家を解体して更地になった土地、どう使う?
転用性が高くリスクが低いことからも、解体後の土地活用の中で一番多いと言われている駐車場経営。
駐車場にするためには具体的にどんな方法があって、工事費用などはいくらくらい必要なのでしょうか。
メリットやデメリットと併せて解説をいたします。
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駐車場経営の4つのメリット
なぜ駐車場経営が解体後の土地活用の中で一番多いと言われているのでしょうか。
まずはメリットから解説をして行きます。
(1)初期費用が少なくても始められる
マンションやアパートを運営しようと考えている場合、建築のために多額の費用が必要となります。
しかし、駐車場経営においては、例えば月極めであれば「砂利を敷き詰めてロープで区画整理をする」だけで営業を開始することができます。
またコインパーキングなどでも専門の業者に土地を貸し出し、整備・運営・管理など全てを任せ、土地の所有者は毎月一定の報酬を得ることができます。
(2)経営知識やノウハウがなくても始められる
専門の業者に土地を貸して駐車場経営を一任してしまえば、設備・整備・営業・運営・管理など全てを代行してもらえますので、経営のための知識やノウハウがない場合でも始めることができます。
(3)他の土地活用への転用、土地の売却などが容易
もし途中で他の土地活用に転用したい、あるいは土地を売却したいとなった場合でも、一般的には1ヶ月~余裕を持って3ヶ月前程度に利用者に告知をすることで立ち退きを求めることができます。
売却においては建物の解体等が生じない平面駐車場であれば容易に行うことができます。
(4)リスクが小さい
アパートやマンションを建ててしまった場合、なかなか入居者が見つからないからといって簡単に他の土地活用へ転用するのは解体費用などもかかりますので非常に困難です。
駐車場であれば万が一失敗したとしても初期費用が少ないうえにすぐに転用・売却ができますのでリスクは低いと言えます。
ほかにも、変形地や狭小地であっても駐車場にできること、駅などの交通機関から離れていても運営が可能なこと、相続税対策になる(*)ことなども駐車場が選ばれている理由のようです。
*相続税対策とは?
更地を駐車場にした場合「貸付事業用宅地等」とみなされ、アパートやマンションなどと同様に相続税評価額が2分の1になり、節税効果が見込めます。
ただし次のような条件があります。
■アスファルトまたはコンクリート舗装であること(砂利は適用外になる可能性がある)
■200平米を超えた土地については適用外となる
■実際に継続して駐車場経営を営んでいること
解体後の土地を駐車場にするにはどんな方法があるの?
(1)最も簡単な月極め駐車場
砂利を敷き詰めてロープで区画整備をするだけという方法が最も安価で最も簡単に行える方法です。
整地や砂利の敷き詰め等は業者に依頼することになりますが、ロープの設置などは自分でも行えます。
(2)コインパーキング
多くの場合、アスファルト舗装やコンクリート舗装を行い、精算機やロック板、入出庫バーなどを設置することになります。
個人ではなくコインパーキング運営業者に土地を貸し出すだけで全て行ってもらえます。
- 《駐車場の種類》
平面式:ごく一般的な駐車場のタイプです。
立体式:立体にすると収容台数を増やせます。タワー式や多段式なども含まれます。
自走式:自走してそのまま車庫に入庫させるタイプです。平面、立体いずれもあります。
機械式:ビルの立体駐車場など、機械で車を車庫に入れるタイプです。
月極めであってもアスファルトやコンクリート舗装を行っている駐車場も数多く見かけますし、全敷地のうち何割かを月極めにして、残りをコイン式にするといった運営方法もあります。
解体後の土地を駐車場にする場合に必要な工事や費用はどれくらい?
土地の広さや形状、立地その他の条件で多少異なるためあくまで参考程度となってしまいますが、費用の相場はこのような感じになります。
- 未舗装・砂利地の場合
1平米あたり2,000円~5,000円
更地にしただけでは駐車場にはできませんので、除草、ならしをした後に車体の重さに耐えられる地盤にするためにある程度の費用が必要となります。
掘削・残土処分・敷き詰め作業・転圧作業(地盤を固めるため)などを行うとおおよそこのような費用になると考えられます。
- アスファルト舗装をする場合
1平米あたり5,000円~8,000円
アスファルトを敷く分、未舗装の場合と比べて少し深めに掘削することになりますので、その分の費用と残土処理費用がかかります。アスファルト舗装費用も合わせるとおおよそこのような費用になると考えられます。
- コンクリート舗装をする場合
1平米あたり8,000円~12,000円
コンクリートの場合はアスファルトよりもさらに深く掘削することになりますので、やはりその分の費用と残土処理費用がかかります。
コンクリートはひび割れなどを起こしやすいためワイヤーメッシュなどでの補強が必要となり、さらに出費がかさむ場合があるほか、別の土地活用に転用したい場合のコストも大きくなる傾向があります。
そのほかに必要な工事と費用
- 未舗装・砂利地の場合
区画用ロープ1mあたり10円~30円
ロープを固定するペグ1本あたり300円~500円
業者にお願いすることもできますが、自分でホームセンター等で購入した方がより安く抑えることができます。
- アスファルト舗装・コンクリート舗装をする場合
白線による区画分け1台あたり10,000円~30,000円(車庫番号込み)
白線を引いて区画分けをしたり、場合によっては車庫番号を付けたりする必要があります。
「5台一式」「10台一式」などまとめての費用になることが多いと思いますが、1台あたりに換算するとおおよそこのような費用になると考えられます。
- 全パターン共通
車止め1個あたり5,000円~8,000円
歩道の切り下げ4mまで700,000円~1,000,000円
後方に車止めブロックを設置する場合は別途これくらいの費用を見ておくと良いでしょう。
また、敷地が道路に直接面している場合は問題ありませんが、もし歩道があり段差を解消しないと車が入れない場合は歩道の切り下げ工事が必要となります。
この場合、道路工事の承認が必要となりますので、整地を行った業者にそのままお願いするケースが多いようです。
以上が一般的な費用となります。
収容台数、平面か立体か、機械式か自走式かなどによっても大きく費用が異なってきますので、目安程度に参考にしてください。
駐車場を自営したい場合はどれくらいの費用が必要?
自営でコインパーキングを運営したいという方もいるかも知れません。精算機・ロック板・入出庫バーなどの設置に初期費用が発生してしまいますが、以後の収益は全てオーナーのものとなります。
精算機1台あたり300,000円~500,000円(タイプや台数による)
ただし、自営の場合は集客、運営、トラブル対応など全てをオーナー自身が行わなければなりませんので、もし初心者の場合は、よほどの確率で収入が見込める場合を除いては手を出さない方が無難でしょう。
もし管理だけを業者に任せるという場合は1ヶ月あたり30,000円~50,000円程度の管理費が必要になると言われています。
駐車場運営のデメリットも知っておこう
もちろん、駐車場の運営にはデメリットも伴います。いくつか代表的なものを挙げてみます。
(1)駐車場が埋まらない可能性がある
立地にも左右されるかも知れませんが、月極め、コイン式いずれにしても、利用者が見つからなければ当然ながら収入はありませんので、儲からない可能性があります。
なお、一部のコインパーキング事業者では、土地を貸し出して経営を委託した場合、利用者の有無に関わらず毎月一定の報酬を支払ってくれるところもあります。
(2)初期費用が少ない分、利益も多くはない
リスクが少ない代わりに、収益もさほど多くはありません。
たとえ満車となってもそこそこ安定した収入にはなるかも知れませんが、大きな収入は見込めないと思っていた方が良いでしょう。
(3)節税効果は見込めない
メリットの項目で解説をしたように相続税対策にはなり得ますが、固定資産税・都市計画税・所得税・住民税などの税金に対してはほとんど節税効果は見込めません。
もし駐車場にする以前に住宅が建っていた場合、駐車場にすることで固定資産税などの軽減措置も適用外となりますので覚えておきましょう。
土地の特徴を見極めることが大切
いくら手軽に始められて他の土地運用への転用も比較的容易であるとは言え、それなりに費用は発生します。
土地活用としての駐車場は、その土地の特徴(立地条件・周辺環境など)をよく把握してから判断するようにしましょう。
駐車場土地活用も立地条件を良く検討してから
解体工事後の土地活用では駐車場にするのが、一番簡単で手っ取り早い方法である事は確かだと思います。
以前、当社で施工させて頂いたお客様で、親の住んでいた家を解体し8台停められる賃貸用の駐車場にした事例がありました。
場所的に街中で、近隣に駐車場も少なかったせいもあり、すぐに埋まり現在でも安定収入を得られております。
賃貸用の駐車場にする場合ですと、やはり「好立地」と言うのがキーワードになってきます。
山奥では誰も借り手がいませんからね。
解体した後の土地活用、駐車場以外にも色々とありますので宜しければこちらもご覧下さい。