増え続ける無縁墓はどうなる?
近年「墓じまい」をする人が増えたこともあり「無縁墓」という言葉を耳にしたことがある方も多いかも知れません。
今後も少子高齢化が加速して行きますので、それに伴って無縁墓もどんどん増えて来ることはほぼ間違いないと考えられています。
無縁墓とはいったい何なのか?
無縁墓になってしまったお墓の墓じまいはどうすれば良いのか?
など、今のうちに知っておきたい無縁墓についての基本的な部分を解説します。
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墓じまいを分かりやすく解説!
”墓じまい”とは・・・
お墓を解体して更地にし、墓地の管理者(お寺や霊園など)にその区画を返還し、お骨を何らかの形で処分することを言います。
墓じまいは大きく2種類に分けられ、一つは「将来にわたってお墓を閉じてしまう」こと、もう一つは「お墓を別の場所に移す」ことがあります。
どうして墓じまいをするの?
墓じまいをする背景にはそれぞれの理由がありますが、大きな理由として挙げられているのが『将来的にお墓を受け継ぐ親族や縁故者がいなくなってしまうから』『経済的に維持をしていくことが難しいから』『遠方に住んでいて管理や清掃が難しいため近場に移したいから』などです。
将来的にお墓を受け継ぐ人がいなくなってしまう
少子高齢化の影響が最も大きく反映しているのがこの「受け継ぐ人がいなくなってしまう」という問題です。
子供がいないご家庭も珍しくなく、将来的に誰もお墓を管理することができなくなってしまうことが予想されるため、そうなる前に墓じまいをしておくというものです。
経済的に維持をしていくことが難しい
お墓の維持や管理はタダではありません。
年間数千円~数万円程度の管理費が必要となります。その他、法事などでも数千円~数万円など毎年費用が発生します。
これらの経済的負担が厳しいので墓じまいをしてしまうというものです。
遠方に住んでいるので近場に移したい
元々のお墓を墓じまいし、近場の墓地や霊園などに移すことを改葬と言います。
地元を離れて暮らしており、また地元には親族や親戚などもいないといった場合に墓じまいをしてしまうというものです。
墓じまいした後のお骨はどうなるの?
墓じまいをした後のお骨の行き先はいくつか選択肢があります。
(1)散骨
お骨を粉末状にし、海や山中などに撒くことを散骨と言います。
永久的にお骨を手放すことができるため、もし将来的にお墓を受け継ぐ人がいなくなってしまう、あるいは経済的に維持や管理が厳しいという悩みを抱えている場合でも、これで解決することができます。
ただし、全てのお骨を散骨してしまうと後悔してしまうかも知れませんので、しっかりと検討することが大切です。
(2)合葬
菩提寺(ぼだいじ=檀家となっているお寺)や公営墓地などには、墓じまいをした後のお骨をまとめて供養する永代供養墓が建てられていることがあります。
永代供養墓に入る時にはある程度の初期費用が必要ですが、一度払えばその後の費用は発生せず、将来的にも供養され続けますので墓じまいをした後にこの合葬を選ぶ人が最も多いと言われています。
(3)納骨堂
散骨はしのびない、合葬は他人と一緒のお墓になるのでちょっと…という方は納骨堂を選択することもできます。
ただし上記のパターンと異なるのは年間の維持費が必要になってしまうこと、将来的に供養する人がいなくなった時にお骨をどうするかという問題があることです。
(4)手元供養
なるべく近くで供養したいと思ったら、手元供養を選ぶこともできます。
その名の通り手元に置いておけますので、安心感があることやいつでも供養ができることなどがメリットとして挙げられます。
しかしながら納骨堂と同様に受け継ぐ人がいなくなってしまった場合にお骨をどうするかという問題を抱えています。
無縁墓ってどんなお墓?
供養をする親族やその他の縁故者がいなくなってしまった故人および故人の霊魂を”無縁仏”と言いますが、同じようにそのお墓のことを”無縁墓”と呼んでいます。
墓じまいをされないまま受け継ぐ人もいなくなってしまったケースや、あるいは受け継ぐ人がいてもお墓の維持費・管理費などの支払いが何年も滞ってしまって連絡も取れないといった場合に、墓地の管理者が必要な手続きを経たあと”無縁墓”扱いとなってしまいます。
いま、無縁墓が増えている!
少子高齢化が進むということはお墓を管理する人も必然的に減ってくるということになります。
近年、適切な管理・維持がなされず放置されたままの無縁墓が増えており、墓地の管理者の頭を悩ませています。
実際に無縁墓がいくつあるというデータはありませんが、お寺や霊園ごとに1%~5%、10%、50%以上など様々です。
大分県大分市が管理する市営墓地の一つなどでは、およそ60%にあたる703基が無縁墓であるとも言われています。
- 熊本県人吉市
2013年の調査では市内のお墓全15,123基に対し6,474基(42.8%)が無縁墓であることが判明しました。
- 東京都
2012年に都立霊園でおよそ350基の無縁墓を解体、さらに2,000基以上が放置されていると言われています。
*第一生命経済研究所*
全国の男女600人を対象に2009年に実施した調査では「将来的に自分の墓が無縁墓になる」と答えた人が50.3%もいたことが分かりました。
なお「無縁墓にならない」と答えたのはわずか13.9%にとどまったとのことです。
少し古いデータですが、このような調査結果も報告されています。
無縁墓は年々増え続けており、今後も増加率が一気に加速していくのが確実視されています。
ーお墓への関心が薄れていることが分かる声ー
「自分の家の墓がどうなっているのか全く興味がない(38歳男性)」
「自分が将来他界してもお墓はいらない(29歳男性)」
「祖父母は自分が生まれる前に亡くなったのでお墓に入っている人を知らない(23歳女性)」
「そもそも両親がお墓まいりにほとんど行かなかったので良く分からない(31歳女性)」
いかがでしょうか。
少子高齢化が最も大きな原因とされていますが、それ以外にも地方を離れ都会で暮らす人が増えたことや、核家族化の影響もあって家族や故人に対する考え方・価値観などが変化してきたことも無縁墓が増えている理由と言えるのではないでしょうか。
無縁墓になってしまうと墓じまいできないの?
無縁墓になってしまうと、最終的には墓地の管理者が墓じまいをすることになります。
無縁墓と言っても明確な判断基準はなく、また墓地の管理者が勝手に判断することもできませんので、一般的には「維持費や管理費が何年も納められておらず、雑草なども生い茂っていて誰も供養に来ていない」と分かった時から墓所に立て札を立てたり官報に掲載するなどし、縁故者からの連絡を待ちます。
1年経過しても連絡がない場合にはじめて無縁墓と判断されます。
その後、管轄の自治体へ改葬許可の申請を行い、許可が出た時点で撤去に移ります。
撤去費用は20万円~40万円程度が相場とされていますが、これらは墓地の管理者が負担することとなってしまいます。
撤去された後のお骨は合葬されることがほとんどです。
無縁墓にしてしまう前に
お墓に関心がない方々の声を聞いてしまうと少し寂しい気持ちになりますが、これも時代の流れと受け止めるしかないのでしょうか。
とはいえ、やはり放置してしまうことは故人にとっても墓地の管理者にとっても良いことではありません。
先祖代々受け継がれて来たお墓が無縁墓になってしまう前に、墓じまいをするなど何らかの対処が必要です。
これを機にお墓の将来について一緒に考えてみませんか?
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