをしておきましょう。
解体業者を選ぶ際に押さえておきたいポイント
・解体工事に関する許可証一式を確認させてもらえるか
・解体工事の実績があるか
・口頭ではなく書面で契約交わせるか
・会社の住所やホームページなどがきちんとあるか
・近隣への挨拶やトラブル対応はどのように行っているか
・損害賠償保険に加入しているか
・地中障害物を含め、追加工事は事前に確認をしてもらえるか
・建物取毀し証明書は発行してもらえるか
・マニフェストを確認させてもらえるか
これらを押さえておきましょう。
また見積もりなどの際に作業員の身だしなみや挨拶などについてもしっかりとチェックをしておきましょう。
もしもトラブルに遭ったら!
十分に気をつけていても起こってしまうのがトラブルです。
解体業者と喧嘩をしたり言い争っても解決することはほぼありませんので、冷静に対応しましょう。
その際、アドバイスを受けるための相談先として次のような方法が挙げられます。
消費者センターに相談する
消費者の消費生活に関わるトラブルや苦情などは消費者センターに問い合わせることが出来ます。
独立行政法人国民生活センターは全国各地に消費者センター窓口を設置していますので、万が一トラブルが発生した際には相談をすることをおすすめします。
弁護士に相談する
消費生活センターでは解決が難しい場合は弁護士に相談するのも一つの手です。
建設業界に強い弁護士もいますので、トラブルになりそうな時は事前に調べておくと良いでしょう。
法テラスに相談する
法テラスは法律相談窓口で、「このトラブルは法的に解決できるのか」「どこに相談するのが良いか」などを無料で相談出来ます。ぜひ活用しましょう。
解体工事のトラブルゼロを目指して
解体業者との間で起こりやすいトラブルは意外と多いものです。
お互いに気持ちよい取引を行うためにも、また近隣の人たちとの無駄なトラブルを避けるためにも、解体業者はしっかりとポイントを踏まえて選ぶようにしましょう。