土地の売却を考えている人の中には
「売却価格は何を基準にして決めれば良いの?」
「売却したあとに支払う税金はどれくらいなの?」
「売却したあとの確定申告はどうなるの?」
などの疑問を抱えている人も多いのではないでしょうか?
この記事では、土地の売却価格の決め方とかかる費用、売却にともなって発生する税金の種類と計算方法、さらには確定申告の際に必要になるものについても解説しています。
ぜひ参考にして役立ててください。
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土地の売却価格の決め方は?何を基準にしているの?
土地の売買契約を成立させるには、需要と供給のバランスを図ることが非常に大切です。
たとえ自分にとって価値があると感じている土地でも、第三者が同じ価値観を抱いてくれるとは限りません。
逆に、高く売れることは期待していなかったけど、実はその土地の評価が高く、思った以上に高値で売れることがあるかもしれません。
いったん売りに出してから価格を上げ下げすることは、買い手に不信感を与えたり、もう少し待てばまた下げるだろうと思われたりするリスクがあります。
興味を持っていた人が敬遠する材料にもなりかねないため、最初の時点で売却価格をしっかり決めておくことは重要です。
では、その土地の適正な売却価格はどのようにして決めるのが良いのでしょうか?
土地の価格にはいくつかの種類がありますが、この記事ではその中の「地価公示価格」「路線価」「都道府県基準地標準価格」「固定資産税評価額」の4つについて詳しく解説します。
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地価公示価格
国土交通省が年に1回、調査を実施して決定する価格です。
国の機関ということから信頼性も高く、いわば日本の地価の基準と言っても過言ではありません。
しかし、日本中すべての土地をくまなく調査することは現実的に不可能なため、標準地や基準地を設定して行われます。
なお、平成30年の地価調査の拠点となったのは22,000地点です。
【平成30年9月18日】平成30年都道府県地価調査を公表しました(国土交通省)
実際に行われた不動産の取引価格情報、標準地や基準地ごとの価格などについては、国土交通省の土地情報総合システムで確認できます。
路線価
主に相続税や贈与税などを算出する際に用いられる価格のことで、土地が接している道路1平方メートルあたりの価格です。
路線価に土地の面積を掛けることでその土地の評価額が導き出されます。
ただし、前述のように相続税や贈与税の算出といった目的で活用されるため、土地の売却価格を設定する際の参考としてはあまり使われません。
路線価は国税庁が毎年発表しているもので、一般的に、地価公示価格の80%程度を目安に設定されると言われています。
都道府県基準地標準価格
単に基準地価などと呼ばれることもあります。
各都道府県が調査を実施し、それを元に算出される価格のことです。
国土交通省の地価公示価格を補完する公的な価格としての意味を持っています。
売却価格を決定する際の参考にしたり、土地取引価格の目安として利用されたりします。
固定資産税評価額
東京23区のケースでは東京都が、それ以外のケースでは各市区町村が決定する価格のことです。
文字通り固定資産税の算出をはじめ、都市計画税、不動産取得税などを算出するために用いられます。
一般的に、地価公示価格の70%程度を目安に設定されると言われています。
不動産業者による査定も重要
このような価格、あるいは国土交通省が公表している情報などさまざまな角度から、適正と思われる価格を決定することになります。
もちろん、不動産業者に査定してもらうことも、売却価格を決める上で大きな指標となります。
土地の売却にかかる費用は?
土地の売却にかかる費用には「仲介手数料」「印紙税」「登記費用」「その他諸費用」などがあります。
それぞれ、どの程度かかるものなのか目安を知っておきましょう。
仲介手数料
不動産業者に媒介を依頼した場合に発生するのが仲介手数料です。
不動産業者との媒介契約時ではなく、売買契約が成立したときに成功報酬として支払うのが一般的です。
仲介手数料は「いくら」と決められている訳ではなく、以下の宅地建物取引業法における上限を目安に、不動産業者が決定します。
取引金額と手数料の上限(税別)
- 200万円以下の部分…5%
- 200万円超400万円以下の部分…4%
- 400万円超の部分…3%
土地の取引は400万円を超えるケースが珍しくありません。
取引金額が400万円を超える場合の仲介手数料は「3%+6万円+消費税」で算出するのが一般的になっています。
たとえば3,000万円で売却した場合の仲介手数料は
3千万円×3%+6万円=96万円
96万円×1.08=103万6800円
103万6800円が上限、ということになります。
仲介手数料だけで100万円以上ということで、結構大きな金額になると感じた人も多いのではないでしょうか?
これだけの費用がかかる訳ですから、本当に信頼できる不動産業者を探すことも大切になってきます。
印紙税
印紙税は文書の種類や、記載されている契約金額によって税金の額が分かれています。
土地の売買については、文書は「第1号文書」に分類され、次の印紙税額が適用されます(一部抜粋)。
- 100万円超500万円以下 2千円
- 500万円超1千万円以下 1万円
- 1千万円超5千万円以下 2万円
- 5千万円超1億円以下 6万円 など
登記費用
主に抵当権抹消登記といった登記に必要な費用です。
正確には登録免許税(抵当権抹消登記)や、司法書士手数料がそれに該当します。
登録免許税は不動産1つにつき1,000円、司法書士手数料は2〜3万円程度が相場とされています(所有者移転登記については、買主負担が一般的なためここでは割愛します)。
その他諸費用
建物が建っている場合は解体費用や廃棄物の処分費用、さらにその建物のローンが残っている場合で、繰り上げ返済するときは繰り上げ返済手数料(金融機関によって異なる)、土地を売りやすくするための整地費用、土地の測量費用などが必要になることがあります。
余裕を持って動き始めることが大切
このように、土地の売却に関する出費は意外と多いことが分かります。
建物が建っている場合、解体するかしないかの判断も慎重に行わなければなりません。
情報収集の時間も含めて、期間に余裕をもって動き始めることが大切です。
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土地を売却したときに発生する税金の種類と計算方法
土地の売却にともなって発生する税金として「印紙税」「所得税」「住民税」に加えて、2037年までかかる「復興特別所得税」などがあります。
それぞれ、具体的に見ていきましょう。
印紙税
前述しましたが、不動産の売買契約にかかる税金の一つに印紙税があります。
金額は先ほどお伝えした通り「契約金額が500万円超1千万円以下であれば1万円、1千万円超5千万円以下であれば2万円、5千万円超1億円以下では6万円」などとなっています。
詳しくは、国税庁ホームページに掲載されているので、一度目を通しておきましょう。
所得税・住民税・復興特別所得税
所得税と住民税は、譲渡所得(※1)に対してかかってくる税金です。
所得税と住民税は、その土地を所有していた期間によって税率が変化します。
そして、2037年まで課税される復興特別所得税は、東日本大震災のあと、平成25年から新設された施策です。
譲渡所得額に関わらず「所得税×2.1%」で算出される税金です。
- 短期譲渡所得(所有期間5年未満)…所得税率30% 住民税率9% 復興特別所得税0.63%
- 長期譲渡所得(所有期間5年以上)…所得税率15% 住民税率5% 復興特別所得税0.315%
なお、親から土地を相続した場合、所有期間は「親から相続した日」ではなく「親がその土地を取得した日」を起点とします。
※譲渡所得とは
譲渡所得とは、実際に土地を売却して得た利益のことを言います。
譲渡所得の算出方法は、「売却価格」から「取得費+譲渡費用」を差し引いた部分になります。
取得費とは、その土地の購入費用や、購入にともなって支払った仲介手数料、印紙代、登記費用などのことです。
一方の譲渡費用は、土地の売却にともなって支払った仲介手数料、印紙代、登記費用、測量費用などを指します。
ただし、相続などで「その土地をいくらで取得したのかが分からない」というケースも少なくありません。
その場合、売却価格の5%に相当する金額を取得費とすることができます。
計算方法
具体的に、所得税や住民税、復興特別所得税の合計がいくらになるのか、簡単な例を挙げて計算してみましょう。
前述のように短期譲渡所得の場合、税金は所得税30%、住民税9%、復興特別所得税0.63%、合計すると39.63%が税金として支払う金額です。
500万円の譲渡所得を得た場合…
500万円×39.63%=198万1500円
ということで、およそ200万円を税金として納めることとなります。
一方の長期譲渡所得では所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%で合計すると20.315%となります。
同じく500万円の譲渡所得を得た場合
500万円×20.315%=101万5750円
およそ100万円が税金として納める金額になります。
5年以上所有するだけでこれだけ大きく変わってきますが、とはいえその分、固定資産税などを納めていることになりますので、どちらが損か得かはじっくり計算しておくことが大切です。
なるべく納税額を抑えたい!特別控除など税金対策をご紹介
土地の売却にかかる税金は、決して安いものではありません。
少しでも納税額を減らして利益を確保しておきたいと思うのが自然です。
そこで、続いては特別控除が受けられるケースをいくつかご紹介します。
節税効果が見込めるため、要件を満たせる場合はぜひ利用しましょう。
平成21年および22年に取得した土地を譲渡したときの1千万円の特別控除
個人が平成21年に取得した土地を平成27年以降に譲渡した場合、または、平成22年に取得した土地を平成28年以降に譲渡した場合、譲渡所得から1千万円が控除されるというものです。
つまり理屈上、利益が少なくなるため納税額も少なくなります。
ただし、親子や夫婦など特別な関係にある人や法人との取引においては適用されません。詳しくは、国税庁のホームページに掲載されています。
No.3225 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除(国税庁)
公共事業などのために土地を売却した場合の5千万円の特別控除
土地収用や公共事業などのために土地を売却した場合、譲渡所得から最大で5千万円の特別控除を受けることができます。
ただし固定資産であること、買い取りの申し出があった日から6ヶ月を経過した日までに売却していることなど、さまざまな要件を「すべて」満たすことが条件となっています。
特定土地区画整理事業などのために土地を売却した場合の2千万円の特別控除
国土交通省が、市街地のまちづくり活性事業として取り組んでいる土地区画整理事業のひとつに、特定土地区画整理事業があります。
この事業のために土地を売却した場合、譲渡所得から最大2千万円が控除されます。
特定住宅地造成事業などのために土地を売却した場合の1千500万円の特別控除
地方公共団体、地方住宅供給公社、独立行政法人中小企業基盤整備機構といったある特定の相手が、住宅の建設や宅地の造成を目的としてその土地を買い取った場合、譲渡所得から最大1千500万円が控除されます。
特定住宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の特例適用チェック表(pdf)(国税庁)
農地保有の合理化などのために土地を売却した場合の800万円の特別控除
農業委員会のあっせんなどにより、農用地区域内にある農地を売却した場合、譲渡所得から800万円の特別控除を受けられます。
また、農業経営基盤強化促進法に基づいた買い入れ協議によって、農地中間管理機構または農地利用集積円滑化団体に買い入れられた場合、譲渡所得から最大で1千500万円が控除されます。
農地の譲渡に係る特別措置について知りたい(pdf)(農林水産省)
最新情報をチェックすることを忘れずに
このように、土地の売却に関する特別控除といった施策はさまざまです。
該当する取引になる場合はぜひ活用しましょう。
なお、ここで紹介したさまざまな施策は、期間や控除額、要件などの内容が変更になったり、施策自体が終了したりすることがあります。
最新情報については、国税庁のホームページで確認しましょう。
土地を売却したあとの確定申告で必要になるものは?
土地の売却によって譲渡所得を得た場合、土地を売却した翌年2月16日〜3月15日に確定申告をすることになります。
他の所得と一緒に手続きを行います(ただし、計算した結果、譲渡所得がマイナスになるケースでは確定申告は不要です)。
土地を売却した場合の確定申告で必要になるものがいくつかあるので、覚えておきましょう。
譲渡所得の内訳書
売却した土地の概要・売却金額・売却にかかった費用などが記載されている書類です。
土地を売却したあと、税務署から送られてくるため必要事項を記入し、確定申告書に添付します。
契約書・受領書・領収書・精算書・資料などのコピー
売買契約書や支払った仲介手数料の領収書、固定資産税精算書、および、その土地を購入したときの売買契約書や支払った仲介手数料の領収書、固定資産税精算書といった各種書類のコピーを忘れずに取っておきましょう。
売却した土地の全部事項証明書
全部事項証明書は法務局の窓口や郵送で請求することも可能ですが、手数料が安く済み、夜21時まで受け付けているオンライン手続きが便利です。詳しくは、法務局ホームページに掲載されています。
登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続きが便利です(法務局)
事前に税務署に確認しておくとより安心
上記は一例ですが、このように土地を売却して譲渡所得を得た場合、さまざまな書類が必要になります。
特別控除を受けたケースでは、さらに書類やケースによっては住民票などが必要になることもあります。
すべてのケースについて必要なものを紹介できませんので、不安な人は事前に税務署に問い合わせて準備しておきましょう。
直前になって慌てないためにも、期間に余裕をもって動くことが大切です。
また、国税庁のホームページでは、譲渡所得申告のチェックシートが用意されていますので、併せて活用し、準備を整えておきましょう。
平成29年分(譲渡所得関係の項目を確認してください)(国税庁)
土地売却のまとめ
今回は、土地を売却したときの税金の種類、税率、計算方法などを中心に、土地の売却価格を決める基準、売却にかかる費用、税金対策、確定申告の際に必要になるものなどを解説してきました。
土地の売却を検討している人、将来的に土地を相続する可能性がある人も多いと思います。
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ぜひこの記事を参考に、納得のいく取引ができるように今のうちから知識を蓄えておきましょう。
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