偕楽園、筑波山、袋田の滝、霞ヶ浦、国営ひたち海浜公園など自然の魅力が満載の茨城県、その茨城県内における解体工事の費用の相場や、各市町村が行っている解体工事に関する補助金・助成金制度などを解説するとともに、解体工事に活用できるローンをご紹介します。
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茨城県内の解体工事の費用相場は?
まずは茨城県内の建物の構造別解体工事費用の相場を見ていきましょう。
木造住宅
茨城県の木造の解体工事費用の相場は、坪あたり27,000円~40,000円程度と言われています。
例)水戸市
木造2階建て29坪 解体工事費用101万円(34,827円/坪)
例)土浦市
木造平屋30坪 解体工事費用110万円(37,333円/坪)
例)取手市
木造2階建て49坪 解体工事費用134万円(27,346円/坪)
鉄筋コンクリート造
茨城県の鉄筋コンクリート造の解体費用の相場は、坪あたり30,000円~52,000円程度と言われています。
例)つくば市
鉄筋コンクリート造3階建て73坪 解体工事費用533万円(73,013円/坪)
例)牛久市
鉄筋コンクリート造3階建て65坪 解体工事費用350万円(36,842円/坪)
例)水戸市
鉄筋コンクリート造3階建て108坪 解体工事費用671万円(62,129円/坪)
鉄骨造
茨城県の鉄骨造の解体費用の相場は、坪あたり30,000円~48,000円程度と言われています。
例)取手市
鉄骨造3階建て100坪 解体工事費用461万円(46,100円/坪)
例)龍ケ崎市
鉄骨造2階建て79坪 解体工事費用305万円(38,607円/坪)
例)牛久市
鉄骨造3階建て66坪 解体工事費用298万円(45,151円/坪)
小屋、倉庫
茨城県の小屋や倉庫などその他の建物の解体費用の相場は、坪あたり26,000円~51,000円程度と言われています。
例)鹿嶋市
鉄骨造倉庫210坪 解体工事費用793万円(37,761円/坪)
例)石岡市
木造小屋14坪 解体工事費用46万円(32,857円/坪)
例)水戸市
プレハブ小屋20坪 解体工事費用56万円(28,000円/坪)
上記は一例ですが、茨城県内の建物の構造別解体費用例はこのようになります。
なお、解体費用は建物の構造や面積のほか、ブロック塀の撤去やカーポートの撤去、浄化槽の撤去といった付帯工事の有無、工事車両を停められるスペースの有無などによっても大きく変わってきます。
また、重機が入れない狭小地、隣接する建物との距離が近く重機が使用できない(手壊し)といった場合も解体費用が高くなります。
上記でご紹介した相場は一般的な費用ですので目安として活用いただき、正確な金額については解体業者に現地調査を依頼して見積もりを出してもらいましょう。
茨城県内の各市町村の解体補助金制度
2018年現在、茨城県には44の市町村がありますが、実は解体工事に関する補助金や助成金制度を設けている自治体は多くありません。
茨城県では、解体工事よりも耐震改修工事に関する補助金・助成金制度の方が目立ちます。
その耐震改修工事に関する補助金や助成金は改修・増改築が対象となっているケースが多く、解体工事が含まれていないことがほとんどです。
茨城県は東日本大震災で大きな被害を被った現実もあり、どちらかというと解体ではなく災害に強い住宅づくりに力を入れている印象を受けます。
しかしながら、総務省統計局による「平成25年住宅・土地統計調査」における茨城県の現状を見てみると、総住宅数126万8,200戸に対し、空き家など居住世帯のない住宅は19万2,100戸で、空き家率は15.1%となっています。
全国平均の空き家率13.5%を上回っており、決して空き家が少ない県とは言えません。
耐震改修と併せて、今後、空き家の解体工事に関する補助金・助成金制度が創設される可能性はあるでしょう。
それでは、茨城県内の数少ない解体工事に関する補助金・助成金制度をご紹介します。
平成29年4月より開始された補助金制度で、空き家等の所有者・相続人で市税に滞納がなく、暴力団やその関係者ではない個人が対象となります。
補助対象となる空き家等の条件は次の通りです。
- 「空き家等対策特別措置法」の規定によって「特定空き家」に認定され、市から適切な管理の促進を求められた際、その求めに応じて適切な管理のための措置を行った実績がある
- 「特定空き家」のうち、同法第14条第1項の規定による助言又は指導を受け、かつ同条第2項の規定により勧告を受けていないもの
- 昭和56年5月31日以前に建築され、補助対象空き家等及び、同一敷地内の建築物及び、その敷地が1年以上使用されていないもの
- 個人が所有するもの
- 所有権以外の権利が設定されていないもの
- 公共事業の対象となっていないもの
- 解体工事等に伴い、他の補助金等の交付を受けていないもの
上記の条件を満たす特定空き家の解体工事について、補助対象経費の合計額の2分の1を、50万円を上限に補助してくれるというものです。
建物の解体のほか、仮説工事費用や産業廃棄物の運搬・処分費用、さらに整地費用なども対象となります。
笠間市では、市条例「笠間市空き家等対策の推進及び空き家等の利活用の促進に関する条例」によって必要な措置を講ずるよう助言や指導を受けた空き家等の所有者が、当該空き家の解体撤去を行う際にその解体工事費用の一部を補助してくれます。
笠間市内にあって管理不全状態になっている空き家等のうち、主に居住の用に供していた建物とその土地が対象となります。
補助を受ける要件は次の通りです。
- 該当建物の所有者及び土地の所有者
- 市条例により助言または指導等を受けた所有者
- 市税を滞納していない
- 所有権以外の物権または占有権限が設定されていない
- 有資格者(建築士)同行の立ち入り調査により補助対象と認定された建物
上記の要件を満たす建物の解体工事費用のうち2分の1を、50万円を上限に補助してくれるというものです。
すでに新たな解体工事に関する補助金・助成金制度を創設している市町村があるかもしれませんが、執筆時点では、茨城県内で「住宅の解体」を明確に打ち出していることが確認できた自治体は龍ケ崎市と笠間市のみでした。
なお、補助金の申請をする場合、解体工事が着工する前に申請および交付の決定を受けなければならないケースがほとんどです。
また、上記でご紹介した補助金の内容は変更になる可能性があります。
茨城県で解体工事の予定があり、補助金の申請を検討している方は、最新情報を管轄の自治体のホームページなどでご確認ください。
また、住宅ではありませんが、解体工事に関する次のような補助金制度を設けている市もあります。
つくば市「門塀等建築及び撤去補助制度」(pdfファイルが開きます)
つくば市では、幅員が1.8m以上4m未満の道路で、その中心線から2m後退した線より道路側にある門や塀などを解体撤去する際、その費用の一部を補助してくれます。
ブロック塀等では1平米あたり5,000円、板塀やトタン塀等では同1,000円、樹木では同500円を、10万円を上限に補助してくれるというものです。
牛久市では、集会所の新築、改築、修理、リフォーム、外構、解体などに対して補助金を交付しています。
集会所本体の解体工事が対象で、経費の2分の1を補助してくれるというものです。なお補助の上限額については記載がありませんでしたので、利用を検討している方はまず牛久市に問い合わせてみましょう。
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茨城県のその他の補助金制度
茨城県は東日本大震災で大きな被害を被ったとお伝えしましたが、その被災者支援の一環として、やむを得ない理由で解体せざるを得なかった世帯に対して、生活再建支援のための補助金を交付している市町村があります。
自然災害によって住宅が半壊またはその住宅の敷地に被害が生じて倒壊による危険を防止するため必要があること、そして当該住宅に居住するために必要な補修費等が著しく高額となること、その他、これらに準ずるやむを得ない事由により当該住宅を解体し、または解体されるに至った世帯
が対象となります。
複数世帯は解体(半壊)に対して100万円を、単身世帯は同75万円を補助してくれます(茨城町、取手市ともに要件や金額は同じです)。
茨城県で解体工事業者を探す際の注意点は?
茨城県で解体工事業者を探す際、なにか注意すべき点はあるのでしょうか?
解体工事は一生のうちなんども経験するものではありませんし、またネット上などでも情報が少ない、あるいは1つの事案に対して違う内容の情報が溢れすぎていてどれが正しい情報なのか分からない、という方も多いのではないでしょうか?
解体工事を依頼する側(施主)として押さえておきたい注意点をひとつ挙げるとしたら、それは「解体工事費用」に関する注意点です。
「壊してしまうのだから、できればお金はかけたくない」
と思う方も多いのですが、冒頭でご紹介した相場よりも「極端に安い業者」や「他社の見積もり金額を聞いてから極端に値下げしてくる業者」は、正式に依頼するかどうかを慎重に判断することをおすすめします。
その理由は、利益を確保するため、解体工事で発生した廃棄物の不法投棄その他の不適正処理を行う可能性が高くなるからです。
不法投棄は大きな社会問題にもなっていますが、それを行った業者だけでなく、解体工事を依頼した施主も処罰の対象になってしまう可能性があります。
不法投棄に対する罰則は、廃棄物処理法で
5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはこの併科(法人については3億円以下の罰金)
など厳しく定められています。
また、不法投棄は行わずとも、廃棄物を地中に埋めてしまうという悪徳業者も中にはいます。
解体後の土地を売却し、購入者が建物を新築する際にその地中埋設物が発見された場合、瑕疵担保責任などが生じ、撤去費用の負担や場合によっては売買契約の解除、あるいは裁判沙汰に発展する可能性もゼロではありません。
こうしたトラブルの元にもなりますし、見積もりが明確でない業者などでは後から追加費用を請求され金銭トラブルに巻き込まれてしまう可能性も考えられます。
見積もりを出してもらった際に、どの項目にいくらかかるかが詳しく記載されていることを確認し、もし不明な点がある場合は遠慮なく問い合わせ、不透明な部分をなくしておくことが大切です。
茨城県で解体工事をするならローンの活用も
今回は茨城県内の建物の構造別・解体費用の相場や、各市町村が行っている解体工事関連の補助金制度についてご紹介するとともに、解体業者を選ぶ際の注意点を解説してきました。
解体工事に関する補助金制度が充実していない茨城県において、解体工事を行わなければならない時、ぜひ活用を検討したいローンがありますので最後にご紹介します。
茨城県に本店を置き、県内に133店舗を構える筑波銀行が販売している「空き家解体・活用ローン」という商品です。
使いみちとしては、空き家の解体工事にかかる費用(整地を含む)のほかに、空き家の改築・改装費用や、空き家の防災・防犯上の設備対策費用が定められています(いずれの場合も事業性または転売目的での利用はできません)。
※利用できる人
- 申し込み時点で満20歳以上65歳以下(完済時年齢満75歳以下)
- 自宅または勤務先(事業先)のいずれかが筑波銀行の営業区域内にある
- 安定かつ継続した収入がある
- 株式会社ジャックスの保証を受けられる
- 対象となる空き家が本人または同居の配偶者、親または子(別居でも可)の所有物権である
などが定められています。
なお、申し込み者と空き家の所有者が異なる場合、事前に所有者または法定相続人の了解が必要とのことです。
また、筑波銀行の営業区域は茨城県のほか栃木県、埼玉県、千葉県、東京都にもありますので、該当する区域に存在する空き家の解体工事を行う際は利用することができます。
融資金額は10万円~300万円で1万円単位での融資となります。
解体工事に関する補助金制度がない市町村にお住いの方で上記の条件などに当てはまる方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか?
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