東京ディズニーリゾートや成田国際空港といった大型施設を利用するために、一度は千葉県を訪れたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
日本では唯一、海抜500m以上の山がない都道府県でもあります。
今回は、そんな千葉県の空き家事情や空き家対策、空き家に関する補助金・助成金制度をご紹介します。
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千葉県の空き家に関する補助金・助成金制度をご紹介
こうした空き家問題を踏まえて、千葉県ではどのような対策を行っているのでしょうか。
まずは、各市町村が設けている空き家に関する補助金・助成金制度をご紹介します。
千葉県の各市町村が行っている補助金・助成金制度
木更津市では、空き家の利活用促進を目的とした助成金制度を設けています。
移住定住、地域コミュニティの活性化などに空き家を活用する際、そのリフォーム費用の一部を支援してくれます。
住居の場合の助成額は対象工事費用の2分の1で、上限は50万円です。また特定施設の場合は対象工事費用の3分の2で、上限は150万円となります。
勝浦市にも、空き家のリフォームに関する補助金制度があります。
空き家の有効活用、地域活性化などの目的でリフォームする場合、対象工事費用の20%を、50万円を上限に補助してくれるというものです。
御宿町では、高齢者の暮らしの安全確保、子育て世帯の住環境の向上、定住促進といった目的でリフォームする際に補助金を交付しています。
空き家をリフォームする場合は、御宿町の空き家バンクに登録されていることが条件となりますが、対象となる工事費用に対して20万円を上限に、20%まで補助してくれます。
いすみ市「創業者空き家活用事業補助金・ゲストハウス等設立事業補助金」
いすみ市では、空き家の有効活用を促進する目的で、空き家を改修して創業する人や、空き家を改修してゲストハウス、シェアハウスを設立する人に向けた補助金制度を設けています。
いずれも、補助対象となる経費に対して10分の10以内の額を、250万円を上限に補助してくれます。
睦沢町では、町内に存在する空き家を有効活用することで住環境の整備や定住促進を図る目的で補助金制度を設けています。
空き家バンクに登録された空き家を購入した人、空き家バンクに登録した空き家の所有者など条件が指定されていますが、補助対象経費に対して3分の1を、50万円を上限に補助してくれます。
中学生以下の子供がいる転入者の場合、補助対象経費に6分の1を乗じた額を加算してくれるといったように、条件次第で補助金額が増えることがあります。
制度を利用するにあたっての注意点
上記でご紹介したのはごく一例ですが、千葉県ではこのように各市町村が空き家に関するさまざまな補助金・助成金制度を設けています。
制度の利用を考えている人は、まずは一度管轄の市町村に問い合わせてみましょう。
なお、制度を利用するにあたっていくつか注意点があります。
まず、補助や助成を受けるための条件は各市町村によって異なります。
すべて満たさなければ受けられないケースがほとんどです。
補助金をアテにしていたら結局受けられなかった、ということのないよう、条件は事前に入念に確認しておくことが大切です。
また、ここでご紹介した情報は2018年6月時点のものです。
制度の内容、条件、募集の有無などは変更になることもあります。最新情報については、管轄の市町村のホームページでご確認ください。
千葉県の空き家数と空き家問題
千葉県も、他の都道府県と同様に空き家問題を抱えています。
総務省統計局による「平成25年住宅・土地統計調査」から見えてくる、千葉県の空き家事情についてまとめています。
千葉県の空き家数
早速、千葉県の空き家数の推移を見ていきましょう。
- 千葉県の空き家数の推移
平成10年 29.5万戸
平成15年 32.2万戸
平成20年 35.6万戸
平成25年 36.7万戸
このように、千葉県の空き家は15年の間に7万戸以上、増加しています。
平成25年時点の36.7万戸という数値は、東京都、大阪府、神奈川県、愛知県、北海道に次ぐ6番目の多さです。
日本全体の空き家数は約820万戸ですので、千葉県はそのうちおよそ4.4%を占めていることになります。
調査から5年が経過していますので、今回行われる「平成30年住宅・土地統計調査」ではさらに空き家数が増加しているものと予想されます。
千葉県は、2011年に発生した東日本大震災で甚大な被害を被りました。
その影響で千葉県から転居した世帯は19,000世帯を超えます。多くは空き家になったものと推測されます。
しかし、逆に震災の影響を受けて県外から千葉県に転居してきた世帯もあります。
およそ18,000世帯と言われていますので、純粋な増減幅だけで見ればそこまで大きく影響していないのかもしれません。
続いて、千葉県の住宅総数と空き家率の推移を見てみます。
- 千葉県の住宅総数と人口・空き家率の推移
平成10年 232.1万戸 人口586.7万人 空き家率12.7%
平成15年 252.6万戸 人口603.0万人 空き家率12.7%
平成20年 271.8万戸 人口615.3万人 空き家率13.1%
平成25年 289.6万戸 人口620.1万人 空き家率12.7%
住宅、人口は増加傾向にあり、空き家率はほぼ横ばいで推移していることが分かります。
つまり、住宅や人口と同じようなペースで増えているということです。
千葉県の空き家率は全国的に見ると第37位と全国平均(13.5%)を下回っていますが、空き家数自体は決して少ないわけではありません。
人口が増加しているにも関わらず空き家が増えるのは、それだけ住宅が増えているからと考えるのが自然です。
しかし、その一方で都市部では、大規模な開発に伴って一時的(とはいえ数年〜数十年単位になることもありますが)に空き家が増えるという現象も起こっています。
こうした数値だけでは千葉県が抱える空き家問題の本質を見抜くことができません。もう少し、空き家事情を詳しく探ってみましょう。
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千葉県の空き家問題とは
千葉県ではどんな空き家問題を抱えているのでしょうか?
空き家とひとことで言っても、大きく次の3タイプに分けられます。
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二次的住宅
別荘やたまに寝泊まりする人がいる住宅です。
完全な空き家というわけではありませんが、利用頻度が極端に少ない場合も含まれますので、実質空き家状態のケースもあります。
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賃貸用または売却用の住宅
文字通り、賃貸または売却に出しているが、入居者や買い手が見つかっていないため空き家状態になっている住宅です。
都市部のマンションの空室なども含まれます。
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その他の住宅
上記のいずれにも属さない空き家で、転勤や入院などで所有者・居住者が長期間不在の住宅、建て替えなどのために取り壊し予定となっている住宅、所有者不明かつ居住者不在の放置空き家などが含まれます。
千葉県の空き家の内訳を見てみると「二次的住宅2.4万戸」「賃貸用または売却用の住宅20.9万戸」「その他の住宅13.4万戸」となっています。
千葉県の空き家において「その他の住宅」が占める割合は36.6%、住宅総数に対しても4.6%と非常に高くなっています。ここが、千葉県が抱える空き家問題の核といえるかもしれません。
「その他の住宅」の空き家を放置することで考えられるリスクはさまざまですが、たとえば次のようなことが挙げられます。
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防災性、防犯性が低下する
放置することで老朽化した空き家は、倒壊、崩壊、屋根や外壁の落下、また設備の陳腐化からくる火災のリスクなども高まります。加えて、不法投棄、放火をはじめ犯罪の温床となりうるリスクも高めます。
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衛生環境、景観の悪化
不法投棄されたゴミの腐敗、棲みついた野良犬や野良猫、ネズミの糞尿、死骸、害虫の大量発生などによって周辺の生活環境に悪影響を与えます。
「その他の住宅」の空き家は、「賃貸用または売却用の空き家」と違い、適正に維持管理されていないことがほとんどです。そのため、上記のようなさまざまなリスクを招くおそれがあります。
また、平成27年5月26日より完全施行された「空き家等対策特別措置法」によって、そもそも空き家を放置できない状況になってきています。
同法では、「著しく保安上の危険となるおそれがある空き家」「著しく衛生上の有害となるおそれがある空き家」に対して自治体が“特定空き家”に指定し、改善されない場合は最終的に強制対処できるようにする、と規定しています。
解体や改善について助言と指導を行い、猶予期限内に改善が認められなければ勧告を行います。
勧告された時点で固定資産税の優遇措置対象から除外され、最大で固定資産税が6倍に、都市計画税が3倍に膨れ上がります。
さらに改善が認められなければ、今度は命令が下されます。最大50万円の過料が課せられることがあります。
命令を受けても猶予期限内に改善が完了しなかった場合、いよいよ自治体が強制対処することになります。
改修・解体・その他いずれを選択するかは自治体次第ですが、かかる費用はすべて空き家の所有者に請求がいきます。
このように、もはや空き家は放置できない時代になってきています。
千葉県の空き家対策とは
続いて、千葉県や各市町村が行っている空き家対策を見ていきましょう。
千葉県の取り組み
千葉県は空き家対策として次の取り組みを行っています。
千葉県すまいづくり協議会空き家等対策検討部会
千葉県と県内の全54の市町村が構成員となり、空き家対策の実施について検討を行っています。
オブザーバーとして9つの関係団体が参加しています。
千葉県住生活安定向上推進議会「空き家等対策の推進」に関する検討部会
平成27年2月に設置された同部会では、庁内関係課における情報共有、あるいは空き家対策の実施主体となる市町村への情報提供などを行っています。
空き家に対する意識調査
住まい周辺の空き家に対して、住民はどのような意識を持っているのかという調査を実施しました。調査結果は空き家対策の検討資料として活用されています。
空き家バンク
千葉県の各市町村は積極的に空き家バンクを設置しています。
空き家を賃貸または売却に出したい所有者と、空き家を必要としている人をマッチングさせるシステムです。どれくらい活用されているのか、一例を挙げてみます。
茂原市の空き家バンクには現在3件の空き家が登録されています。
いずれも売却目的ですが、まだ買い手はついていないようです。
市原市の空き家バンクには現在、28件の空き家が登録されています(登録取り消しになった空き家も含む)。
成約済みになっている空き家も多く、募集中は6件となっています。
南房総市の空き家バンクには現在、25件の空き家が登録されています。
成約済みは16件、1件は交渉中、残り8件が募集中です。
空き家バンクを有効活用できている良い事例です。
このように、市町村によって有効に活用できているかどうかの差が顕著に表れていますが、千葉県の各市町村は積極的に空き家バンクを設置して空き家対策の一環として実施しています。
千葉県は空き家関連補助制度が充実している
今回は千葉県の空き家事情や空き家対策、空き家に関する補助金・助成金制度などをご紹介してきました。
千葉県でも空き家が増えている結果となりましたが、今や空き家問題は日本全体で考えていかなければならない深刻な問題です。
前述のように、空き家の中でも特に「その他の住宅」は、放置してしまうことでさまざまな悪影響をもたらしますし、空き家等対策特別措置法によって“特定空き家“に認められれば、強制処分されてしまうおそれもあります。
また、たとえ「二次的住宅」「賃貸用または売却用の住宅」の空き家でも、適正に維持管理されなければ防災生や防犯性を低下させます。
今後人口が減少していく日本において、空き家はますます増加の一途をたどることはほぼ確実視されています。
現在千葉県ですでに空き家を抱えている方、今後相続などで空き家の所有者となる可能性がある方は、早い段階で手放すのか、持ち続けるのかを決めることが求められます。
また、もし解体費用の工面が難しいといった理由で放置してしまっている方も、今回ご紹介したように市町村が設けている補助金・助成金制度があればぜひ活用しましょう。
自身はもちろん、地域の安全や周辺住民の生活環境を悪化させないためにも、より一層所有者意識を高めていきましょう。
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