悪徳解体業者にご注意を!
家屋の解体を経験するのは一生のうちに一度あるかないか、という方がほとんどだと思いますが、経験が少ないということはその分だけ「知識」も「情報」も少ないということが言えるのではないでしょうか。
特に、施主にも罰則が及ぶ「不法投棄」に関して、ここ数年で実際に起こった事件をご紹介するとともに、解体業者を選ぶ際の注意点を解説します。
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特に問題になっているのは「不法投棄」!施主にも罰則が…!
解体に関わる違法行為や不適切行為の中でも特に依頼者=施主が関わってくることで大きな問題にもなっているのが「不法投棄」です。
不法投棄は当然、それを行った業者も罰せられますが、その業者に依頼した側、つまり施主も同様に罰せられてしまうのです。
「信用して依頼したのに…」と嘆いても後の祭り。望まずして前科持ちとなってしまうのです。
実際に起こった不法投棄の事件簿
ここでは不法投棄にフォーカスして、2012年以降に実際に起こった事件の一部をご紹介します。
- 2016年9月30日@茨城県
産業廃棄物を不法投棄した疑いで廃棄物処理会社社長ら5人を逮捕。
容疑者らはビル解体工事で出たおよそ100トンの廃棄物を空き地に捨てた疑い
- 2016年6月9日@群馬県
家屋の解体ゴミ約1トンを工事現場に不法投棄したとして、廃棄物処理法違反の疑いで解体業の男2人を逮捕
- 2016年1月29日@東京都
青梅市の山中に住宅解体の際に出た廃棄物を不法投棄したとして解体業者ら6人を逮捕
- 2014年9月3日@宮城県
宮城県警、震災ごみ等の不法投棄容疑で同県の産業廃棄物処理会社が管理する民有地を現場検証。
検証では廃プラスチックやがれき片、焼却灰など2日間で約80トンのごみを確認
- 2014年7月23日@青森県
青森県内で2013年度に発見された産廃不法投棄が142件にのぼり、前年度の倍近くとなった。
木くずや金属くずなど、不法投棄の多くは零細な解体業者によるもの
- 2014年6月17日@兵庫県
住宅1軒分にあたる建築廃材約47トンを不法投棄。廃棄物処理法違反容疑で、大阪市北区の解体工事会社長を逮捕
- 2014年5月15日@東京都
家屋解体で発生した木くずを山中に違法投棄。
青梅市の建設会社社長を逮捕。
行政指導を10回以上受けながらも10年以上にわたり不法投棄を続けていた模様
- 2014年1月16日@栃木県
産業廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで、元市貝町議らを逮捕。
住宅を解体した跡地に住宅解体の廃棄物678トンを埋めた疑い。「処理費用がかさむのでやった」と容疑を認める
- 2014年1月16日@東京都
許可なく廃品を回収し、足立区のゴミ捨て場に不法投棄。
足立区の廃品回収業者代表らを廃棄物処理法違反の疑いで逮捕
- 2013年10月3日@茨城県
廃棄物処理会社の役員ら3人を廃棄物処理法違反の疑いで逮捕。
茨城県下妻市の自社の敷地内に産業廃棄物をいったん保管し、その後、小美玉市の山林に不法投棄していた疑い
- 2013年9月30日@愛知県
建設工事で余った生コンクリートを不法投棄したとして、生コン製造会社の社長ら3人を廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで逮捕
- 2013年7月3日@大阪府
廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで、大阪市生野区の解体業者らを逮捕。
解体工事で発生した建築廃材計約55トンを投棄
- 2012年12月17日@神奈川県
産業廃棄物を無許可運搬容疑で、廃棄物処理法違反などで家屋解体業の男を書類送検。
「金を浮かすためにやった」と容疑を認めている。林に不法投棄も
- 2012年11月6日@神奈川県
住宅解体廃材を不法投棄。
神奈川県茅ヶ崎市の解体業の男を逮捕。
「処分代金がもったいなかった」と容疑を認める
- 2012年9月7日@兵庫県
農地一帯に土木会社が大量のガレキを不法投棄。
解体工事で出たレンガやコンクリートを処理場で処分せずに農地に埋めた疑い
- 2012年7月19日@栃木県
がれきなどの産業廃棄物を不法投棄したとして、春日部市の不動産業者と川越市の解体業者を逮捕
- 2012年4月30日@茨城県
震災がれきを不法投棄したとして、廃棄物処理法違反(不法投棄)で茨城町の建材業者を家宅捜索
- 2012年4月13日@千葉県
千葉県のアパートで内壁と外壁の間に廃材が押し込めるようにして捨てられていた事件、工事担当の大工7人を廃棄物処理法違反(不法投棄)容疑で千葉地検に書類送検
- 2012年1月31日@兵庫県
家屋解体工事で出た木くずや畳などの廃棄物約360キロを不法投棄。
容疑者の27歳の男を逮捕。
現場からは解体工事の領収書も見つかる
- 2012年1月26日@東京都
多摩市から受注した公共工事で出た廃材を河川敷に不法投棄した疑いで業者の男を逮捕。
業者の男らは調べに対し「一時的に置いたもの」と容疑を否認
- 2012年1月26日@茨城県
建設残土不法投棄:茨城県阿見町の廃棄物収集運搬業者社長を県条例違反容疑で逮捕
- 2012年1月17日@静岡県
伊豆市の山中に寝具620キロを不法投棄、容疑の男逮捕。
近所の住民の通報で発覚
いかがでしょうか。
全てではありませんが、不法投棄に関する事件はこのように後を絶ちません。
「発覚した一部の例」を挙げただけでもこれだけありますので、発覚していない不法投棄を含めると実際にはこの何十倍にもなるのではないでしょうか。
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こういう解体業者には注意!選ぶ際に目を光らせたいポイント!
一般に、解体工事を依頼する際には相見積もり(合い見積もりと表記することもある)をとることになります。
1社だけでは比較対象がありませんので相場としてどうか?
その見積もりが適切かどうかなどを判断するためにも必要と言えるでしょう。
その際に・・・
『他社の見積もり金額を聞いて、それよりも極端に安い見積もりを出してくる』
『現場の調査をしないあるいは簡単に済ませ口頭で”○○円くらいでできますよ”などと安易に金額を口にする』
『いったん見積もりを出したものの、他社の見積もりを聞いて大幅に値下げをしてくる』
などという場合は特に注意が必要です。
施主からすれば一生に一度あるかないかの解体工事ですから、できれば安く済ませたいと思うのは自然のことです。
しかし、解体工事には必ずかかる費用というものがあります。
■解体工事そのものの費用(職人さんの人件費等を含む)
■産業廃棄物などの処分費用
■養生費用
これらを踏まえた一般的な目安としては、木造2階建て(33坪=約110平米)の解体費用は95万円程度が相場となります。
さらに、現場の立地条件や周辺環境、工期や解体方法など様々な条件により金額が決定されます。
明らかに高すぎる見積もりも問題ですが、安すぎる方が不法投棄その他の違法行為や不適切行為をすることでその分を浮かせるという可能性が大きくなります。
まずは見積もりを入念にチェックしましょう。
さらにチェックしておきたいポイント!
解体工事で排出された産業廃棄物を収集・運搬するには「産業廃棄物収集運搬業」の許可が必要になります。
解体業者→産業廃棄物収集運搬業者→中間処理場→産業廃棄物収集運搬業者→最終処分場
という流れが基本になってきますが、この過程で不法投棄をすれば不法投棄を行った業者や、収集運搬を依頼した解体業者のみならず施主まで罰せられます。
産業廃棄物収集運搬業者を決める際には、許可証の確認など書類に関してもしっかりと事前に確認しましょう。
もし解体業者が収集運搬業者を選定する場合は解体業者に確認をしても良いでしょう。
あるいは、マニフェストの確認をすることでより大きな安心感が得られます。
マニフェストとは産業廃棄物の排出事業者(この場合は主に解体業者)が、産業廃棄物の収集・運搬・処理を他の業者に委託する場合に、最終処分に至るまでその過程を記録・管理するシステムのことです。
どの業者によっていつ、どこへ運ばれ、いつ、どこで処理や最終処分をされたかが分かります。
つまり責任の所在を明確にするために大切な記録となる訳です。
このマニフェストは5年間の保存義務がありますので、後になって何らかの問題が発生した場合でも責任の追及に役立ちます。
マニフェストは発行するか?マニフェストのコピーをもらうことは可能か?などを事前に確認しておくと良いでしょう。
もしマニフェストの発行や提出が無理な場合は不法投棄する可能性が高くなりますので注意が必要です。
解体業者を選ぶ際は慎重に
今回は不法投棄に関して近年起こった事件や、業者選びの際に施主が押さえておきたいポイントを解説してきました。
不本意な事件に巻き込まれることのないよう、特に不法投棄に関しては厳しく目を光らせておきましょう。