自宅を解体する時「お祓い」って必要なの?

解体工事のお祓いって?

住宅にまつわるお祓いと言えば「地鎮祭」が有名です。

古くから一般的に行われているお祓いですので、多くの方が一度は立ち会ったことがあるのではないでしょうか。

ところで、この地鎮祭は新築を建てる前に行うものですが、逆に解体する時にもお祓いがあることをご存知でしょうか。

今回はその解体時に行うお祓いについてご紹介します。

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解体工事のお祓いとは?地鎮祭との違いも併せて解説

一般に、解体工事の前に行われるお祓いを「解体清祓い(かいたいきよはらい)」と言います。

「地鎮祭」は、建物の新築や土木工事などを始めるにあたって

  • 土地の守り神である「産土大神(うぶすなのおおかみ=氏神さま)」
  • 大地を護る神である「大地主大神(おおとこぬしのおおかみ)」
  • 土を護る神である「埴山姫大神(はにやまひめのおおかみ)」

を祀り、工事の安全祈願、土地や建物の安全祈願をするためのものです。

工事の着工に合わせて「起工式」として行う場合もあります。

一方の「解体清祓い」は解体工事を始めるにあたって

  • 家屋の守り神である「屋船久久遅神(やふねくくのちのかみ)」
  • 同じく「屋船豊受姫神(やふねとようけひめのかみ)」

に対して、これまで何事もなく無事に暮らすことができたことを感謝するとともに、解体することの報告・許しを得て解体工事の安全祈願をするためのものです。

井戸を埋める際のお祓いとは?

また、庭に古井戸があるという場合は別途「井戸埋清祓(埋井祭)」という井戸を埋める際のお祓いを行うケースもあります。こちらは

  • 水の恵みを与えてくれた「弥都波能売神(みつはのめのかみ)」
  • 同じく「御井神(みいのかみ)」

に感謝を伝え、井戸を埋めることの報告、許しを得て工事の安全祈願をすると同時に今後も災いがないようにとお願いするためのものです。

なお、これらのお祓いは必ずしも実施しなければならないというものではありません。

しかし、日本人は古くから「あらゆる物には神様が宿っている」という神道(しんとう)の考え方が根付いていますので、やらないと「何だか悪いことが起こりそう」「気持ちの面で落ち着かない」という方も多いようです。

特に解体清祓いについては「お世話になったことへの感謝の気持ち」を伝えるという意味合いもありますので、もし不都合がなければ実施をお勧めしたいところですが、家族や親族などと宗教観を含めて話し合って実施するか否かを決定するのも良いでしょう。

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解体お祓いの方法と費用

解体清祓いは基本的に神社の神主さんや宮司さんにお願いすることになります。

なお神社や流派、地域などによって方法や内容が異なりますので詳しくは依頼する神社にお問い合わせいただきたいのですが、ここでは一般的な方法や準備するもの、費用などを解説します。

準備するもの

米 白米(新米)を3合~5合程度(無洗米でも問題ありません)
酒 日本酒を4合~1升
塩 粗塩(食塩はできれば避ける)を20g~50g程度
水 適量(水道水、ミネラルウォーターなどは特に問いません)

基本的にはこのようなものを準備しておきます。

もし家庭菜園をしていたり農家だったりして野菜がある場合は一緒にお供えすると良いでしょう。

お祓いの服装

参列者の服装には特に決まりはありませんので普段着で構いませんが、きちんとしたいという場合はスーツや襟付きのシャツなどを着用する方もいます。解体業者も一緒に参列する場合は作業着で参加することもあります。

場所

原則として解体する建物の1階部分に祭場を設営することが多いようですが、スペースがなければ2階、あるいは家の外の敷地内で行うこともあるようです。

解体清祓いの流れ

やはり神社や流派などによって違いがありますが、一般的には

  • 開式の辞
  • 修祓の儀(しゅばつのぎ=祓い清める)
  • 降神の儀(こうしんのぎ=神様を招く)
  • 献饌の儀(けんせんのぎ=神様にお食事をお供えする)
  • 祝詞奏上(のりとそうじょう=神主さんや宮司さんがお祈りをする)
  • 清祓いの儀(きよはらいのぎ=祭場を出て建物の四隅と入り口をお祓いする)
  • 取毀の儀(とりこぼちのぎ=柱を木槌で叩くことで神様に解体を知らせる)
  • 玉串奉奠(たまぐしほうてん=参列者一同が玉串をお供えして拝礼する)
  • 撤饌の儀(てっせんのぎ=神様へのお供え物を下げる)
  • 昇神の儀(しょうしんのぎ=神様を元の御座にお送りする)
  • 直会の儀(なおらいのぎ=神酒や神様のお食事である神饌をいただく)
  • 閉式の辞

このような流れで行われるようです。所要時間は30分~60分程度と言われていますが、式の内容や参列者の数などによっても変わってきます。

お祓いの料金

2万円~3万円程度が相場とされていて、さらに神主さんや宮司さんへのお礼(車代など)、お供え物の準備などでトータル5万円程度はみておいた方が良いでしょう。

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解体のお祓いが必要な建物とは?

一般家屋はもちろんのこと、会社が入っていたビル、アパートやマンションなどの集合住宅、店舗、病院、その他の建物や公共施設など建物であれば基本的には解体時にお祓いが必要です(といっても強制ではありませんが)。

解体清祓いを行わずに万が一災害や事故などが発生してしまった場合、なんとなく後味の悪い解体工事になってしまう可能性があります。

費用を見てもそれほど高いものではありませんので、「感謝を伝える」「安全を願う」といった意味ではぜひ、行うようにしたいものです。

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ABOUTこの記事をかいた人

35年で過去5,000棟の解体工事を手がけた解体専門店・市川工業の責任者であり、解体協会の理事も務めています。 建物解体工事を中心に産業廃棄物のリサイクル業務を中心に、毎年、年間300件以上の解体工事でお客様とふれあう中で「より良いサービスを提供する解体企業になる」をモットーに、業界のイメージと解体工事の品質向上に力を注いでいます。 現在は新潟県解体工事業協会の理事を務め、解体業界全体の品位向上に力を注いでいます。 資格:一級土木施工管理技士、リサイクル施設技術管理者、解体工事施工技士