「土地を売却したいけど、いったいどれくらいの値段をつければ良いのだろう?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
土地を売却する際にもっとも重要なのが、値段です。
高過ぎれば問い合わせすら来ないこともありますし、逆に安過ぎれば、売れるかもしれませんが損をした気分になってしまうでしょう。
この記事では、土地を売却するときの値段の決め方、土地の値段の調べ方、適正価格とは?評価額と売値の違いは?など、土地の値段の決め方にまつわる基礎知識を解説していきます。
【こちらの関連記事もご覧ください】
土地を売却するときの値段の決め方は?
土地の値段はコロコロ変えない!
まずは基本となる土地の値段の決め方を、ポイントを絞って解説します。
最初は2000万円で売り出したものの買い手がつかず、1800万、1600万と下げたが商談がまとまらず、1300万円にしたところ多数の問い合わせが来たので、思い切って1500万円にしてみた!
など、値段がコロコロ変わってしまうのは信頼を失うためおすすめできません。
かといって、相場より安く設定してしまえば損してしまうことになりますので、土地の値段の決め方は非常に重要です。
ですが、よほど知識があり、何度も不動産取引を経験しているという人でなければ、売却しようとしている土地の値段をスムーズに決めるのは難しいでしょう。
そこで、次のように分けて考えることをおすすめします。
土地の値段の決め方にはポイントがある!
理想の値段を書き出す
相場などを一切気にせず「これくらいの値段で購入したから、これくらいの値段で売却できたら嬉しい」という自分の希望を書き出しましょう。
相場とかけ離れていても構いません。
まず一つの基準を設けます。
最低限の値段を書き出す
次に、「最低限、これくらいの値段で売れてもらわないと今後の生活に困ってしまう」という値段を決めておきましょう。
これで上下2つの基準ができました。
査定を依頼する
不動産業者や査定士などにその土地の調査を依頼して、査定額を出してもらいましょう。
以上で3つの基準ができました。
この中で、もっとも相場に近い値段が査定額と考えられます。
あとは、査定額と理想の値段、最低限の値段を比較しながら、実際の値段を決めていくことになります。
ただし、実際の土地の取引は、売り手・買い手の双方が納得しなければ成立しません。
ここから、売り手と買い手の“すり合わせ”が必要になってくるケースがほとんどです。
すり合わせして値段を下げた場合、どこまで妥協できるかというラインを、先ほど出した“最低限の値段”を参考に、事前に決めておくと良いでしょう。
土地の値段はどうやって調べる?
土地の値段を決める際に基準となるもの
土地の値段の決め方は、不動産業者や査定士に依頼して査定額を出してもらう方法だけではありません。
土地の値段を決めるための基準は、そのほかにもいくつか種類が存在します。
地価公示価格
一般的に、土地取引の指標とされている価格で、国土交通省が毎年1月1日時点での土地の値段を算定したものです。
都道府県地価調査基準地価格
国ではなく都道府県が算定する土地の値段です。
毎年7月1日時点の土地の値段が公示されます。
※地価公示価格および都道府県地価調査基準地価格の調べ方
国土交通省のホームページから確認することができます。
路線価
“道路”に面している土地1mあたりの評価額のことです。
相続税を算出する際などに用いられます。
国税庁の路線価図から、売却したい土地が面している“道路”の評価額を調べたら【(路線価÷8)÷0.95】に当てはめれば土地の値段の相場が算出できます。
※路線価図の調べ方
国税庁ホームページから確認することができます。
■固定資産税評価額
固定資産税、不動産取得税などの算出に用いられる値段です。市区町村が算定しており、3年ごとに見直しが行われます。
※固定資産税評価額の調べ方
主に、次の3通りの調べ方があります。
- 固定資産税評価明細書…固定資産の所有者に対して送られてくる明細書
- 固定資産税評価証明書…市区町村の窓口で取得できる証明書
- 固定資産課税台帳…市区町村の窓口で閲覧・縦覧できる台帳
このように、何通りかの調べ方があります。
一般的に、路線価は地価公示価格に対しておおよそ7〜8割、固定資産税評価額は同様に7割程度に設定されていることが多いようです。
土地の値段の決め方に多く用いられるのは「実勢価格」!?
このように、土地の値段の決め方に用いられる基準はいくつもありますが、一般的には実勢価格、いわゆる「時価」が多く用いられていると言われています。
実勢価格(時価)とは、実際に市場で取引されている土地の値段のことです。
売却しようとしている土地の条件に近い取引があれば、その事例を集めていくとおおよその“相場”にたどり着きます。
あるいは、そうした事例が少ないケースでも不動産業者などが売りに出している土地の価格、査定士による査定額などを参考に決める方法もあります。
なぜ、実勢価格がもっとも多く用いられているのか、疑問に思う人もいるかもしれません。
不動産取引に限ったことではありませんが、前述したように取引が成立するには売り手・買い手の双方が合意しなければなりません。
いくら公示価格や固定資産税評価額を元に土地の値段を決めたところで、買い手がつかなければ(納得しなければ)その土地を売却することはできませんよね。
そうしたことから、土地の値段の決め方として実際に多く用いられているのは、実勢価格であると言われています。
- 土地の値段の決め方に用いられるのは実勢価格
- 土地の資産価値を知るために用いられるのは公示価格や基準地価
- 相続税、贈与税などを調べるために用いられるのは路線価
- 固定資産税を調べるために用いられるのは固定資産税評価額
もちろん、すべてが当てはまるわけではありませんが、このように覚えておくと良いでしょう。
【こちらの関連記事もご覧ください】
土地の適正価格って?
「じゃあ、いったい土地の適正価格はどうやって判断するの?」と思う人もいるかもしれません。
何を以って適正とするかは、非常に難しい部分でもあります。
土地の価値はさまざまなきっかけで変動します。
たとえば、新幹線が止まるようになった、徒歩5分圏内にターミナル駅ができた、大型の複合施設が完成した、など利便性が高くなった場合、その土地の値段は大きく跳ね上がる可能性が高いです。
利便性の高い地域は人の出入りも多くなり、土地取引の事例も増えていきます。
その結果、実勢価格を決める際の参考になる事例も増えていきますので、適正価格、つまり相場を算出しやすくなります。
逆に、土地取引の事例が少ない地域(人の出入りがほとんどないような地域など)では、実勢価格を決めるための事例が少ないため、適正価格が曖昧になりがちです。
そうした場合、公示価格や固定資産税評価額といった別の方法で、適正価格の目安とするのが一般的になっているようです。
土地の評価額と売値の違いはなに?
土地の値段について調べていくと「評価額と売値に差がある」「この違いはなに?」という疑問にたどり着くことがあります。
土地には、評価額と売値があります。
「売値は1300万円なのに、評価額は800万円だった」
ということも少なくありません。
これは、別に不動産業者が「ボッタクリ」をしている訳ではありませんので覚えておきましょう。
では、なぜこうしたことが起こるのでしょうか?
それは、ここまで読んでいただいた方はすでにお分かりのことと思いますが「評価額はあくまで評価額」「売値は売り手が決めた価格」という違いがあるためです。
評価額とは、2章で詳しく解説した「工事価格」「基準地価格」「路線価」「固定資産税評価額」などが該当します。
しかし、実際に市場に流通している土地の値段は、不動産業者や査定士が査定した「査定額」あるいは「実勢価格」を元に売り手が決めた値段であることがほとんどです。
ニンジンを1本売るのに、相場は50円でも自分は500円で売りたい、と思えば500円で売りに出せるのと同じです(ただし売れるかどうかは別になりますが…)。
土地も、同じように売り手が自由に値段を決めることができます。
そのため、評価額と売値に大きな差が出るということも、しばしば起こります。むしろ、ほぼ売値の方が高いと思って良いかもしれません。
売り手としては、あとはその値段で買ってくれる人が現れるのを気長に待つか、交渉次第で値下げして売却することになります。
買い手としては、評価額を値下げ交渉の基準にすることもできます。
最終的に、売り手・買い手の双方が納得して合意すれば良いわけですから、最初は強気で高めの売値を設定している売り手もいるでしょう。
値下げ交渉を見越して高めに設定しているかもしれません。
評価額はあくまで評価額、売値は売り手が自由に決められる値段、ということを覚えておけば、評価額と売値の違いに戸惑うことはないでしょう。
土地の価格の決め方まとめ
今回は、土地の値段の決め方や、値段を決める際に用いられる指標について詳しく解説するとともに、適正価格とはどうやって決めるのか?
評価額と売値が違うのはなぜか?といった疑問についても解説してきました。
土地を売却しようと思っている人は
- 希望の値段、最低限の値段、査定額という3つの基準を設ける
- 土地には公示価格や路線価、固定資産税評価額などがある
- 実勢価格を把握する
- 売りに出したら値段をコロコロ変えない方が良い
といったことを押さえておきましょう。
一方、土地を購入しようと思っている人は
- 評価額はあくまで評価額、売値は売り手が決めた値段である
- 値下げ交渉するなら評価額を参考にしても良い(ただしいきなりの大幅な値下げはトラブルの元になるかもしれないのでほどほどに…)
といったポイントを押さえておくと良いでしょう。
【こちらの関連記事もご覧ください】