群馬県内で建物を解体する際、解体費用はどれくらいを見積もっておけば良いのでしょうか?
一般的な解体費用の相場をご紹介するとともに、群馬県内の各市町村が行っている解体関連の補助金・助成金制度などをご紹介していきます。
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群馬県内の解体費用相場は?
まずは群馬県内の解体費用の相場を、建物の種類別に見ていきます。
※解体費用は建物の構造や立地条件、その他さまざまな条件によって大きく変わってきます。
ここでは参考として一般的な相場をご紹介していますが、詳しい費用については解体業者に見積もりを依頼する必要があります。
木造住宅
群馬県内の木造住宅の解体費用の相場は、坪あたり28,000円~30,000円程度と言われています。
例)前橋市
木造2階建て50坪 解体費用148万円(29,600円/坪)
例)館林市
木造2階建て40坪 解体費用131万円(坪あたり32,750円/坪)
例)桐生市
木造2階建て50坪 解体費用141万円(坪あたり28,200円/坪)
鉄筋コンクリート造
群馬県内の鉄筋コンクリート造の解体費用の相場は、坪あたり37,000円~50,000円程度と言われています。
例)高崎市
鉄筋コンクリート造3階建て65坪 解体費用312万円(48,000円/坪)
例)藤岡市
鉄筋コンクリート造3階建て80坪 解体費用310万円(38,750円/坪)
例)前橋市
鉄筋コンクリート造3階建て108坪 解体費用427万円(39,537円/坪)
鉄骨造
群馬県内の鉄骨造の解体費用の相場は、坪あたり29.000円~35,000円程度と言われています。
例)太田市
鉄骨造2階建て52坪 解体費用176万円(33,846円/坪)
例)伊勢崎市
鉄骨造2階建て84坪 解体費用272万円(32,380円/坪)
例)桐生市
鉄骨造2階建て100坪 解体費用265万円(26,500円/坪)
小屋、倉庫など
群馬県内のその他の建物の解体費用の相場は、坪あたり26,000円~32,000円程度と言われています。
例)館林市
鉄骨造倉庫55坪 解体費用156万円(28,363円/坪)
例)高崎市
鉄骨造倉庫50坪 解体費用161万円(32,200円/坪)
例)太田市
木造小屋13坪 解体費用53万円(40,769円/坪)
建物の種類や地域、解体工法、さらには面積などによって解体費用は大きく変わってきますが、一般的に言われている相場はこのようになります。
群馬県内の解体補助金・助成金制度とは
群馬県内の各市町村は、解体関連のさまざまな補助金・助成金制度を行っています。ここではその一例をご紹介します。
高崎市では周囲に危険を及ぼす恐れのある老朽空き家の解体について助成金制度を設けています。
高崎市内にあって、おおむね10年以上無人かつ使用されていない空き家で、周囲に危険を及ぼす恐れがある空き家のうち「戸建て住宅の空き家」および「戸建て賃貸の空き家」ならびに「併用住宅の空き家(店舗等が廃業していること)」が対象となり、助成対象となる経費に対して5分の4を乗じた額を、100万円を上限に助成してくれるというものです。
倉庫や物置等のみの解体や、空き家に抵当権が設定されている場合は適用外となります。
助成金を受けるには、助成対象の空き家を全部解体して更地にすること、市税の滞納がないこと、高崎市内の解体業者に依頼すること、などの条件が定められています。
みなかみ町の解体補助金制度は、町内にある「戸建て住宅」「併用住宅」「店舗」のうち1年以上使用実態がない個人所有の建物において
- 所有権以外の権利が設定されていない
- 公共事業による移転等の補償対象でない
- 町の補助金制度を受けて新築・増改築を行った後5年以上経過している
上記に該当する建物の解体に対して、解体工事に要する経費の3分の1を20万円を上限に補助してくれるというものです。
空き家の所有者、相続人、またはそれらの人たちから同意を得た人(親戚や土地の所有者等)が申請対象者となり、市税や水道料金等を滞納していないことに加えて
- 建設業許可を受けた事業者が請け負う解体工事であること
- 建設リサイクル法の規定による登録を受けた事業者が請け負う解体工事であること
- 町内に本店または主たる事務所を有する解体業者が施工する解体工事であること
などが条件となっています。
沼田市の解体補助金は、1年以上居住その他の利用実績がない個人所有の「戸建て住宅」「併用住宅」のうち
- 抵当権が設定されていないもの
- 公共事業による移転等の補償対象ではないもの
- 沼田市木造住宅耐震改修補助金の交付を受けていないもの
上記に該当する空き家について、建設業許可または建設リサイクル法の規定による登録を受けた業者が請け負う、空き家の全部を解体する工事について、解体工事に要する費用に3分の1を乗じて得た金額を、20万円を上限に補助してくれるというものです。
※空き家の建築日が昭和56年5月31日以前であることを証明できる場合は、上限額がさらに10万円加算されます。
補助対象者は、市税等を滞納しておらず、かつ空き家の所有者、または所有者の相続人、あるいは所有者または相続人から同意を得た人になります。
桐生市では空き家の解体を促進し、跡地の再利用や地域活性化を図るべく空き家除去(解体)費用の一部の補助を行っています。
補助対象となる空き家は次の通りです。
補助対象1
- 桐生市にある建物
- 昭和56年5月31日以前に建築された建物
- 10年以上居住その他の使用がない建物
- 所有権以外の権利が設定されていない建物
- 公共事業の補償対象となっていない建物
補助対象2
- 桐生市内にある建物
- 住宅地区改良法における不良住宅に相当する建物及び特定空き家等
- 1年以上居住その他の使用がない建物
- 所有権以外の権利が設定されていない建物
- 公共事業の補償対象となっていない建物
上記1または2の各項目のすべての条件に該当する建物の解体において
- 対象工事費用が20万円以上
- 空き家等の全部を除去する工事
- 桐生市内に事業所を有する解体業者が行う工事
などの条件を満たす場合、対象工事費用の2分の1を、30万円を上限に補助してくれるというものです(跡地を地域活性化のために使用する場合は50万円が上限となります)。
安中市では、空き家を自発的に除去(解体)する人に向けて、その費用の一部を補助してくれます。
空き家の所有者(共有者がいる場合は全員から除去の同意を得ている、かつ、空き家が建っている土地の所有者全員から除去の同意を得ていること)で、市税を滞納しておらず、暴力団員等でない人が補助対象者となります。
- 個人所有の戸建て住宅または店舗併用住宅
- 現に空き家となっている住宅
- 未登記でない住宅かつ相続の登記が完了している住宅
- 所有権以外の権利が設定されていない住宅
- 公共事業の移転や建て替えの補償対象となっていない住宅
について、空き家のすべてを解体する工事を行う際、補助対象工事費に3分の1を乗じた額を、20万円を限度に補助してくれるというものです。
※上記は平成29年度の条件です。平成30年度の補助金制度につきましては、安中市のホームページにて案内予定とのことです。
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中之条町では空き家のリフォーム補助金と併せて危険な建物を解体する場合の補助金制度を設けています。
中之条町にあって、昭和56年5月31日以前に建てられた空き家または、おおむね10年以上無人かつ使用されていない空き家のうち
- 不良住宅と判定された空き家
- 特定空き家等に認定された空き家
上記いずれかの空き家を取壊す際、町内業者が請け負う解体工事については100万円を上限に2分の1まで、町外業者が請け負う解体工事については50万円を上限に4分の1まで補助してくれるというものです。
富岡市では、市内の業者が施工する空き家の除去(解体)工事に対して補助金を交付しています。
市内に所在し、自己の居住の用に供していた建築物で6ヶ月以上居住していない空き家のうち、公共事業等の補償対象になっていない、およびアパート等事業目的で建築したものでない空き家について、補助対象工事費用に3分の1を乗じた額を、30万円を上限に補助してくれるというものです。
なお「危険空き家」「特定空き家」の除去については、対象工事費用の5分の4を乗じた額を、50万円を上限に補助してくれます。
補助対象者は
- 市税を滞納していない
- 富岡市が扱う他の同様の補助金または助成金を受けていない
- この補助金を受けていない(1回限りのため)
などの条件を満たした空き家の所有者または所有者の相続人、あるいは所有者や相続人から除去工事について同意を得た人となります。
太田市でも、空き家の自発的な除去(解体)及び土地の利活用を促進する目的で、空き家の解体費用の一部を補助してくれる制度を設けています。
太田市内に所在し、1年以上居住その他の使用実態がない、個人所有の「戸建て住宅」「併用住宅」「長屋」を全部解体する場合、対象となる工事費用の2分の1を、50万円を上限に補助してくれるというものです。
対象となるのは空き家の所有者または相続人、あるいは所有者もしくは相続人の同意を得たその敷地の所有者で、建設業許可を受けている、または建設リサイクル法に規定する登録を受けた業者のうち、太田市内に事業所を有する個人事業主または市内に本店もしくは事業所を有する法人が請け負う工事です。
下仁田町では、老朽化が進み倒壊などの恐れがある空き家等を除去(解体)する際に工事費用の一部について補助金を交付してくれます。
下仁田町の補助制度における空き家とは「町内に所在する自己居住用の建物で使用されていないことが常態化しているもの」を指します。
また老朽空き家とは「昭和56年5月31日以前に建築された建物で、老朽空き家の判定基準において100点以上と評価された空き家」あるいは「特定空き家等に認定された空き家」のいずれかと定義しています。
上記に該当する空き家を全部解体し、更地にした後に不陸整正する工事について、補助対象経費の2分の1を20万円を上限に補助してくれるというものです。
- 補助対象経費が20万円未満
- アパートとして建築された建物
- 抵当権が設定されている空き家
- 町外事業者が施工する解体工事
など補助対象外となる条件も細かく設定されていますので、事前に条件を確認しておきましょう。
前橋市では、昭和56年5月31日以前に建築され、倒壊の危険の恐れや、将来的に特定空き家となる可能性がある空き家の解体工事について、その費用の一部を交付してくれます。
1年以上居住者がいない戸建て住宅または併用住宅が対象で、共同住宅や店舗専用建物等については適用されません。
基本補助金と跡地利用加算補助金があり、それぞれ補助金額や条件は次のようになります。
基本補助金
解体しようとする空き家の所有者または所有者の法定相続人、あるいは所有者または相続人から承諾を得て解体しようとする人が申請対象者となります。
対象工事費用のうち10万円を上限に3分の1まで補助してくれます。
跡地利用加算補助金
基本補助金を受けた人、または老朽空き家対策事業において基本補助金の交付決定を受けている人が申請対象者となります。
解体後の跡地を、解体後3ヶ月以内に駐車場として整備した場合は10万円を、解体後6ヶ月以内に住宅、店舗を新たに設置した場合は60万円を加算して補助してくれます。
上記は一例ですが、このように群馬県内の各市町村では解体に関するさまざまな補助金制度を設けています。
群馬県の空き家事情
群馬県の各市町村が設けている解体補助金制度を見てみると、その多くは「空き家」の解体に関するものであることが分かり、それはつまり群馬県内に空き家が多数あることを意味しています。
いったい群馬県内にはどれくらいの空き家があるのか、国土交通省統計局が発表した「平成25年住宅・土地統計調査」で見てみたいと思います。
群馬県の空き家率は?
平成25年度住宅・土地統計調査における群馬県内の空き家数は150,100戸で、世帯総数に対して16.6%となっています。
全国平均の13.5%を上回っており、空き家率の大きい都道府県ランキングでは9位(1都6県の中では最上位)に位置しています。
群馬県の空き家で多いのは?
群馬県内にある空き家のうち、最も多いのは賃貸用の住宅で49.8%、次いでその他の住宅で37.6%です。
逆に割合が少ないのは売却用の住宅で1.4%、別荘などの二次的住宅で11.3%となっています。
※その他の住宅とは、人が住んでいない住宅で転勤や入院など居住世帯が長期間不在になっている住宅や、建て替えなどのために取り壊す予定になっている住宅を指します。
前項でご紹介した解体に関する補助金制度の多くは、このうち「その他の住宅」を対象としているものがほとんどで、最も割合が多い賃貸用の住宅の解体に関する補助金制度はほとんど設けられていません。
空き家があることで考えられるリスク
空き家を放置することでさまざまなリスクが生じます。具体的にどのようなリスクが考えられるのか見ていきましょう。
倒壊による影響
地震で倒壊したり、強風で屋根などの資材が飛散してしまったりすると、周辺の住宅や住民に危害を与えてしまうだけでなく、緊急車両の通行の妨げになったり、避難経路を塞いでしまったりする可能性もあります。
衛生上の問題
放置されたゴミや、棲みついた野生動物の糞尿や死骸によって悪臭が発生したり、害虫の大量発生によって周囲に迷惑をかけたりなど、衛生上大きな問題を生み出します。
治安上の問題
ゴミの不法投棄や放火など犯罪の現場となったり、未成年の喫煙やいじめなどの温床になったりなど、空き家を放置してしまうことで地域の治安の悪化を招く可能性が生じます。
このように、空き家は景観を損なうだけでなく、放置してしまうことでさまざまな悪影響をもたらします。
そのため、現在空き家を抱えている所有者の方は適正な維持管理に努めるとともに、早い段階で解体や売却などの対策を講じる必要があります。
群馬県は解体補助制度が充実している
今回は群馬県内の解体費用相場や、各市町村が行っている補助金・助成金制度をご紹介してきました。
群馬県は空き家率が高く、今後も増加が見込まれていますので、群馬県をはじめ各市町村が空き家解体に関する補助金や助成金制度を積極的に行っています。
今回ご紹介した以外にも解体関連の補助金や助成金を行っている市町村はありますし、また現時点で補助金や助成金制度がなくても、今後創設される可能性がある市町村もあります。
空き家の所有者や相続人となっている方で空き家の解体をお考えの方は、まずは一度お住いの自治体に確認してみることをおすすめします。
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