住宅の個人売買が日本で普及しない理由5つ

住宅や土地などの不動産を売却する際、不動産業者に仲介を依頼する方法が一般的ですが、その場合どうしても高額な仲介手数料が発生してしまいます。

ではなぜ住宅の個人売買を選択する人が増えないのでしょうか。

今回は住宅の個人売買のメリット・デメリットを考え、日本で普及しない理由を解説していきます。

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一般的な不動産売却方法とは?

まずは、一般的に行われている不動産の売却方法について説明します。

住宅や土地などを売却しようと思った時には売る側が売主、買う側が買い主となります。

売主はまずは誰に売るのかを探す必要があるのですが、自力で買い主を探すことはなかなか難しい為、宅地宅建取引業の免許を取得している不動産業者に仲介を依頼し、買い主を見つけてもらうのです。

また物件の価格なども査定してもらい適正な価格を決定してもらえるため、スムーズに住宅を売却する事ができます。

ですが不動産業者に仲介を依頼すると、高額な仲介手数料がかかります。

仲介手数料は法律で上限額が以下の様に定められています。

売却価格 仲介手数料
200万円以下 (売却価格×5%)+消費税
200万円以上400万円以下 (売却価格×4%+2万円)+消費税
400万円以上 (売却価格×3%+6万円)+消費税

仲介手数料は、取引が成立した際にしかかかりません。

ですから仲介業者は取引を成立させるため、問い合わせに対応したり広告を出したりと様々な方法で売却のサポートを行います。

不動産取引のプロなので、難しい手続きなども代行してくれるため、不動産業者に仲介手数料を支払ってでも仲介を依頼する方が多いのです。

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住宅を個人売買するメリット

住宅を個人売買するメリットは先ほど説明した仲介手数料がかからない事。

そしてもう一つは、住宅を売る時に消費税がかからない事です。

課税事業者が取引を行った場合は住宅の売却も課税対象になるのですが、個人売買の場合は非課税となる為、費用を抑えることが出来ます。

買い主を一から探すのは難しいですが、親子間や親族間で住宅を売買する事が決まっている場合は仲介業者を挟まない方がお得に住宅を売却できるのです。

また、仲介業者に依頼すると大々的に広告を載せる為、第三者に不動産を売却する事が知られてしまいます。

誰にも知られずに不動産を売却したい方には、個人間での売買がおすすめです。

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住宅の個人売買が普及しない理由とは?

住宅の個人売買をすると費用を大幅に抑えられるのですが、デメリットもたくさんあります。

ですが法律上は個人間で住宅や土地を売買する事は全く問題ありません。

むしろ費用を抑えられるのになぜ多くの人が不動産業者に仲介を依頼するのでしょう。

次は住宅の個人売買が普及しない理由を解説します。

①書類の作成が難しい

不動産を売却する際には様々な書類が必要となります。

当事者に交付する『売買契約書』や『重要事項説明書』などは個人で住宅を売買する際に必ず作成しないといけないものではありませんが、高額なやりとりをする上で口約束だけで行うのは危険なので、しっかりと書面に残しておいた方が安心でしょう。

売買契約書には以下の条項の記載が必要です。

  • 売買代金・手付金の支払いについて
  • 所有権移転と物件引き渡しについて
  • 抵当権の抹消や固定資産税の開始日などの金銭について
  • 契約を履行できない場合について
  • 瑕疵担保責任について

そして、重要事項説明書には以下の条項の記載が必要です。

  • 法令上の制限の説明
  • 土地と道路の関係について
  • インフラ整備について
  • 敷地や建物の状態について
  • 代金以外に必要な金銭について
  • 契約解除について
  • 保険について

このように、たくさんの項目を個人間で交渉し書面にしていくのはとても根気のいる作業の為、書類の作成が個人売買が普及しない理由の一つとなっているのです。

②瑕疵担保責任の取り決めが難しい

『瑕疵』というのは、住宅の品質における欠陥や不具合の事

目に見えて痛んでいるところに関しては事前に対応できますが、シロアリ被害や雨漏りなどの『隠れた瑕疵』については買い主が売主に補修の費用を請求できるという法律があるのです。

売主が不動産業者の場合は、最低に年間瑕疵担保責任を負うと民法では定められていますが、個人間での売買の場合は『売主は隠れた瑕疵を発見した時から一年間は責任を負う』とされているため、引き渡し後何十年たっても責任を取る義務が発生してしまい売主の負担があまりにも大きくなってしまいます。

その為、個人間で売買する際には『引き渡し後〇年間は責任を負う』『責任を負わない』などの特約を付ける必要があり面倒な為、瑕疵担保責任についても個人売買が普及しない理由のひとつとなっています。

③住宅ローンが組みづらい

住宅を購入する買主は住宅ローンを組むのが一般的です。ですが住宅ローンは誰でも組めるものではありません。

住宅ローンの審査の際には『売買契約書』と『重要事項説明書』の提出を求められることが多いのですが、先ほども説明した通りこの書類を作成するだけでも相当な労力が必要となります。

また、重要事項説明書に関しては、物件の詳細が記載されている重要なもので、宅建建物取引士の署名・押印がないものは信頼度が低い為正式な書類として認められないこともあります。

このように、仲介業者がはいらない個人間での売買の場合、金融機関から信用されることが難しい為ほとんどの場合住宅ローンの審査に通らないのです。

また家族間での売買の場合、贈与・相続などの複雑な問題も絡んでくるため金融機関に嫌がられることも…。

住宅ローンに通らないことを知らずに個人売買の契約をしてしまい、後々損害賠償を請求されるなどのトラブルになる可能性もあり、現金でのやり取りが難しい場合は住宅の個人売買は現実的に難しいでしょう。

④適正価格か判断する事が難しい

不動産業者に仲介を依頼すると、まず物件の査定をし、適正な値段を定めてくれるのですが、個人売買の場合は自分で物件の値段を決めなければなりません。

もし、適正価格より極端に低く設定して売ってしまった場合、その取引が贈与と見なされ、高い贈与税を請求されることも…。

また親しい間柄ならではの値引き交渉などでトラブルになってしまう事もある為、こちらも住宅の個人売買が普及しない理由の一つといえるでしょう。

⑤トラブルになりやすい

住宅はとても高価なので個人で売買するとトラブルになりやすいと言われています。

実際に物件を見せる際には、質疑応答や条件交渉なども自分で行わなければなりません。

価格を大幅に値切られたり、話の行き違いでトラブルになる事もあります。

契約書類の不備もトラブルの原因になりますし、代金の未払いなど金銭のトラブルの可能性もあり個人間での売買は売主にとっても買主にとってもリスクが大きいのです。

不動産業者に仲介を依頼していれば、不動産取引のプロが未然にトラブルを防いでくれるので安心して任せられます。

そういった面からも住宅の個人売買が敬遠されているのでしょう。

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まとめ

今回は住宅の個人売買のメリット・デメリットについて解説しました。

仲介業者を利用しなければ、仲介手数料や税金を節約できてお得ですが、やはり素人が個人間で売買するデメリットもたくさんあります。

最近では、インターネットが普及し個人で買い主を探すこともできるようになってきました。

また書類作成代行会社などもあり、住宅の個人売買のハードルは下がりつつあります。

ですが、トラブルを未然に防ぐ意味でも、不動産業者に仲介を依頼した方が安心でしょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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