空き家の固定資産税ってどうなるの?
最近、空き家の解体依頼が増えています。
しかし、解体してしまうと固定資産税が上がってしまいます。
最大で6倍にも! だから壊さずそのまま放置している、という方もいらっしゃいます。
今回は、空き家の固定資産税について解説して行きたいと思います。
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固定資産税って何?
固定資産税とは,その不動産(土地・建物など)にかかる税金です。
毎年1月1日現在,土地,家屋,償却資産(これらを総称して「固定資産」といいます。)を所有している人がその固定資産の価格をもとに算定された税額をその固定資産の所在する市町村に納める税金です。
土地・建物を所有している方には、必ずこの「固定資産税」という税金がかかってくるという事ですね。
固定資産税っていくらかかるの?
不動産物件毎に違ってきますが、計算方法は以下の通りです。
固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%(標準税率)
例えば300㎡の土地に住宅が1戸建っていた場合、固定資産税は以下の通りとなります(都市計画税は省略)
【例】
課税標準額(土地) 1,000万円
課税標準額(建物) 500万円
【さら地の場合】 土地1,000万円×1.4% = 14万円
【土 地】 1,000万円/300㎡×200㎡×1/6×1.4% + 1,000万円/300㎡×100㎡×1/3×1.4% = 約3万1千円
【建 物】 500万円×1.4% = 7万円
【合 計】 約10万1千円と、さら地のみ(土地だけ)14万円に比べて4万円ほど安くなります。
ちなみに、課税標準額というのは「固定資産税を課税する対象となる金額」のことをいい、毎年の4月に市町村から送られてくる「固定資産税納税通知書」に記載されている額です。
以上の計算式より、固定資産税の金額が決められています。
なぜ、建物を無くすと税金が上がるの?
これが不思議ですよね。
多くの方が意外と知らないのが、この建物を無くしてしまうと税金が上がるという事実です。
普通に考えると、建物が無くなったのだから税金は安くなるのでは?と思ってしまいますが、固定資産税はこの逆で、建物を解体してさら地にすると税金は高くなります。
この「税金が高くなる」という解釈が実は違うのです。
「高くなる」のではなく「元に戻る」と言った方が正しいかも知れません。
これは、その土地に住宅を建てると「特例の減税措置」が適用され、1/6(6分の1)もしくは1/3(3分の1)に税金が下がるというものです。
詳しくは以下の表をご覧下さい。
区分 | 固定資産税 | |
---|---|---|
土地のみ(さら地) | 建物が無い状態 | 課税標準の1.4% |
小規模住宅用地 | 住宅1戸につき200m2 | 課税標準×1/6 |
一般住宅用地 | 住宅1戸につき200m2を超えた部分 | 課税標準×1/3 |
この様に、建物を無くしてしまうと特例減税処置が無くなってしまうので、6倍になる(元に戻る)事になるという仕組なのです。
建物を無くすと、その土地の利用価値が上がるから、税金も上げるという解釈もあるようですが、これはあくまで住居用の建物に限って減税措置がなされる制度なので「住宅を建て易くするための減税措置」と言った方が良いのかもしれません。
だったら空き家は解体せずそのまま残しておけばいいのでは?と考える方も多くいらっしゃいますが、それが空き家が増えている原因の一つでもあるのです。
そこを重く見た政府が.平成27年2月に制定した法律が「空き家対策特別措置法」なのです。
この法律の施行により、空き家は処分しなければ良い、では済まされない事になりました。
空き家を放置しておくと、固定資産税が上がってしまう可能性がある。それを次項からご説明いたします。
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空き家は処分しなくても固定資産税が上がる!?
特定空き家が危ない!!
今ほど説明した通り、通常の住宅では空き家であれ固定資産税が1/6になると説明しました。
しかし、平成27年度に制定された「空き家対策特別措置法」により特定空家に認定された住宅は減税の対象外となることが決定されました。
では、「特定空き家」とはどういった建物を指すのでしょうか?
特定空家等とは…
「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である 状態にあると認められる空家等をいう」とされています。
簡単にいうと、今にも朽ち果てそうな住宅で、近隣に害を及ばすような状態、しかも見た目にも良くない、という感じでしょうか?
この、特定空き家に認定されてしまうと、固定資産税の減税処置(1/6)が無くなってしまい、建物を除去しなくても税金が上がってしまう事になります。この認定は市町村が行い、季節を問わず行われます。
特定空き家の認定は解除できるのか?
可能です。
その原因となった不適切な箇所を改善すれば、特定空き家から解除されます。
危険だと思われる個所を修繕するとか、廃材を方付け見た目を綺麗にするなどの対策が必要となってきます。
しかし、状態が悪いからといっていきなり特定空き家に指定されてしまうわけではありません。
最初は、役所から所有者の方に対して、現状の報告と助言または指導を行います。
その後、所有者の方が何らかの対策を講じれば特定空き家に認定されずに済むのでしょうけど、何もせずそのままの状態を放置していれば特定空き家に認定されてしまい、減税措置が外されてしまいます。
そのため、特定空き家に指定されないためには、行政からの助言や指導を受けたら対応することが重要です。何の対処もせずに放置しておくと、特定空き家に指定されてしまいます。
指定された後も、役所からの改善命令等に従わないと、最悪の場合「50万円以下の罰金」が課され、行政代執行により解体撤去された後、多額の費用が請求されることになってしまうかもしれませんのでお気を付け下さい。
特定空き家を解体する際の助成金
特定空き家として認定を受けた建物を解体除去する場合に、補助金が出る市町村があります。
詳しい内容は、こちらをご覧ください
空き家補助金
各市町村によってその助成内容は違ってきますので、市町村の窓口などでお確かめください。
今できる空き家対策は何か?
考えられる空き家対策をあげてみますのでご参考までにどうぞ。
①空き家管理代行会社に管理を委託する
②市町村の空き家バンク等に登録する
③空き家を賃貸または売却する
④空き家を解体し更地にして土地を売却する
⑤解体後の土地を活用する(貸し駐車場・宅地造成など)
空き家の固定資産税が6倍になる前に対策を
壊して無くしてしまう物にお金をかけたくはない!その気持ちはよく分かります。
しかし、空き家の所有者になってしまったからには、避けては通れない問題だと思います。
放置して近隣迷惑になる前に、親戚一同でよく話し合っていただく事が空き家対策の最初の一歩かと思います。
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