家の解体工事にある補助金制度とは?
日本全国各地で大きな問題となっている空き家。
今後も人口の減少に伴って空き家の数はどんどん増え続けて行くことが予測されています。
誰も住まなくなり、利活用する予定もない空き家は出来ることなら速やかに解体することが望ましいのですが、「解体費用が工面できない」という理由で放置せざるをえないという方も決して少なくありません。
「せめて解体費用の一部でも支援してくれれば…」という方のために、今回は空き家の解体に関する補助金制度について解説します。
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空き家の解体補助金制度とは?
空き家の補助金制度とは、空き家を解体する際に管轄の自治体が解体費用の一部を補助金として支給してくれるというものです。
この制度は
「老朽家屋等解体工事助成」
「老朽危険空家解体補助金」
「空き家解体補助金」
「空き家解体助成金」
「解体撤去費助成」
「空き家解体費補助制度」
など名称が各自治体ごとに異なり、また必ずしも全ての自治体が設けているとは限りません。
自治体ごとに補助金の対象となる要件が大きく異なっていたり、受け取れる金額も20万円~100万円などの差があります。
注意!国が補助をしてくれる訳ではない!
少し前に「国が個人に対して解体費用の一部を補助金として支給してくれる」という噂が流れ、実際にネット上でもニュースとして取り上げられました。
今でも「国からの補助金が出る」と思っている方も多数いるようです。
しかし実はこれはメディアの誤報道によるもので、現時点で「国から個人に向けた空き家の解体にまつわる補助金制度」はありませんので、お間違えのないようにご注意ください。
現在国が取り組んでいるのは「空き家再生等推進事業」で、その一環として
【自治体が空き家を解体する個人に対して補助金を支給した際に、国が自治体に対してその一部を補填する】
というものになります。
「国から補助金が出るから解体してしまおう」
と勘違いして、解体後に「補助金をアテに解体したがもらえなかった!」といったことがないように気をつけましょう。
どのような建物が解体補助金対象になるの?
各自治体によって対象となる要件は異なりますが、一般的には
・1年以上居住その他の実績がない
・個人所有の建築物
・一戸建て住宅または併用住宅
が基本となっていて、自治体によって
・抵当権が設定されていないもの
・公共事業による移転等の補償対象ではないもの
・住民税を滞納していないこと
・放置すれば倒壊など安全上著しい危険を及ぼす可能性があるもの
・放置すれば衛生上著しく害を及ぼす可能性があるもの
・自治体の空き家バンクに登録されていること
・市内の解体業者が解体工事を行うこと
・新耐震基準に適合していない住宅であること
・解体工事着手前に申請をしていること
など、様々な要件が決められています。
例え1年以上誰も済んでいない家であっても、比較的新しかったり、まだまだ居住用として利用できるという場合は「放置しておくと危険な空き家」とは判断されず、自治体からの補助金を受けられない可能性もあります。
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空き家解体補助金が使える都道府県は?
現在、確認できているだけでも山梨県と沖縄県を除く45都道府県、240を超える市区町村が補助金制度を設定しています。
その中からいくつかを補助限度額とともにご紹介します。
富山県黒部市
*解体工事費用の2分の1以内(上限50万円)
静岡県沼田市
*税込解体工事費用に3分の1をかけた金額(上限20万円)
群馬県高崎市
*助成対象経費に5分の4をかけた金額(上限100万円)
新潟県燕市
*税抜工事費用の2分の1以内(上限50万円)
神奈川県愛川町
*補助対象経費の2分の1以内(上限30万円)
東京都足立区
*解体工事費用の2分の1以内(木造上限50万円・非木造上限100万円)
大分県大分市
*補助対象経費の5分の4以内または市の定める額のいずれか小さい方(上限160万円)
秋田県鹿角市
*撤去処分費用の2分の1以内(上限50万円)
兵庫県姫路市
*解体撤去費用の5分の1以内(上限30万円)
埼玉県行田市
*解体工事費用の2分の1以内(上限50万円)
和歌山県和歌山市
*空き家の除去費用の3分の2以内(上限60万円)
佐賀県みやき町
*対象経費に2分の1をかけた金額(上限50万円)
現在制度を設けていない自治体においても随時追加になる可能性があります。
また、現在すでに制度を設けている自治体においても要件等が変更になる可能性があります。
最新情報は管轄の自治体にお問い合わせください。
「空き家解体補助金」以外の関連補助金をご紹介!
空き家に対する補助金制度は、解体に限ったことではありません。
例えば「空き家を取得する際」「空き家をリフォームする際」「その他」などいくつか補助金や助成金制度が用意されています。
そのうち、リフォームにまつわる補助金をいくつかご紹介します。
埼玉県川口市
空き家を「まちづくりの活動拠点」や「地域コミュニティの活性化」などの目的で活用する際に、工事費用の一部を補助するというものです。
補助対象工事を行ったあと3年以上事業を継続すると、補助対象工事費用の3分の1(上限50万円)、10年以上継続すると3分の2(上限100万円)の補助を受けることができます。
静岡県静岡市
静岡市内の空き家を有効活用して定住促進や地域の活性化を図るために設けられた制度で、空き家の水道・ガス・電気設備・台所・風呂・内装外装などの改修費用の一部を補助してくれるというものです。
補助対象経費の3分の1(上限70万円)の補助を受けることができますが、予算が無くなり次第終了となりますので事前の確認が必要です。
東京都八王子市
空き家の所有者が行う改修費用の一部を補助してくれるというものです。
・バリアフリー改修
・省エネ改修
・子育てに配慮した改修
・耐震改修
・空き家の機能維持または向上のための改修
が対象となり、工事費用の2分の1(上限100万円)の補助を受けることができます。
石川県珠洲市
珠洲市への移住・定住の促進や地域の活性化を目的として設けられた制度です。
空き家の住宅としての機能(台所、浴室、トイレ、洗面所、内装、屋根、外壁など)の向上のための改修工事において、その費用総額の2分の1(上限100万円)の補助を受けることができます。
このように、空き家にまつわる補助金は解体に限らず各自治体が様々なセドを設けています。
もしかするとお住いの自治体も、何らかの補助制度を設けているかも知れませんので、ぜひ一度問い合わせてみてはいかがでしょうか?
空き家の解体に補助金制度を使おう
すでに日本国内においては住宅総数の13.5%が空き家であることはご存知のことと思いますが、今後人口の減少に伴い、空き家は増加の一途を辿ることがほぼ確実視されています。
空き家が増えたり放置したままになることで、街の景観が損なわれるだけでなく
・放火の対象や違法薬物の取引場所となる可能性
・未成年の犯罪の温床となる可能性
・倒壊などによる近隣への危険性
・ゴミを不法投棄される可能性
・動物の糞尿や死骸、ゴミなどの腐敗臭が発生する可能性
・害獣や害虫が大量発生する可能性
など、周辺にも多大な悪影響を及ぼしかねません。
今回ご紹介したように、国や自治体は様々な制度を設けて空き家の利活用や解体を促していますので、もし空き家を抱えて悩んでいる方はぜひ一度確認をして、できることなら上手に活用したいものですね。