一戸建ての売却を検討している方の中には「税金」についての情報を探している方もいるのではないでしょうか?
どんな税金をいくらくらい納めなければならないのか、事前に計算しておくことは大切です。
税金の種類や納税のタイミング、利用できる特別控除などを、シミュレーションとともに分かりやすく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
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一戸建てを売却した際の税金とは?
一戸建てを売却した際に発生する税金は、土地など他の不動産を売却した場合と同じです。
「所得税」「住民税」「印紙税」「登録免許税」といった税金がかかってきます。
※2037年12月31日までに生じた所得については、上記に加え「復興特別所得税(所得税×2.1%)」を納めることになります。
所得税と住民税
所得税と住民税は、その一戸建てを所有していた期間の長短によって、税率が次のように変わります。
- 所有期間が5年以下の場合:39.63%
- 内訳:所得税30%、住民税9%、復興特別所得税(所得税に対して2.1%)
- 所有期間が5年を超える場合:20.315%
- 内訳:所得税15%、住民税5%、復興特別所得税(所得税に対して2.1%)
さらに、一戸建ての所有期間が10年を超える場合、売却して得た利益のうち6000万円までの部分について「所得税10%、住民税4%」と税率まで軽減されます(6000万円を超える部分は従来通り「所得税15%、住民税5%」となります)。
なお、所有期間については「実際の取得日や譲渡日」ではありませんので、注意が必要です。
例えば平成25年6月1日に一戸建てを取得した場合、カレンダー上では平成29年6月1日を過ぎれば“所有期間5年超”となります。
しかし、不動産の所有期間については“譲渡した年の1月1日”が基準となります。
つまり、このケースでは平成30年1月1日を過ぎてはじめて“所有期間5年超”となります。
これを知らずにタイミングを誤ってしまうと、倍近い税金がかかってくるため覚えておきましょう。
印紙税
不動産売買契約書に印紙を貼付することで納めるのが印紙税です。契約金額によって税額が次のように変わります(以下は一部抜粋)。
契約金額 | 印紙税 |
500万円超〜1千万円以下 | 1万円(5千円) |
1千万円超〜5千万円以下 | 2万円(1万円) |
5千万円超〜1億円以下 | 6万円(3万円) |
※カッコ内の金額は、2020年3月31日までに作成された契約書のうち、契約金額が10万円を超えるものに対して適用される軽減措置です。
登録免許税
一戸建てをはじめ不動産売却における名義変更(所有権移転・抵当権の抹消等)の際に必要になってくるのが、登録免許税と呼ばれる税金です。
登記の種類によって税額が変わってきますが、売却による所有権移転については「不動産の価額×1000分の20」が税率となります。
「固定資産税評価額×2.1%」と覚えておきましょう。
税金を支払うタイミング
納税のタイミングは税金ごとに異なります。
印紙税や登録免許税は「都度」支払うことになります。
ここでは、特に金額が大きくなりがちな所得税、住民税の納税時期について解説します。
所得税 | |
納税のタイミング | 売却した翌年の確定申告のタイミング |
納税方法 | ・口座引き落とし(振替納税) ∟確定申告時に振替納税の手続き ・半額ずつ支払う(延納) ∟期限までに半額、5月31日までに残額 |
住民税 | |
納税のタイミング | 売却した翌年5月 |
納税方法 | ・金融機関で納付(普通徴収) ∟4分割(6月、8月、10月、翌年1月) ・給与口座からの引き落とし(特別徴収) ∟12分割(6月〜翌年5月) |
このように、納税のタイミングや納税方法が異なるため、計画性を持って予算を組んでおくことが大切です。
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一戸建てを売却するなら知っておきたい税金の計算方法
税金がかかってくるのは「どの」部分?
ところで、所得税や住民税といった税金がかかってくるのは、どの部分についてなのでしょうか?
ここも正しく理解しておくことが大切です。
一戸建てなど不動産を売却して得た利益を「譲渡所得」と言います。
ただし、一戸建ての売却価格自体が譲渡所得になるわけではありません。
譲渡所得は「一戸建ての売却価格−取得費−譲渡費用」で求めることができます。
取得費には、その一戸建てを購入したときの費用、不動産取得税、仲介手数料などが含まれます。
取得費が不明な場合、売却価格の5%を取得費とみなして計算することも可能です。
また、譲渡費用には、譲渡に際してかかった仲介手数料などが含まれます。
なお、一戸建てやマンションなどの場合、経年による劣化がありますので、取得費の合計から減価償却費相当額を差し引くことになります(ここが土地と建物の大きく違う点です)。
取得費×0.9×償却率×経過年数
この計算で算出することができます。
建物の種類別・償却率は次の通りです。
建物の種類 | 法定耐用年数 | 償却率 |
木造 | 33年 | 0.031 |
軽量鉄骨 | 40年 | 0.025 |
鉄筋コンクリート | 70年 | 0.015 |
一戸建てを売却した際の税金シミュレーション
上記の内容をもとに、一戸建てを売却した際の税金をシミュレーションしてみましょう。
- 取得費3200万円(購入価格3000万円+諸費用200万円)
- 譲渡価格:4000万円
- 譲渡費用:200万円
- 木造2階建て/築年数15年
まずは、減価償却費相当額と取得費を算出すると次のようになります。
- 3200万円×0.9×00.31×15年=1339.2万円
「1339.2万円」が取得費となります。ここに譲渡費用200万円を加算した1539.2万円を、譲渡価格である4000万円から差し引くことで譲渡所得が算出できます。
- 4000万円−1539.2万円=2460.8万円
ということで、譲渡所得2460.8万円に対して所得税や住民税などがかかってきます。
前述したように所有期間の長短によって税率が変わってきます。
- 所有期間5年超:2460.8万円×20.315%=499万9115円
- 所有期間5年以下:2460.8万円×39.63%=975万2150円
となります。
いかがでしょうか?所有期間5年を超えているかどうかで税率が大きく変わってきますね。
一戸建ての売却を検討している方は、ぜひ所有期間についてきちんと調べておくことをおすすめします。
一戸建て売却の税金を節約できる特別控除もある
一戸建てを売却した場合にかかる税金を節約できるさまざまな特別控除があります。
それぞれの特別控除を受けるには要件を満たす必要がありますが、当てはまるようであれば利用しない手はありません。
マイホームおよびマイホームとその敷地を売却した場合、所有期間の長短に関係なく「3000万円の特別控除」を受けることができます。
つまり譲渡所得3000万円までなら、税金が生じないというわけです。
売却した一戸建てが「以前住んでいた家」という場合でも“住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで”に売却すれば適用となります。
そのほか、1章で少し触れましたが、所有期間が10年を超えている場合、譲渡所得の6000万円を超える部分については所得税10%、住民税4%、復興特別所得税(所得税に対して2.1%)と税率が軽減されます。
この特例は3000万円の特別控除と併用することができます。
このように、国はさまざまな特例措置を講じています。それぞれに適用要件がありますので、詳しくは国税庁のホームページにてご確認ください。
一戸建て売却税金のまとめ
一戸建てを売却した際の税金について解説してきました。
土地のみを売却したときと大きく違うのは、取得費から「減価償却費相当額」を差し引くという点です。
そのほか、かかってくる税金の種類や納税方法、タイミングなどは、他の不動産を売却したときと同じです。
特に所有期間が5年を超えるかどうかで税額が大きく変わってきますので、覚えておきましょう。
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