解体工事会社を始める際の届け出や手続きについて解説

解体会社を始めたい方へ

解体工事会社を始めようと思った時に、まず何をすべきか? 

どんな手続きや認可を受ければ良いのか? 取得しておいた方が良い資格はあるのか?など、分かりにくい点が多いことと思います。

今回は解体工事会社を立ち上げるにあたって必要になることを、解体工事会社を立ち上げるメリット・デメリットなどと併せて解説をいたします。

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解体工事業を始めるために必要な許可や登録

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解体工事会社を始めるには、「建設業許可」を得るか「解体工事業登録」を行う必要があります。

大きな違いは・・・

建設業許可:500万円以上の工事も請け負える

解体工事業登録:税込工事金額500万円未満の工事しか請け負えない

という点です。

この両者について詳しくは後の項目で解説しますので、まずはこの2つのいずれかが必要になるということを覚えておいてください。

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建設業法の改正

*この項目は「建設業許可」に関連するお話です。

これまで、建設業許可の対象となる業種は、2業種の「一式工事」と26業種の「専門工事」の合計28業種でした。

今回のテーマである解体工事業は、このうち専門工事の「とび・土木・コンクリート工事業」の許可に組み込まれており、その認可を得ていれば行うことが可能でした。

ところが平成26年6月4日、建設業法の改正によって「解体工事業」が独立し、専門業種として追加されることとなりました(施行は平成28年6月1日)。

つまり専門業種が29業種に増えたということになります。

専門工事業はその業種ごとに許可を得る必要がありますので、これまで「とび・土木・コンクリート工事業」の認可を得ていれば行えた解体が、新たに「解体工事業」の許可を得なければならなくなったのです。

法改正の背景

このように法改正された背景には、主に次のような理由があると言われています。

・昔建てられた建物の老朽化が進んでおり、今後解体工事が増えることが見込まれている

・解体工事現場でしばしば重大な事故や災害が起こっており、現場にプロが必要と判断された

・アスベストなどの有害物質の処理などに対して専門の知識を持つものが必要と判断された

・解体業を営むものの向上、労働環境の改善や適正な請負契約を目指して改正された

なお、改めて解体工事業の許可を得るためには、いくつかの厳しい要件を満たさなければなりません。

そのため猶予期間を設定し、平成28年6月1日以前から「とび・土木・コンクリート工事業」の許可を受けていれば、平成31年5月31日までは解体工事を行うことが可能となっています。

この間に要件を満たすための資格、新規申請・業種追加などの手続きを行うことになります。

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「建設業許可」と「解体工事業登録」の違いについて

それでは、具体的に「建設業許可」と「解体工事業登録」の違いについて解説をいたします。

制限が少ない分、許可の方が要件が厳しく定められています。

建設業許可とは?

建設工事を請け負うために建設業法で定められている許可のことで、一式工事と専門工事合わせて29種類の業種があります。

拠点(営業所)が1つの都道府県にしかない場合はその都道府県知事の許可を得ることになり、2つ以上の都道府県にまたがる場合は国土交通大臣の許可を得ることになります。

1つ許可を得ていれば全国どこでも解体工事を行うことができます。

請け負える工事金額に上限はありませんが、許可を受けるためのハードルは「解体工事業登録」よりも高く、許可申請書、役員一覧表、営業所一覧表、工事経歴書、株主調書、財務諸表など様々な書類が必要となります。

メリットとしては、これまで請け負えなかった規模の大きな解体工事を請け負えるようになること、つまり売上が伸ばせるようになることが挙げられます。

また、コンプライアンスに厳しい時代ですから、建設業許可を得ているということは社会的信用度がアップし、受注に繋がりやすいということもメリットとして挙げられます。

反対にデメリットと言えば、建設業許可を取得するための費用が9万円(国土交通大臣の許可を得る場合は15万円)が必要になるほか、年に1回「決算報告」をしなくてはならなかったり、5年ごとに許可の更新手続も必要になります。

とは言え、メリットに比べてばデメリットと言えるほどのものではないかも知れません。

解体工事業登録とは?

以前まで、工事金額500万円未満の解体工事に関しては、登録を行わずとも請け負うことができましたが、不法投棄やミンチ解体(必要な分別を行わず重機で一気に壊してしまう方法)などが相次いだことから2001年5月30日に施行された制度で、都道府県知事への登録となります。

建設業許可を受けていなくてもこの登録を行っていれば、登録している都道府県において解体工事業を行うことができます(他の都道府県で行う場合は、その都道府県知事への登録が必要になります)。

請け負える工事金額は税込みで500万円未満で「建設業許可」よりは比較的容易に取得することができます。

申請には申請書、技術管理者の氏名、誓約書、実務経験証明書などの提出が必要です。

メリットというよりも、最低限この登録がなければ解体工事は行えませんので、むしろ必須と言えます。

個人で立ち上げる場合などはまずは解体工事業登録からという方がほとんどです。

デメリットとしては、やはり規模の大きな解体工事を請け負えないことや、許可よりは社会的信用度が低い(元請けが建設業許可を得ている下請けを選ぶことが多い)ということなどが挙げられます。

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そのほか解体工事業に付随する資格

解体工事業を始める際に取得しておいた方が良い資格をご紹介します。

どのような工事を行うかによって変わってきますが、次のような資格は押さえておいた方が良いでしょう。

「小型移動式クレーン運転技能講習」

つり上げ荷重が1t以上5t未満の小型移動式クレーンを使用する際に必要です。

「車輌系建設機械運転技能講習」または「建設機械施工技術検定」

パワーショベルなど重量が3t以上のものを運転をする際に必要です。

「足場の組立て等作業主任者」

つり足場や高さが5m以上ある足場を組み立てる際に必要です。

「建築物等の鉄骨の組立作業主任者」

高さが5m以上の鉄骨造建築物の組み立てを行う場合は作業主任者を現場に配置し、その指揮のもので行う必要があります。

「コンクリート造工作物の解体作業主任者」

高さが5m以上のコンクリート建造物を解体する際には作業主任者を配置し、その指揮のもとで行う必要があります。

「特定化学物質等作業主任者」

アスベストに関しては専門の業者に依頼することもできますが、「特定化学物質等作業主任者」を配置することで取り扱うことができます。

「ガス溶接作業主任者」

金属を加熱・あるいは溶断・切断をする際にアセチレン溶接装置やガス集合溶接装置を用いる場合には作業主任者が必要です。

「高所作業車運転技能講習」

高さが10m以上の高所作業車を操作する際に必要になります。

「玉掛け技能講習」

制限荷重または吊り上げ荷重が1t以上の玉掛けを操作する際に必要になります。

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解体工事会社を立ち上げるメリット・デメリット

これから解体工事会社を立ち上げるにあたって、メリットやデメリットも把握しておいた方が良いでしょう。

特に考えられるメリットとしては、古い建物が多くなったため「今後解体工事が増えることが見込まれている」という点です。

デメリットとしては、建設業界では特に繋がりが大きくなりますので、独立などではなく完全に個人で立ち上げ、解体工事業登録のみで営業を開始する場合、新規での仕事の取得が難しいことが予想されます。

逆に、建設業界での経験が長く仕事を紹介してもらえる見込みがある方は、できるだけ早く建設業許可の取得を目指しましょう。

また、建設業界は人手不足が叫ばれて久しい業界でもありますので、質の良い労働力の確保等も大きな壁になってくるかも知れません。

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解体工事会社を始めましょう!

今回は、解体工事会社の立ち上げに必要な許可や登録、メリットやデメリットなどについて解説をいたしました。

まずは解体工事業登録から始めるという場合も、いずれ建設業許可を取得するに際には「解体工事業の技術者要件」や「経営業務の管理責任者の要件」が求められますので、中途採用で有資格者を雇う、あるいは現従業員に資格を取得させるなど、中長期的な目線で配置要件を満たせるようにしておくと良いでしょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

35年で過去5,000棟の解体工事を手がけた解体専門店・市川工業の責任者であり、解体協会の理事も務めています。 建物解体工事を中心に産業廃棄物のリサイクル業務を中心に、毎年、年間300件以上の解体工事でお客様とふれあう中で「より良いサービスを提供する解体企業になる」をモットーに、業界のイメージと解体工事の品質向上に力を注いでいます。 現在は新潟県解体工事業協会の理事を務め、解体業界全体の品位向上に力を注いでいます。 資格:一級土木施工管理技士、リサイクル施設技術管理者、解体工事施工技士