土地活用をお考えの方へ
解体後の土地をどのように活用していくか考えなければならない時、何を基準に選ぶことが大切になってくるのでしょうか?
人によっては利益率であったり、管理のし易さ、あるいはリスクの少なさ、初期費用の安さという人もいると思います。
何をメインに考え、どんな活用をするかは人によって異なると思いますが、何をするにしても少なからずメリットとデメリットがついて回ります。
今回は土地活用の中でも特に多い「駐車場経営」のメリットとデメリット、リスクなどについて解説をいたします。
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解体後の主な土地活用
まずは解体後の土地活用にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
*アパート・マンション・戸建などの賃貸経営
*賃貸併用住宅
*事業用賃貸
*駐車場経営
*トランクルーム経営
*太陽光発電の設置
*貸地
*売却
*自己使用
他にもアイデア次第では様々な活用方法がありますが、代表的なものはこのようになります。
その中でも駐車場経営について詳しく見ていきましょう。
月極駐車場か?コインパーキングか?
駐車場経営をする場合、まず「月極駐車場(賃貸)」にするのか「コインパーキング(時間貸し)」にするのか、あるいはその両方を取り入れた形にするのかを決める必要があります。
月極駐車場
契約者から毎月賃料(駐車料金)を徴収します。
更地にロープを張って区画整理をすればそれで成立してしまうという最も初期費用を必要としない方法もあります。
とはいえ大きな石が転がっていたり雑草が多いなどという状態では借り手がつきませんので、実際には整地をしたりアスファルト舗装をする必要があります。
契約者がいさえすれば収入は保証されるため安定しますが、契約者がいないと全く収入が見込めませんので周辺のリサーチをしっかりと行わなければなりません。
なお、運営方法としては契約者の募集・賃料などの管理を業者に依頼するパターンと、駐車場そのものを業者に貸し出してしまうパターンがあります。
いずれにせよ、整地などの初期費用は土地の所有者が負担します。
コインパーキング
誰でも自由に利用でき、その利用時間に応じた駐車料金を徴収します。
商業地域やその近隣、あるいは交通量が多く周辺にパーキングが少ない地域などに多く、うまく回転すれば月極駐車場よりも大きな収益を得られる可能性があります。
とはいえ精算機・ロック板・入出庫バー・監視カメラといった設備に費用がかかるため、ある程度の初期費用と、月極駐車場と同様に事前の周辺リサーチは不可欠です。
運営方法としては、土地そのものをコインパーキング運営業者に貸し出すパターンと、土地の所有者が設備等も全て整え、管理と運営のみを業者に委託するパターンがあります。
駐車場経営のメリットとデメリット
続いて、駐車場経営をする場合のメリットとデメリットを挙げてみます。
駐車場経営のメリット
まずは他の土地活用方法との比較も織り交ぜながら、メリットについて解説します。
1:初期投資が少なくて済む
先ほどの月極駐車場のように軽く整地をしてロープを張るだけでスタートできるケースもありますし、コインパーキングにしても(広さにもよりますが)、平面駐車場にする場合は精算機とロックシステムなどを揃えても100万円~200万円程度から始めることができます。
立体式の駐車場にする場合はしっかりとした建物や設備が必要になってしまいますが、それでもアパートやマンションを建設する費用と比べれば初期投資は大幅に少なくて済みます。
それはつまり、「万が一失敗したとしてもダメージが小さくて済む」というメリットにも繋がってきます。
2:転用が容易
例えばアパートやマンションを運営していて、その土地を転用するために取り壊す必要がある場合、入居者に立ち退きをお願いすることになりますよね。
ですが、賃借人は「借地借家法」によって守られており、よほどの正当な事由がない限り立ち退きを求めることは困難なのが現実です。
ところが駐車場は「借地借家法」が適用されませんので、契約者には事前の通告をすることで立ち退いてもらうことが可能になります(もちろん理不尽な立ち退き事由等は認められないケースもありますが)。
つまり、将来的に別の土地活用方法を見込んで、いったん駐車場にしておいて後から更地に戻したりアパートやマンション経営などに転用することが容易であると言えるのです。
*コインパーキングのケースで、管理・運営業者と「複数年で一括借上げ契約」をした場合、その契約内容によっては違約金や解体・撤去費用が発生するケースもありますので事前にしっかりと確認をしておきましょう。
3:立地条件を問わない
例えばアパートやマンション経営、あるいは事業賃貸として貸し出す場合、駅やバス停から遠いなど交通が不便な土地では失敗する確率が高くなります。
ですが、駐車場の場合は駅やバス停などとの距離はほとんど関係ありません。
たとえ商業施設の近くではない住宅街であっても、自宅に車を置くスペースがなく周りに駐車場もないという環境であれば当然集客が見込めます。
用途地域制限などの規制も受けないので、よほど大規模でなければ住宅用地でも可能なのです。駐車場は場所を選ばない土地活用の方法と言えます。
4:短期間で営業が開始できる
アパートやマンション、事業賃貸などは計画から建築、入居者の募集など数ヶ月から場合によっては1年以上かかってしまうことがあります。
その点、駐車場は最短で2週間程度で営業を開始できるケースが少なくありません。
5:管理が複雑でない
一度設備を整えて営業を開始してしまえば、故障などのトラブルは仕方ないにせよ、アパートやマンションのような大規模改修工事、あるいは退去者が出た際のクリーニングやリフォームなども必要がありません。
6:相続税対策にもなる
駐車場や更地などは現金化しやすいため、例えば相続人が複数いた場合でも相続税の支払いなどにスムーズに対応することができます。
また、アスファルトやコンクリート舗装された駐車場で面積が200平米までの場合、相続税が50%軽減されます。
7:災害時のリスク、老朽化によるリスクが小さい
土地を貸し出すだけの場合、老朽化によって受ける影響はほぼありません。
せいぜいフェンス、舗装箇所、設備類のメンテナンスで済みます。
また、平面で建物がない駐車場は災害時に緊急避難先になりうるケースもありますし、地震や台風、その他の自然災害によって受けるダメージはアパートやマンション経営などと比較しても非常に小さいものとなります。
駐車場経営のデメリット
次にデメリットについて解説します。
1:大きな収益は望めない
基本的に駐車場経営は「ローリスク・ローリターン」と言われています。
初期投資額が少ない分、大きな収益も望めないということです。
また、駐車場をどの程度の規模にするかにもよりますが、年間を通しての管理費、破損・汚損・経年劣化などによる修繕費、あるいは固定資産税などが経費として乗ってきます。
建設費用の支払いにローンを選択した場合はその返済分も収入から差し引かれます。
2:税制上の優遇措置はほとんど受けられない
アパートやマンショなどと違って「住宅用地」にはなりませんので、「固定資産税が1/6になる」および「都市計画税が1/3になる」といった税金の軽減措置は受けられません。
3:所得税負担が大きい
平面駐車場の場合、減価償却費がありません。
立体駐車場の場合も、「建物」と比べれば減価償却費は少ないです。
「支出を伴わない必要経費」が少ないので、所得税が課税される部分もそれだけ大きくなります。
4:立体式駐車場にする場合は特に注意が必要
自走式の駐車場や多段式駐車場は「建築物」扱いとなるため、建築基準法が適用されます。
「用途地域制限」によって住宅地への設置が認可されない可能性もありますので事前に知っておく必要があります。
5:利用者が減る可能性
少子高齢化、人口の減少などによって車を運転する人の数が減っていくことが予想されます。
また都市部などではカーシェアリングやレンタカーの需要も伸びてきており、今後さらに増えていくと考えられています。
そうなると月極駐車場やコインパーキングの需要が減ってくる可能性が高くなります。
いかがでしょうか?駐車場経営にはこのようなメリットやデメリットがあります。
また、これはデメリットというよりもどちらかと言うと「リスク」として捉えておきたい事項がありますのでいくつかご紹介します。
・賃料の滞納(月極駐車場)
・借り手の不足(月極駐車場)
・駐車マスが消えている・狭いなどの影響で接触事故が起きた(月極駐車場・コインパーキング)
・出入口の見通しが悪いことを知っているのに改善せず事故が起きた(月極駐車場・コインパーキング)
・ロック板や入出庫ゲートなどが壊れていて請求金額に誤差が生じ損害を与えた(コインパーキング)
・設備を破損されてしまう(月極駐車場・コインパーキング)
・車上荒らしが発生する(月極駐車場・コインパーキング)
・無断駐車や不正駐車などによる損害(月極駐車場・コインパーキング)
・精算機にある売上金の盗難(コインパーキング)
このように多くの事故やトラブルが予想されます。月極駐車場を借りる人は近所であることが多いため、賃料の滞納などでも強く言えない難しさがあります。
また、デメリットの「5」にも繋がりますが、必ず借り手が見つかるとは限らないこともリスクとして捉えておくことが必要です。
コインパーキングでは、特に精算機や入出庫バー、ロック板などの故障は緊急を要します。
24時間体制で管理・運営してくれる業者に委託するなどの対策が必要になってきます。
駐車場経営は専門家への相談が大切
今回は、解体後の土地活用としても特に多い駐車場経営について、メリットとデメリットをご紹介してきました。
数ある土地活用の中でも比較的容易で初心者も運営することが可能な反面、事前の周辺リサーチを入念に行ったり、デメリット(リスク)などについてもしっかり把握しておかないと、思わぬ失敗を招いてしまう恐れがあります。
今現在、土地活用について迷われている方や、将来の土地活用について決めかねている方の参考になれば幸いです。