鉄筋コンクリート建物の解体費用相場と工法をご紹介

鉄筋コンクリートはマンションやビルなどに多く用いられている構造体の一つです。

木造や鉄骨造よりも頑丈なため解体するには大掛かりな作業が必要になることも多く、それなりの費用がかかります。

今回は鉄筋コンクリートの基礎知識と、解体する際の費用などを解説していきます。

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鉄筋コンクリート(RC造)建物とは?

鉄筋を用いて補強したコンクリートを鉄筋コンクリートと呼んでいます。

賃貸物件などを探していて「RC造(Reinforced Concrete Construction)」という表記を見かけたことがある方も多いと思いますが、これは鉄筋コンクリート造の略です。

鉄筋コンクリート造は鉄筋とコンクリートそれぞれの特性を活かし、またお互いの欠点を補い合うことでより強固な構造体として建物を支えています。

※鉄筋の特性

引張力(引っ張る力)に強い反面錆びやすく、また高温になった際の耐火性が低いという欠点があります。

※コンクリートの特性

熱や圧縮力に強い反面、引張力に弱いという欠点があります。

両者を組み合わせることでこれらの欠点が補われ、耐震性、耐火性、断熱性、防音性、断熱性などに優れた、変形しにくく耐久性の高い構造体ができあがるという訳です。

鉄筋コンクリート造はコンクリートを流し込んで造ることから、比較的形状の自由度が高く、豊富なデザイン性が人気の構造体でもあります。

その一方で建物自体の重量が大きくなるため、地盤が緩い土地の上には向いていません。

また、木造や鉄骨造と比べると建築や解体にかかるコストが大きくなる傾向があります。

鉄筋コンクリートの法定耐用年数は60年、使用だけに着目すれば65年程度と言われていますが、高濃度のセメントを使用していれば寿命は100年以上とも言われています。

しかしながら、地震によるダメージや、組み込まれた鉄筋の腐食などによってその強度は低下していきますので、使用状況などに応じて解体や建て替えなどが必要になります。

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鉄筋コンクリート造の解体費用の相場

鉄筋コンクリート造の建物を解体するとなると、いくらくらいを相場として考えておけば良いのでしょうか?

木造や鉄骨造よりも大掛かりかつ細かい解体作業が伴いますので、費用はある程度多めに見ておく必要があります。

解体する建物の延床面積、解体方法が重機を用いるのか手壊しを含むのか、などさまざまな条件によって異なりますが、一般的な相場としては

坪あたり3万円~8万円程度と言われています。

実際の解体費用の例をいくつかご紹介します。

鉄筋コンクリート造の解体費用の例

  • 2階建て(約38坪) 解体費用:200万円程度
  • 2階建て(約20坪) 解体費用:190万円程度
  • 5階建て(約120坪) 解体費用:1,300万円程度
  • 地下1階地上2階建て(約65坪) 解体費用:400万円程度
  • 地下1階地上3階建て(約180坪) 解体費用:1,130万円程度
  • 地下1階地上4階建て(約215坪) 解体費用:1,250万円程度

上記はほんの一例ですが、鉄筋コンクリート造の建物の解体費用の例はこのようになります。

一般に、延床面積が小さくなるとその分坪単価としては高くなり、逆に大きくなると坪単価としては安くなる傾向があります。

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鉄筋コンクリート造の解体方法と手順

鉄筋コンクリート造の建物を解体する場合に必要になる資格などはあるのでしょうか?

解体工事を行うには「解体工事業登録」が済んでいる、または「建設業許可」を得ているということはそもそも大前提ですので、それ以外に必要になる資格などを見ていきましょう。

まず、5mを超えるコンクリート造の工作物を解体する場合、作業の主任責任者として現場に「コンクリート造の工作物の解体等作業主任者」を配置しなければなりません。

資格の取得には所定の技能講習を受講し、修了試験に合格する必要があります。

1階がおよそ3m程度になりますので、2階以上の鉄筋コンクリート造の建物を解体する場合は必要になると考えて良いでしょう。

同じく、つり場や高さ5m以上の足場の組み立てを行う際には「足場の組み立て等作業主任者」を配置する必要があります。

そのほかにも

「小型移動式クレーン運転技能講習」
つり上げ荷重1t以上5t未満の小型移動式クレーンを運転する場合

「車輌系建設機械運転技能講習」
体重量3tを超えるパワーショベルなどの重機を運転する場合

など、作業内容や使用する重機に応じた資格が必要になります。

続いて、鉄筋コンクリート造の解体でよく用いられる工法をいくつか見てみましょう。

鉄筋コンクリート造の建物の解体は、ロングアーム搭載の大型重機で地上から鉄筋コンクリートを圧砕する「地上解体」と、大型クレーンで重機を階上に揚重して階上から階下に向かって解体していく「階上解体」があります。

現場の環境などによって、いずれかの解体方法を選んだり両方採用したりといったことを判断します。

解体に用いられる工法はいくつかありますが、代表的な3種類を見てみましょう。

圧砕機工法

油圧ジャッキを用いた強力な圧縮力でコンクリートを破壊する工法です。

騒音や振動が少なく、また作業の効率が高い工法でもあります。

コンクリートの圧砕と同時に鉄筋を切断できるアタッチメントもあります。

ブレーカー工法

こちらは油圧による強力なノミの打撃でコンクリートを破壊する工法です。縁を切る場合などにも用いられます。

圧砕機工法と比べると騒音や振動が大きくなりますので、粉塵の発生などに注意しながら作業を進めなければなりません。

転倒工法

解体時に発生するコンクリートガラなどが外部へ飛散するのを軽減することができる工法で、部材の縁切りをしたあと、建物の内側に向かってゆっくり転倒させ、小割にしていく工法です。

一例ですが、このようにさまざまな工法があり、状況に応じて最適な工法を組み合わせながらできるだけ効率よく、また振動や騒音、粉塵などの影響が最小限になるよう作業が進められていきます。

なお、鉄筋コンクリート造の解体手順ですが、木造や鉄骨造などその他の構造体の建物を解体する場合と流れは一緒です。

ただし、取り扱うのが鉄筋コンクリートということや、重機による作業が大半を占めることなどから、木造などと比べるとケガや事故のリスク、騒音や振動、粉塵などのリスクが大きくなります。

解体工事の最初の段階で行われる養生、防音・防塵シートなどはしっかりと設置する必要があります。

また、工事の規模や現場の環境によっては警備員を配置するなどして、コンクリートガラが落下して通行人にケガを負わせることなどがないように配慮する必要があります。

【こちらの記事もご覧ください】

  1. 家の解体工事事例をご紹介
  2. 鉄筋コンクリート構造物の解体費用を解説
  3. アスベストの解体・撤去費用や押さえておきたい基礎知識を解説

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解体した鉄筋コンクリートの処理方法と費用

鉄筋コンクリートは鉄筋を組み、そこにコンクリートを流し込むことで高い強度を保つことができる点が大きなメリットですが、解体となると逆にその構造が作業を煩雑にさせてしまいます。

解体で発生した鉄筋コンクリートはすべて産業廃棄物となります。

しかしながら、リサイクル法の改正などに伴い解体時に発生するそれらの産業廃棄物は適正に分類し、リサイクルすることになっていますので、鉄筋コンクリートをそのまま処理するわけにはいきません。

処分方法としては、鉄筋とコンクリートに分類する作業が必要になります。

作業は解体工事現場で行い処理場に運搬する、あるいは処理場に運搬した後に分類することになります。

なお、鉄骨の場合は業者が買い取ってくれるのですが、鉄筋コンクリートの場合は鉄筋に付着しているコンクリートをきれいに除去するのが困難なため、鉄製品としての再利用価値が乏しく、鉄骨のような買い取りは期待できません。

一方、コンクリートガラは砕石して基礎材として用いられたり、道路などの路盤材に用いられたりすることもあります。

または、加熱やすりもみといった処理を行うことで骨材とセメント微粉末に分離させ、骨材は新しい建物の建築に、セメント微粉末は軽量のコンクリートガラを粉末にしたものと合わせて建物の基礎部分の地盤を形成する際などに再生利用されることもあります。

ただし、いずれにしても、コンクリートの中に混入している鉄筋その他の異物をきれいに除去する作業が必要になりますので、時間やコストは膨らんでしまいがちです。

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鉄筋コンクリート造の解体費用事例

続いて、鉄筋コンクリート造の建物の解体費用事例をいくつかご紹介します。

鉄筋コンクリート造3階建てビルの解体費用事例

  • 延床面積約63坪 解体費用:370万円程度
  • 延床面積約70坪 解体費用:370万円程度
  • 延床面積約90坪 解体費用:550万円程度
  • 延床面積約125坪 解体費用:630万円程度
  • 延床面積約150坪 解体費用:490万円程度
  • 延床面積約250坪 解体費用:1,150万円程度

鉄筋コンクリート造マンションの解体費用

  • 2階建てマンション(約70坪) 解体費用:430万円程度
  • 3階建てマンション(約130坪) 解体費用:940万円程度
  • 3階建てマンション(約160坪) 解体費用:1,190万円程度
  • 3階建てマンション(約160坪) 解体費用:1,400万円程度
  • 3階建てマンション(約210坪) 解体費用:950万円程度
  • 4階建てマンション(約280坪) 解体費用:1,450万円程度

一例ですが、鉄筋コンクリート造3階建てビルおよびマンションの解体費用の例はこのようになります。

特に狭小地などでは坪単価が高くなりがちです。

あくまで参考にしていただき、正確な解体費用については解体業者に見積もりを依頼するようにしましょう。

そして、忘れてはいけないのがアスベスト吹き付け有りの場合の解体費用です。

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アスベスト吹付け有り鉄筋コンクリート造の建物の解体費用

アスベストの除去費用は、アスベストが吹き付けられている面積や吹き付け面の形状などによって変わってきますが、一般的には5万円~28万円程度と言われています。

上記の例にアスベスト除去費用(概算)を加算すると次のようになります。

鉄筋コンクリート造3階建て(約63坪)

解体費用:370万円程度+アスベスト除去費用:300万円程度

鉄筋コンクリート造3階建て(約250坪)

解体費用:1,150万円程度+アスベスト除去費用:1,000万円程度

鉄筋コンクリート造3階建てマンション(約160坪)

解体費用:1,190万円程度+アスベスト除去費用:800万円程度

鉄筋コンクリート造4階建てマンション(約280坪)

解体費用:1,450万円程度+アスベスト除去費用:1,400万円程度

このようにアスベスト吹き付け有りの場合、解体費用が大きく変わってくる可能性がありますので、事前にしっかりと調査をしておくことが大切です。

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鉄筋コンクリート造の建物はアスベストの発見が困難?

鉄筋コンクリート造は鉄骨造と違ってそれ自体に耐火性があるため、アスベストは耐火被覆ではなく防音被覆(吸音用)として用いられていることがほとんどです。

また、吹き付けアスベストや断熱材、ボード、スレートなどとして使用されているほか、内装材や外装材にも含まれています。

内装材や外装材にアスベストが含まれている場合、そのほとんどは目に見えない形で含まれていますので、特に発見するのが難しいと言われています。

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鉄筋コンクリートの解体依頼は時間をかけて

今回は鉄筋コンクリート造についての基礎的な知識や解体費用の相場、解体方法などについて解説してきました。

鉄筋コンクリート造は鉄筋とコンクリートそれぞれの長所を活かし、短所を補い合うことで高い強度を発揮することができる優秀な構造体です。

しかしその反面、解体工事になると大がかりな作業や適正な分別作業が必要になるため解体費用自体が木造や鉄骨造よりも高くなる傾向があります。

また、鉄骨造ほど多くないと言われてはいますが、吹き付けやその他の形でアスベストが使用されていることもあり、解体工事前にアスベストの有無を確認しておくことは所有者の大切な作業の一つです。

解体工事を依頼する業者には、アスベスト含有建材の有無を知らせなければなりませんので、施工図や仕様書、材料表といった建築時の設計図を確認するか、建築に携わった設計者、施工業者に確認をしておきましょう。

なお、建築時は使用されていなくても、改修工事などを行った際に新たに使用されたという可能性もあります。

もし建物にアスベストが含まれているかどうか分からないという場合は、国土交通省のホームページ「アスベスト対策Q&A」などを参考にしていただき、建築物石綿含有建材調査者などの専門家に依頼することも検討しましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

35年で過去5,000棟の解体工事を手がけた解体専門店・市川工業の責任者であり、解体協会の理事も務めています。 建物解体工事を中心に産業廃棄物のリサイクル業務を中心に、毎年、年間300件以上の解体工事でお客様とふれあう中で「より良いサービスを提供する解体企業になる」をモットーに、業界のイメージと解体工事の品質向上に力を注いでいます。 現在は新潟県解体工事業協会の理事を務め、解体業界全体の品位向上に力を注いでいます。 資格:一級土木施工管理技士、リサイクル施設技術管理者、解体工事施工技士