新潟県内の解体工事に関する補助金制度とは?
各自治体では解体に関連する補助金や助成金制度を設けています。
具体的にはどのようなものがあるのでしょうか?
今回は「新潟県」に着目して、申請に必要な条件や満たすべき要件、補助限度額などとともに解説します。
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新潟県が制定している解体に関連する補助金制度
新潟県は平成27年度から「ふるさと古民家再生事業」と銘打った補助金制度を設けています。
県内各地域の歴史的文化や伝統的な木造建築技術を維持し、後世に継承すると同時に現場において建築技術者の育成の推進を目的として創設された制度で、設計及び工事管理に要する費用のうち100万円を上限として2分の1まで県が補助するというものです。
補助の対象となる建築物は、次の「伝統的木造建築技術」を用いて建設され概ね50年経過した住宅で、併用住宅の場合は居住部分の面積が2分の1以上または75m2以上であるものが対象となります。
・軸組構法で造られた建築物
・接合金物に頼らず伝統的な継手や仕口を用いた建築物
・筋交い等の塗材を使用せず貫を用いた建築物
・主要な壁には湿式工法(板張り壁または土塗り壁など)を用いた建築物
・屋根は和瓦葺き、板葺き、または茅などの草葺きを用いた建築物また、補助を受けるための要件としては
・県内において古民家を解体・再築もしくは全面改修すること
・耐震性能を満たすこと
・県内の建築関係団体の求めに応じて古民家再生事業の現場における技術研修に協力すること
が挙げられています。
受付は予算に達し次第締め切られてしまいますので、まずは新潟県に問い合わせてみましょう。
「特定空き家」解体のために新潟県が設けている補助金制度
上越市では「空き家等除却費補助」を、燕市では「空き家・空き地活用バンク事業(解体撤去費助成)」を、糸魚川市では「危険空き家除却支援補助金」をそれぞれ創設しています。
いずれも近年大きな社会問題になっている空き家の解体に対する補助金または助成金で、それぞれ次のような内容になっています。
上越市:「空き家等除却費補助」
特定空き家等除却費補助
“特定空き家”とは「空き家等対策特別措置法」に基づき倒壊など保安上著しく危険となる恐れがある空き家のことで、一度指定されると所有者は善処しなければなりません。
そのまま放置しておくと最終的には行政執行が下され強制撤去などの措置が取られ、その場合の解体費用などは所有者が負担しなければなりません。
補助金を受けることができるのは市税に未納がない特定空き家の所有者で
- 市県民税所得割非課税世帯
- 低所得者層世帯
のいずれかに該当している必要があります。
解体工事費用および工事によって発生した廃材の処分費用などのうち50万円を上限として2分の1まで補助してくれるというものです。
なお
- 補助金の申請者または申請者の3親等以内の人がその跡地に建築物を建設しないこと
- 除却したあとの敷地が周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適正な維持管理に努めること
も条件として定められています。
空き家等除却費補助
上越市では特定空き家に指定されていない空き家を所有している場合にも本制度を活用することができます。
同じく市税に未納がない空き家の所有者が対象で、除却工事費用および工事によって発生した廃材の処分費用などのうち50万円を上限として2分の1まで補助してくれるというものです。
その他の条件としては
- 除却したあとの跡地がポケットパークなど地域活性化に10年以上提供されること(計画書等の提出が必要)
- 除却したあとの敷地が周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適正な維持管理に努めること
が定められています。
燕市:「空き家・空き地活用バンク事業(解体撤去費助成)」
燕市では特定空き家の解体および解体後の空き地の売買を推進する目的で解体費に対する補助金を行っています。
市税に未納がない特定空き家の所有者または所有者の3親等以内の親族、あるいは相続人または特定空き家等にかかる固定資産税の納税義務者であり宅地建物取引業を営んでいない人が対象となっています。
そのほか、申請するための要件としては
- 特定空き家等に認定され解体・撤去の指導対象となる建物を含んでいること
- 工事を市内の解体施工業者に依頼すること
- 工事完了後は燕市が運営する空き家・空き地バンクに登録すること
- 平成30年1月31日までに実績報告書を提出すること
- 工事金額が税抜き30万円以上であること
などが定められていて、50万円を上限として対象工事費用の2分の1まで補助してくれるというものです。
糸魚川市:「危険空き家除却支援補助金」
“特定空き家”と明記されていないものの、対象となる家屋が
- 市内にあり1年以上使用されていない状態であるもの
- 建築資材の飛散・落下によって近隣や公道に影響を与える恐れがあり、周囲に危険を与える可能性があるもの
- 市が定める「住宅の不良度判定基準調査」における点数が一定以上であるもの
としていますので、ほぼ特定空き家と捉えて間違いありませんが、上越市や燕市と比較すると対象はやや広いと言えるかもしれません。
市税に未納がなく危険空き家の登記事項証明書に所有者として記載されている人、もしくは固定資産税課税台帳に記載されている人、あるいはそのいずれかの相続人が対象となります。
他の制度同様に空き家の解体および除却にかかる費用のうち50万円を上限として2分の1まで補助してくれるというもので、市内に事業所や営業所がある業者に依頼する必要があります。
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新潟市が設けている補助金制度
新潟市では解体ではなく耐震化を目的とした建て替えに関連する「木造住宅建替え耐震化工事補助制度」という制度を創設しています。
なお、解体に関連する補助金については平成28年12月28日で一度終了しておりますが、今後新たに創設される可能性がありますので、詳しくは市に問い合わせるかホームページ等で最新情報をチェックすることをお勧めします。
市の制度を利用した耐震診断の結果が1.0未満であった住宅の部分の全てを建て替える工事が対象で
- 申請者が市税を完納していること
- 既存住宅と同一敷地内で建て替えること
- 申請者が居住する住宅であること
- 申請者は所有者本人か所有者の2親等以内の親族であること
などが条件となり、建て替え耐震化工事にかかる費用の10分の1以内を15万円を上限として補助してくれるというものです。
その他の市が設けている補助金制度
長岡市、小千谷市、魚沼市、胎内市では「がけ」の崩壊や土石流、雪崩、地滑りなどによってそこで暮らす住民に生命に関わる危険をおよぼす可能性があると判断した区域内に建っている住宅(危険住宅)に対して、安全な場所へ移転するための「がけ地近接等危険住宅移転事業」の一環で「住宅の除却(解体)」および「移転」に際して発生する費用への補助金制度を設けています。
長岡市の補助金制度
小千谷市の補助金制度
魚沼市の補助金制度
胎内市の補助金制度
対象となるのは
- 建築基準法第39条第1項の規定に基づき新潟県建築基準条例第6条で指定した災害危険区域
- 建築基準法第40条の規定に基づき新潟県建築基準条例第8条(がけ条例)で建築を制限している区域
- 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律第9条に基づき新潟県知事が指定した土砂災害特別警戒区域
上記いずれかに該当し
- 建築当時はがけ条例等に適合していたが、その後地震や台風等によって安全上支障が生じ、市長が是正勧告等を行った住宅
とされています。
解体工事費用、動産移転費用、跡地整備費用、仮住居費用など除却および移転に関わる費用のうち1戸あたり80万2,000円を上限として支給されるというものです。
また移転が前提となりますので、移転先で新たに土地や住宅を取得する際にも補助金を受け取ることができます。
住宅の建設(または購入)の際に発生する費用のうち1戸あたり415万円(建物319万円/土地96万円)を限度に支給されるというものです。
ただし
- 特殊土壌地帯
- 地震防犯対策強化地域
- 保全人家10戸未満の急傾斜地崩壊危険区域および出水による災害危険区域
については1戸あたり722万7,000円(建物457万円/土地206万円/敷地造成59万7,000円)を上限として支給されます。
このように、地域性を考慮した解体費用の補助金なども創設されています。
新潟県の補助金や助成金制度
今回は新潟県内の「解体」に関連する補助金や助成金についてご紹介してきました。
解体に限らなければ、今回ご紹介した以外にも次のような補助金や助成金を創設している自治体があります。
リフォームに関連する補助金や助成金
新潟市、見附市、妙高市、五泉市、阿賀野市、佐渡市、南魚沼市、西蒲原郡弥彦村、南蒲原郡田上町、刈羽郡刈羽村、岩船郡関川村など
その他住宅に関連する補助金や助成金
新発田市、東蒲原郡阿賀町、三島郡出雲崎町など
全国の自治体にも解体補助金制度がある
今回ご紹介したのは一例ですが、このようにいくつもの自治体がそれぞれ独自に補助金や助成金制度を設けています。
これらの制度は募集期間や要件、その他の条件などが自治体ごとに定められており、また内容についても新設されたり廃止になったり、あるいは変更になったりする可能性がありますので、最新情報を常にチェックしておくことが大切です。
特に空き家は昨今の大きな社会問題となっており、平成25年度に行われた総務省統計局による「住宅・土地統計調査」での新潟県における空き家は、居住世帯のある住宅835,100戸に対して13.6%となる132,000戸と、ほぼ全国平均(13.5%)の空き家率であることが確認されました。
なにも、解体だけが空き家の処分方法ではありません。
リフォームして賃貸や売りに出す、地域活性化のために提供する、移住者の住まいとして活用してもらう、などアイデア次第で多種多様な目的に活用することができます。
特定空き家に指定されてしまってからでは様々な規制の対象となり、改善命令に従わなければ最大で50万円の罰金が課せられてしまう可能性も高くなります。
現在すでに空き家の所有者になっている人はぜひ、空き家が建てられている管轄の自治体の情報をチェックするとともに、早いうちから活用方法についても考えておくことをお勧めします。
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