「土地を売却した場合、確定申告はどうなるの?」「何か特別な手続きなどが必要?」「どんな税金がかかってくるの?」など疑問に思っている人もいるのではないでしょうか?
この記事では、確定申告の基礎知識から、土地や土地以外の不動産を売却した際の確定申告について解説しています。
土地やその他の不動産を売却した人、売却予定がある人は、ぜひ参考にしてください!
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そもそも確定申告とは?
「確定申告」はよく聞くけど、実際のところ難しくて良くわからない、いつも会社でやってもらっているから自分が知らなくても大丈夫、という人も多いと思います。
確定申告とは【毎年2月16日〜3月15日に行う手続き】のことです。
※2019年は2月16日が土曜日のため、2月18日〜3月15日までとなります。
なんの手続きかというと、「所得を申告して税金を確定させる」手続きのことです。
前年の1月1日〜12月31日までに得た所得を合計し、そこにかかる税金を算出したあと、上記の期間内に申告・納税することになります。
確定申告の必要がある人
確定申告が必要になる人は、次のような人です。
- 給与所得があった ・譲渡所得があった ・一時所得があった
- 配当所得があった ・不動産所得があった ・雑所得があった
- 事業所得があった ・退職所得があった ・山林所得があった
ということで、今回のテーマである「譲渡所得」がしっかりと含まれていますね(譲渡所得について詳しくは2章で解説しています)。
こうした所得があった人たちは、その所得の合計に対する「所得税」「復興特別所得税」を算出し、税金を納めなければなりません。
ただし、人によっては確定申告することによって納め過ぎた税金が戻ってくることがあります。
これを「還付申告」などと言います。
また、所得とは収入を合計したものから経費を差し引いたものです。
分かりやすいところでは生命保険や医療費、ふるさと納税などがあります。
個人事業主であれば人件費などです。
確定申告をしなかったら…?
故意かどうかに関わらず、確定申告の義務があるのにしなかった場「無申告」となります。
無申告のまま確定申告期間が過ぎ、税務署から指摘された場合は“期限後申告”を行うことになります。
その際、「無申告加算税」が課されます。
納税額50万円までは15%、50万円を超える部分については20%かかってきますので、かなりの痛手となるでしょう。
※ただし、税務署から指摘される前に自己申告した場合「無申告加算税」は5%に軽減されますので、確定申告の必要があるのにしていない人は、自分から申し出た方が、ダメージが少なくて済みます(もちろん期間内に正しく納税することが基本です)。
また、何年も確定申告をしていないという人は特に注意しなければならないのが「遅延税」です。
法律で定められている納税期限の翌日から、実際に納税するまでの日数によって税率が変わってきます。
ということで、まずは確定申告の基礎知識を簡単に説明してきました。
もっと詳しく知りたいという人は国税庁のホームページを参照しましょう。
※タイミングによってはリンク切れの可能性もあります。その場合は国税庁ホームページで確認できます。
土地を売却した際の確定申告とは?何かが変わるの?
土地を売却して利益があった場合、それは「譲渡所得」となります。
「所得」ですから、当然、所得税や復興特別所得税、住民税といった税金の課税対象となり、確定申告が必要になります。
ただし、土地を売却しても利益がなかった(差し引きゼロ円)、赤字になってしまった(タダであげたため売却にかかる諸経費など出費だけしかなかった)などという人は、この限りではありません。
譲渡所得とは?どうやって計算するの?
土地を売却した場合、所得税や復興特別所得税は譲渡所得に対してかかってきます。
譲渡所得を算出する方法は「売却価格−(取得費+譲渡費用)」で計算できます。
取得費とは、その土地を購入したときの費用のことで、仲介手数料や登録免許税、印紙税なども含まれます。
譲渡所得は、土地を売却するにあたってかかった費用のことで、やはり仲介手数料や登録免許税、印紙税のほか、測量費なども含まれます。
親から相続した土地の場合、その土地の取得費が分からないことも少なくありません。
その場合は、売却価格の5%に相当する額を、概算取得費として計算することができます。
こうして算出した譲渡所得に対して、所得税と復興特別所得税(プラス住民税)がかかってくる訳ですが、これはその土地を所有していた期間によって税率が変わります。
土地を売却した年の1月1日の時点で、所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得となり、税率は所得税と復興特別所得税で15.315%、住民税が5%となります。
一方、所有期間5年未満の場合は短期譲渡所得となり、所得税と復興特別所得税で30.63%、住民税が9%となります。
これで、あらかじめどれくらいの税金を納めなければならないか、調べておくことができます。
土地の売却にかかる税金について詳しくは、「土地を売却した際にかかる税金をシミュレーションしてみた!」の記事で詳しく紹介していますので、ぜひそちらも参考にしてください。
土地を売却した際の確定申告に必要なもの
土地を売却した場合の確定申告も、通常の確定申告と同じように、翌年2月16日〜3月15日までに済ませなければなりません。
確定申告書以外に、次のような書類が必要になりますので、覚えておき事前に揃えましょう。
- 譲渡所得の内訳書
土地を売却したあとに、税務署から売主の元に送られてくる書類です。
売却した不動産に関する情報、売却金額、その他売却にあたって支払った費用などが書かれています。
必要事項を記入して確定申告書に添付します。
- 売却時の各種書類のコピー
“土地を売却したとき”の売買契約書、代金受領書、仲介手数料の領収書、固定資産税精算書など、土地の売却に関わる書類のコピーを用意しておきましょう。
同じく確定申告書に添付して提出します。
- 取得時の各種書類のコピー
“売却した土地を取得したとき”の売買契約書、代金の領収書、仲介手数料の領収書、固定資産税精算書などのコピーも手元に用意しておきましょう。
このほか、3000万円の特別控除を受ける場合は売却した土地の全部事項証明書や戸籍なども必要になることがあります(住民票の住所と売却した土地の住所が同じかどうかによって変わることがあります)。
何を準備しておけば良いか迷ったときは、税務署に確認しておくとスムーズです。
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土地以外の不動産を売却した際の確定申告はどうなる?
続いて、土地以外の不動産である住宅やマンションなどを売却した場合の確定申告はどうなるのか、見ていきましょう。
もちろん、住宅やマンションを売却して得た所得も「譲渡所得」となりますので、土地を売却したときと同じように確定申告が必要になることに変わりはありません。
ただし、土地だけを売却した場合とは少し異なるケースもあるため、それぞれ要点を解説していきます。
住宅を売却した場合、特別控除が受けられることがある
住宅を売却した場合の確定申告において揃える書類などは、土地を売却したときとほとんど変わりません。
同じように長期所得か短期所得かによって税率が変わってきますので、事前にある程度調べておくことができます。
ただし、土地だけを売却したケースと比べて大きく違うのは、マイホームを売却した場合です。
3000万円の特別控除や、軽減税率といった特例措置を受けられる可能性があります。
※特例措置について詳しくは、国税庁のホームページをご確認ください。
3000万円の特別控除や軽減税率を受ける際、確定申告で必要になる書類には次のようなものがあります。
- “売却した住宅”の登記事項証明書(原本)、売買契約書の写し、住宅借入金等の残高証明書(譲渡契約締結日の前日のもの)など
- “売却した住宅を取得したとき”の登記事項証明書(原本)、住宅借入金等の残高証明書、耐震基準適合証明書(建築後25年を超える中古の建築物件の場合)など
スムーズに確定申告を済ませるためにも、土地や住宅を売却した、あるいはする予定があるという人は、こうした書類をできるところから準備し始めておくと良いでしょう。
マンションを売却した場合、減価償却費の計算が必要になる
マンションを売却した場合の確定申告も、やはり土地や住宅を売却したときと同じです。
ですが、大きく違うのは「減価償却費」を計算する必要があるという点です。
※減価償却とは
例えば2019年に5000万円のマンションを購入し、5000万円を支払ったが、実際に住むのは1年間ではない(20年など住むかもしれない)ですよね。
そうすると5000万円÷20年=250万円となり、この金額を毎年の費用としていきましょう、ということです。
ただし、何年住むかは分かりませんので、おおよそのざっくりした年数を「耐用年数」という形で決めています。
例えば鉄筋コンクリート造の居住用マンションの耐用年数は70年という風に決められています。
マンションなどの建物は、経年とともにその価値が目減りしていくことが前提としてあるからです。
ただし、これは会計上の概念であり、実際の市場価値とは直結しません。
何やら難しい言葉が並んでしまいましたが、減価償却費を計算する方法は簡単です。
次の計算式に当てはめれば良いだけです。
マンションの購入代金×0.9×償却率×経過年数
現代のマンションといえば、ほとんどが鉄筋コンクリート造あるいは鉄骨鉄筋コンクリート造でが、そうした構造の建物の償却率は0.015%と決められています。
3000万円で購入したマンションに10年居住して売却した場合、減価償却費は次のようになります。
3000万円×0.9×0.015×10年=減価償却費405万円
3000万円−405万円=2595万円
まずはこの2595万円という減価償却費について覚えておきましょう。
さて、譲渡所得を算出する場合の計算式は覚えていますか?
譲渡所得は「売却価格−(取得費+譲渡費用)」で算出できるというお話でした。
この取得費に当たるのが、2595万円という減価償却費です。
マンションを3000万円で購入し、10年住んで売却した場合、取得費は3000万円ではなく2595万円ということになります。
譲渡費用を100万円と仮定し、マンションの売却価格が1500万円と仮定した場合、譲渡所得は次のようになります。
1500万円−(2595万円+100万円)=−1195万円
1195万円のマイナスという結果になりました。
単純に「売却」しただけであれば
- 居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
が受けられます。
また、この売却が「買いかえるため」だった場合は
- 居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
を受けることができます。
少し難しい話になってしまいましたが、こうしたことがあるため、マンションを売却したときの確定申告では、減価償却率の計算が必要になってくるという訳です。
もちろん、土地を売却した場合、あるいは住宅を売却した場合でマイナスになってしまったときも、特例措置を受けられるケースがありますので、確定申告前に確認しておくことをおすすめします。
土地売却の固定資産税のまとめ
今回は、土地を売却したときの確定申告について、さらには土地以外の住宅やマンションといった不動産を売却したときの確定申告について、確定申告の基礎知識と併せて解説してきました。
少し難しい内容も混じってしまい、また、今回ご紹介したケースが全てという訳ではありませんが、いずれにしても不動産を売却して譲渡所得を得た場合、確定申告が必要になります。
また、不動産を売却して譲渡損失があった場合も、確定申告した方が良いケースがあります。
提出する書類や適用される特例措置およびその条件などは、個々のケースによって変わってきますので、事前に税務署に問い合わせて確認しておきましょう。
まとめると・・・
- 土地などを売却して譲渡所得を得たら確定申告の対象になる
- 土地などを売却して譲渡損失があっても確定申告した方が良いケースがある
- 特例措置が適用されるケースがある
- 必要な書類など不明な点は事前に税務署に確認しておく
この辺をポイントとして押さえておくと良いでしょう。
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