土地を売却した時の税金をシミュレーションしてみた!

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土地を売却した際にかかる税金とは?

土地を売却した際、税金はいくらかかるのでしょうか?

もちろん、土地の売却価格がそのまま利益になる訳ではありません。

税金などを差し引いて、最終的に手元にのこる金額が利益です。

土地の売却予定がある人は、何に対してどんな税金がかかってくるのか、知っておくとシミュレーションする際に便利です。

シミュレーションの前に、まずは土地の売却時にかかる税金について知っておこう!

シミュレーションをするには、土地を売却した際にかかる税金について知っておかなければなりません。

土地などの不動産を売却した際にかかる税金は大きく3種類です。

まず1つめは、土地の売却時にかかる税金の中で最も大きな「譲渡所得税・住民税・復興特別所得税」です。

これは、譲渡所得、つまり土地を売却して得た利益に対してかかってくる税金のことです。

極端ですが、土地を売却して譲渡所得、つまり利益が出なければ支払う必要がない税金でもあります。

平成49年(便宜上平成としています)までは、所得税とは別に「復興特別所得税」も課税されます。

次に「印紙税」があります。

日本では、特定の文書を作成したとき、印紙税が課税されますが、土地の売買契約においても文書に対して印紙税が課税されます。

なお、印紙税の負担は基本的に「売却する側」が負担することが多いのですが、契約内容によっては「購入する側」が負担したり、折半したりすることもあります。

そしてもう一つが「登録免許税」と呼ばれるものです。

聞き馴染みがない人も多いかもしれませんが、簡単に言えば不動産の登記にかかってくる税金です。

“抵当権の抹消登記”“所有権の移転登記”の際に必要になる、いわば手数料のようなものです。

以上が、土地を売却した際にかかる税金です。

詳しくは後述しますが、印紙税は契約金額によって、登録免許税は不動産の数によって決められているため、ここで言うところの税金のシミュレーションとは、主に「譲渡所得」にかかってくる所得税と住民税を指します。

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譲渡所得の求め方と土地を売却した際の税金の計算方法についての基礎知識

土地を売却した際にかかる譲渡所得税や住民税を算出するには、何より「譲渡所得」を明確にしなければなりません。

では、実際に譲渡所得はどうやって計算すれば良いのでしょうか?

詳しく解説していきます。

譲渡所得の求め方

譲渡所得は【売却金額−(取得費+譲渡費用)】という計算式で算出することができます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

※売却金額

これはそのまま、土地を売却した金額になるので、説明は省かせていただきます。

※取得費

土地にかかる原価を指します。

土地の購入費用以外にも次のような費用が含まれます(以下はいずれも土地の取得時のものです)。

  •  不動産業者に支払った仲介手数料
  •  印紙税や登録免許税(購入時に負担した場合)
  •  不動産取得税
  •  登記費用
  •  ローンの保証料 など

これらの費用を取得費として計上することができます。

しかし、親から受け継いだ土地などの場合、購入費用がいくらだったかなどはっきり分からないことも少なくありません。

取得費が不明な場合、概算取得費として売却金額の5%で計算することができます。

※譲渡費用

こちらは、土地を売却するまでにかかった費用を指します。

例えば次のような費用があります。

  •  不動産業者に支払った仲介手数料
  •  印紙税や登録免許税(売却時に負担した場合)
  •  測量費用 など

取得費と同じように、不動産業者に支払った仲介手数料や、印紙税、登録免許税などのほか、測量費用も含めることができます。

仮に、その土地に誰かが住んでおり、立ち退き費用を支払ったといった場合、その費用も含めることができます。

建物が建っていて解体した場合も同様に譲渡費用に含めることができます。

それぞれの税金の計算方法

ここまで、譲渡所得は【売却金額―(取得費+譲渡費用)】で算出できること、取得費・譲渡費用にそれぞれ含めることができるものなどを解説してきました。

譲渡所得を算出できたら、次は税金の計算方法を覚えていきましょう。

※登録免許税

まずは最も簡単な「登録免許税」です。

登録免許税は不動産1つにつき1000円かかります。

土地を1つ売却する場合は1000円、住宅つきの土地を売却する場合は2000円ということになります。

※印紙税

次に簡単なのが「印紙税」です。

印紙税は契約金額によって次のように分けられています(2019年1月時点)。

契約金額と照らし合わせれば一目で印紙税がいくらか算出できます。

契約金額 印紙税

  • 1万円未満 非課税
  • 1万円超〜10万円以下 200円
  • 10万円超〜50万円以下 200円(400円)
  • 50万円超〜100万円以下 500円(1000円)
  • 100万円超〜500万円以下 1000円(2000円)
  • 500万円超〜1000万円以下 5000円(1万円)
  • 1000万円超〜5000万円以下 1万円(2万円)
  • 5000万円超〜1億円以下 3万円(6万円)
  • 1億円超〜5億円以下 6万円(10万円)
  • 5億円超〜10億円以下 16万円(20万円)
  • 10億円超〜50億円以下 32万円(40万円)
  • 50億円超〜 48万円(60万円)

※印紙税のカッコ内の金額は本則税率です。

2020年3月31日までに作成された不動産売買契約書の契約金額に対して、印紙税の軽減措置が取られているため、現時点(2019年1月)の印紙税はカッコ右側の金額となっています。

不動産売買契約の印紙税について詳しくは国税庁ホームページをご確認ください。

国税庁 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

※所得税・住民税・復興特別所得税

最後に、メインとなる所得税・住民税・そして復興特別所得税です。

計算は少し複雑ですが、難しいものではありませんので、一つずつしっかり覚えていきましょう。

これらを求めるには、譲渡所得に対してかかってくる「税率」を知ることがポイントです。

税率は「長期譲渡所得」「短期譲渡所得」いずれかによって大きく変わってきます。

土地を譲渡した年の1月1日時点で、その土地の所有期間が5年を超えていた場合「長期譲渡所得」、5年未満だった場合「短期譲渡所得」という風に分けられています。

なお、親から相続した土地だった場合「相続した日」ではなく「親が土地を取得した日」まで遡ることができます。

肝心の税率は、次のようになります。

  • 「長期譲渡所得」:所得税15% 住民税5%=20%
  • 「短期譲渡所得」:所得税30% 住民税9%=39%

さらに、それぞれの所得税に対し、復興特別所得税2.1%がかかってきます。

少し細かくなりますが、復興特別所得税を含めると次のようになります。

  • 「長期譲渡所得」:所得税15.315% 住民税5%=20.315%
  • 「短期譲渡所得」:所得税30.63% 住民税9%=39.63%

となります。

長期譲渡所得か、短期譲渡所得かで実に倍近くの差が出ることが分かります。

これには明確な理由があります。短期間で売買を繰り返す、いわゆる投機目的の場合、利益を生み出すことが大きな目的です。

その際の税収を確保するために、国は高い税率をかけているという訳です。

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分かりやすい金額で譲渡所得税と住民税をシミュレーション!

さて、これで土地を売却した際にかかる税金を算出することができます。

分かりやすく「500万円」で土地を売却した場合と「1000万円」で土地を売却した場合の税金について、シミュレーションしていきます。

「500万円」で長期譲渡所得を得た場合のシミュレーション

  • 売却金額500万円
  • 取得費不明(5%)
  • 譲渡費用100万円
  • 親から相続したため「長期譲渡所得」

として算出すると、次のようになります。

売却金額500万円−(取得費25万円+譲渡費用100万円)=375万円

譲渡所得は375万円ということになります。

長期譲渡所得ですので、所得税と住民税の税率は20.315%となります。

375万円×20.315%=76万1813円(1円未満は四捨五入)が税金となりますので、手元に残るのは

375万円−76万1813円=およそ298万8000円ということになります。

「500万円」で短期譲渡所得を得た場合のシミュレーション

次に違う条件でシミュレーションしてみましょう。

  • 売却金額500万円
  • 取得費不明(5%)
  • 譲渡費用100万円
  • 投機目的のため「短期譲渡所得」

売却金額500万円−(取得費25万円+譲渡費用100万円)=375万円

ここまでは同じです。

短期譲渡所得ですので、所得税と住民税の税率は39.63%となります。

375万円×39.63%=148万6125円が税金となりますので、手元に残るのは

375万円−148万6125円=およそ226万3875円ということになります。

長期譲渡所得と短期譲渡所得で手元に残る金額の差は72万4125円もあることになります。

「1000万円」で長期譲渡所得を得た場合のシミュレーション

  • 売却金額1000万円
  • 取得費400万円
  • 譲渡費用100万円
  • 親から相続したため「長期譲渡所得」

売却金額1000万円−(取得費400万円+譲渡費用100万円)=500万円が譲渡所得となります。

長期譲渡所得のため税率は20.315%ですから500万円×20.315%=101万5750円が税金となり、手元に残るのは398万4250円です。

「1000万円」で短期譲渡所得を得た場合のシミュレーション

  • 売却金額1000万円
  • 取得費400万円
  • 譲渡費用100万円
  • 投機目的のため「短期譲渡所得」

売却金額1000万円−(取得費400万円+譲渡費用100万円)=500万円が譲渡所得となるのは同じです。

短期譲渡所得のため税率は39.63%となります。

税金は500万円×39.63%=20.315%=198万1500円となりますので、手元に残るのは500万円−198万1500円=301万8500円です。

ここでもやはり、長期譲渡所得と短期譲渡所得とで96万5750円もの差が出ました。

というように、土地を売却した際の税金は長期譲渡所得か短期譲渡所得かによって大きく変わってきます。

ところが!税金を支払わなくて良いケースがある!?

ところが、実は税金を支払わなくて良いケースもあるのをご存知でしょうか?

もちろん、赤字になってしまったり、利益がゼロだったりといったことで譲渡所得が出なければ、税金を支払う必要はありません。

しかし、譲渡所得を得た場合でも、税金を納める必要がないケースがあるのです。

これについて詳しくは、次の章で解説していきます。

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  1. 土地の売値価格の決め方は?適正価格や売値の違いを解説!
  2. 【解体後の土地を売却したい】どうする?売却方法や注意点などを解説!
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土地を売却した際の特別控除とは?

譲渡所得から3000万円を特別控除できるケースがあるのをご存知でしょうか?

簡単に言えば、3000万円までの利益なら税金がかからないというものです。

あるいは5000万円で売却できても、税金がかかるのは2000万円までの部分になります。

こんな太っ腹な特別控除、果たしてどんなケースで適用されるのでしょうか?

特別控除が適用される条件とは?所有期間は関係ない!

さんざん長期譲渡所得、短期譲渡所得などと言っていましたが、3000万円の特別控除には所有期間の長短は関わってきません。

ただし、次のような条件を満たす必要があります。

正しく内容が伝わるよう、国税庁ホームページに掲載されている「No.3302 マイホームを売ったときの特例」から引用しています(見やすく一部改変しています)。

①自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。

なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

※注)住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の2つの要件全てに当てはまることが必要です。

イ:その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

ロ:家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場など
その他の用に供していないこと。

②売った年の前年及び前々年にこの特例(「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」によりこの特例の適用を受けている場合を除きます。)又はマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。

③売った年、その前年及び前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと。

④売った家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。

⑤災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(注)に売ること。

※注)東日本大震災により滅失した家屋の敷地の場合は、災害があった日から7年を経過する日の属する年の12月31日までとなります(「東日本大震災により被害を受けた場合等の税金の取扱いについて(個人の方を対象とした取扱い)【東日本大震災に関する税制上の追加措置について(所得税関係)】」をご覧ください)。

⑥売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。

特別な関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

※注)(特定増改築等)住宅借入金等特別控除については、入居した年、その前年又は前々年に、このマイホームを売ったときの特例の適用を受けた場合には、その適用を受けることはできません。

また、入居した年の翌年又は翌々年中に、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の対象となる資産以外の資産を譲渡し、この特例の適用を受ける場合にも、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできません。

(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の概要等については、マイホームの取得や増改築などしたときを参照してください。

譲渡所得に対する3000万円の特別控除は、このコラムに限って言えば「家屋付きの土地」を売却した場合に適用される可能性があります。念のため、覚えておくと良いでしょう。

その他にもある!特別控除!

3000万円の特別控除以外にも次のような控除があります。

  •  公共事業などのために土地建物を売った場合:5000万円
  •  特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合:2000万円
  •  特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合:1500万円
  •  平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合:1000万円
  •  農地保有の合理化などのために土地を売った場合:800万円

上記に当てはまるケースはそれほど多くないとは思いますが、知っておいても損はないでしょう。

それぞれ、適用の条件などは異なります。譲渡所得に対する特別控除については、国税庁ホームページにも詳しく記載されています。

国税庁 No.3223 譲渡所得の特別控除の種類

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土地売却の税金まとめ

今回は、土地を売却した際にかかる税金の種類や譲渡所得の求め方、譲渡所得にかかる税金と計算方法などを、シミュレーションも交えながら解説してきました。

土地の売却にかかる税金は「印紙税、登録免許税、所得税、住民税、復興特別所得税」です。

印紙税や登録免許税は簡単に算出することができます。

それ以外の税金についても難しいことはありません。

このコラムでご紹介した内容を参考にしていただければ、すぐに算出することができます。土地の売却を検討している人はぜひ、シミュレーションに役立ててください。

また、売却しようとする土地の上に家屋が残っている場合、3000万円の特別控除の対象になる可能性もあるため、併せて確認しておきましょう。

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