建物滅失登記の重要性と自分で申請する方法!建物の所有者が知っておきたい知識まとめ!

建物滅失登記の手続きはなぜ必要か知っていますか?

家の解体工事の前後には、さまざまな申請書類が必要になります。

その中でも、特に大切な書類の一つが「建物滅失登記」です。

原則として、建物の所有者が申請することになります。

多くの場合、「解体工事を依頼した施主=建物の所有者」です。

申請を忘れるとトラブルの元になってしまいますので、ぜひ覚えておきましょう。

この記事では、建物滅失登記について詳しく解説するとともに、必要書類をまとめました。

これから解体工事の予定がある人は、ぜひこの機会に覚えて役立ててください。

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建物の解体工事が完了した後に行う必要がある「建物滅失登記」とは

法務局に記録されているその建物の登記を、閉鎖する手続きが建物滅失登記です。

その土地の上に建物が存在しなくなったことを証明するためにも、必要な手続きです。

解体工事後1ヶ月以内に、建物の所有者が法務局に申請することが義務付けられています。

建物滅失登記をしないとお金が掛かる!

10万円の過料に処されることがある

建物の解体が完了したら建物滅失登記申請書を作成し、1か月以内に管轄の法務局へ申請しなければなりません。

この申請をうっかり忘れたり、怠たったりすると10万円以下の過料に処されることがあるので、注意が必要です。

「1ヶ月猶予がある」と思わず、解体工事とセットで行うものと思っておきましょう。

固定資産税が生じ続ける

また、建物滅失登記を早めに行っておかないと、解体したはずの建物の「固定資産税」が引き続き発生していまします。

壊してなくなったはずの建物に対する税金を払うのは、まさに「もったいない」の一言です。

固定資産税は、その年の1月1日時点でその所有者に対して課されます。12月に解体工事が完了して、建物滅失登記を1月に行うといったように、年をまたいでしまった場合、固定資産税が発生する可能性があるため、注意しましょう。

役所に事情を伝え、年を越す前に解体工事が完了していたことが証明できれば、撤回されるかもしれませんが、面倒な手続きや説明をしなければならない負担が増えてしまうため、解体工事後すぐに行うことをおすすめします。

建物滅失登記は自分で申請できる

建物滅失登記は、自分で行うことも可能な手続きです。

土地家屋調査士といった専門家に依頼しなければならない、という訳ではありません。

専門家に依頼すると、1回の建物滅失登記申請に少なくとも4万円程度の依頼料が発生します。

自分で申請すれば数千円で済むので、できれば自分で申請することをおすすめします。

自分で申請するには、最初に、取り壊された建物が、そもそも登記されている建物かどうか、そして、登記されている場合、その建物の家屋番号を調べる必要があります。

もし、法務局で登記がされていない建物(未登記建物)であれば、家屋番号も無いということになり、建物滅失登記の申請をする必要がない建物と言えるからです。

家屋番号がない建物を取り壊したことがわかれば、あとは、その建物が建っていた市区町村の役所に、建物の滅失届を提出するだけでよくなります。

※未登記建物=建物に対する固定資産税が発生しないということではありません。役所では毎年、課税建物の確認を行っています。

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建物滅失登記手続きを自分で行う場合の大まかな流れ

① 法務局に出向き、建物の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得して登記内容を確認する。

・家屋番号、所在地、種類、構造、床面積、不動産番号などは控えておきましょう。

② 建物滅失登記申請書を作成する。

・申請書は法務局で手に入れることができます。

③ 取壊し(解体工事)を担当した業者からもらった書類(取り壊し証明書)を添付して、法務局に登記を申請する。

・建物の図面や各階の平面図、公図といったものが必要になることがあります。

また、解体業者の代表者事項証明書または履歴事項証明書、および、印鑑証明などが必要になることがります。スムーズな手続きのためにも、解体工事が完了する前に「自分で建物滅失登記を申請する」ということを伝え、書類の準備を進めておいてもらいましょう。

④ 登記が完了したら、登記完了証を受け取る。

・自分で申請する場合、特に手数料などはかかりません。しかし、窓口で登記事項証明書の交付を請求する場合や、印鑑証明や住民票、申請書などの代金は必要になることがあります。

また、解体業者に各種書類の手配を依頼した場合、その費用を負担することもあるかもしれません。

どこに申請すればいいの?

建物滅失登記は、その建物の所在地を管轄する法務局に対して申請します。

解体した建物の所在地、つまり住所は分かっているはずなので、その地域にある法務局(出張所のケースもあります)に連絡すれば教えてくれます。

なお、法務局のホームページからでも検索できます。

だれが申請するのか?

原則として建物の所有者が申請します。

建物滅失登記の申請者は、原則としてその建物の所有者です。

しかし、体が不自由、病気など何かしらの理由で自分では申請できない場合、「土地家屋調査士」といった専門家に申請代行を依頼する事ができます。

前述のように、土地家屋調査士といった専門家に依頼した場合、数万円の申請代行手数料が発生するため、覚えておきましょう。

また、建物滅失登記の代行申請は、誰にでもできるものではありません。

資格を持った専門家以外に依頼すると、罰せられるケースがあるため気をつけましょう。

建物滅失登記の申請に必要な書類

建物滅失登記に必要な書類は、基本的には以下のものになります。

建物滅失登記の登記申請書

法務局には、所定の申請書類が設置されています。

また、法務局のホームページからダウンロードして使用する事も可能です。

※法務局 不動産登記の申請書様式について 23)建物滅失登記申請書

建物を取り壊した業者の建物取毀(とりこわし)証明書

建物を取り壊した事を証明する書類です。

建物の解体工事を施工した解体業者に依頼して、以下のような建物取毀証明書(建物滅失証明書)を用意してもらいましょう。

建物取毀証明書(建物滅失証明書)

② 解体業者の会社登記事項証明書

③ 解体業者の印鑑証明書

解体した建物が建っていた場所の地図

手書き、地図のコピー、Googleマップのプリントアウトなど、建物が建っていた場所が分かれば何でも構いません。

併せて、解体工事が完了したあとの土地を写真に収めておく人もいるようです(ただし必須ではありません)。

登記申請書の提出

必要書類を揃え、申請書を記入したら、それら一式を持って法務局へ出向き、窓口に提出します。

提出時に、係の人が申請書類一式確認し、修正等がないか確認してくれます。

ただし、その時は不備に気づけなかったり、書類をもとに調査した結果、相違していたりすることもあります。

その場合は、後日電話連絡などが来ることもあります。

書類に記載した内容と事実に相違がなく、その他不備などの問題もなければ、建物滅失登記は完了です。

「登記完了予定日」を知らせてくれることもあります。

なお、提出のために窓口に出向くときは、申請書に押した印鑑を持参することを忘れないようにしましょう。

修正する際、その印鑑が必要になることがあります。

また、郵送で申請する事も可能です。郵送での方法は法務局のホームページに記載されています。

※法務局 不動産登記の申請書様式について その他の注意事項等について

登記完了証

建物滅失登記が完了すると、「登記完了証」という書類が交付されます。

郵送での返却を希望した場合は、郵送で送られてきます。

この書類は、他に使用する機会が少ないかもしれませんが、建物が存在しなくなったことを証明するための大切な書類になります。失くさないように保管しておきましょう。

なお、登記完了証の受け取りは、登記完了から3ヶ月程度とされていることが多くあります。

期間を過ぎてしまうと破棄されてしまうこともあるようです。忘れずに受け取りにいきましょう。

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オンライン申請もできる

ここまで、建物滅失登記を自分で行うときの手順や方法を解説してきましたが、実はオンラインでも申請が可能になっています。

オンライン申請に慣れている人、法務局に出向く時間がなく、土地家屋調査士に依頼する費用も節約したいという人は、ぜひオンライン申請を利用してみてはいかがでしょうか?

※法務局 登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続きが便利です
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まとめ

解体工事は、家を取り壊して完了ではありません。

そのあとに重要な建物滅失登記が待っています。

原則として、申請はその建物の所有者が行う義務があります。

今回解説した流れが一般的な流れになりますので、ぜひ覚えておきましょう。

不明な点があれば、法務局に問い合わせ、確認しましょう。

また、忙しい人や自分で法務局に出向くのが難しい人は、土地家屋調査士に依頼したり、オンライン申請を活用したりすることも検討しましょう。

ただし、土地家屋調査士に依頼した場合は、数万円の手数料が必要になります。

なお、稀に建物滅失登記が完了してからも、その建物に対する固定資産税の請求が続く場合もあるようです。

役所と法務局との間で情報が共有されていないことが考えられます。

その場合でも慌てず、建物滅失登記が完了している旨を役所に伝えて対処してもらいましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

35年で過去5,000棟の解体工事を手がけた解体専門店・市川工業の責任者であり、解体協会の理事も務めています。 建物解体工事を中心に産業廃棄物のリサイクル業務を中心に、毎年、年間300件以上の解体工事でお客様とふれあう中で「より良いサービスを提供する解体企業になる」をモットーに、業界のイメージと解体工事の品質向上に力を注いでいます。 現在は新潟県解体工事業協会の理事を務め、解体業界全体の品位向上に力を注いでいます。 資格:一級土木施工管理技士、リサイクル施設技術管理者、解体工事施工技士