解体工事を依頼する際、気になる部分といえばやはり「解体費用」ではないでしょうか?
明確な相場がない分、金額が適正かどうかを判断するのは難しいものです。
この記事では、愛知県の解体費用の一般的な相場を紹介しています。
併せて、各市町村が実施している空き家に関する補助金・助成金制度もいくつか紹介します。
愛知県で解体工事を依頼する際に知っておきたい注意点などと併せて、ぜひ参考にしてください。
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愛知県の解体費用の相場は?
解体費用には、明確な相場が存在しません。
さまざまな条件によって変わってくるためです。
とはいうものの、ある程度適正な「相場」の範囲はあります。
ここで紹介するのは、愛知県の一般的な解体費用の相場です。
そのため参考程度ではありますが、下記の相場よりも極端に高かったり安かったりする場合は、慎重に判断した方が良いかもしれません。
実際の解体費用例も交えて、紹介していきます。
木造の解体費用の相場
愛知県の木造 の解体費用の相場は、坪あたり25,000円~38,000円程度と言われています。
例)岡崎市
木造2階建て28坪 解体費用96.3万円(34,393円/坪)
例)一宮市
木造2階建て40坪 解体費用119万円(29,750円/坪)
小屋の解体費用の相場
愛知県の小屋の解体費用の相場は、坪あたり20,000円~40,000円程度と言われています。
例)日進市
木造小屋6坪 解体費用19万円(31,667円/坪)
例)春日井市
木造小屋7坪 解体費用28万円(40,000円/坪)
鉄骨造(S造)の解体費用の相場
愛知県の鉄骨造の解体費用の相場は、坪あたり35,000円~55,000円程度と言われています。
例)豊橋市
鉄骨造2階建て35坪 解体工事費用145万円(40,228円/坪)
例)安城市
鉄骨造2階建て39坪 解体工事費用156.5万円(40,128円/坪)
鉄筋コンクリート造(RC造)の解体費用の相場
愛知県の鉄筋コンクリート造の解体費用の相場は、坪あたり35,000円~60,000円程度と言われています。
例)名古屋市
鉄筋コンクリート造4階建て215坪 解体費用1,210万円(56,279円/坪)
例)蒲郡市
鉄筋コンクリート造3階建て70坪 解体費用382万円(54,571円/坪)
一例ですが、愛知県の建物の種類別・解体費用の相場や、実際の解体費用の例はこのようになっています。
解体費用についての注意点
同じような床面積や構造の建物であっても、さまざまな条件によって解体費用は大きく変わることがあります。
例えば、次のようなケースではその差が顕著に現れることが多くあります。
手壊しによる解体が多い
現場前の道路が狭い、あるいは現場そのものが狭小地(隣家との距離が非常に近い等)といった場合、重機が入れなかったり、重機による解体工事ができなかったりすることがあります。
その場合、作業員が手で解体を進めることになります。
手壊し(手毀し)解体などと言います。当然、重機解体よりも作業効率が落ちるため期間が伸びますし、また作業員の負担も非常に大きなものとなるため、解体費用が膨らみます。
付帯工事が生じる
建物の解体に加えて、地中に埋設されている浄化槽の撤去、カーポートやガレージの撤去、庭木や庭石の撤去といったように、付帯工事が発生する場合も、解体費用が膨らみます。
また、解体後の土地を駐車場にするといった場合は、一般的な整地ではなくアスファルト舗装や土間コンクリート舗装が必要になることがあります。その場合も別途費用が発生します。
特殊な工事が伴う
アスベスト含有建材を使っている場合、アスベストを解体するための特殊な作業が伴うことがあります。
健康被害が大きな問題となっているアスベストは、周囲に飛散させないために専門の知識を持った作業員が慎重に作業を進めなければなりません。
この場合も、解体費用が高くなると考えて良いでしょう。
その他
上記のほか、時期的なもの、地域性、希望する解体工法、家財道具の処分、廃棄物の取集運搬・処理・処分、工期など、さまざまな条件によって解体費用が大きく変わってきます。
具体的な金額については、解体業者に見積もりを依頼することになります。
愛知県が実施している空き家に関する補助金・助成金制度
愛知県の空き家数は42万2,000戸(※)です。
これは、東京都、大阪府、神奈川県に次ぎ、全国で4番目に多い数字です。
住宅総数が343万9,000戸と、こちらも全国で4番目に多いため、住宅総数に対する空き家数=空き家率で見れば12.3%となり、全国で40番目の低さです。
しかし、単純に空き家数が多いことに変わりはありません。
空き家に関する各市町村が実施している補助金・助成金制度を見ていきましょう。
なお、ここで紹介している空き家関連の補助金・助成金制度は2018年8月時点のものです。
募集が終了したり中止・変更になったり、あるいは現時点では制度がなくても、今後新たに創設されたりする市町村もあるかもしれません。
最新情報は、管轄の市町村にお問い合わせください。
各市町村の補助金制度
春日井市では、市内にあって1年以上使用されていない空き家のうち、個人所有、築後22年以上経過している、といった要件を満たした老朽空き家の解体に対して、その費用を補助してくれます。
補助限度額
補助対象となる工事にかかった費用に対し、20万円を上限に3分の2まで補助してくれます。
豊川市では、市内にあって1年以上使用されていない空き家のうち、個人所有、所有権以外の権利が設定されていない空き家、などの要件を満たし、豊川市より「老朽空き家」「倒壊危険空き家」と判定された空き家の解体工事費用を補助してくれます。
補助限度額
補助対象となる工事にかかった費用に対して3分の2までを補助してくれます。限度額は、「老朽空き家」が20万円、「倒壊危険空き家」が30万円です。
岡崎市では、建物の基礎や外壁、屋根などが破損し、倒壊する恐れがある空き家のうち、1年以上使用されていない、または火災によって損壊し、罹災証明書の発行を受けた空き家の除却(解体)工事費用を補助してくれます。
補助限度額
補助対象となる工事にかかった費用に対し、2分の1まで補助してくれます。罹災した空き家は20万円、その他の空き家は10万円が上限です。
津島市「空き家等解体促進費補助事業」(pdfフィルが開きます)
津島市では、倒壊等の恐れがある空き家のうち、住宅地区改良法に基づく「住宅の不良度の判定基準」によって「不良住宅」と認定された空き家の解体費用を補助してくれます。
補助限度額
補助対象となる工事にかかった費用に対し80%まで、または20万円のいずれか少ない額が上限となります。
瀬戸市では、中心市街地において1年以上使用されていない空き家のうち、昭和56年5月31日以前に建てられた、所有権以外の権利が設定されていない、などの要件を満たした空き家の解体費用を補助してくれます。
補助限度額
90万円が上限です。
上記は一例ですが、このように愛知県の各市町村では、空き家に関する補助金・助成金制度を実施しています。
解体以外に、リフォーム等に対する補助金や助成金制度もあります。
まずは管轄の市町村に問い合わせてみると良いでしょう。
補助金・助成金制度を利用する際の注意点
補助金や助成金を受け取るための要件、申請時期や方法、受け取れるタイミングといった条件は、市町村ごとに細かく決められています。
上手に利用できれば解体費用を抑えることにつながりますが、要件などを見逃してしまい、
「あてにしていたら、要件を満たせず受け取れなかった」
ということのないよう、募集要項については念入りに確認しておきましょう。
また、こうした制度は予告なく募集が終了したり変更になったりする場合があります。
事前に必ず各市町村のホームページ等で最新情報をチェックしましょう。
愛知県で解体工事を依頼する際に特に気をつけたいこと
ここまで、愛知県の解体費用の相場や、愛知県の各市町村が実施している空き家に関する補助金・助成金制度をいくつか紹介してきました。
最後は、愛知県で解体工事を依頼する際、特に気をつけたいことを解説していきます。
解体費用の相場についてはすでに触れましたが、できれば「安く済ませてほしい」と願うのが施主です。これはごく自然なことです。
しかし、「とにかく安く済ませたい」からと、費用だけで安易に業者を選んでしまわないことが大切です。
きちんとした解体工事を施工するためには、どうしてもある程度の費用はかかってしまうものです。
「安いから」という理由だけで選んだ場合、次のようなリスクが伴いますので、注意しましょう。
ゴミの不法投棄といった不適正処理や手抜き工事等
解体工事を安く請け負った業者は、その分利益が減りますので、どこかで確保しなければなりません。
解体工事を施工しないわけにはいきませんし、人件費を下げるわけにもいきません。
そこで、施主にわかりにくい部分で利益を確保するために廃棄物の不法投棄といった不適正処理がおこなわれるリスクがあります。
不法投棄は、それを行った業者はもちろん、解体工事を依頼した施主が罰則の対象になることもあります。
そのため、廃棄物の収集運搬や、中間処理、最終処分を「いつ、どの業者が、どこで行うのか」を確認しておくことが大切です。
なお、「産業廃棄物収集運搬業許可」や「産業廃棄物処分業許可」を持っていない解体業者は、それらの許可を取得している別の専門業者に委託することになります。
その際、解体業者には「マニフェスト」と呼ばれる産業廃棄物管理票の発行および保管が義務付けられています。
マニフェストには、いつ、どの業者が、どこに収集運搬し、処分されたかが記録されており、発行後は5年間保管することになっています。
安く請け負ってくれる解体業者を見つけたら、契約前に「マニフェストを発行してもらえるか」「マニフェストの写しをもらえるか」といったことも確認しておくと安心です。
また、廃棄物は適正処理してくれるものの、ずさんな業者の場合、廃棄物そのものの量を減らすため、地中に埋めてしまうことがあります。
例えば解体後の土地を売却したとして、その土地を購入した人が新たに建物を建てる際、基礎を作る段階で土地を掘り起こしたら廃棄物が大量に出てきた、ということも考えられます。
その場合、民法の瑕疵担保責任の考えに基づき、売買契約の解除や処分費用の負担のほか、最悪のケースでは訴訟問題になることがあるかもしれません。
もちろん、健全に経営している業者がほとんどです。
しかし、相場と比べて極端に安すぎる業者の中には、こうしたリスクがある業者がいることも知っておきましょう。
さまざまな名目での追加費用の請求
解体費用が安い上、見積書の項目がざっくりしていて
- どんな工事が含まれているのか
- それぞれの工事にいくらかかるのか
といったことがわからない場合、解体工事が始まってからさまざまな理由をつけて追加費用を請求してくる恐れがあります。
例えば、「庭石や庭木の撤去もお願いしたい」と伝えたら、見積書に「庭石と庭木の撤去」の項目が含まれており、かつ金額も明確に記載されているかどうか、といったことは施主がしっかり確認しておく必要があります。
工事が始まってからでは別の業者に乗り換えることができません。
見積書は細かくチェックし、疑問や不明に思う点があれば、遠慮なく納得いくまで説明を聞きましょう。
リスクを減らすためにも大切なのが「相見積もり」
見積もりは2社程度からとるのが一般的です。
1社だけでは、その金額や内容が適正なのか判断できません。
少なくとも2社程度から見積もりをとって比較しましょう。
金額や工事内容が具体的に、細かく書かれている見積もりが本来の見積書です。
まとめ
解体費用の相場はあってないようなものですが、今回紹介したように、適正かどうかを判断するための一般的な基準はあります。
極端に安すぎる業者は、廃棄物の不法投棄や追加費用の請求といったように、トラブルを招く恐れが少なからずありますので、契約するかどうかは慎重に判断しましょう。
また、愛知県の各市町村では、空き家の解体に利用できる補助金・助成金制度を実施しているところが少なくありません。
解体費用を抑えるひとつの方法として、上手に利用しましょう。
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