空き家の管理は大変です!
空き家を所有している方の中には「解体(またはリフォーム等)したいけど費用を捻出できない」ため、不本意ながら所有し続けている方も少なくないといいます。
実は、空き家の解体やリフォームにまつわる補助金制度があることをご存知でしょうか?
空家対策特別措置法の影響もあり、老朽化した空き家を所有し続けるのは大きなリスクを伴うようになりました。
空き家管理でお悩みの方はぜひ、補助金制度を賢く活用しましょう。
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空き家解体補助金とはどんなもの?
空き家を解体するにも、賃貸や売却目的でリフォームするにも、多額の費用が必要になります。
「もう住む予定もないし解体しなきゃいけないのだけど…」
「やはりリフォームしないと買い手が見つかりにくいなぁ…」
と頭では分かっていても費用を準備するのは簡単ではありません。
そんな時に活用したいのが空き家解体の「補助金」です。
自治体ごとに「空き家解体補助金」「空き家解体助成金」「解体撤去費助成」「老朽家屋等解体工事助成」など名称は異なりますが、空き家または老朽化した空き家に対して自治体が補助金や助成金を支給してくれるというものです。
なおこれらは「国から直接」支給されるものではありません。
あくまで自治体が当該家屋の解体にかかった費用を補助してくれるというものです。そのため制度を設けている自治体とそうでない自治体があるほか、支給限度額にも10万円~100万円などの幅があります。
空き家解体補助金制度を設けている自治体は?
全ての自治体を確認した訳ではありませんが、山梨県と沖縄県を除く45都道府県の約240の自治体で何らかの制度を設けているとされています。
ただし終了時期は自治体によって異なりますし、また現在制度を設けていなくて新たに創設される自治体もあるかもしれませんので、最新情報は管轄の自治体にご確認ください。
*自治体によってはサイトの更新頻度が低かったり情報が十分でなかったりしますので、できれば直接出向くか電話などで確認することをお勧めします。
解体補助金や助成金を受けるための条件は?
こちらも各自治体によって異なります。代表的なもので言えば
- 1年以上居住実績がない
- 個人が所有している建築物
- 住民税を滞納していない
- 倒壊などの危険性がある
- 衛生上の悪影響がある
- 新耐震基準に適合していない
- 解体工事着工前に申請すること
などが挙げられます。
なお、念のためお伝えしておきますと補助金や助成金は「解体工事後」に領収証や証明書などを元に算出され支給されるのが一般的です。
支給の時期についても自治体ごとに大きく異なりますので、先々の生活プランなども踏まえて事前にしっかり確認しておくことが大切です。
空き家リフォーム補助金との違いは?
空き家リフォーム補助金とは、空き家を売却や賃貸に出す目的、あるいは自らが居住する目的などで「解体」ではなく「リフォーム」をする場合に受けることができる補助金です。
解体補助金と同様に導入している自治体とそうでない自治体があり、また受けるための要件や工事の種類、限度額、支給時期などについても自治体ごとにことなりますので、まずは管轄の自治体に確認しましょう。
空き家対策特別措置法とは?
平成27年5月26日「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称:空家対策特別措置法)が完全施行されました。
*本法の概要については国土交通省のサイトに詳しく記載されています。
ここではいくつかポイントを絞って解説します。
空家対策特別措置法の目的は?
放置空き家が深刻化する日本は、空き家にまつわる様々な問題を抱えています。代表的なものとしては
- 老朽化による倒壊等のおそれ
- 害獣の糞尿・死骸の腐敗臭などの問題
- 害虫の大量発生による近隣住民への影響
- ゴミの不法投棄や放火その他犯罪の現場となるおそれ
- 強風時の屋根や外壁の飛散のおそれ
などが挙げられます。このような問題を解決すべく、また実態を調査すべく創設されたのが空家対策特別措置法です。
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空き家の定義とは?
空家対策特別措置法では「1年間を通しての人の出入りの有無」「電気・ガス・水道などの使用状況」から総合的に空き家かどうかを判断するとしています。
たとえ上記によって空き家と判断された場合でも、原則として所有者に無許可で立ち入ることはできませんが、本法では管理が行き届いていない空き家については
- 行政による敷地内への立ち入り調査
- 所有者確認のための住民票、戸籍、固定資産課税台帳などの確認
- 電気、ガス、水道などのライフラインの使用状況の請求
などが可能になるとしています。
空き家はどうなる?
立ち入り調査などを経て適切に管理されていないと判断された空き家については「特定空き家」に指定されます。
特定空き家とは具体的に
- そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
にある空き家を言います。特定空き家に指定されてしまうといよいよ自治体が所有者に対して
【改善の助言および指導】
を行います。
一定期間猶予を与えられますが、改善が見られない場合は
【勧 告】
となります。
勧告を受けた時点で固定資産税の軽減措置対象からは除外されますので、固定資産税が最大で6倍に、都市計画税が最大で3倍に膨れ上がります。
さらに勧告を無視、あるいは設定された期限内に改善措置が完了しなかった場合は
【命 令】
が下されます。
ここでも改善しなかったなど命令違反をすると最大で50万円以下の罰金が科せられます。
同時に、行政代執行によって強制撤去(解体など)に至る可能性があります。
この場合家屋はもちろん、庭木や塀なども撤去される可能性があり、それらの費用は全て所有者に請求が行きますので、かなり厳しい通告であると捉えておきましょう。
空き家の利用方法
空家対策特別措置法によって、これまで放置していても何のペナルティもなかった放置空き家に対する厳しい措置が取られるようになりました。
特定空き家に指定される前に今回ご紹介したような「補助金制度」を活用して解体してしまうのも一つの手段ですが、中にはその空き家を「そのまま利活用」できるケースや「リフォームして利活用」できるケースがあります。
たとえば各自治体が独自に設けている空き家バンクに登録すれば、一般社団法人・移住交流推進機構の空き家バンクにも反映され、全国にあなたの空き家情報を公開することができます。
もしかすると買い手や借り手が見つかる可能性がありますので、登録しておいて損はないでしょう。
あるいは観光地などが近くにあるという空き家であれば、ここ数年人気でどんどん増えつつある「民泊施設」として提供することも考えられますし、交通の利便性が比較的高い地域にある空き家であれば「シェアハウス」として貸し出すこともできます。
リフォームのための初期投資こそ必要になりますが、今までただ放置しているだけだった空き家が誰かのために生まれ変わり、利益ももたらしてくれるようになれば、所有者はもちろん日本の空き家問題解消にも大きく貢献できます。
補助金制度を賢く活用して空き家を管理しよう
- 空き家は放置してもメリットがない
- 解体およびリフォームには補助金や助成金が支給される自治体がある
- 解体する以外にも何らかの方法で利活用できるケースがある
というお話でした。
空き家にまつわる補助金制度を知らなかった方は、ぜひ一度管轄の自治体に問い合わせてみましょう。
有用な補助金制度を設けている自治体であれば、管理にお困りの空き家を解体したり利活用できたりするかもしれません。
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