良い解体業者、悪い解体業者の見分け方
家屋やビル、あるいは蔵や倉庫など、建築物を解体するときは解体業の免許を持つ解体業者に依頼しなければなりません。
施主として絶対に避けたいのが金銭面やその他のトラブルですが、残念ながら中には悪徳業者も存在します。
また、優良な業者であってもホームページを持っていることが少なく、情報収集に苦労することも。
そこで今回は、良い解体業社の探し方や依頼方法などについて解説をいたします。
これから解体の予定がある方、将来的な解体に備えて知っておきたい方はぜひ、参考にしてみてください。
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良い解体業者の探し方
良い解体業者を選ぶために、まずは最低限押さえておきたいポイントをご紹介します。
(1)必要な許可を得ているか(許可証をきちんと所有しているのか)
解体工事を行うには「建築工事業」「土木工事業」「とび・土木工事業」「解体工事業」のいずれか一つを所有している、あるいは「解体工事業登録」がされていることが大前提です。
これらの許可を得ているか、許可証をきちんと所有しているかを確認しましょう。
(2)所在地は明確か
当然ですが、どこに会社があってどんな会社なのかが分からなければ依頼するのは危険です。
所在地が明確であることを確認しましょう。
なお、たとえ所在地が明らかでも、住居用のマンションの一室であったり、一般家屋などの場合は注意が必要です。
(3)重機を所有しているか
重機を所有していなくてもリースという形で解体工事を行うことができますが、保管場所などがない業者は自社で所有していないケースがあります。
その場合、解体費用に重機のリース費用もプラスされてしまいますので、できるだけ自社で所有している業者を選びましょう。
(4)マニフェストを発行し写しを提出してくれるか
マニフェストとは「産業廃棄物の管理伝票」のことを指します。
産業廃棄物の種類、量、運搬業者名、中間処理業者名、最終処分業者名などが記載されていて、その解体工事で発生した産業廃棄物がどのような流れで処分されるのかを示したものです。
もし不法投棄をされてしまうと、解体業者だけでなく施主も罰せられますので、口頭ではなく必ず「写し」をもらうようにしましょう。
(5)保険に加入しているか
解体工事中に隣接する家屋などを傷つけてしまった、あるいは怪我をさせてしまった、といった場合に適用される損害賠償保険等に加入しているかどうかを確認しておきましょう。
(6)支払い方法
優良でなくとも、通常の業者であれば工事後の一括払い、あるいは工事の進行状況に合わせた分割払いなどを提案してくれます。
逆に工事前の一括払いであったり、たとえ分割払いでも工事の進行状況よりも明らかに早い段階での請求をする業者は避けた方が無難です。
そのほか、良い解体業者を見分けるためのポイント
上記以外にも、まだまだ良い業者かどうかを見分けるためのポイントがあります。
電話対応
これまでは建築関係の電話対応というと体育科系というか、少しぶっきらぼうなイメージがありましたが、現在ではそのようなところは少なくなりました。
まず始めに施主が業者と接するのが電話対応になりますので、対応が雑、言葉遣いが悪い、折り返しの連絡などがきちんと来ない、といった業者であれば先々トラブルになりかねませんので、避けましょう。
相見積もりをとる
たとえ一件目に見積もりを依頼した業者の対応などが良かったとしても、必ずしも適正な金額であるかどうかは判断できません。
できれば見積もりは2社以上から取るようにしましょう。
素人にもわかりやすい見積もりの明細や工事内容の説明など
見積もりの詳細を見せてもらったが専門用語ばかりで説明がなく分からない、あるいは大雑把にしか書かれておらず、何にいくらかかるのかが分からない、工事がどのように進んで行くのかが分からない、といった業者はトラブルの元になりますので避けるようにしましょう。
ホームページを持っていて、所在地や代表者名などが明らかで、過去の実績なども写真付きで掲載されている、どのような資格や許可を得ているかが明確というのであれば良いのですが、残念ながらそういう解体業者は多くはありませんので、このようなことを参考にしてみてください。
解体業者への依頼方法
依頼の方法は大きく2種類に分けられます。自分自身で直接、解体業者に依頼する「分離発注」と、ハウスメーカーや工務店などに依頼する「一括発注」です。
分離発注
家屋の解体のみを解体業者に依頼し、不要品の処分あるいは工事以外の業務などについては別の業者に依頼する発注方法です。
一括発注
ハウスメーカーや工務店などに依頼して工事から不要品の処分、その他解体工事に関わる全ての業務を一括で行ってもらう発注方法です。
依頼を受けたハウスメーカーなどが下請けに改めて発注する流れになりますので中間マージンが発生します。
ここでは、分離発注における依頼方法をご紹介します。
まずはインターネット、タウンページなどの情報誌、知り合いの伝などで解体業者をピックアップしたら、次に電話やメールなどで問い合わせて、概算見積もりを依頼します。
その際に必要になるのが以下の情報です。
*お住まいの住所および解体する場所の住所
*時 期
*構造(階数・木造・鉄骨・RCなど)
*広さ(坪または平米)
*現場周辺の道路の広さ
*隣家との距離
*家屋以外に解体あるいは処分を依頼するものの有無
そうして概算見積もりをもらったら、今度は現地調査の依頼を行います。
なお、相見積もりを取る際に、他社の金額はできるだけ教えないようにしましょう。
本当はもっと安く済むはずが、その金額に合わせて上げてくる可能性もありますし、また安く設定しておいて後から追加費用を請求してくるケースもあるためです。
解体業者が決まったら
解体は、業者が決まったらすぐに始められるものではありません。
着工前にいくつかの申請や手続きなどを行う必要があります。
その多くは解体業者が代理で行ってくれるものではありますが、施主も知識として知っておかないと工事に支障が出るだけでなく施主が罰せられてしまう可能性もありますので、最低限、どのような申請や手続きが必要になるのかを知っておきましょう。
(1)建築リサイクル法に則った申請
「特定建設資材を用いた建物」「床面積の合計が80平米以上の建築物」「請負代金が500万円以上のもの」などは建築リサイクル法の対象となり、着工日の7日前までに各都道府県知事に工事内容等を記載した書類を提出します。
基本的には解体業者が代理で申請してくれますが、その際には施主の委任状が必要になりますので覚えておきましょう。
(2)道路使用許可の申請
重機やトラックなどの往来、資材の搬入・搬出などがありますので、道路交通法に基づいた道路使用許可の申請が必要になります。
解体業者が警察署長へ申請するものですが、有料となりますので見積もりの際に確認をしておきましょう。
(3)ライフラインの停止・解約
電気・ガス・インターネット・電話などのライフラインの撤去や停止の手続きを行います。
なお、水道に関しては、粉塵が舞うのを防ぐために放水をしながら作業を行ったり、清掃等でも使用しますので、基本的には解体工事が完了するまで停止しないようにしましょう。
(4)室内残置物の移動や処分
解体工事が始まる前までに、家財などの移動や処分を行います。
不要品については回収業者にお願いしたり、粗大ゴミとして出すことで安く済むケースがあります。
また、解体業者に回収を依頼することもできますが、不要品の回収には「一般廃棄物収集運搬業務許可」と「古物商許可」の両方が必要になります。
もしそれらの許可を得ていない場合、不法投棄をされる可能性も出て来ますので、依頼する際に確認をしましょう。
解体工事が完了したら
解体工事の完了後にも、不動産登記法に基づいた「建物滅失登記」の申請が必要になります。
建物滅失登記とは、その建物が滅失たことを法務局の登記簿に登記することです。
解体工事完了後1ヶ月以内に登記を行います。
なお、一般には施主の委任状により土地家屋調査士や司法書士などが代理で行いますが、施主が自分で申請することも可能です。
解体業者を選ぶための情報が少ないと、どうしても妥協してしまいがちですが、解体工事にかかる費用は決して安くはありませんし、またトラブルも多発しています。
お互いに気持ちよく契約を結び、無事に工事が完了するためには「解体業者選び」でほぼ決まると言っても過言ではありません。
今回の情報を参考に、ぜひ失敗しない解体業者選びをしてください。
解体業者選びは慎重に
解体工事は普段目にすることがあまりないため、いざ自分でやる事になった時は不安がいっぱいだと思います。
分からない事だらけ・・・ だからこそ、業者選びは慎重に行って頂きたいと思います。
基本的に、施主様ご自身でやらなければならない事は限られていますので、申請手続きから工事完了までのほとんどを解体業者にお願いする事とになります。
価格はもちろんですが、それだけを判断基準にするのではなく、誠実な対応やその人柄、会社の姿勢など全体を良く見てもらいたいと思います。
そうすれば、かならず成功する解体工事が出来るはずです。