家財道具を上手に処分する方法
年末年始やお盆の時期など、実家に帰省した際に「散らかってるな」と感じたことはありませんか?
いざ片付けようと思っても両親が大切にしているものであったり、どれを捨てる・捨てないで揉めてしまったり…。
実は今、実家の片付け問題は多くの方が悩んでいる問題だと言われています。
家族同士でのトラブルはできれば避けたいものですよね。
今回は実家の不用品の片付けをする際にトラブルにならない方法を考えてみましょう。
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実家の不用品片付け問題はなぜ発生するの!?
なぜ実家の片付け問題が発生してしまうのでしょうか?その原因として考えられることは次のようなことです。
- 体力の低下
本人には片付けたいという意思はあっても、高齢のため体が思うように動かなかったり、また体力も落ちているため片付けに取りかかれず放置されているというケースです。
- もったいない
シニア世代はモノを大切にする世代のため「もったいない」や「いつか使うかも知れない」といった理由で片付けられず放置されているというケースです。
- 核家族化
親と家族が同居している世帯は昔と比べて随分と減りました。
同居していれば子ども世代が少しずつでも処分ができますが、離れているとそうも行かず、どんどん増えていってしまうというケースです。
このような理由から、どんどんモノが増える一方となりやがて「片付け」問題へと発展して行きます。
実家の不用品片付けの必要性とは?
では、なぜ片付けが必要なのでしょうか?それには次のような理由があります。
- 安全を確保する必要がある
シニア世代の特徴の一つに「モノにつまづいて転倒、骨折をしてしまう」ということがあります。
足腰も弱って来ており運動能力も落ちて来ていますので、床に散乱しているとふとした時につまづいてしまう恐れがあります。
地震や火災など緊急時にはさらにリスクが増しますので、安全確保のために片付けは必要と言えます。
- 不衛生な環境を生み出す
モノで溢れていると日常の掃除もしづらくなります。
ホコリが溜まりやすくなり、またカビや害虫なども発生しやすくなるため不衛生な環境となり、病気の元にもなってしまいます。
- 精神面で悪影響を及ぼす
散らかった室内では空気の流れも滞り、息苦しさ、歩きにくさ、不衛生な環境など様々な要素によってイライライしやすくなるなど、精神面で悪影響を及ぼします。
片付けが必要になるケース
実家を売却する、親が他界してしまった(遺品整理・遺産相続)、賃貸の場合で退去する時など、様々な場面で実家の片付けが必要になります。
家に必要なアイテム数って知ってる?
オフィスミカサ代表で整理収納アドバイザー認定講師でもある長野裕香さんは、分かりやすく次のように表現されています。
「ホテルの部屋にあるモノの数は100~150アイテム。
たったこれだけで一日を過ごすことができるということです。
一方、きれいに片付いて見える家でも4人家族で6,000アイテム、1人あたり1,500アイテムのモノがあり、片付づかない家というのはこれよりもっとモノが多いわけです。
部屋に物が溢れていると片付けがさらに面倒になりますよね。
そういったお家は、ときどき大規模な片付けをしてリセットしていることが珍しくありません。
しかし、消費行動を見直さないといくらリセットしてもリバウンドを繰り返すだけで、そうしている間にもモノはどんどん増え続け、リセットのペースも月1回から2ヶ月に1回、3ヶ月に1回と延びていきます」
なるほど、という感じですね。
確かにホテルの室内にあるアイテムで十分過ごせます。
しかしそれは逆に言えば「ホテルだから」とも言えるような気がします。
数日過ごすためのアイテム以外に、思い出の品や本当に大切にしているものなどはホテルには必要ありませんので。
ここに思い出の品や貰い物などが加わると1人あたり1,500アイテム、さらに捨てられないモノが増えると「モノで溢れかえってしまう」ということですね。
「捨てる」ことの難しさ
特に戦後の貧しかった時代を生きて来たシニア世代は、とにかくモノを大切にします。
捨てることに罪悪感を抱きやすく、子ども世代から見れば「絶対使わないし不要でしょ!」と思うものでも取っておきたがるものです。
これが良い悪いではなく、そういう価値観ですので、それは私たち子ども世代が理解をしなければなりません。
また、認知症などを患っているとさらに大変なケースもあります。
「母親は元々モノを捨てられない人で片付けも得意ではありません。さらに認知症なので一つ一つ相談をしながら片付けをしてしまうと一向に進みません。そのため、母の目を盗んでこっそりゴミに出したこともありますが、気がつくと自分でゴミ捨て場から持って帰って来てしまいます」
たとえ認知症などではなくとも、本人の思い入れがあるモノも捨てるのが難しいようです。
「もう50年以上前に嫁入り道具として持って来たタンスがあるのですが、ボロボロでゆがんでいるため引き出しや扉は開きません。同じく嫁入りの時に持って来たシミやカビが生えている着物もあるのですが、これらも全て必要だと言われ、処分ができません」
他人にとってはゴミのように思えるものであっても、本人にとっては大切な心の拠り所であったり、寂しさを紛らわしてくれる大切なパートナーなのかも知れませんね。
人の心が複雑である以上、捨てることは難しいものです。
実家の不用品片付け、トラブルを避けるコツとは!?
不用意なトラブルを避けるためのコツとしては
- 感謝の気持ちを持つこと
- ネガティブワードはNG
- シニア世代の価値観を共有すること
といったことが考えられます。
感謝の気持ちを持つこと
例えば、先の長野裕香さんはこのようにおっしゃっています。
「親が死んだとき、家にあるすべてのモノが遺品になってしまいます。期限付きで家を空っぽにしなければならない場合もあり、遺品のひとつひとつを整理・処分していく作業を遺族は行うわけですが、これが想像以上に辛い。
親の若い頃の写真や、手紙、日記、過去に自分がプレゼントした品などを目にすると、親の喜怒哀楽や人生を想像してしまうんです。たくさんの未使用の化粧品を見つけて『お母さん、もっとオシャレしたかったのかな』『本当に幸せだったのかな』と後悔の念に苛まれることも。遺品整理は遺族に心の葛藤を与え、悲しみや辛さを増してしまうのです」
親が片付けられなくてイライラしてしまう、片付け始めてもケンカしてイライラしてしまう、これは十分に理解できますが、筆者も父親を亡くした人間として、似たような辛さを味わいました。
親に感謝の気持ちを持ってひと呼吸置くことで、イライラもす~っと消えて行くことと思います。
ネガティブワードはNG
「ゴミじゃん!」「要らないでしょ?」「どうせ使わないでしょ」などのネガティブな言葉は親の心を傷つけかねません。
片付けに前向きになりかけていたタイミングであるとしたら逆に心を閉ざしてしまい、余計に片付けがしにくい状況になってしまうばかりか、親との関係に亀裂が入ってしまう可能性もあります。
ネガティブワードは避けましょう。
シニア世代の価値観を共有すること
貧しい世代に育って来た時代背景、モノを大切にする価値観、一つ一つの思い出に対する価値観など、私たち子ども世代と違っていて当たり前です。
片付けをスムーズに行うためにもどのような価値観を持っているか、知っておくことが大切です。
こうしてみると、共通しているのが「思いやり」や「親子の信頼関係」と言えるのではないでしょうか?
片付けはもちろん大切ですが、その前に会話を重ねたり、今まで言えなかったことを伝えてみたり、自分の価値観はこうだけお母さんはどう?など、「親がどのように考えているかを理解すること」も「自分がどう考えているか伝えること」も大切だと思います。
片付けは早めに始めよう!
親が「片付けよう」と前向きになるまでには1年以上の長い時間をかける必要があるケースも少なくありません。
親孝行と同じで、片付けも親が生きている間にではなく親が「元気なうち」に始められるようにしたいですね。
トラブルを避けるためにも、ぜひ参考にしてみてください。