国が進める空き家対策!どういう政策なの?

国が本腰を入れた空き家対策とは?

国土交通省は、各自治体が個別に運営している「空き家バンク」の全国版を作り、情報を一元化することを決定しました。

これにより日本が抱える空き家問題は改善へと向かっていくことができるのでしょうか?

空き家バンクとはどういうシステムなのか、一元化することでどう変わるのかなどについて、空き家問題と共に解説します。

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空き家問題の概要

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総務省が5年ごとに行っている「住宅・土地統計調査」によると、平成25年の時点で全国の空き家は80万戸でした。

これは住宅総数のおよそ13.5%で、次回調査の平成30年にはさらに増えているものと予想されます。

現在すでに空き家が多いにも関わらず新築物件はどんどん作られており、都市部でもマンションの建設が数多く行われています。

これに対して人口は年々減少していきますので、今後さらに空き家率は高くなってくるものと思われます。

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なぜ新築物件が増え続けているのか

消費者目線では、中古よりも新築に住みたいという人が多いこと、優良中古物件の探し型のコツが分からないこと、購入は早い者勝ちとなってしまうケースが多いことなどが挙げられます。

一方の政策目線では、建設工事が増えることで雇用対策になること、人が新たに新築に住むことによって家具や電化製品の購入のきっかけ=景気対策の一環となることなどが挙げられます。

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空き家バンクとは?

空き家バンクは、各自治体あるいは自治体から依頼を受けたNPO団体が主に運営をしているマッチングシステムです。

個人が所有していて、現在住居として使用しておらず「空き家」となっている物件でなおかつ「賃貸・売買したい」物件を、その所有者が管轄の自治体が運営する「空き家バンク」に登録することでホームページ上で一般公開され、移住したい人、新たに家を探している人などとマッチングさせるといったものです。

家を探している人が希望の物件を見つけると、空き家バンクを通して申し込みをし、「直接交渉」または「間接交渉」によって取引を行います。

直接交渉とは賃貸・売買を希望する所有者と利用希望者が直接やり取りをするシステムで、間接交渉とは実際の交渉は自治体が協定等を結んでいる不動産会社あるいは宅建協会などが行うシステムです。

現在、全国のおよそ70%の自治体がこの空き家バンクを設けていると言われています。

なお、営利目的ではありませんので、不動産会社を介しての取引のように仲介手数料が発生するということはほとんどありません。

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空き家バンクのメリット

空家バンクを利用するメリットをご紹介します。

掘り出し物件が掲載されている可能性がある

物件の中には「空き家バンクのみ」に掲載しているものもありますので、思わぬ掘り出し物件が見つかる可能性があります。

建物以外の情報もある

例えば「建物と農地がセット」「建物と畑がセット」などという情報も掲載されています。

移住に関する情報が得られるケースが多い

空き家情報以外にも移住してくるための情報や優遇制度などが得られるケースも多くなっています。

過疎化が懸念される市町村ほど充実している可能性が高い

当然ながら、人口減少を防ぎたい・過疎化が懸念される市町村では賃貸・購入希望者に対して丁寧に接してくれることが多く、情報も充実している可能性が高くなります。

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空き家バンクのデメリット

空き家バンクのデメリットをご紹介します。

不動産会社が「扱ってくれない」物件である可能性がある

立地、家屋の状態、その他の理由で不動産会社では「賃貸に出せない」と判断した物件であっても空き家バンクには掲載できてしまいますので、いざ見学に行ってみたら「家財が置きっぱなしだった」「庭の手入れがされていない」「リフォームが必要だった」などという可能性もあります。

情報の更新頻度が低い

本当に稼働しているのか?と思うほど長らく更新されていない自治体も少なくありません。

必要な情報が抜けているケースがある

プロが運営している訳ではありませんので、賃貸・購入希望者が本当に欲しい情報が抜けているケースも散見されます。

営利目的ではありませんが敷金・礼金・仲介料などのが完全に「0円」なのか、実は礼金等が必要になるのかなど明記されていないケースがあります。

直接交渉にはリスクが伴う

素人同士の直接交渉は多くのトラブルの元となります。

なぜ不動産会社が掲載を断ったのか、何らかの不都合があるのではないか、といった場合でも全てを伝えてもらえない可能性があります。

このように各自治体が独自の判断で運営をしていますので、システム自体は素晴らしいものであっても、掲載する物件情報がバラバラだったり利用しづらいという懸念点がありました。

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やっと国が動き出した!空き家バンクの「一元化」とは?

国土交通省が掲げた空き家バンクの情報の一元化とは、こうした各自治体やNPO団体が独自に運営してきた情報を集約し、全国版を作るというものです。

地方に移住したいと思っている人は各自治体ごとの空き家バンクを探すという非常に手間がかかる作業が必要でしたが、一元化によって全国の空き家情報を一気に検索することができるようになるものと思われます。

また、住所・敷地面積など掲載する物件情報を統一することや、「農地付き」「海の近く」といったキーワードでも検索できるようにするなど、よりマッチングしやすいシステムとなります。

しかしながら、いくつかの懸念点を指摘する声もあります。

■低所得者や核家族が多いため、賃貸の方が需要があるのではないか?

■不便な立地にある物件が多いのではないか?

■空き家の住所を掲載してしまうことで犯罪の温床に繋がるのではないか?

■そもそも空き家を探している人はそんなに多いのか?

■直接交渉のシステムを継承するならまずはしっかりとした法整備が必要では?

など、どのようなシステムで運営が開始されるのかはまだ分かりませんが、便利なシステムである以上、使いやすさやしっかりとしたルール作りが求められます。

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国が行っているその他の”空き家対策”

空き家が増え続けることで様々な問題が発生します。

そのため国はそのほかにも様々な空き家対策を行っています。

空き家が増えることで懸念される悪影響としては「建物の倒壊被害」「屋根などの飛散被害」」「ごみの放置や不法投棄」「放火・その他の犯罪被害」「汚水の流出や腐敗臭等」「植栽の不整備による虫害・獣害等」などが挙げられます。

そこで国は次のような政策を打ち出しています。

空き家対策特別措置法

保安上著しく危険となる可能性がある空き家や、衛生上著しく有害となる可能性がある空き家に対して、自治体が強制的に対処できるようにしたものです。

まずは所有者に対してそれらの空き家の「改善への助言・指導」を行い、改善が見られなければ「勧告」、さらに改善が見られない場合は「命令」、最終的には「強制対処(解体・修繕等)」を行い、その費用を所有者に請求するものです。

所有者の所在が不明の空き家や、費用を請求をしても支払われないといったケースもあり、まだまだ問題点が多い規定です。

住宅ストック循環支援事業(中古住宅購入時の補助金制度)

中古住宅を購入する際に最大で65万円まで補助金を支給する制度です。

これには平成28年10月11日時点で40歳未満であること、既存住宅の現況調査を行うこと、既存住宅売買瑕疵保険に加入することなどの要件があり、申請期間が平成29年2月1日から始まっていますが、どの程度の効果があったのかはまだ発表されていません。

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空き家対策はこのままで良い?

国の動きが遅すぎる感は否めませんが、確かに空き家バンクの情報の一元化は空き家問題に大きな一石を投じる可能性はあります。

しかしながら全ての空き家が借り手・買い手がつく訳ではありませんし、別の角度から空き家が減らない理由を見てみると、このような現実があります。

空き家所有者の70%が「何もしていない」という現実

居住用の空き家を所有している人のおよそ70%近くが「特に空き家対策をしていない」と言われています。

その理由として

・遠方にあって管理ができない

・解体費用が捻出できない

・更地にすると固定資産税や都市計画税が数倍に跳ね上がる

といったことが挙げられています。

空き家バンクの一元化は期待できる政策の一つではありますが、「なぜ空き家が減らせないのか」という問題の根本的な解決には至りません。

この問題を解決するためには、現行の対策に加えて、税制の改革や地方に移住したくなる魅力を生み出すことなど、様々な角度からの政策が必要となってきます。

ようやく動き出した国のこれからの動きに期待したいところです。

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前途多難な空き家対策

我が国における「空き家」はまだまだ増加する予想がされています。

理由は上記でしました通りなので、後はこの問題にどう取り組むか?がカギとなってくると思います。

今の社会情勢を見れば「空き家を増やさない」事は難しいかも知れません。

であれば、この空き家をどう活用するか?が重要なのではないでしょうか。

解体する事も活用の一つだとすれば、解体した後の土地活用なども含めた利用方法を我々としても模索して行きたいと思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

35年で過去5,000棟の解体工事を手がけた解体専門店・市川工業の責任者であり、解体協会の理事も務めています。 建物解体工事を中心に産業廃棄物のリサイクル業務を中心に、毎年、年間300件以上の解体工事でお客様とふれあう中で「より良いサービスを提供する解体企業になる」をモットーに、業界のイメージと解体工事の品質向上に力を注いでいます。 現在は新潟県解体工事業協会の理事を務め、解体業界全体の品位向上に力を注いでいます。 資格:一級土木施工管理技士、リサイクル施設技術管理者、解体工事施工技士