マンションの解体費用っていくらかかって、誰が負担するの?

人口の減少に反比例するかのように、都市部では新築マンションの建設が続いています。

ところで、古くなったマンションはどうなるのでしょうか?

老朽化したマンションは、放置してしまうと倒壊といった恐れもあるため、改修工事を行ったり、解体や建て替えを行ったりして安全性を確保しなければなりません。

この記事では、マンションの構造で最も多いRCマンションを解体するときの費用はいくらくらいかかるのか、費用は誰が負担するのかといった基本的な知識から、マンションの解体に必要な仮設費とは何か、アスベスト含有建材が使われていた場合はどうなるのか、といった疑問についても解説していきます。

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マンションの解体費用はどの位かかる?費用の負担は誰が?

マンション 解体 費用

マンションは、建設するときもそうですが、解体するときも多額の費用が必要になります。

マンションの規模や構造、立地条件、解体工法などさまざまな条件によって費用が大きく異なります。

また、分譲か賃貸か、純粋な解体か建て替えか、などあらゆる要素が絡んでくるため、「坪あたり○万円」といった明確な相場というものはありません。

マンションの解体費用はどれくらい?

マンションの構造の中でも最も多いRCマンションの解体費用は、1戸あたり200万円〜1,000万円になることもあると言われています。

単純計算で、1棟が50戸のRCマンションであれば、1億円〜5億円になることもあるということです。

坪単価にすると、50,000円〜80,000円程度になることが多いようです。

構造が複雑だったり、規模が大きかったりすると工期も長くなりますので、さらに費用が膨らむことが考えられます。

また、隣接する建築物との距離が近く、いわゆる狭小地などでは、解体がさらに難しくなるため、やはり費用が膨らむことが予想されます。

このように、マンションの解体には多額の費用が必要になってきます。

前述のように、さまざまな条件や要素によって解体費用は大きく変わってきます。

マンションの解体費用は誰が負担する?

マンション 解体費用負担

マンションの解体には多額の費用が必要になりますが、その費用は一体誰が負担するものなのでしょうか?

それは、賃貸マンションか、分譲マンションかによって違ってきます。

賃貸マンションであれば、住民が負担する必要はありません。

マンションの所有者(オーナー)が負担することになります。

ただし、家賃と一緒に支払う管理費や維持費といった費用が解体費用に充当されることはあるかもしれません。

一方、分譲マンションでは、その部屋を購入することになりますので、住民が所有者となります。

そのため、解体費用も住民(購入者)が負担するのが原則です。

しかし、戸建て住宅と違い、何十人もの人が暮らす分譲マンションでは、一部屋だけ解体するということはできませんし、一部の住民だけが「解体費用を出しても良い」と言ったところで、マンションを解体できるわけではありません。

住民の合意を得られなければ、解体工事を行うことができないのです。

例えば建て替えるケースで言うと、区分所有法という法律によって次のように定められています。

第六十二条

集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。

引用:「建物の区分所有等に関する法律」より

分譲マンションの所有者、議決権のそれぞれ5分の4以上の合意がなければ、解体したり建て替えたりすることができない、というわけです。

ここに、マンション解体の難しさがあります。

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マンション解体に必要な仮設費とは?

解体工事をするには、まず仮設工事が必要になります。

仮設工事にかかる費用を仮設費と言いますが、具体的にどのような工事で、どれくらいの費用がかかるのかを見ていきましょう。

仮設費とは

解体工事を施工するためにさまざまな準備をしなければなりません。

仮設費とは、解体工事を始めることができる状態にするための費用です。

例えばRC5階建てマンションの仮設費の例は198万円、RC3階建てのマンションの仮設費で150万円といったように、規模によって大きく変わってくるほか、構造や形状などによっても大きく変わってきます。

仮設工事とは

わかりやすいところで言えば、足場なども仮設工事に含まれます。

足場を組む、防音・防塵・防炎シートをかける、必要な箇所は養生する、現場に第三者が入ってこないように囲いゲートを設置する、散水設備や仮設トイレ、詰所や資材置き場を設置する、といったことも仮設工事に含まれます。

また、仮設工事を行う際に資材を運搬する車両(4tユニック等)の費用なども含まれています。

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アスベストが使われていた場合はどうなる?

現在も、アスベスト含有建材が使われているマンションは少なくありません。

アスベストが使われているマンションの解体は、より慎重に行わなければなりません。

アスベストの含有量や飛散リスクによっては、特殊な訓練を経て専門の知識を持った人が対応することになります。

その場合、解体費用も膨らみます。

アスベストのレベルについて

アスベストは、発塵の度合いによって、次のようにレベル分けされています。

レベル1

発塵性が最も高く、解体・撤去する際に大量のアスベストを含む粉塵が飛散するのがレベル1です。

立体駐車場やボイラー室、体育館などにも使われているアスベスト含有吹き付け材(アスベストとセメントを混ぜた状態で吹き付ける材料)です。

レベル2

レベル1には及ばないものの、発塵性が高く、解体・撤去する際に大量のアスベストを含む粉塵が飛散する恐れがあります。

ボイラー、壁の耐火被覆材や屋根の断熱材、空調ダクトの保温材などさまざまな箇所に使われています。

レベル3

発塵性がないわけではありませんが、レベル1や2と比べるとそこまでリスクが高くない、というのがレベル3です。

屋根材や外壁材、壁、天井、床といった箇所に使われていることが多い、いわゆるアスベスト含有成形板やビニール床タイルといった材料です。

アスベストが使われていた場合の解体方法は?

レベル1やレベル2では、封じ込め工法、または囲い込み工法を行うのが一般的です。

封じ込め工法とは、アスベスト含有建材の表面に薬液を塗って膜を作り、粉塵の飛散を防ぐ方法です。

囲い込み工法とは、板状になっている材料を使ってアスベスト含有建材を囲い込んで密閉し、粉塵の飛散を防ぐ方法です。

レベル3のケースでは、普通に撤去すれば粉塵が飛散することはありません。

ただし、成形板が割れてしまったりすると粉塵が飛散してしまうため、慎重な作業が求められることに変わりはありません。

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まとめ

マンションの解体には多額の費用が必要になります。

費用の負担は、賃貸か分譲かによって大きく変わります。

特に分譲マンションの場合、合意や議決が得られず、解体できないままになっているマンションも少なくありません。

マンションの購入を検討している人は、こうした点も知っておくことが大切です。

また、マンションの解体には多くの仮設費が必要になるほか、アスベスト含有建材が使用されていた場合、特殊な工事が必要になることもあります。

予備知識として押さえておきましょう。

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