家を処分する際に家屋を解体して更地にしてからと考える方は少なくないでしょう。しかし、家屋の解体費用というのはそれなりにかかるものです。
その解体費用がない場合にはどうしたらよいのでしょうか。そこで今回は、処分する家の解体費用がない場合の対処方法を説明します。
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空き家の管理はお金がかかる
使用しなくなった家を処分せずにそのまま放置すると、空き家になってしまいます。その空き家を保有することで問題になるのが管理です。誰も住む人がいない家屋というのは、劣化が早いという特徴があります。
そして、劣化した空き家は倒壊の危険性や周辺への衛生面での問題を発生する可能性があり、その結果「特定空き家」に指定されるかもしれません。特定空き家に指定されると最悪の場合、罰金が課せられるうえに固定資産税も割高になります。
かといって、引っ越しなどで処分したい家から遠く離れてしまうと、適切に管理するのは難しいかもしれません。そこで空き家となった家を解体しておけば、管理のための費用や労力は不要となります。
家の解体には費用がかかる
管理費用がかからないとはいえ、家を解体するにはそれなりの解体費用がかかります。
家の解体費用はどの程度かかる?
あくまでも目安ですが、家の解体費用は木造住宅の場合、1坪あたり40,000ほどかかります。(※1)鉄骨造であればこれが60,000円ほどに、鉄筋コンクリートとなれば70,000円にもなります。
さらに条件によっては解体費用が高額になる可能性もあるので注意しましょう。たとえば家に接する道路が狭く、解体に必要な重機が入れないとなると費用は割高になります。廃棄物の搬出を手作業で行わなければならないからです。
あるいは劣化が激しく一部がすでに倒壊しているような場合、廃材の分別に手間がかかります。このように家の立地条件や建物の状態によって、解体費用が高額となるケースがあります。
家の解体費用に助成金が出る?
全国的に増え続ける空き家対策として、国はさまざまな取り組みをしています。では、その空き家となった家を解体するために国は何か補助金などを用意しているのでしょうか。
国は空き家の解体に関する補助金を提供していますが、これは個人ではなく自治体に支払われています。つまり個人に対しては、国から助成金や補助金は支払われないということです。
自治体から個人に対して、空き家解体における補助金が支払われるケースがあります。たいていは解体費用の2分の1までと制限がありますが、一部の自治体では空き家の解体に補助金が出ます。空き家の解体を検討している方はチェックしてみてください。
ただし、空き家と認定されるためには1年以上住んでいないという条件があります。解体費用の補助金をもらうためには、この条件をクリアしなければなりません。
家の解体費用は土地の売却金額で補う
家を解体するためには必ず費用がかかります。そこで発想を変えて、その解体費用をいかにして回収するかを考えてみましょう。
空き家の解体費用は借り入れができる
解体費用を回収するためには、家を解体して更地を売却すればよいと考えられます。その売却金額を解体費用にあてることで、負担をなくすことができます。
もちろん解体費用は売却より先に支払わなければなりません。では解体費用を支払う現金がない場合はどうすればよいのでしょうか。
実は全国の銀行などさまざまな金融機関は、空き家を解体するための費用を「空き家解体ローン」などの名目で貸し出しています。たとえば、埼玉りそな銀行は「りそなリフォームローン」を提供していますが、このローンを空き家の解体に利用できます。(※2)
空き家解体ローンは借り入れ期間が10年から15年ほどですが、土地を売却したあとの売却代金で一括返済ができます。
1年以上住んでいない家は空き家として認定されるので、このような解体ローンを利用することが可能です。
家の解体前に再建築が可能か確認を
家を解体して土地を売却する前に、その土地が再建築できるかどうかを確認しておきましょう。
接道義務(道路の幅員が4メートル以上あること)を満たしていない土地は空き家を解体してしまうと、あらたに建物を建てることができません。1979年の建築基準法改正前に建築された空き家は注意が必要です。
再建築ができない土地は、活用方法が限られてしまいます。その結果、売却に時間がかかる可能性があるので注意しましょう。
家を解体したあとの用途を熟知すること
家を解体したあとの土地を売却するとなれば、買い手がどのような用途で購入するのかを考えることが大事です。
更地を購入する目的としては、自宅を建てることやアパート、マンションなどを建設することがあります。そのほかに、駐車場として運用することもできるでしょう。
自分が売却する空き家のあるエリアは、どんな需要があるのかを調べておきましょう。住宅を建設して住む人がいるのか、あるいは賃貸住宅としての需要があるのかをチェックする必要があります。
あるいは駐車場の需要があるのかなど、買い手にとってどのような魅力があるのかを理解してとかなければなりません。いずれの需要もないとなれば、わざわざ解体しても買い手がつかない可能性があります。
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家を解体せずにそのまま売却する
家の解体費用がどうしても捻出できない、あるいはローンを組みたくないという場合には、そのまま売却する方法があります。再建築不可物件の場合にも、解体せずにそのまま売却するほうがよいかもしれません。
家をそのまま売却する際の注意点
老朽化した家を解体せずにそのまま売却するのは、実際には難しいものです。修繕費用がかかりますし、場合によっては基礎工事も必要になるからです。
しかし解体費用をどうしても調達できないとなれば、そのまま売却せざるを得ません。その場合には2つの注意点があります。
まずひとつは、空き家バンクなどを利用して幅広く買い手を探すということです。
老朽化した家を購入しようという人は、そう多くありません。しかし、空き家としての魅力を感じて購入を検討する人もいます。
空き家バンクはなかなか買い手がつかない空き家の利活用の方法などをアピールすることで、幅広く購入希望者を募ることができます。そこでまずは、空き家バンクに登録して活用できる潜在需要を掘り起こすようにしましょう。
家をそのまま売却するためのポイント
使用しなくなった家は放置する期間が長いほど、手直しにお金がかかります。もちろんその費用を負担するのは買主なので、費用負担分を売却金額から引かなければなりません。
それを踏まえて、できる限りの管理をしておくようにしましょう。空き家となれば住む人がいないので早く傷んでしまうからです。
たとえば空き家を相続などで取得した場合には、早期に売却するか否かの判断をしましょう。時間が経つほど建物は傷み、その補修にお金がかかるからです。用途がなければ解体するか、その費用がなければそのまま売却することを検討しましょう。
遠方にある実家を相続するなど、普段はなかなか足を運ぶことができない空き家ならば、せめて換気だけでもしておくと違います。室内にこもった湿気を逃すだけでも老朽化を遅らせることが可能です。
また室内にホコリがたまると湿気を含みカビの発生や躯体の劣化につながります。換気とともに室内のホコリも掃除をするようにしましょう。
できる限り空き家の老朽化を防止することで、売却もしやすくなります。売却金額もそれなりに高くなるので、売却するまでは月に一度は足を運んで手入れをすることをおすすめします。
まとめ
家を解体するためには、ある程度の費用がかかります。現金を用意できない場合、空き家となれば金融機関の「解体ローン」などを利用できます。
しかしそのようなローンを借りてまで解体したくないという場合には、そのまま空き家として売却することも可能です。そのためには適度な管理が必要になることを知っておくとよいでしょう。
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参考サイト
(※1)
「解体費用について」
https://www.akiya-akichi.or.jp/use/patterns/scrap/expensive/
(※2)
「りそなリフォームローン」
https://www.saitamaresona.co.jp/kojin/reform/