土地の更地費用とは?
土地を更地にするということは、そこに建っている建物を解体するということです。おおよそ、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?
更地のメリット・デメリット、そのほか押さえておきたいポイントと併せて解説します。
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更地の定義
建物が建っていない宅地を「更地」と言いますが、実際はもう少し細かく定義されています。
たとえ建物が建っていない宅地であっても「借地権」「地上権」といった権利がついている土地は更地ではありません。
「使われていない農地」や「木が生えていない山林」なども更地には含まれません。
また、特に土地活用などを検討している方の中には「底地(そこち)」というワードにたどり着くことが多いかもしれません。
せっかくですから、併せて定義を覚えておきましょう。
- 更地 購入すれば自由に建物を建てられる宅地(※)
- 底地 借地権(土地を使用する権利)が地主ではなく借地人にある土地
※容積率・建ぺい率などの制約は生じます。
売却目的で更地にするメリット・デメリット
土地の売却目的で更地にする場合のメリット・デメリットについて、理解しておきましょう。
更地にするメリット
- 買い手がつきやすくなる
- 建物の維持管理の手間が省ける
売却目的の場合、更地にすると買い手がつきやすい傾向にあります。
ここが大きなメリットです。
「建物つきでは売れないの?」と思う方もいるかもしれませんが、それは建物の状態や築年数などによって変わってきます。
新築や築10年以内で状態も比較的良好であれば、買い手が見つかる可能性はそう低くはないでしょう。
ですが、不動産業界では築20年を超えると建物自体の価値がなくなり、土地の価値だけが残ると言われています。
そのため、築20年を超える建物が残っていると買い手がつきにくくなる傾向にあるようです。
また、築20年を超える建物が残っている土地を売却する場合、買い手は購入後に建物を解体し、新築するケースがほとんどです。
そのため、解体費用を考慮して非常に安く売りに出すことになってしまうというリスクも生じます。
こうしたことから、築20年を超える建物がある土地は、更地にして売りに出す方がメリットを受けられる可能性が高いでしょう。
ほかにも、その建物が「空き家」だった場合、所有者は草むしり、補修、清掃など適正に維持管理する責任があります。
更地にしてしまえば、そうした手間からも開放されます。
なお、土地を売却する場合、厳密には「更地」ではなく「整地」するのが基本です。
整地については以下の記事で詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてください。
更地にするデメリット
- 解体費用がかかる
- 固定資産税や都市計画税の特例が適用されなくなる
更地にするには当然、現在建っている建物を解体しなければなりませんので、その解体費用が発生します。
また、その土地にかかる固定資産税や都市計画税といった税金も変わってきます。
例えば、土地の上に建物がある場合、その土地にかかる固定資産税は「200平方メートルまでの部分は6分の1」「200平方メートル超までの部分については3分の1」に減額されます。
ところが、更地にするとその特例が適用されなくなるため、固定資産税がおおよそ3倍から6倍になります。
土地がすぐに売却できればまだ良いですが、数年売れない時期が続いた場合、大きな負担となってしまうかもしれません。
リスクに近いですが、このあたりは更地にするデメリットと言えるでしょう。
両方で売り出す方法もある
土地を売却したい場合、確実に売れるかどうかは神のみぞ知ると言ったところですが、リスクを最小限に留める方法は多くの方が実践しています。
「中古物件」として建物と土地を売りに出すと同時に「更地渡し可能」と一言添え、もし買い手が更地を希望する場合はそこから解体を行うといった売り出し方です。
更地にした方が良いか迷っている場合、両方で売り出す方法も検討しましょう。
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更地費用の目安!解体費用は折半もある
更地にする=解体するということです。おおよそどのくらいが相場なのか、一般的な家屋を例に解説します。
建物の種類別・解体費用の相場 | ||||
建物の種類 | 坪あたり | 20坪 | 30坪 | 50坪 |
木造 | 3〜4万円 | 60〜80万円 | 90〜120万円 | 150〜200万円 |
鉄骨(S)造 | 4〜5万円 | 80〜100万円 | 120〜150万円 | 200〜250万円 |
鉄筋コンクリート(RC)造 | 5〜6万円 | 100〜120万円 | 150〜180万円 | 250〜300万円 |
解体費用の内訳
- 仮設工事(足場や防塵・防音ネット、養生など)
- 作業員の人件費
- 内装の解体
- 重機による解体
- 屋根の解体
- 基礎部分の撤去
- 樹木等の撤去
- 産業廃棄物の処分費用
- 重機の運搬費用
- 付帯物の処分(車庫、門、物置など)
- 解体業者の利益
- その他諸費用
※坪あたりの相場は、上記の費用を合算し坪あたりで割った平均となります。
解体費用はさまざまな条件で変わる
木造よりも解体が大がかりで、廃棄物の量や種類も異なる鉄骨造・鉄筋コンクリート造の場合、より費用がかかります。
なお、この相場はあくまで一般的な相場であり、例えば地域によっても異なりますし、解体業者によっても詳細な費用は異なります。
また、重機やトラックなどが入れる道幅であるか、道路使用許可などが必要になるか、隣家と充分な距離があるかなどによっても変動します。
場合によっては警備員を配置しなければならなかったり、仮設トイレや詰所などを設置しなければならなかったりするなど、さまざまな要素が絡み合ってきます。
そのため、見積もりは少なくとも3社から取り寄せることが望ましいと言われています。
二階建ての場合の解体費用は?
二階建ての場合、二階部分は重機で解体していく作業のみになるのが基本です。
一般的には、単純に2倍になるのではなく、一階部分の解体費用プラスαという見積もりになる業者が多いようです。
もし見積もりを依頼した際に2倍になっているようであれば、その業者に依頼するかどうか、慎重に判断した方が良いかも知れません。
解体費用を買い手と折半する方法も
いざ建物が残っている土地を売りに出し「土地だけが欲しい」という買い手が現れた場合、解体費用は売り手が全額負担するのか?というとそうとも限りません。
例えば備考欄などに「解体費用相談」などと一言添えておき、買い手との話し合いによって折半する方向に持っていくことも可能です。
折半であれば負担は大きく軽減されます。
解体費用を抑えるための4つのポイント
やはり誰もが思うのが、解体費用をできるだけ抑えたいということではないでしょうか。
ただし、安ければ良いというものではありません。
例えば、前述の相場よりも極端に安い見積もりを出してくる解体業者の場合、産業廃棄物を不法投棄されてしまうなどのリスクがありますので避けた方が無難です。
それ以外に、解体費用を抑えたいと思ったら次のようなポイントを知っておきましょう。
(1)解体する時期
建設業界と同様、解体業界にも繁忙期や閑散期があります。
国土交通省が行った滅失建築物の調査報告によりますと11月~12月、あるいは2月~5月あたりが解体業界の閑散期に当たるようです。
これらの時期に依頼すると、繁忙期よりも費用が抑えられる可能性が高くなります。
(2)処分できるものは事前に
家電リサイクル法の対象となる電化製品などは、リサイクルショップあるいはフリマアプリ、インターネットオークションなどを活用して事前に処分しましょう。
また、粗大ゴミを処分してくれる自治体も多いので、回収を依頼するなどして事前にできるだけ処分しておくようにしましょう。
(3)解体業者へ直接依頼する
ハウスメーカーや工務店などを通して解体する場合、下請け業者に依頼するケースが多いです。
その場合、仲介料のような形でハウスメーカーや工務店が中間マージンを上乗せするのが基本です。
解体業者に直接依頼した方が、トータル費用を抑えられる可能性が高くなります。
ただし、悪質な解体業者の場合、専門知識がない一般人を相手にいわゆる「ぼったくり」のような見積もりを出してくる可能性もあります。
今回紹介した相場は、ぜひ頭に入れておきましょう。
(4)補助金が利用できる可能性もある
自治体によりますが、古い建物を解体する場合にさまざまな条件に合致すれば解体費用の半分などを補助してくれる場合があります。
解体する建物を管轄している自治体に問い合わせてみましょう。
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更地にする前に知っておきたいことまとめ
ここまで、更地にする費用の目安と、更地にして売却する際のメリット・デメリット、解体費用を抑えるポイントを解説してきました。
特に、更地にした土地の売却を考えている場合は、次のポイントを押さえておきましょう。
更地の売却を検討している場合のポイント
- 土地を更地にするには解体が必要
- 売却目的の場合は、築年数等にもよるが更地の方が比較的買い手がつきやすい
- 更地にすると、その土地にかかる固定資産税が3倍~6倍になる
- 「中古物件」と「土地」の両方で売りに出す方が、リスクが少なくて済む可能性がある
- 解体費用は、坪あたり木造で3万円~4万円、鉄骨造で4万円~5万円、鉄筋コンクリート造で5万円~6万円が相場
- 解体費用は諸条件によって大きく変動することがあるため、最低でも3社から見積もりを取ることが望ましい
- 解体費用をできるだけ抑えるために自分でできることはやっておく
なぜ更地にするのか?空き家を放置するリスク
「空き家になってしまっているので更地にして売却したい」
「引っ越すため土地を売却したい」
「家を建て替えたい」
「駐車場経営をしたい」
「アパートやマンションを建てたい」
「借地にしたい」
など、更地にする理由はさまざまです。
近年増えているのは、ご両親が亡くなったなどの理由で実家が空き家になってしまっているケースです。
これまでは何かと見過ごされてきた空き家ですが、平成27年5月26日より「空き家対策特別措置法」が完全施行されるなど、空き家問題は深刻な社会問題にもなっています。
本編とは少し話が逸れますが、空き家を抱えている方は更地を検討することも重要ですので、併せて知識として蓄えておきましょう。
「空き家」が周囲に与える悪影響
建物、特に木造家屋は、いざ空き家になると急激に劣化が進みます。
腐食が進み、やがては倒壊するなどで周囲へ被害を及ぼす可能性があります。
また、劣化が進むことで台風などの強風で屋根が飛散してしまう、地震で倒壊してしまう、塀が崩れてしまうなどのリスクも生じます。
ほかにも、不法侵入の的になり犯罪を助長するきっかけになる、放火される、ゴミを不法投棄されるといった危険性も指摘されています。
植栽などが手入れされないまま放置されることで、害虫や害獣の被害あるいは道路の一部をふさいでしまうなど、さまざまなデメリットが考えられます。
これらの理由から、国が空き家対策特別措置法を制定、施行したのです。
同法では、最終的に行政代執行によって強制的に解体され、そうした費用はすべて所有者に請求が行くことになります。
空き家は、これまでのように放置できない時代になっています。
空き家を抱えている方はぜひ、解体して更地・整地して売却するなど、何らかの対策を練っておきましょう。
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